2024/09/20 のログ
ご案内:「『数ある事務所』」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「『数ある事務所』」にマリアさんが現れました。
ご案内:「『数ある事務所』」にエルピス・シズメさんが現れました。
Dr.イーリス > 時間軸は遡り、エルピスさんと赫さん、イーリスの三人でマリアさんと戦い、彼女を保護して次の日。
いや、保護というより捕縛の方が正しいという状況だろうか。
なにせマリアさんは今、『数ある事務所』の地下二階、防災倉庫に閉じ込められている。

マリアさんが閉じ込められている防災倉庫の扉を挟んで、扉の前にイーリスはパイプ椅子を用意して、座っていた。
閉じ込めておかなければいけない状況である以上、責任をもってずっとマリアさんの傍にいた。
いや、さすがに少し離れていた時間もあるにはあったが。

「……マリアさん、そろそろお話できるようになりましたか?」

小首を傾げる。
マリアさんの傍にいながら、イーリスもちょっと作業。イーリスの手前、虚空に表示されるモニターを高速でタップして、メカのシステムを構築していた。

マリア > 「何度聞いても不愉快な声ですね、ブリキ女。」

忌々し気にそちらを睨む
倉庫の中、犯した罪に比べれば格別の待遇だが本人はそう思ってはいない
今も目の前にいる少女の事を蔑称で呼ぶ

「私の処刑日は決まりましたか?
ここがどこだか知りませんが、うだうだと戯言を吐く気は有りません。

殺すならさっさと殺せ、地獄でお前が来るのを楽しみにしていますよ。」

口を開けばこれである
マリアが目覚めてからは彼女にとって忍耐の時間が殆どだったかもしれない

エルピス・シズメ >  
「二人とも、おやつ持ってきたよ。
 ……何か食べないと、身体に悪いよ。甘い飲み物とおかし。」

 お盆の上に、三人分のカップアイスとスプーン。そして甘い炭酸飲料を持参する少女のような少年。
 暖かいものや冷たいもの、甘いものから塩気のあるもの。あの手この手でマリアの食事を誘っている。

「……改めて確認するよ。キミの名前はマリアは本名?
 それと、話に聞いている人格とキミの様子は違うものに思える。
 あのノリノリで可愛い魔法少女は、キミの意志でやったもので良い?」

 つきっきりの二人を見て、複雑な心境を改めて抱く(拳の下ろし先と嫉妬心)
 内心渦巻くものはぐっと飲み込んで、事実確認を進める。

 心神喪失と、ギフターによる洗脳状況にあった記録を取ることを狙ったもの。
 イーリスの意志(不殺)に従い、己を律して(心を抑えて)必要な情報を引き出そうとしている。

Dr.イーリス > 扉の向こうのマリアさんは、相変わらず悪態をついている。

「命乞いみたいな事はしないのですね、そこは立派です。あなたの処刑日に関しては未定ですね」

そもそも処刑も何も決まってないしやる気もないけど、考えなしにあまい事も口にするべきではないと、あえてそう返した。
エルピスさんがカップアイスと炭酸飲料を持ってきてくだされば、微笑んでみせる。
三人で食べる、という事でモニターを閉じてパイプ椅子から立ち上がり、防災倉庫の扉を開けた。

「ありがとうございます、エルピスさん」

そうして、エルピスさんがマリアさんに話しかけている様子を眺めていた。

マリア > 「今はマリア、人格なんて思春期迎えたらコロコロ変わるものでしょう。
可愛い魔法少女って…随分ときもい趣味をお持ちですね。」

ノリノリの可愛い魔法少女と言われれば、まぁ思い浮かぶ事は有る
ただ、それも今となってはどうでもいい

「要りませんよそんな物。それよりこっちには来ないでもらえます?
鉄くさいブリキ女が近くに居ると吐きそうなので。」

敵意剥き出しでそう言い放つ
少なくとも、保護されてから水を含め何も口にしていないがマリア本人は平気な顔をしている
強がりどうこうというよりも恐らく原因は体の中のアレ

エルピス・シズメ >  
(明言はしない。YESかNOは使わない。)
(今はと言っているけれど、次の言葉は否定にも取れなくない。)

(けど、ちょっと難しいな。……骨が折れそう。)

 久しぶりの明確な皮肉や侮蔑に心は痛むが、流す。
 イーリスが、いるからどうにか保っていられる。 
 
 問題は証言の引き出しと対処。
 徹底的に口を閉ざしているので、手に余る。

 その道のプロならば(弁護士や検察)、まだ穏当な方法で引き出せるのだろう。
 だが、エルピスは人の心に熟知していれど、その道のプロではない。
 エルピスのものは、また別のアプロ―チ。

(やさしくしなければ、まだ手はあるけれど……。)

 そして、それは、できない

「イーリスだけでも飲んで。
 とりあえず、一緒に入って中で聞こう。」
  

Dr.イーリス > ちなみに、イーリスはマリアさんにナノマシンを注入した際に、彼女の能力及びギフトについて解析していた。
解析から得た情報を元に、ギフトを弱らせるジャミングを発するアンテナを防災倉庫の前に設置しており、それによりマリアさんは力を大きく削ぎ落されて、抵抗できないわけである。

「コロコロ変わり過ぎでしょう」

洗脳されていたからというのは分かるけれど、記憶を整合性としてそれなりに無理な洗脳を施されてはいるのだろうか。

「いただきますね」

防災倉庫の中に入ってから、微笑みながらカップアイスとスプーンを手に取り、美味しそうに食べている。

今のマリアさんに、イーリスから話す事は、今は何もなかった。
というより、マリアさんがこのような態度なので会話がまともに成立するとはあまり思っていなかった。

お話できるように待ったというよりは、単に医療ラボでメカニカル・サイキッカーがバトン摘出手術の準備をしているので、それを待っていただけだ。
今は、イーリスから余計な事を話さないように徹している。マリアさんに対しても、どこか素っ気ない態度。

マリア > 「そういうものでしょう、知りませんけど。」

どうでもいい
心の底からそう感じている
このまま大量殺人犯として処刑されるのだから気にする必要もない

いっその事、今すぐこの身体が爆弾にでもなってこいつ諸共吹き飛べばいいのに

「……っ!」

下らない妄想は痛みと吐き気に遮られる
感じた事の無い異物感、それは段々と胸の内から溢れる様に喉から口へ

最後はどす黒い粘性の液体を吐き出すに至る

エルピス・シズメ >  

「ひとまず、希死念慮……重度のストレス……
 薬物依存……知能障害はなくて……事後情報による誤情……」

 などとメモを取ろうとした所で、異変に気付いてイーリスを庇う位置に躍り出る。
 イーリスがどす黒い粘性に迂闊に触れないようにと、小さき身体で懸命に庇う。

 暢気に分析しているどころではない。

「イーリス、けいかいして。
 ……扉、もしめておこう。」

Dr.イーリス > 「マリアさん……!!」

黒い液体を吐き出す様子には、マリアさんを心配して名前を叫んだ。
同時に、黒い液体に警戒心を強める。

「は、はい……! そうですね……! マリアさん、ごめんなさい……」

エルピスさんに頷く。
マリアさんの事が心配だけど、エルピスさんの安全を考える。
庇ってくださったエルピスさんの手を引いて防災倉庫の外へ。
扉を閉め、厳重にロック。

「……マリアさん…………」

虚空にモニターを表示。
モニターには、防災倉庫内に設置された監視カメラの映像が映し出されている。
心配げに、モニターの映像を眺める。

マリア > 「なにっ、これ…?」

自身が吐き出した黒い物体を見て困惑する
人体からこんなタールじみた物が出てくる事はない
遂に文字通り化け物にでもなったか…

マリアはそのまま意識を手放す
目の前の光景のショックでも痛みによる失神でもない
緩やかに眠りに落ち、地面に倒れそうになる

黒い泥 > 黒い泥はすぐに人型となり眠るマリアを支える
そのまま抱きかかえ、寝具代わりにしていた毛布の上へ

「ふぅむ、矢張り寝顔はとても可愛らしいのである。」

白と黒…もとい今は真っ黒な状態だがあの男の声を発した泥は2人へと振り返る

「ご機嫌よう、美しいレディーとレディーに見えたジェントルマンよ。」

恭しく一礼する

エルピス・シズメ >    
 イーリスに手を引かれ、外に出る。
 
泥の怪人(クレイボディ)……って訳でもなさそうだね。
 そこは紳士って言ってくれても好いと思うんだけど。」

 黒い所から変身し、我が子の様に扱う黒い寝かせるマリアと黒い泥に顔を顰めた。

 泥に触れることはやめておこう。と、判断。
 
「イーリス、記録お願い。
 ……と言うより、此処から先はイーリスに任せた方がいいかな。
 壁にはなるから、臆さないで尋問して、イーリス。」
 

Dr.イーリス > 黒い泥の正体は、マリアさんの体内にあったバトンだろう。
そしてバトンは、ギフターさん。正確には、ギフターさんの分身のようなものだと推測する。

黒い泥を吐き出したマリアさんを助けるよりも、エルピスさんと共に防災倉庫を出る判断をした理由は、黒い泥がバトンであると判断したからだ。
そのバトンがギフターさんの分身だとも推測していて、安易にマリアさんを傷つけるものではないだろうという判断。
エルピスさんに頷き、モニターで黒い泥を確認しながら、扉越しに話しかける。

「ごきげんよう、ギフターさん。どうやら、バトンを摘出する手間が省けたようですね」

摘出手術の必要がなくなったという事で、メカニカル・サイキッカーが地下三階からこの地下二階にエレベーターあがってくる。

「囚われのお姫様を救出しに来ましたか? あまり無理な洗脳をしすぎているせいで、もはやマリアさんが洗脳されているという事が安易に想像できてしまえるようになっていますよ?」

マリアさんは思想を根本的に改変させられているのだ。
凄く分かりやすい洗脳……。
ギフターさんの事だから、考えなしに思想を変えたわけではなく、そうせざるを得ない状況になっていたのだろう。

「私の視点ではどのマリアさんが本当のマリアさんかいまいち分かりません。魔法少女として魔人と戦っているのが元来のマリアさんに近いのか、あるいは私に復讐心を燃やす今の姿が本来のマリアさんなのか……」

マリア > 「紳士と言うには聊か慎重年齢体重が足りない様であるぞ?
私は遊園地のジェットコースターに乗れない状態の男児を紳士とは見なしていないのである!」

ビシッと指を指す
黒一色のせいで動きが見え辛いが、それでも間違いなく動きはギフタ―そのもの

「うむ、イーリス嬢流石の判断力であるな。
可愛らしいマリアに傷をつけない様自力ではい出てきたである。

まぁ、多少の痛みは御愛嬌という事で。」

胃に入る時に傷を塞いだとは言え相当な痛みもあった筈
手術よりはましだと理解願いたい

「救出?おかしな事を。
敗北したマリアを助ける意味も理由も無いのである。
今回は立つ鳥跡を濁さず、その掃除に来ただけである。」

ドロドロとした身体ではいまいちキレが出せない事が不満

「ふむ、ではその辺りから答えていこうか。
先ず第一に、今の現状のマリアは…まぁ混ざりすぎて凄い事になってる状態であるな。
ワイルドな本来のマリア、もとい麻木真子の精神と思考に私の作り上げたマリアの人格がまるで壊れた知恵の輪の如く絡みついている。
よくもまぁここまで酷い状態になったである、やはり人の心とは未知なるものだ!」

エルピス・シズメ >  
 どの人格が主人格なのか。
 洗脳によって過度に弄り回されているのなら、定義のしようがない。

 書類上では麻木 真子としての正常だった頃の痕跡が、正常だった人格と扱われる程度だろう。

 そして、すごく苛立つ。
 軽口や冗句に乗せられた訳ではない。
 至極、単純な理由だ。
 
「ひとの(自我)を……何だと思っているんだ、ギフター。」
 
 言わずには、いられなかった。
 
 

Dr.イーリス > 防災倉庫の前にメカニカル・サイキッカーと、あとついでに量産型アンドロイド《ジャンク・アーミー》四体が武器庫からマシンガン持ってきてぞろぞろ集まっていた。

「エルピスさんの事、分かっていないですね。彼はこんなにも可愛らしいですけど、とても紳士でもありますよ」

凛と、防災倉庫内部の様子が映るモニターを眺める。

「良き判断ですね。体内のバトン摘出手術なので可愛らしいマリアさんのお腹を切る事になってました」

黒い泥を吐き出す苦しさなどは、イーリスには分からないので実際に手術とどちらがマシなのかは想像でしか分からないが……。

「マリアさんはあなたを慕っていたが故に、私に怒りを向けて命まで掛けて挑んできました。それなのに随分と冷たいのですね。なるほど、あなたとは親しくなったと思っていましたが、私に対する感情もそのような冷たいものですか」

ギフターさんの事を尊敬していたし、感謝もしているし、仲良くなったとも思っていた。
少なからず悲しさはあるが、今は気丈に振る舞う。

「掃除……という事は、もう役に立たなくなったマリアさんを処刑しに来たという事ですね」

マリアさんを助けたい……。だが、マリアさんは敵の手にある。
下手に動けない。

「なるほど、察するにあなたのつくりあげたマリアさんの人格が魔法少女マリアさんなわけですね。あなたが無理な洗脳をし続けた結果、少しずつ元来の麻木真子さんの人格と混ざってしまった……といったところですか。麻木真子さんは、攫ってきたのですか? 麻木真子さんは薬に溺れた痕跡が見られますからね。もしスラムで暮らしていた子供だったなら、誘拐も容易でしょう」

スラム育ちのイーリスは十年前の事を思い出していた。
ワイズマンなる悪の科学者に誘拐された事がある。
その時は、正義のロボットさんが助けてくださって事なきを得た。
ふと、その正義のロボットさんの正体であるエルピスさんを一瞥する。

マリア > 黒い泥 >
泥まみれの身体ではマリアにあまり触れたくない
汚れたりはしないが気分的に嫌なのだ
なので眠る彼女の髪に触れるのはぐっと堪え…

「何だと思っていると言われれば…まぁ特に何も思ってはいないである。
科学的に言えばタンパク質の塊における電気信号の羅列による産物。
神秘的に言えば魂の持つ輝きであろうか?

まぁどちらにせよそこに細かい思い入れは無いであるな!」

さも当然の様に語った

「冷たいとは心外であるな、あの手この手でマリアを調整し窮地も幾何が救ったのは何を隠そう私である。
が、恐らくこれ以上マリアから学ぶことも何も無かろうと奇麗に掃除をしに来たんである。

イーリス嬢の事もマリアと同じく親愛を感じているである。その辺りは誤解なきよう。」

この気持ちに嘘はない
マリアと同じくイーリス嬢もギフターにとっては大切な存在
だから2人が殺し合う際には涙なしには見ていられなかった、後飲み物とポップコーンも

「物騒すぎる発言に顎が外れそうである。
マリアを殺す気なら手っ取り早く体内から弾けているであろうに。

麻木真子は落第街に彼女からやってきたのだよ、常世学園の生徒名簿にも退学か何かで名前ぐらいは残っているのではないであるか?
誘拐どころか瀕死の彼女をここまで元気に調整したのは私である。」

エルピス・シズメ >   
「人間の心をその辺の消しゴムみたいに見ていることは分かったよ。」

 ある種、諦めたように言い捨てる。
 そうとでも思わなければやっていられないのも、ある。

 たとえそう言う手合いであり、聞き飽きる程類似したものを聞いていても、
 無視できない言葉と言うものは、ある。

「そんな口で、イーリスを親愛していると言われると……僕でも、怒りたくなる。
 電機信号としてはそうだとしても、マリアとイーリスへの感情を悪平等に扱うのは……
 ……僕の大事なものが穢された気分になる。」

 扉越しに、そう口にするだろう。
 

Dr.イーリス > 「科学を語るには模範解答すぎるでしょう。今どき流行りませんよ、そのような答え」

あくまで、イーリスの中では流行ってないというだけだが。

「人間、案外そんなに単純なものでもないですからね。人の自我や感情、心、クオリアなど、もっと深く知れば、未知のものが見えてくるものです。科学者ではないあなたに語ってもあまり意味がないかもしれませんが」

エルピスさんに、目を細めて眺めながら、そう口にする。

「親愛を感じてくださっていると仰ってくださるならよかったです。私も、今でもあなたとは出来る事なら親しくありたいと思っていますからね。窮地を救ったという事に嘘偽りはないのでしょう。天空での戦いでも、あなたはマリアさんを救出しましたからね」

エルピスさんの怒声、その意をあまり汲めなていない発言になってしまっている事には申し訳なさを感じて視線を落としたりもする。
同人、怒ってくださることにはとても嬉しくも感じている。

「た、確かにそうですね。凄く正論です」

とても安堵。
ギフターさんの言う通り、処刑するなら体内から行う方が断然効率が良い。

イーリスはギフターさんを映すモニターとは別にモニターを開き、高速のタイピングの後に風紀委員のデータベースの退学生徒び名簿を開く。

「あなたの言う通りですね。麻木真子さんは退学しています。17歳……。あなた、麻木真子さんの肉体も随分と弄ってしまっているようですね。なるほど、麻木真子さんは退学になり、薬で精神が崩壊していたところ、あなたが保護したといったところですか」

黒い泥 > 「ふむ、消しゴムとは良い得て妙であるな。
私が親愛を感じている事で君に起こられても困るであるな。
悪平等とは異な事を、私はマリアもイーリス嬢にも親愛、もとい愛を持っているのである。

よく知りもしない他人の思惑感情にまで一喜一憂していては無駄に疲弊するだけであるぞ?」「ふむ、消しゴムとは良い得て妙であるな。
私が親愛を感じている事で君に起こられても困るであるな。
悪平等とは異な事を、私はマリアもイーリス嬢にも親愛、もとい愛を持っているのである。

よく知りもしない他人の思惑感情にまで一喜一憂していては無駄に疲弊するだけであるぞ?」

腰から上半身にかけて傾く
気苦労の多そうな少年だと憐みの視線を送る

「どうであろうなぁ。
所詮割ってみればただの肉の塊と言うのが最近の私のお気に入りであるな。
無知な一般人の限界と言うものである。

うむ、そこまで分かるのであれば後は気にする事は何も無いであるな。
全ては私ギフタ―のもたらした人災である、こういう筋書きが一番好都合であろう?」

話しが早くて助かるとべたべた拍手を送る

「全ては哀れな少女が怪人により変貌させられた痛ましい事件、さぁみな石を投げるのならギフタ―だ。
そう着地させれば皆ハッピーに終わるである。」

ニンマリと泥の口元は笑みを浮かべる

エルピス・シズメ >  
イーリスが視線を落としたと見て、押し黙る

「……」

 この時のエルピスでは、これ以上は何も言えない。
 イーリスが肯定した以上、愛に徹する以上はエルピスはイーリスの意を汲む。
 自覚はあれど、その軛が完全に外れるのは……もう少し後の事。
 
 とは言え、具合は好くない。
 この時には、イーリスへ向けるものは愛だけじゃ収まらなくなっている。
 それでもまだ、わがままは、通せない。

 彼には、石を投げる先も、拳を振り下ろす先も、どこにもない

 ギフターがどんなに神経を逆なですることを言おうが、
 自身を愚弄しようが、イーリスの意にそぐわぬものは見せられない
 
 反論すら、できるものではない。
 ただただ、黙るしかない。
  
 

Dr.イーリス > 「気にする事はありません、エルピスさん。私の事で怒ってくださるのはとても嬉しく思います。私の意を汲んでくださっているのですよね、ありがとうございます」

エルピスさんの手を握りしめて、笑みを向けた。

「私の意を汲んでくださるのでしたら、この扉を開けていつでも黒き泥……ギフターさんに殴りかかってくださっても構いませんよ。私が援護します。私もギフターさんに怒りを覚えないわけでもありませんし、あなたが想いを押しとどめて苦しむ事なんて望んでいません」

扉を隔てている。エルピスさんへの言葉は、ギフターさんには聞こえない音量で口にした。
冷静にギフターさんと会話しているが、ギフターさんがマリアさんに行った行為は外道だ。
怒りを覚えないわけがない。
今この場に、メカニカル・サイキッカーと《ジャンク・アーミー》が四体いる。援護の準備は整っていた。


そしてギフターさんの会話に戻る。

「一般人というより、サイコパス的な発想が混じってそうではございませんか。そんな事考える一般人、多分そうそういないでしょう」

ギフターさんの拍手をイーリスは冷めた表情で聞いている。

「賞賛、どうもありがとうございます。今、あなたに石を投げてもみんなハッピーになるかは分からないではないですか。まだ、目覚めたマリアさんがどのような状態になっているか聞いておりませんよ」

洗脳が解けているのか否か。
あるいは、また別の狂気に目覚めているのか。

黒い泥 > 「…恋人らしきと思ったが、これではペットと飼い主であるな。
よく噛みつく気性の癖に飼い主の顔色を窺う様はよくよく躾けられた猛犬と言った所か。」

押し黙る様を見ればつまらない、と肩をすくめる
これ見よがしにため息もつけて

「恐ろしい事を言うであるなぁ。
この身体は超常の力も無ければ簡単な手品ができる愚鈍な身、殴られなんてしたら簡単に砕けてしまうである。」

嘘か真実か
ただこの身体がギフタ―と同じ力を行使できるかと問われれば、明確にNOである

「ふむ、痛い所を突いてくるであるなぁイーリス嬢。
その視線も合わせてゾクゾクとした感覚のお礼にお答えしよう。

はっきり言えばマリアは眠る前と変わらないである。
多少私が代行していた魔術制御が疎かになり魔力総量も目減りする。
人格記憶に関してはもうこれはどうしようも無いであるな、混ざりすぎて私でも手の施しようが無いである。」