2025/01/03 のログ
■イスラ >
「当然じゃないか…君ほどにワタシを虜にする者はいないよ、泳夢。
そのカラダも、ココロも…全てが狂おしい程に魅力的だ」
少女の言葉を肯定し、もう一度ふわりとその頭を撫でつけて、イスラは身体を離す…。
「キミがこの島に辿り着いたのもきっとそういう縁さ。
黄泉の穴や転移荒野…魔の者が訪れるにも都合がいい環境だ。
此処で生きているだけで…君はもっともっと、磨かれていく…♪」
──山頂から川を経て、原石は海にて真球を描く……。
人工的に磨いた美しさとは非なる輝きを得ていくに違いない。
「そうだよ、泳夢♪
ちゃんと再会できたんだ──これからもたくさん可愛がってあげるよ♡」
悍ましき宣言……。
歪で拉げた、魔の誘惑が──少女の破滅願望へと纏わりつく。
■泳夢 >
「ほんとう?これからも私を……加工してくれるの?」
そう問いかける顔は、まるで初めてやる遊びを前にした子供のように。
これからはただ此処で生きていくだけでも、自らに価値を育んでいける事に胸を弾ませる。
無論、その為に必要なもの、手段はきっと山ほどあるのだろうが──
「イスラさん……」
少女は両手を広げ、甘い魔の誘惑に身を委ねる。
破滅に至る道だとしても、少女にとってそれは待ち焦がれていたもの。
きっとそう、彼女は初めから壊れていた。
なるべくしてそうなったのだと、すべてを知るものが居ればそう言っただろう。
「私をこれからも、たくさん可愛がってっ♡」
それは魅了されたからではない。
否、魅了されていたとしても、それを望むのは紛れもなく彼女の渇望故に。
──その為に必要なものに、きっと彼女は惜しまないと少女はきっと確信していた。
■イスラ >
「──勿論だとも」
もう一度、今度はもう少し強く…少女を抱き締める。
失われた四肢と、義肢の接合部を愛しげに手指で撫ぜながら…。
「たくさんたくさん壊してあげよう♡
キミが望むなら、ワタシの城に招いて、時間も忘れる程に…ね♡」
華奢な少女をもう一度抱きとめて、耳元でそう囁く──そして。
「…今日のところは、ワタシ達の再会を祝そう…♪
……あの頃と同じ、ボクからの祝福をキミに」
ぷ、つっ…♡
少女の幼さの残る首筋へと顔を埋め──、鋭く尖った、その吸血鬼の牙を…───突き立てた。
■泳夢 >
その誘いを、今の彼女が断る筈もない。
引き留める理由もなければ、イスラに向ける感情に恐怖すら今は混ざっていない。
肌を擽る冷たい感覚すら、どこか心地よく感じてしまう程に満ちている。
こくり、こくりと言葉よりも先に頷く様は、まるで赤子だ。
白い灰の少女は無垢なる微笑みを浮かべ、吸血鬼に身を任せ──
「い゛……ッ♡」
ブツリと肌を突き刺す、その痛みに一瞬だけ顔を歪める。
だがそれも一瞬の事……少女が浮かべるのは悦びのそれに違いない。
甘い甘い香りが広がる。魔を魅了する少女のフェロモン。
あふれ出る鮮血は、まるで甘露のごとく。牙の隙間から零れ落ちる。
じぃんとお腹の奥がそれだけで熱くなる。
自らが求められていることに。
痛みを感じ、まだ己が命があることに。
怪物の掌の上に居ながら、その生を詰まれぬことに少女は甘く達していた。
■イスラ >
ぷつりと、皮膚と肉を突き破る痛み…。
少女は、小さな小さな悲鳴をあげる…。その悲鳴すら、どこか甘く──。
溢れる鮮血…香るのは、魔を魅了する香しき香り…。
ほぅら…これだもの。
ワタシだって、堪らない。
その背を強く抱いて、より深く牙を食い込ませ──紅く甘露な雫を吸い上げる──。
ただそれだけ、にも関わらず──最初の痛みなどどこかに消え去るが如く、その身体を瞬時に絶頂まで導く程の、快感───。
そう、死しても尚、また噛まれたい──♡
そう思わせるに十分過ぎる多幸感……。
特殊に"加工"が為されている少女…泳夢の身体は眷属化することも、変異性ショックを起こすこともない。
第一……そのようなプロセスでの隷属は、もはや不要だった。
「ん…ぁ……っ♡」
泳夢の血の甘さを堪能した吸血鬼は、その頬に朱を差し蕩けた様な表情で、少女の身体を離す。
「───泳夢の血は極上だね。ワタシの丹念な味付けに応えてくれただけのことはある…♡」
ぺろり、と艶めかしく紅い舌が唇を舐める。
見下ろす先の、可愛らしい人形のような少女を、今日は十分に愛でることとしよう──。
ばさりとはばたくような音と共に現れるのは、漆黒の外套。
自らと共に、少女を車椅子ごと包むように──、少女が拒まないのであれば、少女の持つ固有領域へと連れ去る腹積りだ。
■泳夢 >
「ッぅ……っ♡」
与えられるのはただの痛みだけでなく。
身を包むような幸福感と多幸感。
びくりびくりと、全身が震える。
吸血の痛みと共に与えられたその感覚で、彼女は深く絶頂していた……。
瞳の中にハート形を浮かべたように焦点がぼやける様は、まさに魔性の虜である。
なにせ、それはきっとこの命を手放しても──また欲する程のものなのだから。
その身こそ無垢ではなかったとしても、記憶を失い、空白だった少女にそれは、まさしく媚毒。
今は下を向けない少女でも、感覚で下腹の布が悲惨なことになっているのが分かるほど。
「あ…はぁ…♡ おいしく、食べてもらえるのって…こんなにうれしいんだぁ…♡」
彼女が拒むことはないだろう。
車椅子ごとに運ばれるそれを退ける筈もない。
いけない事だと、人としてそれは戻れぬことになると、魂が警告を発していても…
それ以上に彼女の渇望が、其処に踏み込むことを望んでいたのだ。
魂は隷属していなくとも、イスラの所有物であることに満たされていたのだから
■イスラ >
「──ふふ、でも今日は"特別"だ。ワタシからお誘いするのは、ね…♡」
少女をマントが包み込みながら、呟く言葉はそんなもの。
うっかりすると、ワタシ自身が虜になっちゃいそうだしなあ。
そんな心中は吐露されることもなく。
快感に身を委ねる少女と、それを支え続けてきた車椅子と共に。
幽暗の球体と化したそれは無数の蝙蝠となって散らばり──路地には何一つ、二人の出会った痕跡は残らなかった。
魔に魅入られた少女は、そうして道を踏み外してゆく。
その先にあるものが少女にとって幸福か、あるいは地獄か。
少女自身の蒼き瞳に、どう映っているのは…少女自身に問うことになるだろう。
しかしこの世には…甘美なる地獄もまた、むべなるかな───
ご案内:「落第街_路地裏」からイスラさんが去りました。
ご案内:「落第街_路地裏」から泳夢さんが去りました。