2024/08/09 のログ
ご案内:「『数ある事務所』」にイーリス・ロッソルーナさんが現れました。
■Dr.イーリス > ※ロッソルーナ状態ではなく、まだ正常な状態。
『数ある事務所』のエルピスさんとイーリスのお部屋で、イーリスは機械仕掛けの車椅子に座り本を読んで過ごしていた。
エルピスさんは今、どこかに出かけている。ナナさんは、自室にいるのだろうか。あるいは出掛けているのだろうか。
お部屋に響くのは、ページを捲る音。速読で深い理解を得られるイーリスは、ページを捲る速度が速い。
《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》は今、“王”との戦いに向けて、不良集団アジトのラボで調整中。今は動かせない。
右脚の修理を終えてからでも、“王”自らがイーリスを標的に動かざるを得ないよう策を講じるつもりだ。
“王”に死ノ花園を仕向けられた時は後手に回ってしまっていた……というよりエルピスさんが助けにきてくださらなければ、イーリスは死んでいた……。
右脚の修理が済めば、先手を打ちたい。
「……今夜の月は、綺麗ですね」
ふと、窓のお外を眺める。
イーリスは“王”の呪いの制御に成功していたので、月夜でも呪いに苦しむ事は基本的になくなった。
■イーリス・ロッソルーナ > だが今日は違った。
「……ぐ……ぬっ…………」
珍しく、イーリスが制御できない程に呪いがこの体を蝕んでいる。体に紅き文様が現れ、右目が紅く光りだす。
イーリスも呪いを制御しきれているわけではない。さすがに以前ほど苦しいというわけでもないが。
──Elpis' Crisis.
「……!?」
イーリスは目を見開きつつ、本を落とす。
それは、イーリスの体内コンピューターとは別に搭載されているもう一つのコンピューター、パンドラ・コアからの警告メッセージだった。
警告メッセージはイーリスの視界に赤く表示されており、それにより見上げる月が紅く輝いた。
メッセージが意味するものは、エルピスさんが危機的な状況に陥っているという事。
それにこの呪いがイーリスを蝕む感覚。
どこかで“王”が動いている……!
■イーリス・ロッソルーナ > そもそも、このメッセージはなんだ……?
パンドラ・コアに、エルピスさんの危機を知らせる機能など搭載されていない。
高機能なAIが搭載されてはいるので、そのAIによる判断になるだろうか……。
パンドラ・コアは、エルピスさんに借り受けた《感情魔力混合炉》が搭載されている。
その《感情魔力混合炉》はこれまでエルピスさんの感情や魔力をエネルギーに変えてきた。
その因子がAIに警告メッセージを発信させたというのは、ありえる話だろうか……。
お部屋に置かれていた、エルピスさんとイーリスが映る写真立てに罅が入る。
「……!?」
突然の事で、びくっ、と体を震わせた。
■イーリス・ロッソルーナ > 机に飾っていた『メタラグ』のプラモデルが落ちて、がしゃ、とばらばらになる。
それは先日行われた《納涼氷柱割り》においてエルピスさんが手に入れ、そしてエルピスさんとイーリスとで一緒に組み立てて完成させたもの。
警告メッセージに、不吉な予感……
エルピスさんの身に、何か起きている……。
「……エルピスさん…………!」
■イーリス・ロッソルーナ > “王”がエルピスさんを……。
イーリスは慌てて車椅子を動かしてお部屋を飛び出そうとした。
だが、車椅子の向きを変えようとした時に傾いて車椅子ごと転倒。
「…………ッ!!」
うつ伏せに倒れ込み、額から血を流してしまう。
「……エルピスさん!! ……エルピスさん……!!!」
イーリスは横たわったまま、右手を伸ばし、そして空を掴む。
《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》は調整中なので出動させられない。
ただ、エルピスさんの名を呼ぶイーリスの叫び声が空しく響き渡るのだった……。
ご案内:「『数ある事務所』」からイーリス・ロッソルーナさんが去りました。