2025/01/14 のログ
■ルメル >
「凄く余裕が無さそうで、オセンとかなんとか、言ってた気がするわ。
なんだか厳重に何かを囲ってるから覗こうとしたら、すごく詰められそうになったの。」
"何だったのかしら?"と言わんばかりに、大きく首を傾けた。
それが何だったのかも、この人魚は知る由もない。
艶やかな声が返ってくると、愉しくなってどんどん触ってしまう。
ルメル自身も、ふふ、と、無意識のうちに甘い囁き声を響かせていた。
「人間さんは何でもできるもの! きっと平気よ!
いろんな人間さんに診て貰えば、たぶんすぐよ!……たぶん。」
戻そう・抑えようと考えること自体が初めて。
これまではどうしていたかは、聞かない方がいいかもしれない。
……そんな人魚に気配りなんてものはないため、
魚の下半身を懸命に動かして荷物を回収しようとする小鳥遊の姿を見ても荷物集めを手伝ったりはしない。
むしろ。その姿に嗜虐心が働く。
本能のような、本能よりももっと濃いもののような。
「褒めなくていいの? こんなに美しくて、綺麗な人魚さんになったのに。
嫉妬しちゃうぐらい美しくて……海の上で出会ってなくてよかったわ。」
悦ぶ人魚の耳元で甘く甘く囁き、脳を揺らす。
声に魔力を込め、刺激を感じられるように細工をする。
この子を惑わして堕としたい──海妖としての本分を遺憾なく発揮する。
■小鳥遊 日和 > 「おせん…汚染、ですか…? もしかしたらその付近が有毒な状態だったのかも。
だとしたら、ルメルさんが強く窘められてしまったのもおかしくはない、か…。」
なんらかの原因で、立ち入る事ができない場所だったのかも。
だとすれば余計に彼女が…興味本位で近づいて怒られたという想像がつく。
曇りつつある頭で答えながら、のろのろと手を動かす。
彼女に触れられるたびに心地よさに動きが止まってしまうが、どうにかザックを背負った。
これでよし。 移動の準備はできた、のだが。
「そう、そうですね…見てもらえば、たぶんすぐ…すぐですよね。」
頷くが、その声色は自分でも気付かないうちにちょっと曇っていた。
戻りたくないわけではないけれど、眼の前の”なかま”が一人ぼっちになると思うと、
いたたまれない気持ちになったのだ。
「や、やだっ、褒めてほしい…! 褒めてほしいです…。 いや、そうじゃなく、て……。
ん――――っ……!」
彼女の言葉が耳から脳に入り込み、魂を柔らかく甘くくすぐる。
まるで声が全身を撫で回しているかのような心地よさに、よじるようにして身を震わせる。
”海の上で出会わなくてよかった”……あまりに恐ろしいその言葉すら、今の自分には
強烈な甘美となって魂を打つ。 小さく身を捩り、大きな鰭でばたばたと地面を何度も叩いた。
「るっ、ルメル…さんっ…。 わたし、そんなに美しくて…褒められるなんて…!
…そのっ…海の上で出会っていたら、ルメルさんをもっと喜ばせてしまうような人魚、ですか…?」
最早人間だったころの理性はなりを潜め、すっかり蕩けきった表情で問いかける。
すっかり相手の手のひらの上で転がされていることにも気づかぬまま、新たな”本能”に従い、
上目遣いで見上げ、甘く問いかけた。
■ルメル >
「有毒? うーん、それは嫌ね。親切心だったのかしら……?
……よくわかんないけど、人間さんも大変なのね!」
物事を深く考えることは苦手らしい。
思考を途中で放棄し、色々事情があるらしいことだけを理解した。
「……?」
ルメル本人は、"ひとりぼっち"であることを深く考えてはいない。
もっといえば、"おなじ"であっても"なかま"ではなく、『愛でる』もの。
愛玩や庇護の対象なのである。
「そう。今のあなたを見ていると、陸に出なくても百年ぐらいは満足できそうだもの。
ねぇ……あなたは本当に男の子だったのかしら? すごい綺麗な声、出しちゃってるの……気付かない?
これじゃあ私が男の人間って説明しても、信じて貰えないかも。そうしたらずっと、陸の上で飼ってあげる──」
"本能"のままに悦ぶ人魚を声と吐息で擽る。
喜びに悶える人魚の姿に、感情を暴走させていたものの……ひとつの問題が頭を過る。
「──あっ、でも、飼える場所がないわ。残念だわ……。」
陸に上がってしまったし、海にも戻れないので飼える場所がない。
昂っていた熱が、課題に圧迫されて収まっていく。
複数の思考や感情を両立させることも不得手らしい。
■小鳥遊 日和 > 「おそらく、そうなんじゃないか、と…。
わたし、あっ、あぁっ……♡」
彼女の、自分の魂をごりごりと擦るような言葉に前進を細かく震わせる。
自分はきっと人魚で、今彼女に”もとに戻して”もらったのだ。
そして、このひとに飼われて、ずっとこうして愛でられ続ける―――なんて幸せなんだろう!
今にも頷いてしまいそうになったところで、ふっと彼女のエンジンがオフになった。
はっと我に返り、ぶるぶると頭を振る。
自分が誰で、何者かを忘れていた。
内側からの昂りはおそらく本能からのそれだろう。
このまま彼女とずっとお話していたら、またいつ刺激されてしまうかわからない。
今回は彼女の興味が変わったからいいものの、次もそうなるとは限らない。
そうであればなおのこと、自分が彼女と一緒に街にいかねばならないはずだ。
捨て置くことなんてできないのだ。 少なくても、今の身体であれば。
「そ、そうですね。 陸にいるなら住むところも必要になるでしょうから、
一度街の方を見に行く必要があるかと思います。 荒野でキャンプ生活はさすがにまずいでしょうし。
…その、この姿だとうまくうごけなくて…連れて行ってもらえませんか?」
両手を相手に差し出して、抱きかかえてもらうようにおねだり。
無意識の行動ではあるが、姿が、声が、そして魂が、書き換えられた肉体の影響下にあるゆえの所作だった。
■ルメル >
単純で気紛れ、知能はあれど本能のままに制動を繰り返す奔放な人魚。
彼女自身が、知性体としては未熟な理性に振り回されているともいえる。
知能や自我を持ってしまった人外としての半端な性。
「そうね。私が抱えて連れていくから、道案内をお願いね!
あなたは海でも陸でも泳げないから、私が運ばなきゃいけないもの。
人間は人魚の泳ぎ方を知らないでしょ?」
"おなじ"となったものに、海を泳ぐ能力は与えらない。
基本的には不老不死となったまま、海の底で愛でられる定め。
運よく逃げおおせるものや、後天的に泳ぎ方を獲得したものは居る。
逆に半端な抵抗力で変化が切れてしまい、言切れてしまったものも居る。
ルメル自身はそれらのことを深く気にしていない。
「思ったより、軽いわ。もうちょっと重いと思ったけれど……」
差し出された両手を身を寄せ、人魚をがっちりと抱きかかえて自身の身体を浮かす。
そして、抱き抱えて運ぶとなると密着する必要がある。
「それじゃあ行きましょう! ねえ、どっちかしら?」
つまり、再び塗り替えられる感触が襲う。
とは言え明確に変えようとしていない為、最初に受けたような『魔力が体を撫でる』感触程度だ。
人間の時に少しくすぐったいと感じた感覚と同一のもの。
■小鳥遊 日和 > 「はい、わかりました。 ありがとうございます。
そうですよね、泳ぎ方…わからないですもんね。」
彼女に言われて理解する。この体は空も海も泳げないのだ。
つまりこうして、彼女に抱きかかえられていないと移動することすらできない。
ぎゅっと縋るように相手に抱きついてから、そっと鼻先を擦り寄せる。
彼女がやったように、体を自分から寄せてぴったりとくっつけた。
「重たい荷物は全部降ろしましたからね。 元に戻ったら回収しに来ます。
方向は…あっちですね、しばらく行けば街ですよ。」
ピッタリと体が密着すると、先ほどと同じ感覚…。体を魔力が撫でる感覚が走る。
けれど、今度は驚いたりはしなかった。 わかっているなら、恐れることもないのだ。
先程よりもより魔力を精細に感じられるようになったのは、自分が彼女に近い存在に
変化させられているからだろう。 鮮やかな魔力が自分に触れる感覚が心地よくて、
思わず甘えるように体を押し付け、擦り寄せた。
すごく幸せな気持ちだけれど、これに身を委ねてしまうわけにはいかない。
先ほどのようにならないためにも、きちんと自分を戒める必要があった。
ご案内:「未開拓地区:転移荒野 」からルメルさんが去りました。
ご案内:「未開拓地区:転移荒野 」から小鳥遊 日和さんが去りました。