2024/09/04 のログ
九耀 湧梧 >  
「それは苦労をかけたようで。
全く――お互い、碌でもない家の生まれを呪っておくとするかい?」

軽口を叩きながら、迫り来る分厚い斬撃を目にする。
存在強度が、先程とは桁違いだ。
先程の斬空を纏めて放ったとして、ギリギリ抜ける分を削り切れるか、という所。

(――やるしかないな。)

相対する女が強く、美しく、鋭い、己を殺す刃となって、向かって来るというのなら。

己はそれを上回る刃となって、その凶刃(思い)を迎え撃たねばなるまい。

(制限時間を仕込む暇は…ないか。)

ため息一つ。出来れば、「これで死んでくれるなよ」と願いながら、

『――――天清浄 地清浄 人清浄 六根清浄と祓給ふ 

天・地・玄・妙・神・辺・変・通・力・離――――』
 

九耀 湧梧 >  

                   《劍境――入神》

 

九耀 湧梧 >  
瞬間。

剣気の増大――否、爆発。

弾け飛ぶ程に膨れ上がった剣気が、剣戟の檻を突き破り――超広範囲を斬る、分厚い斬撃に、文字通り、
鍔競り合う――否、押し返しにかかる。

もし、それを目にする女が、本当に「刀を心の底から愛する」のならば、

その剣気は、力強く、美しい、一振りの巨大な刀を幻視させるかも、知れない。
 

八ツ墓 千獄 >  
男の左右に存在する廃ビルをバターの様に斬りながら向かう、己の剣閃。
それに対する男の対応は──真っ向からの、鍔迫り合い。

「っは…♡」

身体を這い上がるゾクゾク♡とする感覚
なんと美しく、雄弁で、雄々しい剣気───。

「切り捨てるには惜しい──ですが。
 (わたくし)もこの()を振るっている以上は無様を晒すことは出来ませんね──♡」

抜刀、そして切り返すように放たれる、縦の斬撃。

「──連ね一文字」

無限に連なり一つとなる光刃。
厚みという強力な存在強度を持つ剣閃へと叩きつけ、後押しとする如何様技。

互いに人知と術技を超えたものを繰り出しながらも、究極的には互いの剣気の力比べ。
拮抗は、長くは保たれないだろう──力場というものは必ず崩壊する時が来る。

此れ程の剣気の衝突。崩壊した際にどれほどの残滓が炸薬が如く放たれるのか。

それはそれで、息を呑み端なくも濡れてしまう程に、美しい光景なのでしょうね───。

九耀 湧梧 >  
分厚い斬撃と鍔競り合う、膨れ上がった剣気の柱。
その柱が少しずつ細くなる。

衰えたか、と思うは早計。
さにあらず、無造作に膨れ上がった氣を「収束させている」。
ただ刀身で受け止めるのではなく、刃立て、後押しする斬撃ごと、斬り裂かんと、
剣気の柱は、剣気の刃へと――長大な、刀の刃の如くに変じていく。

圧す。
圧す。圧す。

圧して、圧して、圧して、圧して、圧し斬り。

斬って、斬って、斬って、斬って、斬り裂かん。


剣気の柱の中、垣間見えるは、天高く右腕を掲げる一人の男の姿――――――



否。

女ならば、それに気が付く事は難しくあるまい。
 

九耀 湧梧 >  

其処に立っているのは

人の形をした「刀」。

念法術と魔術、「剣」に対する理解と習熟、そして「概念殺」の理論の応用。

術者の「人間性」という概念を鞘の如く捨て去り、

己を「刀」という概念へ置き換える。


人としての在り方を捨て去り、自身を斬滅の凶器へと変える、外法の術理――。
 

八ツ墓 千獄 >  
──女を生んだ家柄は、ただ斬る、それだけを望み続けた一族だった。
この世に己が斬れぬものが在ることを一切我慢為らぬ。
それに必要であるならばすべてを都合する。
武器、血、肉体、時間、概念、次元───。
気狂いの所業。
そんな家に生まれた女は───供物。
しかし供物とするにも、血が薄。
そう断じられ、処分されるべき失敗作だった。
それを逃れた、不完全な存在、欠けすぎた女は…完全なるもの、欠けのないものを求め生きることになる。
己の中に確かに滾る斬殺欲求を飼い慣らすに至ったのは、それなりに最近のことと言える。

「──それが貴方の」

己の在り様すら変えようとは、文字通りの切り札……。

「……惚れ惚れしてしまいますね」

くすりと笑みを浮かべる女の血の色の瞳は薄く細められ、眩いその大業物を見つめる。

──刹那。
空間ごと押し合う剣気の坩堝が切り裂かれ───崩壊する。
目も眩まんばかりの剣気が迸り、その波に飲まれるかの様に──焔に包まれた落第街の一角を包む。
やがてはその焔すらも斬り裂き──、後には、元通りの薄暗い静寂が戻る───。

ご案内:「落第街の一角」から九耀 湧梧さんが去りました。
ご案内:「落第街の一角」に刃ナル者さんが現れました。
刃ナル者 >  
その男の生まれた家は――否、世界は「魔術」こそを第一とするものだった。
魔術こそ世の心理也、他は総て些事に過ぎず。
その価値観の世界、その価値観の家で、"魔術を扱えぬ身"で生まれた男は、
その事実が発覚した時から「出来損ない」だった。

魔術が使えぬが故に武を磨き、認められんとしても、「出来損ない」の烙印が覆る事はなく。
遂には汚点を消し去るかのように己を殺そうとした父を殺し。
元居た世界から逃げ出し。

禁忌と言える常ならぬ手立てで以て、力任せに魔術を扱える身とした男にとって、
禁忌とは一度踏み越えた以上、次に踏み越えるも躊躇いなきもの。

想う女が刀しか――刃しか愛せぬのならば、
その心に灼き着いて離れぬ程の、一振りの刃と化してみせよう。

己の身にまで剣気を収束した、刀と化した男がゆるりと眼を開き、女に視線を向ける。

それだけで、まるで突き刺されたような、喉元に切っ先を突き付けられるような感覚に襲われる、怪奇。

『――――――――』

否、今やこの男は一振りの刀。
視線一つで、人を突き殺す事すら、出来てもおかしくはないだろう。
視線一つ、腕の振り一つ、あるいは、飛び散る血潮すら。

――此処に在るのは、ただ一振りの。
刀のみを愛する女に刃を向ける、女の手には収まらぬ一刀。
 

八ツ墓 千獄 >  
男の出生など女は知る由もない
女の出生など男が知る筈もない

或る意味皮肉めいた境遇の出会いだったのだろうか。
それが結果として齎した光景が、女の血色の眼に移るこの光景なのだとしたら。
───やはり皮肉としか、言いようがない。

「───」

迸った剣気は女の身を刻み、無数の切創を残し血風に彩らせていた。
しかしまるで痛覚がないかの様に咲い、その場に立ち尽くす女はただただ、刃を化した男を見据える。

「美しき刃」

「──この手に握れぬのは、少々癪で御座いますね」

「何処までも、貴方は(わたくし)を苛立たせるのがお上手です」

鮮血の雫を四肢から伝い零しながら、血濡れの瞳は真っ直ぐに。
そして口元には狂笑ではない、穏やかな笑みを浮かべて。

刃ナル者 >  
女の業を男が深く知る事はなく。
男の業を女が深く知る由もなく。

皮肉めいた境遇の邂逅だったとしても。

大事なことは、今此処に女と男が居る事。

『――――。』

無言で男が――人の形をした刃が、一歩を踏み出す。
踏みしめた地面が、ぴしりと裂ける。

刀の本分とは何ぞや。
言うまでもなし、何かを、誰かを斬る事だ。

一歩、また一歩。
人の形をした刀は、歩みを進める。

視界に在る女を「斬る」為に。


――力強く、美しき刀の幻影が、静かに迫り来る。
 

八ツ墓 千獄 >  
この美しく気高い刃を傷つけることは、女には出来ようもない。

「──どうせ一度は潰える筈だった命」

「見惚れる程の刃にこの身ごと両断されるのであればそれも好し──」

手元の白鞘を地へと寝かせ、女もまた歩みを進める。
鮮血の道を己の背後へと棚引かせながら。

──女の背後には妄執が具現する。
それは膨大なる剣気にあてられ現れたものか。
己の命と大事な相棒を奪いに奪った女への拭いきれぬ、
吐き気すらも催す様な、女の命に絡みついた無数の怨嗟だ。

それらごと断ち切り斬滅することも、今の目の前の刃であるならば、可能なのだろう───。

刃ナル者 >  
地面を裂きながら、一振りの刀が静かに迫る。
歩を進める女を斬る為――――斬る為――――――


『――――。』


否。
女の背後に、見えるモノがある。
――嗚呼。
あまりも罪深く、あまりにも業深く、あまりにも血に塗れている。
女が背負って来た無数の怨嗟。

――――歩み寄る者を斬り殺すは、容易い。
腕の一振りで、決着を付けられる程かも知れぬ。

刀の幻影が、切っ先を変える。
より斬る事が困難な存在へと。

もしも、人ならぬ刀に意志が宿るとしたなら。
刀は、それを持つ者の心を映した意志を持つのかも知れぬ。

男は、「常では斬れぬモノを斬る」事を求めた。

なれば必然、容易く斬れるモノではなく、「より斬れぬモノ」へと刃を向けるが――人刀へと変じた男の
意志を、人刀が受けた結果と言うべきなのか。

するり、と左の腕が構えを持つ。
刀を持たぬのに、幻の刀が脇の構えを取ったかのような情景。

そして、その腕から、一太刀が放たれる――――
 

刃ナル者 >  

                         《――――理断チ・黒白》

 

刃ナル者 >  
それは、かつて女が男に放った、奇跡の如き一刀が発端。
その一刀に魅せられた男が愚直に刀を振り続けた末に至った、
灰色の理をも白と黒に分けるが如くに斬り断つ、概念殺の一刀。

刀と化した男が、斬滅の腕で以て、斬断の一撃を放つ。

ただ、その数知れぬ怨嗟を「斬り、滅したい」。

困難だからこそ、その刀は斬らずにはおれなかった。
 

八ツ墓 千獄 >  
男の所作を見──女は血色の眼を閉じる。

以前迎えようとした死よりも良い死に様だろう。
その貌は穏やかなものだった───しかし。

「───…!?」

刃が斬り裂いた者は、女が背負うべき罪過と、怨嗟。
己から大事な物を奪い、命までも奪い去った醜悪なる斬殺者への怨嗟。
それは女が背負って然りのものであった。

「……莫迦なことを、なさいますね」

しかしそれは刃そのものなれば──已む無しということなのか。
浮かばれぬ魂達を一太刀で滅して見せた。──憐憫の意思こそ、女にはないものの。
彼らの命、魂ともいえる愛刀を、殺して奪ってきた女にとって、それは一抹の寂しさを覚えるもの──。

既になにもない空間を振り返った女が、視線を戻す。

「───さあ、もうほかに斬るべきものはなくなりましたよ。──どうするのです?九耀湧梧

名もなき刃。
その刃に名を与えるならば、女の知るものは、それだけだ。

刃ナル者 >  
『――――。』

刀なる者が、視線を向ける。
――刃を立てられる感覚こそあれど、突き殺すような切れ味はない。
流れ落ち、固まった血のような赤黒い、無機質な瞳が――瞳が、語る。

――――

オマエを

キるのは

マダ ハヤい

――――


刀なる者の瞳が語る。
また刃もて向かって来るならば、いつかまた相対する時が来るかも知れぬ。

その時――斬るに値するならば、貴様を斬る、と。


――その刀は、女には手にする事が出来ぬ刀だったが、



女には、その刃を、「鞘に収める」事が出来た。
 

ご案内:「落第街の一角」から刃ナル者さんが去りました。
ご案内:「落第街の一角」に九耀 湧梧さんが現れました。
九耀 湧梧 >  
ひとたび目を閉じ――開かれれば、そこには、男が戻ってきている。

女の有様を目にして、小さく嘆息し、


「――済まんな。お前を斬り殺せる刀には、なり切れなかったようだ。
俺も、未熟が過ぎるらしい。刀に変じて、その刀に愛想を尽かされるとは。」

――それは、恐らくは大いなる誤解だろう。
 

八ツ墓 千獄 >  
「───」

形の整った鼻腔から抜ける様な溜息を女はつく。
麗しく、力強く、冴え渡る…斬気を形にしたかの様な生ける刀は、鳴りを潜めてしまった。

「──……いえ」

饒舌な女にしては、物静かな回答。

「随分と色々なモノを斬り奪われてしまいました。
 貴方が斯様な刀剣に変じて見せるとは───」

見くびり、ですらない。
そう成ろうとする者などいるだろうか。
目の前の男以外に。

「興が湧きました。
 いずれまた魅せていただくことと致します。
 刃を選ぶのが人なればこそ、また人も刃に選ばれる──…ふふ、私では見合わぬと」

くすり、くすり。
笑みを深める女はその血色の眼を大きく開き、男…湧梧へと紅い視線を向けて。

「面白いですね?俄然やる気が湧いてきた…というものです。
 かの刃…必ず私の掌中に収め、蕩ける程に愛でて差し上げます───」

……女の笑みは何か、更に危険な領域に踏み込んでいくかのようであった。  

九耀 湧梧 >  
「………。」

見た所ズタズタに斬り裂かれていながら、危険な領域に踏み込むような笑みを浮かべる女に、
男は思わず手を額に当ててしまう。

「……悪い、アレを使った時は基本、記憶が吹っ飛んでる。
人間が剣や刀になるようなものだ、無理もないが…一体俺は(アイツ)、お前に何をしでかしたんだ…?

いや、やっぱり良い。碌な事をしてない気がする。」

大きなため息が漏れてしまう。
覚えていないとはいえ、刀と化した己が何をしでかして、結果目の前の女がこんなに昂っているのか。
ちょっと知りたくない気がする。

「……ま、斬り(やり)合うならお互い、周囲に少しは気を使うとしようぜ。
毎度こんな大事を起こしたら、流石に公安や風紀委員が五月蠅いだろ。」

というか、自分は既に目を付けられている。
周囲に気配は感じないので、この一件は目撃されていないと信じたいが。

「……まあ、今日はこれでお開き、って流れかね。
珠の肌が酷い有様だが、帰れそうか?」

この様子なら平気で歩けそうな気はするが、流石に血を流し過ぎて死なれては寝覚めが悪い。
 

八ツ墓 千獄 >  
「それは、"秘密"とさせていただきましょう。
 謎が多いほうが女は魅力的らしいと聞きますので」

笑みを浮かべる、血塗れの女。
辺りは残火により黒煙が舞い上がり、切断された廃ビルは見事にズレ、いつ倒壊してもおかしくない。
迸った剣気は一角のあちらこちらを切り刻んでいる。

程なくして風紀委員の車両のサイレンが遠く聞こえはじめたのも已む無しといったところだろう。

「残念ですが、意中の者を奪おうという最中に周りなど見てはおれませんね。
 公安だか風紀だか知りませんけれど、邪魔をするなら鱠にして差し上げるまで──」

どちらにしろ一騒動にはなっている。
現場から離脱するならば速いに越したことはないだろう。

「ふふ…むしろ私は血の気が多すぎるきらいがありますので、
 これくらいのほうが頭に血が上らなくて丁度良いのかもしれませんね──?

 ……それでは、次はもう少し、貴方に踏み込ませて頂くことに致しましょう。
 かの刃、どうか曇らせることありませんように」

とん、と地を蹴る黒衣の女は黒煙烟る宵闇に溶け込むかの様に、その場から姿と気配を消してしまう。
───不敵にも、可愛らしくも聞こえよう、小さな笑い声を残して。

九耀 湧梧 >  
「………。」

やはり碌な事をしていない気がする。
頭を抱えたくなったが、何とか堪えた。

「本当に、あんたは相変わらずだな…。
ま、それなら騒ぎになり辛そうな場所を見繕って待つことにするさ。
膾とはいかんが、邪魔をされると俺も手元が狂ってしまうかも知れん。」

そして、女が去る様子を見せれば、軽く手を振る。

「――そういうあんたも、腕を鈍らせないでくれよ。
お互い、相方の刃は万全に研いでおくとしようぜ。」

笑い声を残して、宵闇に消える女を見送れば、自身もこの場を去ろうとして、一度振り向く。
口からこぼれるは、回答者の居ない問い。
 

九耀 湧梧 >  
「――――、俺は、お前の心に灼き着いて、離れないような「刀」になれたか?」

今は遠い世界で、一度だけ聞いた、かの剣姫の生まれた時に与えられた名前。
それを伴った、答えなき問いを残し、黒いコートの男もまた、コートと赤いマフラーを靡かせながら
地を蹴り、武侠映画さながらの動きで以て、凄惨な有様となった落第街の一角から飛び去って行った――。
 

ご案内:「落第街の一角」から九耀 湧梧さんが去りました。
ご案内:「落第街の一角」から八ツ墓 千獄さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏の一角」にギフタ―さんが現れました。
ギフタ― > 路地裏の一角
危険な場所だったり取引現場だったり時には演説場所だったり
色々と便利に使っているその場所に彼は居た

「ごきげんよう諸君!
…と、今日はリスナーも観衆も無しであったか。」

いやぁ参った参ったと見下ろせば倒れている少女
先程迄離れた場所で戦っていた魔法少女マリア

悪夢にうなされているのか苦悶の表情を浮かべ声も漏れている

「すまないであるぞマリアよ、まさか幻術破りの様な真似をする魔剣士とは流石に想像してなかったである。
この世界にも居たんであるなぁ、魔剣士。」

額に手を当てる
今日はいつもの派手な演出の光は無し
次第にマリアの表情は柔らかいものとなっていく