2025/01/13 のログ
ご案内:「未開拓地区:転移荒野 」にルメルさんが現れました。
ご案内:「未開拓地区:転移荒野 」に小鳥遊 日和さんが現れました。
■小鳥遊 日和 > 蘚苔類の生息範囲は広く、地域による偏在があまりない。
『あらゆるものがあらゆるところにいる』…そんな蘚苔類において、
異世界に通じる転移荒野は、まさしく宝の宝庫といったところなのだ。
小鳥遊は蘚苔類を専門とする教師であり、日々の研究のため、
こうして転移荒野に赴くのもルーチンの一つであった。
「ようし、今日も頑張るぞー!」
地図を広げて今日の探索範囲を確認して、歩き始める。
しっかりとした価格の山行用ブーツは、足元が不安定なガレ地でもしっかりと歩を進めさせてくれていた。
嬉しい…が、浮かれるわけにもいかない。
「たしか前回はあの辺を調査したから、今度はこっちかな…?」
周囲を見回す。 空中に浮く奇岩、円形にぽっかりとくぼんだ地面、転移してきたと思われるなにか…。
自衛装備を持ってきているとはいえ、恐ろしい事故や遭遇と隣合わせの環境だ。
おっとりした表情にも自然と真剣味が宿る。
ここは山なんかよりもずっと恐ろしい場所なのだ。 何に出会うかわからない。
■ルメル > 「ひーからびるぅ……。」
陸に上がり、転移荒野を彷徨って二日。
一度は人の気配のある所を見つけたものの、そこは何かを封鎖しているような物々しい場所。
何を封鎖しているのかを覗こうと近寄った瞬間、目が合った人間さんにもの凄い剣幕で詰問されかけたので慌てて逃亡。
オセンとかどうとか言ってたような気がするけど、慌てて逃げたので覚えていない。
「なんだったのかしら……いや、それよりも水……ひと……」
今は金属でできた何か──確か線路と呼ばれていた気がするようなものの上を辿って移動している。
このオブジェは人間さんの作ったもののはず。ならばきっとこの先に人がいるに違いない。
……そう思って移動を続けていたが、飲まず食わず日に照らされっぱなし。
移動するのも億劫。疲れ果てて、地面に身体を転がした。
「からだが乾いて力が出ない……。」
■小鳥遊 日和 > 「…うわ…!」
歩いている最中に見えてきたのは線路だ。 なにもないところよりは探索もしやすい。
そう思って進んでいる最中、目に写ったのは倒れた人である。 否、人らしきものだ。
少し前に倒れているそれを見て、小さく声を上げた。
もちろん、風紀や学園に連絡して救助を待つという手もあるだろう。
けれど、もし間に合わなかったら。到着を待つのが命取りになってしまったら。
そう考えた瞬間、体が動いていた。
倒れているその人の近くに近づくにつれて、歩調をゆっくりにする。
そっと相手に近づき、地面に片膝をついて声をかけた。
「あの、言葉はわかりますか? なにか支援は必要ですか?
わたしはここを探索しているものです。 可能な範囲でお力になります。
お水や食べ物なら分けることも可能です。 どうか心配しないで。」
穏やかな調子で相手に声を掛ける。 そっと全体を眺めると、
いわゆる”足”が存在していなかった。 お魚のような形の鰭である。
周囲を見回すけれど、水気のあるようなものはない。
転移してきた直後とかだろうか。
もしそうであれば、すぐに対応が必要になるはずだ。
ごくりと息を呑む。
■ルメル >
アルトのようなテノールのような。
男女どっちとも付かない声が耳に入った。
先ほどのような敵愾心やとげとげしたもののない、優しげな声。
……その声は、この島の言葉で……間違いでないのならば……。
「にんげん!」
がばぁと起き上がり、声のした方へと飛び掛かる。
ほぼほぼ感情と条件反射。青い鱗を煌めかせながら力強い跳躍。
「たすかったわ! えいやっで海に上がったけれど……
気の立ったお人間さんに詰問されそうになったり道に迷ったりで散々だったの!
ピンク色のお姉さん、お水が欲しいわ!ワインでもオーケーよ!」
飛び掛かりながら、口早に言葉を走らせる。
話は通じているが、興奮のままに喋っているのだろう。一方的な語り口だ。
■小鳥遊 日和 > 「は、はいっ!人間です! 紛れもなく!!」
突如飛びついてきた相手に目を丸くしながら元気よく答えた。
早口での説明を聞くに、大変な目にあってきたのは間違いないだろう。
「お酒はありませんが、お水ならたっぷりあります!
慌てずに受け取って貰えればそれで構いませんから…!」
相手をなだめながら、片手でザックの中をごそごそやる。
蘚苔類の調査には時間がかかる。フィールドワークもそれは同じだ。
そのためにたくさんの糧食を持ってきているのが幸いした。
彼女にたっぷり分けても十分な量が手元にあるのである。
「まずはこちらを召し上がってください。 大丈夫、おかわりもありますよ!」
パックに入った飲料水を彼女に差し出す。いくつかあるから、
彼女がひと心地付く程度には提供できるだろう。
明るく呼びかけながらにっこりと笑いかけた。
そういえば、彼女は今”お姉さん”て言ってたな。 でも今は指摘するようなタイミングではあるまい。
■ルメル >
飛びついた身体からは、魔力……のような鼓動が蠢いてる。
ルメルの身体に密着していたのなら、くすぐったくなるような感触を覚えるかもしれない。
明らかに人間ではない。
「ひゅー!」
が、水があると聞けば数秒もしないうちに身体を離す。
飲料水を受け取れば器用に開けて、数口に含んでから体に振りかける。
人間の文明や道具のことはまぁまぁわかるらしい。うめうめと嬉しそうに身体を潤した。
「こんな所にモノを敷いて活動できる人間ってすごいのね……
……お姉さんはこんな荒野で歩いてて平気なの? 珍しい服ねえ……」
水分の補給が終われば、懐っこそうにピンク色の山行服へと手を伸ばす。
身を退けなければ、そのまま遠慮なく服と体を弄りそうだ。
■小鳥遊 日和 > 無理に相手を引き剥がしたりするのも、相手を不安にさせてしまうだろう。
そう思って大人しくしていたけれど、密着した相手の体から感じられるのは、
強力な魔力の気配…脈動するようなそれと、その魔力が自分の体を撫でるようなイメージだった。
ちょっとだけくすぐったいけど我慢。
「ああ、よかった…。 お水が足りなかったんですね。
さあ、替えもたくさんありますから!」
ものすごく嬉しそうに水を飲み、体に振りかける様子を見て胸を撫で下ろす。
いずれにせよ、困った状況にある人を助けられた…それが何より嬉しかった。
「ああ、鉄道…この辺を皆が使うわけではないですが、通り道としては有効なんだと思いますよ。
転移荒野は安全ではないですけれど、最低限の自衛はできるようにしています。
この服は遠くからでも他の人に見つけてもらいやすい色にしているんですよ。
はぐれてしまったり、離れた時に居場所がわからないのは困りますからね。
普通の環境ではあまり使わないと思いますから…あの…あの…。」
自分の服装が珍しいのだろう。 興味深げに服と体を確かめるように触れる彼女を見てちょっと微笑む。
やめろともいえないし、今はこのひとを安全なところに連れていくのが大事なんじゃなかろうか。
「あっ、そうだ。 まだ名乗っていませんでしたね。 小鳥遊日和といいます。
教師をしています。もしよろしければお名前をお伺いしても?」
先に自分の名前を伝える。 もし誰かに詰問された時に、ある程度の効果はあるだろう。
それに、とても人懐こい人のようで、ちょっとだけ心配だった。
■ルメル >
「そうみたい! 憧れの地上に上がったのは初めてだけど……
……こんな落とし穴があるとは思わなかったわ……。」
ため息を吐きだしながら肩を落とし、身体を浮遊させる。
下半身が魚のような尾ということもあるが、そこそこに上身も高い。
「つまり、ここを通っていけば人間さんのいる街に行けるのね!
私の推測は間違ってなかったわ!」
かぶせ気味に声を弾ませ、目を輝かせる。
あまり会話に慣れておらず、感情の動きが強い──動物的な、人間ではない所作。
「へぇー……人間さんも面白いことを考えるのねぇ……」
感心、と言った素振り。
接触もやめることはせず、それどころか身体を密着させて擦り付けるような素振り。
動物が気に入ったものをマーキングするような、野性的な素振り。
「で、たかなしあきかずって言うのね。私は……ルメルよ!
なんとなく、そんな名前だった気がするわ!ちなみにだけど──。」
じぃ。と、瞳を鋭くして口元を釣り上げる。
豹変。あるいは本能。それは唐突に切り出された。
「──お人間さん、お持ち帰りしていい?」
我を失ったような熱を帯びた声色と共に、甘く囁きながら無力を伝える。
同族化──この人魚が持つ、対象を同族──より下位の、『人魚もどき』に変えてしまう本能。
『人魚もどき』は泳ぐことも歩くこともできない美しい人魚に成ってしまう、呪いの状態。
重度であれば声を喪い、長く続けば記憶を喪うともされる。
「……はっ、そうじゃないわ私。私の目的は人間の街に行くこと。
ここでお人間さん……たかなしサンをお持ち帰りはできないわ!」
とは言いつつも、既に感情のままに呪いを伝えた直後。
人間と融和する意図はありそうだが、感情のコントロールが出来ていない。
■小鳥遊 日和 > 「ああ、初めて来られたんですか? それはそれは…。ご無事でなによりでした。
そう…ですね。 あっちが市街地になりますかね。」
ストップ&ゴーを繰り返すような反応は、まさしく動物的な本能のそれだ。
相手の調子から見て、人間との対話に不慣れなのだろう。
彼女が望む”街”の方向を指さしながら、ちょっと考える。
「え、ええ…面白いといえば、たしかにそう、でして…」
彼女の体が自分の身体に密着する。 柔らかい体が触れるとドキドキする。
ドキドキ以外にも、なにか…魔力が入ってくるような感覚が少しある。
彼女流の人体スキャンなのだろうか。 ちょっとだけ見上げるようにして、彼女を見やった。
「あの、よろしければわたしも街に同行しましょうか?
見慣れない場所と人が相手では疲れてしまうでしょうし、
今回のようにつらい目に合うのも本望ではないでしょう、ルメルさん。」
教えてもらった名前を呼んで、そろそろと相手の腕に手を伸ばす。
相手のコミュニケーションが接触であるなら、自分も彼女に触れるくらいはしないと多分良くない…はずだし。
そんな中。
「お持ち帰り…」
その言葉を聞いた途端、どくんと体がうずいた。
先ほどから自分に触れていた彼女の魔力が、強く揺らめいた気がする。
その脈動は、先ほど彼女の魔力が触れていた部分…自分の体の表面をずずっと這う感覚があった。
「あ、ああ、そう…そ、そうです…よね? 街に行きたいんですもんね?
ルメルさんのおうち?にお伺いするとか、お持ち帰りってそういう意味じゃないんですよね?」
深呼吸。 彼女の魔力に触れた体が、得も言われぬ熱を持つ。
ぶるぶると頭を振ってそれを打ち払おうとしながら、彼女に確認。
仲が良い相手をおうちに招くには”お持ち帰り”はだいぶハードコアな表現だ。
もちろん彼女が人間の言葉に慣れていない可能性もある。
なんとも癒えない焦りに駆られて、彼女に確認した。
■ルメル >
「そうよ。今までは海のそばでちょっとだけ人間さんと交流したり、
落っことした荷物を味わうだけだったけど……こうやって陸に上がったのは初めて。
あっちの方にあるのね……」
"街"の方角をぼうっと見つめる。
むむむと目を凝らしていたが……。
「なんも見えないわ! 結構遠そうね……。
……案内してくれるなら、とても嬉しいわ!」
あっけらかん。
土地勘が働かないのもあるが、この人魚の瞳では"街"を目視することは出来なかったらしい。
同行の提案に嬉しそうに頷き、同行を求めようとしたものの──一つの質問で、スイッチが入った。
「そうね、『お持ち帰り』!
こうやって、おなじにしてお持ち帰りにするの!」
一度は止まった魔力の熱とうねりが、彼女の回答と共に蘇る。。
先ほどよりも明確に、ピンク色の山行服を着た人間さん──
──小鳥遊日和を同族に変えて、持ち帰ろうと試みる。
纏わりつき身体を書き換えられるような妖しい力だが、
心得があれば予見や対処・回避は出来て、膂力も常識の範囲。
尋ねられてしまったことで火が付いたのか、すっかりその気になっている。
道に迷っていることも頭から抜けている様だ。
■小鳥遊 日和 > 「うん、それならよかったです。 自分を模範だという気はないですけれど、
きちんと一緒に動けば、街での行動に不安なことはなにも……」
彼女の言葉に答えようとしたところで、急に足から力が抜けていく。
その場にへたり込み、彼女に掌を見せるようにして呼びかけた。
「あっ、ちょっと待ってください…立ち眩み…あ…え…ええ…?」
足元を見ると、山行用のブーツが脱げていた。靴下も。
そして足があった場所から除くのは、エメラルドグリーンの……彼女のそれに良く似た”鰭”。
山行服の中がもごもごと動く。 痛みもなく、魔力が自分の身体を材料に新しい形を作り出していくのだ。
――おそらく、彼女と同じ”人魚”の形に。
「あの、ルメルさん? なにかされて…ちょっと、ストップ!やめっ、やめてください…!」
彼女は自分の助けを受け入れてくれて、街へ行く話もしていたのだ。
なんとかする、防ごうとするという危機意識が低かったのもあるのだろう。
そのせいで反応が遅れ、今や魔力のうねりは自分の喉にまで至っている。
「ルメルさん…ルメルさん、ちょっと、落ち着いて―――」
制止する声は、すっかり愛らしいソプラノへと変わっていく。
先ほどよりもかなり見上げる形で首を上げ、彼女に呼びかけた。
そうしている間にも髪が伸び、胸には柔らかな膨らみが形作られていく。
彼女から見れば、どんどんと”おなじ”になっていく様子が見えるだろう。
■ルメル >
「っぷはぁ──……ふふ、これでお持ち帰り……!
……あれ? 声が高くなってる? これって……」
仕上げ切り、"おなじ"に変えた。
長く伸びた髪、制止を求める愛らしいソプラノ。確かな膨らみ。
それらを見て、この人魚はようやく気付く。
「たかなしサン──もしかして、おとこの子だったの?」
この人魚にとって予想の外だったらしい。
驚いたことで少々落ち着いたのか、身体を離してまじまじと見つめた。
段々と冷静さを取り戻しているようにも見える。
「ぜんぜん、気付かなかったわ……。」
■小鳥遊 日和 > ぎゅう…っと体全体が締め付けられるような感覚があり、
それが解けると地面に手をついて荒い息をついた。
伸びた髪がはらりと地面を撫で、呼吸するたびに柔らかな膨らみが揺れる。
ゆっくりと呼吸を整えてから、ぺたぺたと自分の身体を触る。
間違いなく…完全に人魚の”女の子”になっていた。
「……良く言われます。 それにしてもこんな…こんなふうにされるとは思わなかったんですけど…。」
抗議する声色は可愛らしいソプラノボイスで、媚びるような響きすらある甘いもの。
上目がちに彼女を見やりながら、もごもごと体を動かす。 彼女のように空中を動けるわけではないようだった。
「これって、もとに戻れるんですよね…?」
動けないのも困る。張本人に問うしかない。 何処か嗜虐心を煽るような幼い声色で呼びかけながら、
なんとか体を動かして…。最早体にフィットしない山行服を脱いだ。
「わー…本当に人魚になってる。体は…うーん、うん…。 中学生くらいかなあ。」
彼女に比べてだいぶ小柄な体躯、そして幼い声色から見て、ミドルかローティーンぐらいなのだろう。
ザックの中から、頭からかぶれる雨合羽を取り出して身にまとう。
とりあえずこれならある程度は体も隠れるし、保湿?もそれなりにできるはずだし。
■ルメル >
"おなじ"に変える際に起こる性別変化。
地面に広がる長い艶やかな髪、メリハリのある体つき。
自分の身体を触って探る、嗜虐心がそそる愛らしい姿の"おなじ"。
うずく本能を我慢しながら、会話を続ける。
「お水をくれて優しくて、お話しできる人間さんに会うのが久しぶりで、つい昂っちゃったわ。
このまま持ち帰ってずうぅっと飾りたいけれど……そうもいかないわね……」
完全に人魚の女の子になっている、人魚となった小鳥遊の髪を触る。
その手触りやしぐさが気に入ったのか、ほほーと感嘆の吐息を漏らした。
「えーっと……わからないわ!
でも、私よりすごい人間さんは見たことあるから、そういう人なら何とかできるんじゃないかしら?」
倫理や行動こそ野性の人外のそれではあるが、自身のことを絶対とは思っていないらしい。
自分より強い人なら何とか出来るだろうと、漠然な答えを返した。
「ひとまず、"街"まで私が連れて行くわ!
そこでいろんな人間さんに診てもらって、治せる人を探すのはどうかしら!
大丈夫、ちゃんと私からもたかなしサンが人間の男の子だったことは説明するわ!」
これで万事解決ね、みたいな自陣満々の笑顔。
罪悪感らしきものは一切見受けられない。
「これで私は街にいけるし、たかなしサンを元に戻せる人を探せるわ!
でも、こんなに綺麗になったのに……ちょっともったいないわ気もするわね……」
■小鳥遊 日和 > 「きっと最初に出会った”お人間さん”は厳しい方だったのでしょう。
でも大丈夫。 きちんとわかってお話すれば、街を見に行っても、誰も文句を言いませんよ。
もし言う人がいたとしたら、わたしがきちんと…んん、っ……!!」
”持ち帰ってずっと飾りたい”…本来なら忌避すべき言葉が耳に入ると、体にかっと熱くなる。
何かを言おうとしたけれど、髪を優しく撫でてもらうだけで心地よさが染み渡っていって、何も言えなくなってしまった。
「わからない…!? でも、たしかになんとか…なるのかな…? ルメルさんにも協力いただければ、
なんとかなるような気もしますね。 簡単なものではないけれど、おそらく糸口はあると思う…。」
彼女の言葉に驚くも、そっと頭を横に振る。さらさらと長い髪が揺れた。
自分、そして彼女が協力して情報を出せば、おそらくなんとかなるのではなかろうか。
魂から塗り替わるような変化ではない…ように思える子。気を取り直して、彼女の言葉に頷いた。
「ありがとうございます! そしてもらえるとすごく助かります。
二人で街に行けば、ルメルさんも悪い目には会いませんしね。」
…でも彼女のことだから、道行く人々に『この人魚は元人間さんの男のひとだったの』と紹介してくれる気がする。
色んな意味で恥ずかしいけれど、今は彼女にどうこういうよりも一緒に行動することのほうが大事だ。うん。
ザックから重たい飲み物や糧食を取り出し、山行服やブーツを詰めて持ち運べるようにする。
これで彼女と一緒に行っても大丈夫だ。荷物をなくすのもつらいし。
「…んん、っ…! あの、ルメル、さん…。 褒めてくださるのは嬉しいんですけど、その…。
そのたびに、体が反応してしまって…。 褒めるなという意味ではないのですが、その、嬉しくなってしまいそうで…。」
おそらく”おなじ”になってしまったことが原因なのだろう。
より強い存在に愛でられるたびに、全身を悦びが満たす。
姿も、髪も、持ち帰りたいという言葉も全部そう。
頬を染め、瞳を潤ませながら彼女を見上げて訴えかける。