2024/08/27 のログ
ご案内:「『数ある事務所』」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「『数ある事務所』」にエルピス・シズメさんが現れました。
■Dr.イーリス > 最近完成した地下ラボ。その隣にある医療室。
医療室の雰囲気はラボとそう変わらず、色んな機械が置かれており、証明の他にも機械のランプなどが所々輝く。クローンとか入ってそうな大きな試験管とかもあったりする。まさにラボ。
Drと名乗る通り、イーリスは医師としての知識や技術もある。博士と医師、両方こなすタイプのドクター。
医療室の端っこでキメラ型メカが丸くなってくつろいでいた。エルピスさんもキメラ型メカは見た事がある。《月輪の王》との初戦でイーリスが敗れ、命辛々地下ラボに隠れ潜んでいた。エルピスさんがイーリスを助けにきてくださったけど、その時に地下ラボの入り口を守護していたのがこのキメラ型メカ。通称キメちゃん。
赤き死ノ花園戦で一度破壊されたキメラ型メカだけど、修理して復活。
今は『数ある事務所』を守るガーディアンとなっている。
キメラ型メカは狐と狼、二つの頭を持つ四足歩行のメカで、機械の爪と翼を有し、尻尾は機械の竜。全長1.5m程。
その丸くなっているキメちゃんの背中の上で、三毛猫のミケちゃんが丸くなって寝ていた。
エルピスさんやイーリスから少し離れたところにはメカニカル・サイキッカーも佇んでいる。
エルピスさんには丸椅子に座っていただき、イーリスはPCが置かれているデスクの前にある椅子に座っていた。
デスクにグラディウスが立てかけていたり、デスクの傍に腕に装着するタイプの機械仕掛け大砲が置かれていたりもする。
「それでは義肢のメンテナンスを始めますね。その前に、エルピスさんに頼まれていたもの、ちゃんと完成しておりますよ。まずは《イリデッセント・リング》ですね」
《イリデッセント・リング》はブレスレット型。デスクの上には、ブレスレットが四つある。
イーリスはその内の一つを実際に、右腕につけてみせた。
■エルピス・シズメ > 数ある事務所の地下に新設されたラボ。
ナナとイーリスが受けた依頼で発生した『臨時収入』とイーリス主導の工事により完成した地下施設。
地下施設を動かすだけの動力なども賄われており、立派な施設とし稼働している。
……そのつくりに、いつか見た地下施設の面影を覚えた。
もっと言うと、隅っこで元気そうに丸くなっているキメラ型のメカにも見覚えがある。
その上には猫ちゃんがいる。
鏡餅みたいだな、と、和むエルピス。
「うん。ようやく、だね。」
合間に簡易的な保守はしてもらっていたものの、本格的なメンテナンスはこれが初めて。
メンテナンスと言うよりは、オーバーホールやチューンナップと呼ぶべき作業。
「うん。……少なくても形も重さは大丈夫そう。
サイズの調整もちゃんと出来るね。」
生身の腕で《イリデッセント・リング》──ブレスレット型のシールドユニットを受け取る。
7層の複合バリアを形成し使用者の身を護る設計の腕輪。
動力は内臓ジェネレータにより自動充電される形式だが、緊急時には手動による充電も可能。
■Dr.イーリス > ようやく、という言葉にイーリスはにこっと笑った。
イーリスは自身の右手首に《イリデッセント・リング》をつけた後に、エルピスさんにもお一つ、《イリデッセント・リング》を差し出した。
「事前に、皆さんの手首のサイズを計らせていただいて、ぴったりはまるように造りました。その効力は、この通りです」
この医療室のどこかにひっそり置かれていたドローンが飛行する。
ドローンに装備された小型機関銃がイーリスに銃口を合わせた。
イーリスはどやっとした表情をしながら、《イリデッセント・リング》をつけている右手の掌をドローンに向ける。
ドローンの機関銃から無数の弾丸が発射された。
嵐のような弾丸がイーリスに迫る。
イーリスの前方に、七層の複合バリアが形成されて、弾丸が受け止められていく。
続けて、ドローンは火炎放射をぶっぱなすが、それもバリアに阻まれた。
実際に、シールドユニットの効力を実演してみせた。
「七層の複合バリアですからね。頑丈ですし様々な攻撃に対応できます。エルピスさんのアイデアもあって、素晴らしき仕上がりになりました」
■エルピス・シズメ >
突如として発射される実弾と火炎。
それがテストであると分かっていても、肝を冷やすのがエルピスであり。
「わっ……う、うん。ちゃんと動いていて安心したけど……
びっくりするから、先に言ってくれると嬉しいな。」
苦笑しつつ、そんなお願い。
イーリスに凶器が向かう光景はやっぱり驚く。
「事務所のみんな、結構無茶するから。
少しでも怪我がないように、こういうものがあったら便利かなと思って。」
イーリスもエルピスも良く怪我をして帰ってくる。
不埒なゴブリンにボコボコにされたり、あわや脳天を貫かれかけたり。
ナナは変身能力もあり分からない面も多いが、たぶん無茶をしてる。そんな気がする。
「十二分の出来栄えだね。ありがとう。イーリス」
■Dr.イーリス > 「申し訳ございません。試験運用で安全性は何度も確認しておりましたからね」
ぺこり、とエルピスさんに頭を下げる。
この《イリデッセント・リング》が四つあるのは、つまり《数ある事務所》に住む人、その人数分である。
「エルピスさんのお心遣いからきた、とても優しいアイデアですね。ありがとうございます」
瞳を細めて微笑みつつ、そっと《イリデッセント・リング》を撫でる。
「この《イリデッセント・リング》が、《数ある事務所》のメンバーである証になりますね。《イリデッセント・リング》は開発名なので、いずれ別のお名前も考えてみましょう」
ちらり、グラディウスの方に視線を移す。
「続きまして、こちらですね。《イリデッセント・グラディウス》です!」
デスクに立て掛けていた鞘に入ったグラディウスを手に取った。
そして、両手で持ったそれをエルピスさんに差し出す。
「ご注文通り、合金製エネルギーブレードですね。《イリデッセント・リング》で展開される多層バリアの強度をそのまま斬撃に使用できます! 刀身の操作も可能ですし、合金製ですのでそのまま普通の剣として使っても優秀でございますよ」
笑みを浮かべながら、解説。
「《イリデッセント・リング》と《イリデッセント・グラディウス》の詳しい使い方などは、こちらに纏めてます。えいっ!」
右手の一指し指をくるっと回してエルピスさんを差す。すると、エルピスさんの端末にメールが送られる。イーリスの体内コンピューターが送ったメールだ。
《イリデッセント・リング》の詳しい扱い方が書かれている。
■エルピス・シズメ > エルピス、イーリス、ナナ。そして最近住まうことになって家事をよくしてくれる、【悪竜】こと赫お兄さん。
部屋の手配や説明はイーリスに任せたこともあり、今は軽く顔を合わせた程度。
今は距離を測りつつ、彼がこの事務所での生活に慣れてきた頃に、改めてお話しする予定。
「うん、《イリデッセント・リング》はプランの上の名前だし、
事務所の関係者の証として分かり易い名前にしたい所だけど……。
iridescent。玉虫色。虹色。
異なった角度で見られるときの色の変化。
何でそんな名前にしたのかは、たぶんとても分かり易い理由。
事務所のメンバーの証になったのは、ちょっとした奇遇。
少し気恥ずかしいし長いので、分かりやすくしたい気持ち。
「重さよし、形よし、違和感もなし。……そうだね。ちょっと振ってみる。」
重さを確認し、距離を少しだけ振る。
刀身に七層の力場が纏う様に形成され、空を切る。
イリデッセント・リングのバリア機構を攻性利用した科学の剣。
試し振りが終える頃には、メールが届く。
「大丈夫そう。メールも後で見ておくね。
……イーリスが造ってくれたと考えると、なんだか嬉しいな。」
嬉しそうに2つの《イリデッセント⦆を眺める。
装備として以上に、イーリスからのプレゼントみたいで嬉しい。
■Dr.イーリス > 「通称に関しては、おいおい考えてみましょうか」
そう口にして微笑んだ。
エルピスさんがグラディウスを振るう様子を、目を細めて眺める。
「ふふ。あなたのために頑張って造りました。喜んでいただけたのなら、とても嬉しく思います」
にこっ、と嬉し気な笑顔をエルピスさんに見せた。
「試し斬りなんかもしてしまいましょうか。向こうに、解体予定のちょっと壊れた頑丈なメカがあります。あれを斬ってみてください」
イーリスが指差す方向に、ボーリングのピンの形をした二足歩行で両手のある堅そうなメカがあった。その右手にはチェーンソーが握られている。
ボーリングのピン型メカの持つチェーンソーが稼働し始める。
今にもエルピスさんに襲い掛かりそうな雰囲気である。
「実戦形式に近い形での試し斬りです。どうせ解体予定なので遠慮なく斬ってくださいね」
ボーリングのピン型メカはチェーンソーを構える。
ただし実戦形式に近いだけであって、実戦形式ではない。ボーリングのピン型メカがエルピスさんを襲い掛かる事はなく、単にチェーンソーで斬撃を受けようとするのみである。
■エルピス・シズメ >
「うん。事務所の名前が分かり易い感じの……数ある……」
変に凝らないで数あるブレスレットとか、数ある腕輪ぐらいがいいかな。
後で提案してみようと、内心で決めた。
「それじゃあ、遠慮なく……」
脚だけ付け直してから、改めて左手で構える。
目標を見据えてエネルギーを流し、軽く踏み込む程度で接敵して一閃。
「疾っ!」
7層の力場と物理的な刃が、ボーリング・チェーンソー・メカ(エルピス視点)を多層的を水平に両断する。
切断面には、『断裂』と呼べるような荒々しさがある。
層が7つ用意されているのは、7つの性質に干渉させるため。
物理的な層もあれば、そうでない層もある。
《イリデッセント・グラディウス⦆にはジェネレータは機構を稼働させる最低限しか搭載されておらず、
その代わりに、感情魔力混合炉のエネルギーを転化する機構を搭載している。
以前からイーリスが開発を進めていた、試作型感情エネルギー砲の流用機構だ。
「……よし。動力の供給も含めて問題ない切れ味。
これなら困ることもないかな……改めてありがとう、イーリス。」
そんな刃なので、これで包丁を作ると大変な事になる。
■Dr.イーリス > 開発名、《イリデッセント・リング⦆、《インデッセント・グラディウス》はエルピスさんの提案だった。
その意味に、イーリスは気づいてなかったけど、ちょっとずつ「そういば……」みたいな表情になっているけど、まだ気づかず。
《イリデッセント・グラディウス⦆の試験運用考慮して、義肢はまだ外していただいていない想定なので、そのままで大丈夫です……!
エルピスさんの動きは迅速で、瞬時にボーリング・チェーンソー・メカが断裂された。
七つもの性質に干渉する斬撃。
チェーンソーメカがガタンと横たわる。
イーリスは笑みを浮かべながらエルピスさんに、ぱちぱちと手を叩いた。
「お見事です、エルピスさん! ふふ、やはりあなたならその《イリデッセント・グラディウス⦆を使いこなせると思っておりました」
エルピスさんからのお礼に、満面の笑みで応じる。
「ところで、インデッセントとは……」
イーリスの体内コンピューターのAIがこっそりとイーリスに伝えてしまう。
──iridescent。玉虫色。虹色。
「て、え? インデッセントって、虹色という事ではないですか……!」
虹色。イーリスという名は、虹を表す。
《イリデッセント・リング》及び《インデッセント・グラディウス》はエルピスさんがつけた名称。イーリスの名を表すものをイーリスに開発をお願いした事になる。
その事に気づいて、イーリスは気恥ずかしくなり、少し頬を赤らめてしまった。
「エルピスさん……その…………。素敵な名称をつけていただいたのに……私、気づきませんでした……ごめんなさい……」
エルピスさんに、ぺこりと頭をさげてしまう。
せっかく素敵な名称をつけてくれたのに、自分の鈍さに、とても申し訳なく感じられた。
■エルピス・シズメ >
頬を赤らめるイーリスと、彼女の言葉を聞いて意味を反芻する。
「あ、えっと……そうなんだけど……
……それはそれというか、これはこれというか……つい……」
エルピスも顔を赤らめた。
その通りの意味を込めて付けたのは確かだけれど、振り返ると恥ずかしくなってくる。
「と、とりあえず、ナナと赫さんにも聞いてみよっか。
その、変に洒落ちゃってるし……ナナも掛けてるし……」
ちょっとカッコつけちゃったことを自覚したのか、
エルピスにとっては『ナナ&エルピス&イーリスの愛の事務所』よりも恥ずかしいらしい。
沸騰しそうなぐらい顔を赤らめたエルピスの顔は、ちょっと珍しいかもしれない。
それだけイーリスを愛して、そしてナナのことを想っているのは確かな事実。
「え、えっと、感情魔力混合炉の方と、夏用の義体の準備は順調……?」
照れ隠しも兼ねて、強引に話題を切り替える。