2024/06/20 のログ
ご案内:「扶桑百貨店」に蒼月 まつりさんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店」にマトさんが現れました。
蒼月 まつり >  
前に男子寮のロビーで知り合った人造生命体(ゴーレム)のマトとの約束を果たすため、
その時に交換した連絡先へメッセージを飛ばしたのが一昨日のこと。
迎えた当日、まつりは百貨店の正面出入口の前で友人の到着を待っている。
服装はよそ行き用のシンプルなもので、当然のように女物。
メイクもバッチリ決め込んで、道行く人からは女の子にしか見えないはずだ。

『今度の休日は昼前に扶桑百貨店!』

という簡潔な内容であったが、ここは学生街でも指折りの高層建築なので迷うこともないだろう。
人でごった返す広場の中、なるべく目立つようブロック塀の上に腰掛けて周囲をきょろきょろ。

マト >   
聞き取れないほどに軽い音を立てながらまつりへと向かう姿が一つ
薄水色のワンピースに肩からポシェットをかけたマトだ

「この辺り……」
「あ、いたね」

きょろり、と軽く周囲を見回し、すぐにまつりの事を見つける
かけよる……までもなく、とっ、と軽く『跳んで』

「よ、っと、お待たせしたね、まつり」

ひらり、とワンピースが翻り
まつりに並んで座る様にふんわりと着地するだろうか

「誘ってくれてありがとう……今日は、えっと、コスメを教えてくれるんだよね?」
「僕はコスメについては本当に無知だからね、1から教えてくれると助かるよ」

蒼月 まつり >  
「おおっ?」

人混みから舞い上がるように跳んできたマトを見て目を丸くした。
風で膨らんだスカートはまるで綿毛のようで、軽やかな舞い様は妖精を思わせる。
しばらく見惚れていたものの、名前を呼ばれればハッとして。

「……っとと、待ってたよ!
 まぁ、僕もついさっき来たところなんだけどさ」

半分は本当で半分は嘘だ。
まつりが着いたのは30分ほど前だったが、待たされたという意識は欠片もない。
それだけ今日という日を楽しみにしていたというのが満面の笑みからも伝わるだろうか。

「こないだのお礼……っていうのはほとんど建前で、僕がそうしたかったからさ。
 マトみたいなダイヤの原石(べっぴんさん)、磨かなくちゃ世界に失礼ってもんだよ!」

コスメのことなら任しといて! と薄い胸をドンと叩いて。
それから右手を差し伸べて、目的地までのエスコートを申し出る。

マト >   
「そうなのかい?」

なお、マトがついたのは時間の1分前、ほぼほぼ時間通りといった所だろうか
まつりが30分も待っていたという事は当然気づく筈も無く、マトも同様に笑いかけるだろうか

「べっぴんさん……面白い表現だね」
「うん、まつりがそうしたいなら、僕に断る理由は無いからね、それに……」

少しだけ、間

「……お洒落、というのは、自分だけじゃなく、他者のためにするものでもあるんだろう?」
「だから、そういった意味でも興味があってね、僕が着飾る事で誰かが喜ぶなら、してみたいと思う」

こくり、と頷いてはにかむように笑いながら、まつりのエスコートを受け入れるだろう
足取りも軽く、マトもきっと楽しみにしていたであろうことが伺える

蒼月 まつり >  
「ざっくり言えば顔が整ってるってこと!
 つまりオシャレのさせ甲斐があるってことだね」

二人、連れ立って店内へ。
目指すのはファッションエリア……ではなく、1Fから広がる商店街支店エリアだ。
本格的なコスメであれば当然この上へ向かうべきだろうが、目的はあくまで格安コスメ。
マトの経済状況でも継続して使えるような安くて可愛いものを見繕ってあげなくては。

「うんうん、いい心がけだ。
 僕は自分のために自分を飾ってるけど、可愛いものを見ると嬉しくなるものだし……
 ひょっとして、誰か見せたい相手でもいるのかな~?」

口元に手を当ててニヤニヤしながら問うてみる。
別に揶揄おうってわけじゃなく、そんな相手がいるなら尚のこと張り切らなくてはならない。

マト >   
「整ってる、か……うん、それはきっといいことだね」
「僕がこの姿になった理由は分からないけれど、それを活かせるに越したことは無いし」

マトは店内に入ると、一度周囲をぐるりと見回す

「広いね……それに冷気が結構強いな、外が暑いからかな?」
「それに天井が、とても高いね、明かりがまぶしい」
「喧騒も……うん、人のざわめきに溢れてる、嫌いじゃないよ」

そうして暫し目を少し瞑ってその場の空気を感じているようだった

「かわいいもの、か…… 何となく、分かる気がするよ」
「丸くて、小さいのとか  見ていたくなるような気がする……」
「… え?」

……が、見せたい相手、という言葉に彼女は一瞬目をぱちくりとさせて動きを止める

「……いる、かな」

暫しの沈黙の後、何処か躊躇いがちに呟いて

「今度、一緒に海に行こう、と誘った相手がいてね」
「その時までには、違う僕を見せて……うん、驚かせてみたいな、って」

ゆっくりと自分の言葉をかみしめる様に言葉をつなぐ彼女の表情は少しだけ不安げでだ
自分の言っている言葉に込められた感情をうまく整理できていないような印象があるだろう

蒼月 まつり >  
「そうそう、顔の良さは活かしてナンボだぜ。
 ノーメイクでこれだから正直うらやましいくらいだよ~」

僻みと取られないよう、頭の後ろで手を組んで軽い調子で言いつつ。
薄着だとやや肌寒いくらい冷房の効いた店内は、今日も多くの客で賑わっている。
自分にとっては見慣れた光景だが、マトにとっては物珍しく映るのだろうか。
ひとつひとつ感想を述べる様子が微笑ましくて、つい笑みが零れた。

「おいおい、そんな恋する乙女みたいなこと言っちゃって……
 君も案外スミに置けないなぁ! ねぇ誰? どんな人っ?」

返ってきたのは想像以上の反応だった。
顔を寄せて内緒話でもするように、詳しく聞かせてと促してみる。

マト >   
「ノーメイク…あぁ、確かに何もしてないね、あ、でも体の保湿とかはしてる、かな?」
「体質上表皮がちょっと乾きやすくてね、だから何時も水分は多めに持ち歩いているんだけど」

一緒にとことことサンダルで歩く姿はほんのちょっとだけ浮足立っているように見えて
その後も一つ一つの店に対して、まつりに何のお店なんだい?と質問を繰り返しているだろうか
そんな賑やかな道中がきっとコスメの店まで続くだろう

「……恋する……恋?」

その言葉を知らないわけでは無いのだろう

「えっと、一緒に遊ぶ相手は……優希」
「風花優希っていうんだ、僕が魔術を教わっている相手でもある」

そして、此処で隠す、誤魔化すという選択を取れないのが彼女であった
少し、本当に自分でも気づかないように恥じらうようにきゅ、とポシェットを強く胸元に抱きしめながら
少し小さい声でまつりに一緒に遊ぶ予定がある相手の名前を告げるのである

蒼月 まつり >  
「乾燥肌みたいな感じ? そりゃ大変だぁ……
 コスメのついでに良い保湿クリームも紹介したげようかな」

自分に想像できる範囲のものに例えながら理解を深めていく。
ゴーレムだなんて言っても、こうして肌の手入れについて話していると普通の女子みたいだ。
もっとも、二人とも純粋な女子ではないのだが。

「めいっぱいオシャレして、その子を驚かせたいんだろ?
 今よりもっと可愛くなって、喜んでほしいんだろ?
 恋じゃないとしても、マトは相当ユキって子のことが好きなんだね」

ユキ―――確か、初めて会った時にも名前を聞いた覚えがある。
きっとマトにとって大事な友達、あるいはそれ以上の存在なのだろう。
どこか気恥ずかしそうに告げる姿を見ていると、応援してあげたい気持ちがふつふつと湧いてきた。

「よ~しっ、そういう事なら僕に任せて!
 とびっきりの魔法(メイク)を君に伝授したげるからさ!」

そんな話をしている内に、目当てのブティックが見えてきた。
商店街にも店舗を構えるアパレルブランドで、学生向けのフレッシュなデザインと良心価格がウリの店だ。
アクセサリーやコスメ類も例に漏れず、背伸びがしたいお年頃な学生達の心強い味方とも言うべき存在である。
内装はパステルカラーの明るい雰囲気で統一されており、二人と同年代の客で賑わっている。

マト >   
「そうだね、大体そんな感じだよ」

実際、深刻さでいえばそれに近い、正確に言えば『湿気や乾燥』を含めた極端な気候に弱いのだが、今は余り関係ないだろう

「好き……うん、それは、そうだと思う」
「驚いたり、喜ぶ顔……か」

そういえば彼が喜ぶ顔というものを、自分が見たことはあっただろうか?
笑顔に類するものは見たことがあるはずだ、だけど……

「そう、だね、見てみたいかもしれない」

自分の姿を見て、驚いたり、喜ぶ彼の姿を想像すると、少しだけ、胸の奥で何かがざわつく感じがする
不思議な、気持ちだ

彼女がそんな事を考えている間も店への距離は近づき

「ん、まつりは何時も元気いっぱいだね、何だかこっちまで元気になるよ」
「元よりそのつもりさ、此処まで来たんだから、出来る限りのものは伝授してもらうよ、先生?」

そういってくすくす、とマトはまつりへと笑いかけるだろう

「わぁ……匂いも少し今までと違うね、化粧品の匂いというやつか、色々混ざっていて、何とも言えないな」
「色とりどりで、何処に目をやったらいいか分からないや」

蒼月 まつり >  
「とは言ったけど、君は素材がいいからなぁ……
 僕がやってるような念入りメイクは必要なさそうだね。
 というわけでナチュラル系―――血色を良く見せたりとか、そういう感じにしよう」

すっぴんはごく一般的な男子高校生の自分と違って、整った中性的な顔立ち。
下手に濃いメイクを纏うよりも、持ち味を活かす方針で行こうと考えた。
コンセプトは、ずばり『さりげない変化にドキッ!?』だ!

「見せたい相手がいるなら尚更ね。
 化粧の濃いにおいはイヤって人もいるし」

目移り気味のマトを導くように、必要な物を順番にピックアップしていく。
下地には保湿成分を含んだものを選び、乾燥肌にオススメな旨をプレゼンしつつ……
そうやって化粧品について解説するまつりは、どこか楽しげに映るだろう。

マト >   
「念入り、ナチュラル… 自然な」

オウム返し、反響言語、まつりの言葉を繰り返す

「成程、細かい修正だね、例えばどんなものがあるんだい?」

とはいえマト自身も乗り気なため自分からまつりにこれからについて聞いてくるだろう

「濃い匂いか……確かに、移ってしまうかもしれないしね」

特に優希の場合は本体は本なのである、匂いが移るようなものはもしかして苦手かもしれないと考えるのは自然だろう

「スキンケア……保湿成分、 こっちがファンデーション、それで、こっちがリップ……口紅」

一つ一つまつりと一緒に考えつつも、その楽しそうな様子に目が行って

「まつりはこういうのが本当に好きなんだね、僕は詳しくないけれど」
「聞いているだけで、楽しそうなのが伝わってくるよ」

素直にそう伝えながらも、マト自身もじっ、と真剣に進められた化粧品を見つめている事だろう

蒼月 まつり >  
「下地の次は肌のシミとか小ジワを隠したりするんだけど……
 そういうの必要なさそうでいいなぁ、もう!」

ゴーレムってズルい!
なんて一般人目線でボヤきつつ、粉ものは避けてリキッドタイプを中心に。
相手を男子と断定するなら、女性的な印象を強める目元まわりは特に拘るべきだろう。
ここまでナチュラルに女の子扱いしているが、まつり本人はマトの性別を詳しく知らないままやっている。

「大好きだし、楽しいよ! 僕を可愛くしてくれるものだからね。
 日によって気分で使い分けたりすると、なんていうのかな。
 色んな自分に出会える気がしてワクワクするんだ」

こうしてマトのために化粧品を選んでいる最中も自分で使う場合のことを考えたり、初めて見る新作に目を輝かせたり。
一人で商品棚とにらめっこする時間も嫌いではないけれど、誰かと一緒だと楽しさも数段増して感じられた。
そうしてリップのコーナーに差し掛かると、これまで以上に豊富なカラーリングのラインナップが二人の前に立ちはだかる。

「さて、自然な仕上がりにするならスタンダードな赤だけど……
 薄ピンクとか、オレンジ寄りのもあるよ。君はどの色が好き?」

優希(そのこ)の好みで決めてもいいけどね、なんて小さく笑って。

マト >   
「そうだね、現状を最低限維持するための機能は備わっているようだし……とはいえ、手入れは出来るに越したことはないよ」

リキッドタイプの方が彼女も馴染むと答えるだろう、それは恐らく、常日頃液体を扱っているからでもあるからだが
そしてマトの性別については、マト自身も話していない以上知る由もない、というのが実際の所である
この常世学園においても、両性の生徒というのはそれなりに珍しい部類のようだった

「ワクワクする、か、うん、まつりはその"ワクワク"が似合う笑顔だね」
「新しい自分に出会う、か……僕にも出来るかな」

楽しそうに化粧品を選ぶまつりに対して目を細めつつ、こくりと頷く
そしてそんな顔を見て、ますます選ぶ姿に熱がはいるようにまつりには見えるだろうか
無意識にだろうが、まつりのその楽しげな姿がマトを後押ししているのは間違いない

「優希の好み…… そういえば、特に聞いてなかったな」

服装が好みで固められているのなら、きっと水色、蒼といった部類になるのだろう
氷の術を使うのも関係しているのかもしれないが、兎も角今選ぶ中ならば……

「……これかな?」

そして悩んだ末に赤いリップを選んだのは、スタンダードである以上に、青と対になる色だから……かもしれない

蒼月 まつり >  
「―――できるさ。僕が保証する」

不安と期待の入り混じったような呟きに、迷いなくそう答えて。
だって君は今、こうして新しい事にチャレンジしようとしているのだから。
その意欲がある限り、たとえ人造生命体(ゴーレム)が不老不朽の存在だろうと、変わっていくことはできるはずだ。

「ようし、じゃあ(それ)にしよう!
 これに関しては、他人のアドバイスより本人のビビッときた感覚に任せるべきだからね」

相手の事を考えて選んだものに間違いなんてない。
自信たっぷりに頷いて、一通り決まったところで会計へ。
学生向けのリーズナブルな価格とはいえ、道具も含めて一式揃えるとなると目を見張る金額だ。
ここは先輩……いや、先生として一肌脱いであげるとしよう。

「君の記念すべきメイクデビューを祝して、道具代は僕が持つよ。
 リップとかは今後も君が選んで買いな。見せたい相手のことを想いながら、ね♪」

電子マネーの入ったスマホを片手で振りながらウィンクをして。
マトが頑として譲らない姿勢を見せでもしない限りは奢ろうとするだろう。

マト >   
「……ふふ、ありがとう、まつり」

その言葉に一瞬だけきょとん、とした顔を見せてから、きゅっとポシェットを脇に抱え直す

「うん、え、いや……僕もバイト代は持ってきたの、だけれど」

値段を見て、まつりを見て、一度口元に指をあてる
暫し何かを考えていたが

「分かった、なら、まつりの好意に甘えるとするよ、代わりに、何時かお返しをさせてくれ」
「してもらってばかりじゃ人造生命体(ゴーレム)の名がすたるからね」

くす、と笑ってまつりの意思を尊重する、人の役に立つことが、必ずしも相手に負担が行かないようにする事ではない
それを、マトは何となくだが理解していた

「置く場所は一応あるし……これで買い物は終わりかな?暫くは使い方は教えてもらう事になると思うけれど」

まつりと一緒にレジに並びながら、きょろきょろとまた周囲を見回す
此処で買い物が終わりでも目的は達成できるが……

「他に買うものってあるかな?無くても……その」
「折角の友達とのお出かけだからね、之だけはちょっと勿体ないと思うんだ」

何てマトの方から提案するのは自然な流れだっただろうか

蒼月 まつり >  
「なんて、ちょっとクサかったかな……へへ」

言ってから少し気恥ずかしくなったのか、照れ臭そうに頬を掻く。
それでも掛けた言葉は本心で、撤回する気はないけれど。

「何言ってんだ。そのお金はユキとの海デートに使うべきだろ?
 お礼は思い出話で十分……それじゃ納得できないっていうなら、そのうちね」

そもそも見返りを求めてやっているわけではないのだ。
けれどマトが人の役に立とうとしたがっているのは分かるので、突っぱねもしない。
いつか互いに満足できる形で返してもらえたらいいかな、くらいに考えておくことにした。

「他は……そういえば、着てく服はある?
 そのワンピースも可愛いけど、せっかくならメイクに合わせておめかししようぜ」

コスメコーナーの向こうにある衣類コーナーを指で示して。

マト >   
「そんな事無いよ」

きゅっと並んでいるまつりの手を軽く握って

「僕はとても嬉しかった、自分を認めてもらう、というのはとても心地よい気分になるものなんだね」

そういって朗らかに笑いかけるだろう

「ん、服……かぁ、どんなものがあるんだい?海も行った事がないからね」
「ワンピースも……確かにこれしか持っていないし、他のタイプも持っていた方がいいんだろうか?」

そういって小首を傾げながらまつりについていくだろうか

蒼月 まつり >  
「ん……そっか。なら良かった」

自分の言葉が彼女の心に響いたのなら何よりだ。
はにかみながら、繋いだ手をきゅっと握り返して。

「どんなものっていうと色々あるよとしか言えないけど……
 そっか、ワンピースのバリエーションを増やすのも手か」

合流した際の、舞うようなスカートの翻りを思い出す。
色んなコーディネートを試してみたい気持ちもあったが、メイクの方向性を鑑みても合理的な判断だ。
そのままワンピース系統の陳列棚まで歩いていき、ずらりと並ぶ商品を見回した。

「海っていうのはね、たくさんの水がどこまでも広がってて……これからの季節にピッタリな場所かな。
 だから着ていく服も涼しげな、夏っぽい感じにしてみようか」

爽やかな色合い、薄手の生地、肌の露出度合い。
清涼さを感じる要素は多々あるが、丁度いいものはあるだろうか。