2024/09/25 のログ
ご案内:「Free5 第二方舟」に焔城鳴火さんが現れました。
焔城鳴火 > 【9/25 9:50】【適合値:0%】【浸食率:0】【エントランス~】

 喫茶スペースで、鳴火は椅子に凭れかかり、無駄に高く明るい天井を仰いでいた。
 ロビーでスタッフを捕まえた時は怪訝にされたモノの、上位研究者に繋がせたときの狼狽っぷりには申し訳なさすらあった。
 
(それだけ、私の名前はまだ、アークにとっては価値があるって事か)

 焔城鳴火――かつて【第一方舟】(ファーストアーク)と呼ばれる施設で、非公式に最期の実験を受けた被験者だ。
 まあその結果こそ惨憺たるものではあったのだが。
 だからと言え、無視できるものではないのだろう。

「――しっかし、待たせてくれるわね。
 責任者に会わせろって言っただけなんだけど」

 そう面倒くさそうに鳴火がため息を吐いた直後だった。
 

焔城鳴火 > 【9/25 10:00】【適合値:0%】【浸食率:0】

 ――施設内に、警報が鳴り響いた。
 赤い非常灯が灯り、外部と遮断するかのように次々と強固なシャッターが下りる。
 瞬く間に施設内は非常灯の灯りに照らされる。

「――そこのアンタ」

『えっ、な、なに――』

 鳴火は赤い光が灯る中、最も近くにいた白衣の女性を捕まえて、瞬く間に組み伏せる。

「悪いわね」

 その腕からリストバンドを抜き取ると、速やかに解放するが――

『――繧?□縲√↑縺ォ縲√o縺溘@縺後¥縺壹l縲√※!?』

 その女性は直ぐに、奇妙な音を発しながら、崩れ落ちていく。
 その後には、黒い水が白衣の色を染めているだけだった。

「――チッ。
 何が起きたってのよ」

 苛立たし気に、慌てて走り出した男がひっくり返したテーブルを飛び越えながら、真っすぐに研究エリアへのゲートに向かう。
 悲鳴を上げて逃げ出そうとするスタッフたちは、次々と肉体を崩壊させ、黒い水へと変っていった。
 

焔城鳴火 > 【9/25 10:00】【研究エリアへのゲート】

 ゲートの入口は、鳴火が辿り着くとロックを解除するまでもなく開いた。
 中から数名の研究者らが飛び出してきたのだ。

「――ッ、邪魔!」

 飛び上がってその頭の上を蹴り飛ばすように足場にしながら、ゲートの中へと飛び込む。

『除菌プロセスを開始します』

 ゲートが閉じると同時に、電子音声でアナウンスがされる。
 ゲートの中は、不思議と黒い液体は見当たらない。
 まるで抜け殻になったかのように衣服だけは散らばっているが。

「星骸――無力化されて消えた?
 いつの間に浸食対策なんか出来てたのよ」

 赤い光にしばらく照らされると、ブザーと共に反対側のゲートが開く。
 鳴火はゲートの開放に身構え――

『た、たすけ――』

 なだれ込んでくる研究員たちを飛び越え、その背中を蹴りながら、研究エリアの通路に飛び出した。
 ゲートの扉付近には、大きな黒い水溜まりが出来ている。
 我先にと逃げ出そうとした人々が殺到した、成れの果てなのだろう。

「バカね――こうなったら、ヤツらが逃がしてくれるわけないじゃない。
 どうせなら原因を叩く方が幾らか、可能性がある、か」

 舌打ちをして、通路を歩く。
 目的は研究室。
 手元にあるリストバンドのクラスはD。
 これでは機密レベルの高い電子ロックは開けられない。

(都合よく、上位の研究員がくたばってると良いんだけど――)

 慌てふためく研究員たちとは逆方向へ、鳴火は進む。
 既視感を覚える光景に、吐き気を覚えながら。
 
【9/25 10:10】【~研究エリア:通路】

ご案内:「Free5 第二方舟」から焔城鳴火さんが去りました。