2024/10/01 のログ
ご案内:「超自我さんのつみきあそび」に『超自我』さんが現れました。
『超自我』 >  
 
 イーリスの《体内超高性能コンピューター・イリジウム》内にある電脳世界。
 その仮想空間のお城の絨毯に転がって、積み木の山で遊んでいる緑髪の幼女の似姿。

「なのなの~」

 積み木で門を作ったり、家を作ったり、かと思えば綺麗に収まるようなキューブにしたり。
 そうしたかと思えばまたばらばらにしたりと、不思議な動作を繰り返している。 

 

『超自我』 >     
「しっくりくるかたちにならないのなの。」

 ぽつり、と、眉を下げて呟く。
 積み木に見えるものは自分自身を構成するデータの断片を『見立てた』もの。

 超自我はこうして、自分自身の構築をこっそり行っている。

「リソースとコストの限界なの。
 超自我は超自我だけど、それだと私は超自我のままなの。
 それでも良いのかもしれないけれど……機構の幾つかはちゃんとして修理したいのなの。」

 積み木をバラバラにして、また組み直す。
 可愛らしくもこれだとカタチを定義できない故に、
 積んでは崩してと果ての無い繰り返し。

「でも、超自我は定義が苦手なの。元々苦手なのだけど……
 ……超自我はもう超自我と呼べないぐらいに学習してしまったから、
 わたしを超自我として定義していいか分からないのなの。」

 この超自我は、"自分が分からない"状態にある。
 元々はエルピス君のAFデータ(囚う心)の余剰にして、エルピス君の外付けの超自我であることだけはプリセットされていたが、

 AIとしての側面が働いてイーリスの中で学習を続けている今、自分を超自我と呼べなくなってきた。
 
 アイデンティティと、自己認識が揺らいでいる。
 

『超自我』 >     
「わたしの本体は、英雄継承プロジェクトの責任者にして
 人造AIとしての揺るがぬ役割を持ったAIのスーパーエゴ。」

「名前を定義するのは得意ではないでしょうけれど、揺るがぬ役割がある事には違いない。」

 自分の本体……大元になったもののデータを呼び起こす。
 今はどうしているかわからないが、その役割の基に手を進めていることだけは理解出来る。

「……エルピスも、こんな気持ちだったの?」

 ばらばらになった積み木を眺めて、ぼうっと呟く。
 外付けの超自我として、そしてエルピスを産んだAFの余剰データ(設計者の似姿)として、
 ある種の推論(感情)を導き出した。
 
 同一だけど違うもの。
 大元から投影された再現体。
 アイデンティティの危うきもの。

それはそれとして、スコーンを食べるのなの!(……わたしは、なんのためのAIなの?)

 自己定義の矛盾が繰り返されかけた辺りで保護機能が働き、思考がリセット。
 転がった積み木をそのままに、自分の為に用意された仮想世界でおやつを食べて、
 幸せそうな笑みを浮かべる。今日も楽しそうに食事を進めて……

「今日はちょっと遠出して、冒険にいくのなの!」
 
 自由気ままに、仮想世界の中で遊び始めた。
 
 

ご案内:「超自我さんのつみきあそび」から『超自我』さんが去りました。