2024/09/06 のログ
ご案内:「駄菓子屋『おおげつ』」に宇賀野 実さんが現れました。
■宇賀野 実 > 祭壇に、一糸まとわぬ姿の女の子が立っている。
その姿は自分にそっくりだった。
厳かな楽器の音色が響き渡る中、少女はゆっくりと舞い始める。
何かを寿ぐような、美しい舞だった。
舞が終わると少女はそっと座り、どこからともなく小刀を取り出して
そっと自分の喉に突きつけ……小刀を下へとすべらせる。
首からお腹までがすっと縦に割れる。
しかし、血や肉が見えるわけではなく、ぽっかりと空洞が広がっていた。
そこから、”詰まっていた”かのようにあふれる、大量の穀物、野菜、果物、お魚、動物…。
体内から溢れたそれが、一瞬のうちに世界が塗り替えられていく。
眼前に広がるのは一面の金色…
重く実り頭を垂れる稲に満ちた水田、地平線にはきらめく湖。
木々には果実がいくつも実る。
お腹の空洞はそのままに、少女はうっとりとその光景を眺めていたが、
不意に小刀をこちらに差し出してくる。
喉まで切り裂かれているからだろう、声はないものの、唇が動く。
『つぎは』
『あなたの』
『ば
■宇賀野 実 > 「えいしゃおら――――ッ!?!?!?!?」
タオルケットを跳ね飛ばして飛び起きる。
心臓がバクバクと音を立てていた。
「…夢かあ……夢なのか?」
呼吸を整えながら自分の喉元をぺたぺたと触る。
もちろん、切り裂いた後も無ければご飯粒もなかった。
「……っふー…。」
ため息をひとつつく。冷房を付けているというのに、
白のキャミワンピースは汗でぐっしょぐしょだった。
のろのろ立ち上がってお風呂に赴く。
すぱぱぱっと服を素早く脱いでシャワーをONにした。
「……」
自分の身体を触ってたしかめ、さらに股間も触る。
大丈夫。ある。 …小さくなったりはしていない。
…本当に?大丈夫だろうか?まだ保つんだろうか?
■宇賀野 実 > 不安なまま、シャワーを止めて体を拭い乾かす。
長い長い髪の毛と獣耳、そして尻尾。
ここ最近出来たばかりのそれらのメンテナンスも、
今や手を止めること無く実施できるようになった。
可愛らしい”いつもの服”に着替えながら時計を見る。
ちょうどお店の開店時間だった。
タイマーにしては趣味が悪かったけど、まあいいだろう。
いそいそとゲーム筐体やお菓子が入った店を外に出して
開店の準備を整える。 流石に慣れたもので、あっという間にできた。
「よし…よし、大丈夫。やるぞ!」
尻尾を一振りして気合を入れ直し、自分に発破をかける。
自身の異能に飲まれてはいけない。決意を新たにしながら、今日も駄菓子屋を開店した。
■宇賀野 実 > かくして、無事一日の業務を終えることができた。
しかしながら、少しづつ、そして確実に異能が強くなりつつあるのを感じる。
あんな夢を見た日はお酒も飲まずに寝るに限る。
心配に尻尾をしょんぼりと垂らしながら、お風呂に入って一日を締めるのでした。
ご案内:「駄菓子屋『おおげつ』」から宇賀野 実さんが去りました。