2024/11/16 のログ
ご案内:「島内某スタジオ」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「ふひぃ…さ、寒…っ……」

ぷるぷる
島内某所、雑居ビルの3階にあるとあるスタジオ
写真部の友人の頼み事でグラビアを撮らされることになり、結局断りきれずにここまで来てしまった…
……は、いいのだけど……

「なんで暖房も入ってないかなあ…。
 大きなスタジオとかじゃないと、みんなこうなの…?」

合うサイズの水着選んで、向こうの個室で着替えてきて、と
スタジオにいたスタッフらしき男性に言われ、言われた通りに水着を選んで個室にやってきたけど…寒すぎる

伊都波 凛霞 >  
~遡ること三週間とちょっと~

秋風に少し寒さを感じるようになった頃

普段から親交のある友人に呼び出されて学園のロビーで待ち合わせてみると、

『そこをなんとか! 凛霞に協力してもらえたら凄い宣伝にもなるし…お願いっ』

その子は写真部で、今度自分達で出そうと思っている広報誌に写真を乗せたい…そんな話だった
彼女以外にも二人ほど男子が一緒にいて、数人で発行する所謂同人誌のようなスナップ写真集という説明を受けた

「いやぁ…私、風紀委員だし、あんまり目立つようなことしちゃいけない気がするんだけど…」

なんて、一応の体で断ろうとも思ったんだけど、3人揃って頭を下げられて、食い下がられて…

『伊都波さんのショットで飾れれば絶対イケるんで、お願いします!』

「と、とりあえず委員会に聞いてみてからね…?」

───そうやって、持ち帰った話だったんだけど

「かくかくしかじかで、私の写真を広報誌に乗せたいみたいな話なんですけど…」

一応、ちゃんと大丈夫かの確認はとったんだけど

………

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この時期に…水着……

ぶっちゃけ聞いてなかったんだけど、一度OKって言っちゃったのを取り下げるのも失礼な気がして…
なんてことを考えているうちに、バッチリ期日になったのである

伊都波 凛霞 >  
「はぁ…なんか怒られそう……知らなかったで通せるかなあ…」

風紀委員が水着グラビアですか?
風紀、乱してますよね?
そんなことを言われるのが予想できすぎる

でも待って欲しい

こんな寒い中で水着に着替えて写真撮るんですよ
正直拷問かなって思うくらい寒いんだけど…
凄い、本職のグラビアモデルさん達
彼女達はプライドを持って、本気で仕事として向き合っているんだ
体型の維持、容姿の洗練、寒さや暑さにだって耐える
尊敬すべきプロの姿だ
そんな水着グラビアを風紀を乱すなんて言い方をするのは、良くないと思います

そう自分に言い聞かせる

伊都波 凛霞 >  
本当は、ちょっと気分を変えられるかななんて思った
これまで水泳の授業だって理由をつけて水着を回避してきたから
夏が終わって、とても大きな出来事があって
慰安旅行を終えてから、ずっと考えていたことがある
自分も少しは、変わっていかないと、って
どんな些細なことでも、そういう切欠にはなるかもしれない

「……っくしゅ! …さっさと着替えちゃお…」

ちょっとが狭いなあ…なんて
段ボールなんかが乱雑に積まれた個室の中でぱさりと上着を払い落として、着替えてゆく

「───……?」

下着をぱさりと払い落として、屈んだ時に妙な違和感を感じた
なんか、誰かに見られてるような……部屋を見回すけど、穴とかそういうのは、ない

「……気にし過ぎかな」

速く着替えてスタジオに戻らないと、このままじゃ普通に風邪をひく

伊都波 凛霞 >  
友人達は外で待っている筈だし、まだかなってドアの外からこの部屋に視線を向けてる可能性もある
そういうのって案外ドア腰でも感じるものだし

「………む」

下着も脱いで、ビキニのトップをつけて、気づく
おかしい…サイズは間違えてなかった筈…少し、食い込む…ような……
いや、武術家としてしっかり体重や体脂肪率の維持はしているし
スイーツ巡りも最近は控えめにしてるから体型が崩れてるわけじゃない

……育ったか?

いやいやまさかそんな
寒くなってきたからちょっとむくんだだけ、きっと

そんなこと言ってたらいつまでたっても着替え終わらない
とりあえず!トップとボトムでサイズが結構違う関係でビキニを選ばざるを得なかった以外はおおむね問題なし

「遅くなりまして~…」

かちゃり、ドアを開けてスタジオへと戻る───

伊都波 凛霞 >  
「───あれ?」

写真部の友人、友梨佳の姿が見えなくてちょっと首を傾げる

「えっと、友梨佳は?」

『ああ…御園さんならちょっと買い出しに出てて』

『大丈夫、撮影は僕らで出来るんで…』

そっか、と返答をしつつ、証明が重ねて照らす撮影用のマットの上へと促される───

………

……


 

伊都波 凛霞 >  
「ありがとうございましたあ……」

『いえいえ、こちらこそ。協力していただいて、ありがとうございました先輩!』

つ、疲れた……
いろんなポーズ、角度をつけて…とか、表情の作り方…とか

『プロ顔負けでしたよ~、流石何でもソツなくこなしちゃいますね』

褒め言葉、なんだろうけど
ははは…と少し力の抜けた笑顔を返すの精一杯
たくさんフラッシュを浴びるのも、カメラマンの視線の刺さり方なんかも、だけど
大変な仕事なんだな…というのがすごく実感できた

「結局友梨佳も帰ってこなかったし…まぁいっか…」

水着から着替え直して、失礼しますと一礼してスタジオのある部屋を出る──

伊都波 凛霞 >  
「はぁ~……」

バタン、とドアを閉じてどでかい溜息まで漏れる始末

「…なんか、色々ヘンだったなぁ…」

頬を小さく書きながら、怪訝な表情
着替え用の部屋で感じた気配もだけど、現場の空気感も…
買い出しにいったといって帰ってこなかった写真部の友人のことも気になるけど

こういうことはあんまりわからないから、そういうものなのかも


伊都波 凛霞 >  
「あんまりヘンな写真は使われませんようにっ」

ドアの向こうに向けて手を合わせて、少し小走りに雑居ビルを出る

そうして発行された広報誌にはばっちりトップに伊都波凛霞のピンナップが飾られ
凛霞の心配を他所に、少し水着が小さい以外は割と健全寄りというか配慮された構図の写真が使われていて一安心だったという

ご案内:「島内某スタジオ」から伊都波 凛霞さんが去りました。