※注意! この部屋の存在によって、性行為描写・極端なグロテスク、猟奇表現などを含むロールを積極的に肯定・推奨するものではありません!
性行為描写(いわゆるエロール)のみを目的としたキャラクター、性行為描写をメインの目的とするキャラクターの登録はご遠慮いただきます!
この部屋では、ある程度性的に過激な描写(いわゆるエロールなど)、苦手な人がいるような残虐・グロテスク表現を伴うロールを行うことができます。そのような描写が苦手な方はご注意ください。
この部屋はフリールームです。基本的に、常世島島内でのロールを行っていただくためのものになります。
島内であるならばどの地区、場所でも構いません。ご自由に設定してください。
待ち合わせ以外にも、通常通り使うことも可能です。絶対にこの場では過激な描写を行わなければならないというわけではありません。行うこともできる、という部屋です。
残虐描写・グロテスク表現・性的な描写など、過激な描写に関しましては苦手な方もいらっしゃいます。
その配慮としてこの部屋を設けております。ご理解いただければ幸いです。
どこまでが通常の部屋でしてはならないのか、という定義については申し上げられません。ご自身での判断をお願いします。
規約にもありますように、相手PLの許可なく無理矢理そういったロールに巻き込もうとするような行為は禁止です。
PCがどうであれ、あくまでPL同士の合意の上で、そういったロールは行われるものです。
問題が起こらないよう、十分なご注意・配慮をお願いします。
また、当サイトは性行為描写を伴うロール中心のサイトではありません。
いわゆる日常ロール、戦闘ロールなどが基本のサイトとなります。
その点をご理解したうえでのご利用をお願いします。
参加者(0):ROM(1)
Time:17:12:56 更新
ご案内:「◆落第街のとある廃墟(過激描写注意)」からネームレスさんが去りました。
■ネームレス >
「止んでる」
九重純の寝所を出ると、雲は割れ、白く焼けた朝が覗いている。
傘を開く必要はなさそうだった。
朝も夜もない落第街は、雨上がりとともに起き出すだろう。
自分はもう、ここの住人ではない。否、最初からそうではない。
それを証したから、九重純との接点は消え、
そして――知らず知らずのうち、九重純の物語を、終わらせてしまったのだとしても。
「さよなら」
振り向かずに、もうひとことだけ。
彼女の形のうっすらとした傷を連れて行って、
眩き黄金は、昔日の銀色を、あの夏に置き去りにした。
輝ける栄光のなかへ。理想を実現するために。
自分が生きているのは、痛みのない、幸せな夢のなかではないから。
■ >
――うっすらと唇を綻ばせて、幸せそうに死ぬのだという。
九重純もそうだったというのなら、願わくは、
最期に夢見たその風景が――
■ >
"夢見るもの"をひとつぶ飲んでみれば、幸せな夢がみられる。
痛みも苦しみも忘れて、幸せの国への旅行を楽しめる。
だから、ふたつぶ飲んで戻ってこれなくなっても――
■ネームレス >
こうなってしまえば、
九重純の形の傷も、ほんのうっすら、自分には残るだろう。
「どっちに向かって逝ったんだ」
思い詰めた悔いの果てに?
それとも、前に向かって死んだのか――"苦"を白黒の濃淡で描き抜いたあの画家、各務遥のように?
■ネームレス >
自分が、死者に花を手向けるという儀式を持つことを、
知っている者は、それなりにいる。
どれだけ鈍くたって、それなりの時間親しんでいる娯楽の傍ら、
横顔をみつめられたら、少しは察することもあるだろう。
まったく気づかないなんて、いくら鈍感そうな九重純だって。
だから友人がネームレスを尋ねることも、
ネームレスが死の現場に訪ねることも、
もしかしたら、思い描くことだって……
■ネームレス >
「―――………」
顔をあげた。
結露した窓ガラスを、掌で拭った。
少しだけ弱まった雨脚のむこう、
ビルの谷間には、なにもない――今は。
かつては、あった。
そこに幻出していた。
灰の劇場――かつての自分の本拠地。
演者と観客という形で、ネームレスと九重純が二度目の接点をもった場所。
視線を落とす。
■ >
所有者の精神と密接に結びつく異能は、現代異能学においてポピュラーな分類だ。
感情の起伏に応じて出力が増大し、心身の成熟によって限界を超え、
時に段階(ステージ)が上がるように成長する――
そんな自分の翼を、影を、
もう必要ない、と感じてしまったら……?
■ >
異能に苦しむ者がいる。
異能に呪われる者がいる。
影のようにつきまとい、己の意図に反して暴走することさえある。
捨てたいと願う者は、要らぬと嘆く者は、どれだけいるのだろう。
■ネームレス >
「喪った……?」
そうだろうか。
あの翼で、どこに行こうと。
あの異能が、何かの手段であるのなら。
どこかへの切符なのだとしたら。
「…………」
■ >
九重純の異能。
金属質の翼をその背に生じさせ、様々な現象を"実現"する。
思い描く可能性を現実へと写すような、強大な能力だった。
昨年の晩夏より、その異能は出力を上昇させ、
――程なくして煙のように喪失してしまったのだという。
異能喪失の経過は一様ではない。
ゆっくりと減退していく者もあれば、ある日突然喪うものもいて。
そして、九重純は、増大・成長という形で、喪失の前兆があらわれていたのだ。
■ネームレス >
ニュースで綴られる、多くの記録と記憶が形造った、死後に語られる九重純の肖像と、
自分のなかに刻み込まれた、九重純という人間がどうしても重ならなかった。
そのギャップと、死に至るまでの経緯の疑問を咀嚼し、嚥下して己の一部とすべくして、
ネームレスは彼女の死の現場を訪ねたのだ。
死んだらそれまで。死後はない。
そういう死生観で生きているから、
死した者の軌跡をたどり、祈って、花を手向けるのは、
確かに感じる喪失、あるいは欠損を、自分なりに解釈し、
より良い歌を創り出すための儀式だった。
すべての存在は、自分をより美しく咲かせるための養分でしかない。
数年を過ごしたこの落第街という環境だって、
裏切り者だなどと自分を謗る者もいるが、そもそもが理想のための踏み台だ。
ネームレスは自分のことしか考えていない人間だ。
なにを踏み潰しても、己の理想を実現することを最優先とする存在だ。
(あの時の、九重純は)
追想する。
自分を追いかけ回す、厄介な自警学生。
ほんの数十分の追走、肩越しに伺ったその顔。
自分を睨み、見据えるあの双眸。
もうとっくに記憶の片隅に追いやった、咲くことのなかった花の――
(そうだ)
そして、解釈する。
それが事実かどうかは、関係がなかった。
(九重純も……)
ネームレスと同類だったはず。
そう感じたから、あの駆け出しの自警学生が、胸に残っていたのかもしれない。
■ネームレス >
(…………ほんとうに?)
■ >
人間の価値は戦闘力の高低や、異能の強弱だけでは決まらない。
であるのに、異能という、なにひとつ明日の保証もない未解明の力に依存し、
それそのものを自分の価値だと信じ込んでしまうことの危うさが、
コメンテーターの口から、各々のバイアスの影響を受けたうえで並べられていた。
太陽を照り返す、白銀の翼が示す威は、
たとえそれを具現化することが叶わなくなったとて、
異能が喪失したとて、九重純の存在を翳らせていたわけではなかった。
死を悼まれ、逝去を惜しまれる人間は、その時点で特別だ。
それほどに彼女は優れていた。
悪しきを挫いて、
弱きを助けて。
九重純は眩く、そして、正しい人間だった。
■ネームレス >
「夢みるもの……」
落第街を中心に流通している違法薬物。
心地よい夢を見ることができる睡眠導入剤だが、
用量を違えると寝入ったまま目覚めることなく死に至る。
霊薬の類で、製法から流通、その意図に至るまで霊的犯罪として捜査が進んでいる。
高額で取引されるその理由が、良い夢を見たいからというだけでなくなっていのは、
人と人との営みが降り積もる世界では、自明の理である。
「最期の寝所に選んだのが、よりにもよって冷たい床とはね。
いくら蒸し暑いトコだって、まだ暑くなりきらなかった時期だろ。
……綺麗なまま本土に引き渡されたのは、よかったのかな?」
荒れ果てた606。無人の部屋。その奥で彼女は眠るように死んでいたのだという。
学生手帳のGPSがなければ腐敗し風化していただろうその亡骸は、
まだあたたかく、一見すればただの寝姿でしかなかった。
死後数十分と経っていないその体を前に、発見者たるあの友人は、どんな想いだったのか。
「こんな用事で、久々に落第街を尋ねるコトになるとはな」
壁際、落第街を見渡せる窓の下に、花束を供えた。
「キミがお客様でなかったらスルーしてたよ」
一度だけ、自分の公演に来ていたから。
舞台から望める観客の顔は、ひとり残らず記憶していた。