2024/08/28 のログ
Dr.イーリス > イーリスは、ボーリング・チェーンソー・メカを斬ったエルピスさんに歩み寄った。
そしてエルピスさんの背中から、そっとエルピスさんの体に両手を回して抱擁する。

「……エルピスさんがつけてくれた名称です。開発名でそのまま《イリデッセント・リング⦆、《インデッセント・グラディウス》にしましょう、エルピスさん……。そうですね、ナナさんもまた七色という事で、虹とかかってます。だから、猶更いいではございませんか」

照れながら、微笑んで見せた。
エルピスさんがイーリスの事を愛おしく思っていただいている。
それが分かって、イーリスはとても嬉しく感じられた。名称の意味に気づくのを遅れた事に関しては、申し訳なくも思いつつ。

「そ、そうでしたね!」

慌てて、エルピスさんを抱きしめる両腕を解いた。

「それとあともう一点、失敗作だった《試作型感情エネルギー砲》を改良した、《試作型感情エネルギー砲0.8α》も出来ておりますよ!」

これもまた、《試作型感情エネルギー砲》の改良をエルピスさんにより頼まれて出来たもの。
デスクの傍に置いている、腕に装着するタイプの大きな機械式大砲へと視線を向けた。

「《感情魔力混合炉》に生ずるよる感情エネルギーを『太陽熱』に転化し発射する射撃ユニットでございますね。超高温の熱で焼き払いますが、エネルギーコストと砲身へのダメージがありますので、整備が重要になります」

エルピス・シズメ >  優しい抱擁を受け留めて振り向く。
 微笑みと共にささやかれる言の葉を、くすぐったそうに受け容れた。

「う、うん……。気に入ってくれたなら……」

 照れるけど、素直に付けた名前を大事にしてみよう。
 イーリスと自分にある素直な気持ちに気付けば、頷いた。

 話題が次の装備に移れば、離れたイーリスを目で追ってから座り直す。

「うん。勿体なかったのと、この先を考えると必要になるだろうから、進めておいてほしくて。」

 同じ手が通じる程楽観はしていないが、手探りで進めるよりかは効率が良い。
 この砲の指向性がに向いているのかは、二人にとって言わずとも分かるもの。

「ひとまず切り札として運用してみるけれど……
 ……ここから先の改良や改善は、イーリスに任せてもいいかな。
 イーリスの方が、あいつのことは詳しいと思うから。」

Dr.イーリス > 「ありがとうございます」

照れて頬を赤らめながらもにこっと笑顔をエルピスさんに向けた。
イーリスもデスクの前にある椅子に座り直した。

「……そう……ですね。“絶望(王熊)がまだ生存している可能性もあります……」

イーリスは数秒だけ暗く視線を落とした。
しかし、すぐに視線をエルピスさんに戻す。

「とても強力な《試作型感情エネルギー砲0.8α》。例えかの“絶望”が生存していても、必ずや大打撃を与えられるはずですね。改良や改善はお任せください!」

そう口にして、イーリスは自身の胸を自信満々な様子で叩いた。

《試作型感情エネルギー砲0.8α》についてはあまりに強力すぎるので、この医療室での試験運用は無理である!

「エルピスさんに頼まれていた武装のご紹介をし終えたところで、メンテナンスを始めますね。公共の場で使える義肢も用意しております。それでは、義肢を外しますね。少し、失礼しますね」

新たな武装を試すために、義肢はつけたままでいてもらっていた。
今ようやくエルピスさんの義肢を外そうとする。

代わりに、助手を務めるメカニカル・サイキッカーが公共の場で使える義肢を抱えていた。
義肢は基本機械であるのだが、肌の部分は、予めエルピスさんの細胞や遺伝子を採取させていただいて、バイオテクノロジーを用いてエルピスさんの肌を再現している。
公共施設用の義肢を装着したエルピスさんは、イーリスのように普通の人間に見える事だろう。

イーリスがエルピスさんの現在の義肢を外した後に、メカニカル・サイキッカーから公共施設用の義肢を受け取って装着する。

「どうでしょうか? 違和感なく動かせるでしょうか?」

小首を傾げた。
設計にミスはなく、公共施設用の義肢をエルピスさんは自由に動かせる事だろう。

エルピス・シズメ > 「そうだね。接合部の構造は見せた通りだけど……」

 腕は既に外してあるため、残るは足。
 何度も保守や処置を施したイーリスならば、数秒も掛からず解除出来る。

 使い込まれた義肢は、技術者が見れば不安を通り越して感慨深さすらあるかもしれない。

 尚、脚の接合部には炉……《感情魔力混合炉》を取り付ける箇所がある。
 まだ旧い方の炉を使っているため、交換が必要だ。
 
 ひとまずは、それらを取り外す。

 余談だが、エルピスの細胞や遺伝子を採取すると『純人間』であることが分かる。
 エルピス・シズメの出自を知っていれば、興味深いものとして映るだろう。
 他にもいくつかの事実が分かるものの、それはまた別の話。

「ん、っ。……ちょっと待ってね。動かしてみる。」
 
 新しい義肢はすんなり入ったが、慣れぬ刺激を感じた。
 とは言え、それも始めの一度だけ。すぐに順応して、義肢を動かす。

 追加の腕がない違和感に戸惑っているものの、十分には動く模様。
 脚部も問題が無さそうだ。

「普通に動く。一本ない分の違和感はどうしてもあるけれど……
 それ以外は軽くて動きやすいかも。」

 嬉しそうに頬をほころばせ、ぶんぶんと手をふってみせる。
 違和感のない四肢は、彼の本来の体型や顔立ちを強調する。

 可愛らしい顔立ちで細身の体型で、中性的。
 それでも手や腕、肩には男の子っぽい丈夫さと、道具を握ってきた"痕"が残る。
 義手を再現したイーリスなら、その経験の旅路を理解出来るかもしれない。
 
 

Dr.イーリス > エルピスさんの義肢は、これまで軽く保守や処置を施しており、外す方法に迷いはない。

「……メンテナンスが遅れてしまって本当にごめんなさい。凄く、無茶させてしまいましたね」

以前、イーリスが軽く点検した時には既に修理が必要な状態だったのだ。あれからそれなりに時間が過ぎている。
軽く修繕して誤魔化してはいたけど、今回本格的な修理。

エルピスさんの細胞や遺伝子を扱う時に、予めエルピスさんに許可いただき(という事にしてくだされば)、調べて分かった事がある。
エルピスさんが生まれた経緯は人と異なるものだが、その細胞や遺伝子は紛れもなく人間のもの。
《英雄継承プロジェクト》の“成果物”は、完全に人間である事を継いで、再現しているわけである。

「ふふ。エルピスさんは、ちゃんと“人間”でございますね。細胞や遺伝子も、そう示しています」

そうしてエルピスさんに、公共施設用の義肢を装着。
エルピスさんの本来の義肢は、メカニカル・サイキッカーにより検査用の機械の台に置かれた。

「さすがに、腕が一本なくなった違和感はどうにもなりませんね。しかし、ちゃんと義肢を自由に動かせるようでよかったです」

にこっ、と笑みを浮かべてみせる。

「旅行などで公共施設の場所に行く時はその義手をつければ大丈夫です。メンテナンス中は本来の義肢が使えませんので、今の内にその義肢を慣らしておくのもいいでしょう」

イーリスはエルピスさんを素敵な殿方だと見つつも、可愛らしい少女のような少年だと思っている。
それでも肩を見れば、男の子らしくがっしりとしている。
そしてエルピスさんには、道具を握ってきた痕が残っている。

エルピス・シズメさんは、故エルピスさんからあらゆるものを継いだ……。
故エルピスさんは、とても苦労したのかな、と想像してしまう。

「『故エルピス』さんの《感情魔力混合炉》の修理も無事に終えましたよ。それと、私の体内からあなたの《感情魔力混合炉》も取り出しています」

そうしてイーリスは大きめの引き出しから機械の籠を取り出す。そこに、二つ(・・)の《感情魔力混合炉》が安置されていた。

「片方は、エルピスさんの義脚につけるとして、もう片方はどうしましょうか?」

小首を捻り。

エルピス・シズメ >   
「イーリスと出会えて、幸せな日常を取り戻せたんだ。
 幸せの証だと思ってるけど、直すものは直さないとね。」

 本心から照れ混じりに伝える彼の顔は、凄く幸福そう。

 メンテナンスや義肢の作製にあたり、様々な許可を出している。
 彼自身からお願いした側面もあるかもしれない。
 
「良かった……。」

 少なくとも、死ななければ自分は人間として生きられる。
 義肢や炉も含め(機械も再現され)完全な人間として再現されている(沈目のルーツが無い)理由は今は考えない。

 それはまた別の話と、意識を切り替える。

「そうだね。この腕と足で少し慣らしておく。
 学園の演習場がリニューアルしたみたいだから、そこにしようかな。」

 『ミメーシス・レンダラー』によるARを介した現実の模倣。
『記憶』に基づいたシミュレートを行う装置、『ムネーモシュネー・システム』

 興味深い施設が追加された記憶がある。
 折角だし利用してみるのも良いかな、と、興味を示す。

「ひとまず、本館の旧地下室に安置しておこうと思う。
 あの場所なら安全だし、安置するには丁度良い場所だから。」

 墓に入れる訳には行かないし、いずれ使う時が来る可能性もある。
 それでも必要のない間は、故エルピスの事務所の名残が強く残る本館の旧地下室に安置しようと提案した。

Dr.イーリス > 「幸せの証とまで仰ってくださり、とても嬉しいです」

満面の笑みをエルピスさんに向けた。
その笑みはエルピスさんと同じく、とても幸せそうなものだった。

だが、エルピスさんがこれ程までに『故エルピス』さんを継いで再現しているその理由。
“成果物”の製造法。そのあまりに残虐な“真実”をイーリスはエルピスさんに未だ伝えずにいる……。
伝えられない、というのはそうなのだが、ずっと伝えない方がいいという判断だ。
真実を伝えて……エルピスさんにショックを与える必要はない……。
もう《英雄継承プロジェクト》は終わったのだ。そして、リビド先生がいる間、きっと《英雄継承プロジェクト》の主任さんはエルピスさんにそう簡単には手出しできない。

「点検及び修理のため、エルピスさんの義肢は数日お預かりさせていただきますね。リニューアルした演習場は、その義肢を慣らすのにぴったりですね」

笑みを浮かべながら首を縦に振る。

「分かりました。では、片方は義脚につけておきますが、もう片方はエルピスさんにお渡ししておきますね」

《感情魔力混合炉》の片方を機械の籠から取り出して、エルピスさんに差し出す。

「それともう一つ、赫さんの分の《イリデッセント・リング⦆、彼に渡しておいてくださいませんか。エルピスさん、まだあまり赫さんとお話する機会に恵まれていないように思います。この《イリデッセント・リング⦆を渡すのをお話するきっかけにしてみてください。ナナさんの《イリデッセント・リング⦆は私から渡しておきますね」

笑みを浮かべて、赫さんの分の《イリデッセント・リング⦆もエルピスさんに差し出した。

「そういえば、ですね。私、昨日知り合いのギフターさんにお会いしていたのですよ。落第街の公園でちょっとピクニックしておりました」

落第街の公園なので全く手入れされず、昼間でも暗い印象の公園であった。

「件の騒動が起きる前から白と黒の仮面をつけていた方ですね。今回のギフト騒動の風評被害者ですよ……お可哀想に。『信頼における方に、その事を伝えたほうがいい』となんだか不思議な事を仰っておりましたので、エルピスさんに伝えました。知り合いと出会った事なので雑談で話題に出すぐらいはしていたかもしれませんが、わざわざ伝えておいた方がいいだなんて、不思議ですよね」

イーリスはとても不思議そうな表情をしていた。

エルピス・シズメ >  
 故エルピスもまた、何かを察して聞かずにいる。
 記憶にも丁寧に蓋をして、思い出さないようにしている。

 それだけのものを作るだけのものがいる。
 アミノ酸一滴で出来るものなら良かったのだろうが、

 残念ながらそうではなく、むしろ逆とも言える(一の為に全てを使う)。

「うん。僕の腕と脚、宜しくね。
 ……この身体でも炉が使えるのは嬉しいね。加減も覚えなきゃ。」
  
 幸いな事に、この義足でも感情魔力混合炉は使えるらしい。
 接続機構も再現してくれたイーリスに感謝して、調整に気を向ける。
 炉の鼓動を意識して、呼吸を整える。
 
「了解。赫さんにもタイミングを見計らって渡しておくね。
 慣れるまで時間が要ると思ったから、旅行から帰った後で話をしようと思うんだけど……。」
 
 イーリスやナナとの面識があると判断し、顔なじみを通して地味書に慣れたあたりで話をする予定だと伝える。
 エルピスなりに距離感と計って気を遣ってるらしい。

 
 その後に伝えられた事実には、流石の彼もなんか変と察したらしい。
 日常の中で狼や魔物の変化に気付かないような、察しの悪いエルピスはいない。

「何と言うか、よくギフターさんと接触が取れたと言うか……。
 ……そうだね。気を付けるに越したことはないのかも。」

 とは言え出来ることは少ないし、純粋なイーリスに伝えても出来る事は少ない。
 以前から交流があるらしき素振りと、イーリスに伝言を残し無傷で返した事も考慮に値する。

(信頼を得る準備?何かを唆した? 困惑や善意ならいいのだけど。)
(時間を掛けて信頼を作っているのか、予想の外なのかが判断が出来ない。)

 現状、意図も動機も分からない。
 『白黒の仮面』の集団も、仮面一つ一つに統一性が無かった。
 各々が自分で作って持ち寄って付けている。そんな印象だ。

(少なくとも力を与えるだけじゃコミュニティは起きない。)
(……イーリスの行動は縛りたくないけど……)

 警戒を促した辺り、"なにかしでかしそうだ"とだけ勘を働かせた。
 
「ちょっとだけ気になることはあるけど、それは後で調べてみるよ。
 信頼出来る誰かに伝えてってことは困ってるのかもしれないね。」


「そうだね。次に何かお願いされたら僕にも教えて欲しいな。
 ギフターさんも困ってることがあるなら、僕でも手伝えるかもしれないしね。」

 状況が読めず、信頼できるものへの言伝も踏まえて静観することにする。 
 現状の認識では、想定外の状況を均すために探りを入れている様に思えた。
 懸念としては、『利用方法を思いついたり、気が変わる』こと。
 
 そのサインだけは読める様にと、それとなく次に何かあれば話す様に伝えた。
 

Dr.イーリス > 「お任せくださいね。それと、今装着している義肢にも《感情魔力混合炉》を装着できます。その義肢とそれと《試作型感情エネルギー砲0.8α》も合わせて詳しいご説明をメールで送りますね。えいっ!」

そうして数日後に、修理した義肢はまるで造りたてホヤホヤだと思えるぐらいの状態になってエルピスさんの元に返ってくるのだった。
そして例の如く、イーリスが指ぱっちんしたのを合図に、体内コンピューターがエルピスさんにメールを送るのだった。

「ありがとうございます。それでは赫さんに、お願いしますね」

そうして、赫さんの分の《イリデッセント・リング⦆はエルピスさんに任せた。


「ギフターさんはギフト騒動が起きた以前からの知り合いでして、《月輪の王》を倒すために、私の成長を促す協力をしていただいたりもしていたのですよ」

微笑みながら、ギフターさんのお話をする。そこに、ギフターさんを疑う素振りは一切ない。
ギフターさんから『信頼できる人に話した方がいい』と忠告されたので言われた通りにした。
ギフターさん曰く、それがイーリスのためになるらしい。

「気になるところ……でございますか? な、何が起きているのでしょう……!? ギフターさんとエルピスさんが知り得る事で、私の知らない何かが起きているのでしょうか……!? ギフターさんが困っているのであれば、なんとかしてあげたいです……」

イーリスには気づかない、だけどイーリスが信頼するエルピスさんには伝わる何らかのメッセージをギフターさんが送った。
そのメッセージはイーリスには分からないけれど、イーリスはそう解釈した。

「わ、分かりました。いえ、よく分かってませんが……ギフターさんからなされたお願い、エルピスさんに伝える事にしますね。エルピスさんも手伝っていただけるなら、とても心強いです!」

ギフターさんからのお願いをエルピスさんに伝えるように、とイーリスは頷く。
エルピスさんの頼みを聞きたいというのはもちろんの事、もしギフターさんがエルピスさんにメッセージを送っているのだとすれば、ギフターさんの願いをエルピスさんに伝えるのはとても大事な事になるのだろう、とイーリスは考えた。
もしギフターさんが困っているなら、エルピスさんも手伝ってくださると聞いてイーリスは明るく微笑んだ。

エルピス・シズメ >  

(動作に合図を仕込んでるのかな。ちょっとかっこいいかも……)

 指を弾くだけで送信が出来る素振りに、少しだけカッコよさを感じたらしい。
 
 メールを受信して、義肢と《試作型感情エネルギー砲0.8α》の詳細を受け取る。
 先の武器と合わせると結構な文章量になるため、後で熟読しようと判断。

「成長を促す……。」

 疑っている人間からすれば怪しい根拠そのもの。
 ただ、促すと与えるでは大分違う。
 信頼しているイーリスにとってはそれも紐づけない材料になるのだろうか。

(なんか、しげさんやアビスちゃんの正体を気付けない僕もこんな感じだったのかな……)

 彼女らと比較するのもどうかと思いながらも、こんな感じだったのかなと内心で苦笑い。

「僕はちょっと散歩してこようかな。
 旅行までにこの義肢に慣れておきたいし、いきなり演習場で動く訳にもいかないからね。」

「ただ……そのまえに、」

 ゆっくりと席を立つ。
 そのままちょっとだけ悩んだ素振りを見せたかと思えば、イーリスを見つめて。 

「この普通な腕で……はぐ、してもいい?」
 
 今までは機械の腕での抱擁だった。
 この生身に見える腕で抱擁してみたいと、恥じらい交じりに、遠慮がちに伝えて、求めた。
  

Dr.イーリス > 《月輪の王》を倒したいと願うイーリスのために、成長を促す試練を与えてくれて、さらに色々とご教授していただけた。お陰で《月輪の王》も倒せた! ギフターさん、とても良い人!
というイーリスの今のギフターさんへの印象。

「それがいいですね。ただ、慣れない義肢で落第街を出歩く事になりますので、気を付けてください。念のため護衛つけましょう。キメちゃん、エルピスさんを護衛するのです」

丸くなっていたキメラ型メカのキメちゃんが立ち上がる。その時にキメちゃんの背中で丸くなっていたミケちゃんが床に落っこちて「にゃあ~!」とキメちゃんに怒るように鳴いていた。

はぐ。
頬を淡く染めながら、エルピスさんに頷いた。
そして、イーリスは目を細めて柔らかく微笑みながら両手を広げて受け入れ態勢。

「エルピスさん……私を……抱いてください……」

その義肢は、エルピスさんの細胞や遺伝子よりつくられた肌がある。エルピスさんにしか馴染まない、エルピスさんの体の一部になるように造られた腕。
血も普通に通っていたりするので、腕が切れれば血が出るし痛かったりもする。それも、義肢がエルピスさんに同調している結果。

リビド先生が造ったエルピスさんの義肢は、効率的で実用性重視だった。イーリスの造ったその義肢はリビド先生程効率的、実用的ではないのかもしれない。それでも、人の腕である事が再現されている。

その義肢の肌で触れたものは、エルピスさんは自身の手足のように感じる事ができる。

エルピス・シズメ >  
「うん。……ゆっくりと抱きしめるね。」

 抱擁の姿勢を見る。
 抱きしめさせてくれる。その事実をゆっくり噛み締めながら、身を寄せる。
 
 優しく腕を回し、肌のある両腕で抱きしめる。
 両腕に皮膚がある。芯は機械でも血と肉がある。
 
 両腕から伝わる感覚に幸福を感じながら、感情のままに口を開く。

「無事にメンテナンスして貰えて、日常に戻ってこれてよかった。
 ……とっても大好きだし、愛してる。イーリス。」

 抱きしめる力を少し強めて近づき、耳元で優しく囁いた。
 

Dr.イーリス > ぎゅっ……。イーリスもエルピスさんの背中に両腕を回す。
四肢全てに感覚がある状態のエルピスさんと初めて抱きしめ合った、

エルピスさんの温もりがイーリスをぽかぽかと幸せな気分にさせてくれる)

(エルピスさん、全身で私の事……感じてくだっているでしょうか……。エルピスさん……すき……)

耳元でエルピスさんに囁いていただいて、ドキっ、と心臓の鼓動が高鳴りイーリスは耳まで赤くしてしまう。
この心臓の高鳴りが肌を通じて、エルピスさんに伝わっているかもしれない。

「……エルピスさん…………私……幸せです……。あなたの事……凄く愛してます……お慕いしてます……」

イーリスの心臓近く、《パンドラ・コアMk-Ⅱ》が桃色に輝くと共に、エルピスさんを愛する気持ちがエネルギーに変わる。そのイーリスの愛情が多分に込められたエネルギーは、継ぐ力をお借りして、先程エルピスさんに返却して装着された《感情魔術混合炉》へと流れ込んでいく。

エルピス・シズメ >  暖かな鼓動。
 身体から伝わる温もりは、二人が生きていることの証。

 暖かさから幸福を、幸福から安らぎを覚え、微睡むように目を細める。

(……こうしてると、全身でイーリスがいるって感じられる。)
(とても幸せで、大好き。)

 耳まで赤くなったイーリスに幸せを感じながらも、自分の行動を振り返ってエルピスも赤くなる。
 考えよりも気持ちが先に来て、囁いていた。

 イーリスの胸の輝きを認める。
 その輝きはどこかとても幸せになる色をしていて、自分の中に入ってくる。
 
 炉を伝わり、エネルギーの交流から感情を受け取る。
 熱いほどに幸せで、蕩けそうな幸福感。

「すき……ほんとうに、ありがとう。いーりす。」
 
 控えめに、エルピスがイーリスと顔を至近に寄せる。
 拒むことがなければ、彼から彼女へ、口づけをしようと。
  

Dr.イーリス > 体がふわっと浮かび上がりそうな程、エルピスさんの抱擁が心地良い。
わがままであっても、もう少し長く、エルピスさんを肌で感じていたい。

イーリスの心臓近くの桃色の輝きが、エルピスさんへとどんどん流れ込んでいく。
イーリスの、エルピスさんが大好きと想う気持ちが、エルピスさんへと送り込まれていく。
その感覚も、とても幸福に感じられた。

「エル……ピス……さん……きて…………」

潤んだ瞳でエルピスさんを見上げて、両腕をエルピスさんの首に回し、身長差を背伸びで埋める。そうして、エルピスさんとイーリスは、幸せな口付けを交わした。
エルピスさんの温かくて優しい唇を、イーリスは自身の唇でいっぱい感じた。

(エルピスさん……すき……。すき……。すき……)

心臓近くの《パンドラ・コアMk-Ⅱ》の輝きが先程よりも増しで、膨大な量の愛情、それによるエネルギーがエルピスさんへと流れ込んでいく。

《パンドラ・コアMk-Ⅱ》は、《感情魔力混合炉》をヒントに開発されたもの。イーリスのエルピスさんを想う気持ちをエネルギーに変えて、エルピスさんの継ぐ力により、エルピスさんに注がれていく。

エルピス・シズメ >  
 甘く優しく唇を重ね合う。
 背伸びしてくれたイーリスの姿勢を幸せそうに認めて、
 彼女の背伸びを無為にしないようほんの少しだけ首と膝を曲げて調整する。
 
 優しく柔らかい心音の音と彼の熱も、巡り巡ってイーリスに届く。

 《パンドラ・コアMk-Ⅱ》とイーリスの愛による、膨大な量の愛情とエネルギー。
 継ぐ力によって注がれる大量の愛情とエネルギーをたくさん受け取る。

 いっぱい受け取って、沢山の幸福と力で満たされたエルピスは、とても幸せそう。

「しあわせすぎてたおれそう……」

 エネルギーと愛。
 どちらもいっぱいになった彼は、頭が回らずとてもふわふわ。
 膨らんだケセランパセランのような足取りでゆっくり離れて、何とか椅子に着地しました。
  

Dr.イーリス > いっぱい愛情がエルピスさんに注がれていく。
エルピスさんの心音を感じると、その優しさには温かく包み込まれる感覚になる。
エルピスさんの熱は、イーリスをぽかぽかと心地いい気分にしてくれる。

(……エルピスさん…………愛してます……。とても……愛してます……)

ぎゅっとエルピスさんを抱きしめ、唇を重ね合わせ。
そうしていると、エルピスさんがふわふわっとなってしまい、ゆっくり椅子に座った。
エルピスさんがイーリスから離れた事で、彼へと流れ込んでいく膨大な愛情とエネルギーが途切れる。

「……エルピスさん……! だ、大丈夫でございますか……!? ご、ごめんなさい……! わ、私……エルピスさんに無理させすぎたのかもしれません……!」

頬を赤らめながら慌てふためくイーリス。

エルピス・シズメ >  
 たくさんの愛情と力。
 これだけあれば太陽すら作れそう。
 そんな感覚で、気分が高揚する。

 途切れてしまうと、座ったまま上目遣いでイーリスを見つめる。
 名残惜しそうに見つめながらも、幸せの中で包まれた頭から言葉を作る。

「ううん。これだけいっぱいのイーリスの気持ちがあったら、無理なことなんてないかも……」
「愛してる。ずっと愛し続ける。……えへへ。」

 嬉しさと幸せの言葉が先に出た。
 受け取った一杯の気持ちを言葉に変えて吐き出して、満面の笑みを向ける。

「でもちょっと、眠くなってきたかも……一緒にのんびり、お昼寝する?」

 幸せな気持ちが眠気を誘う。これまでのことが改めて報われたような、満足感と幸福感。
 
 隣の医務室にはきっとベッドがあるだろうし、一人で寝てしまうのも何だか寂しい。
  
 そんな気持ちで、のんびりお昼寝しようと誘ってみた。

Dr.イーリス > 上目遣いのエルピスさんがとても愛らしく感じられて、イーリスの未だ膨れ上がったままのエルピスさんへの愛がまた膨れ上がりそうになる。
そんな瞳をされてしまったら、また抱きしめたくなってしまう。

「エルピスさん……私も、あなたの事……いっぱい愛してます」

幸せな気持ちと愛情いっぱいで満面の笑みをエルピスさんに向けた。

「ふふ、名案です。ご一緒にひと眠りしましょう。私、徹夜でしたので眠たいですからね」

あくびをする。
また徹夜で発明や研究に更けていたご様子。
座っているエルピスさんの左手を握り、ベッドまで走って向かっていく。

そうして二人で向かい合って寝転んだ。

「手を……握っていてほしいです」

エルピスさんと恋人繋ぎをして、そして幸せな夢の中へと入っていくのだった。

エルピス・シズメ >   
「うん……手をつないで、おやすみしよう。」

 ベッドに横になってから、イーリスと恋人繋ぎで手をつなぐ。
 そのまま幸せな気持ちで 夢を見ることが滅多にない彼もまた、幸福な夢の中へと入っていった。
 

ご案内:「『数ある事務所』」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「『数ある事務所』」からDr.イーリスさんが去りました。