2024/10/24 のログ
ご案内:「Halloween Night Memory」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「Halloween Night Memory」に伊那美 環菜さんが現れました。
橘壱 >  
常世学園 学生街 某ショッピングモール。
現在常世学園はハロウィンナイトというイベントが開催されている。
地球に存在した文化の名残だ。かつては仮装等を楽しむものだが、
今やそれらは本物が点在するようになった。
今ではお菓子を強請るような本当の祭り騒ぎだ。

「…………え、っとぉ」

そんなわけで幼馴染をお誘いし、一緒にいる。
せっかくのイベントだし、彼女に楽しんでもらおう。
返事はまだだけど、遊ぶ位ならという事で自分から誘った。
てっきりコスプレしてくると思ったのだが、
まさか選ばされるところから始めるなんて思わなかった。
そんなわけで急遽、学生街のショッピングモールにいる。
ちゃんとイベント時にはそういう仮装が並んでいるのだ。

「僕が選ぶのはいいんだけど……ほ、本当に何でもいいの?」

既にコスプレ。所謂某恐怖の博士の風体。
愛機もそれっぽい怪物用外装で仮装させ、
まさに此等二つで完成する自分なりの仮装だ。
この前もちょっと欲望に任せて色々やったが、
ちょっと二度目なので理性と欲望のせめぎあい。
隣にいる彼女を横目で見やり、おずおずと尋ねる。

「ていうかその尻尾何……?」

伊那美 環菜 > 「うん、ちぃくんが選んでよ。」
嬉しそうに是と答える、少女の腰には今までなかった魚系の尻尾が揺れていた。
びたんびたん。

「だってほら、こないだ同室のイヴくんのしっぽ気に入ってたみたいだから、
ちょっとがんばってみたんだあ。」

どうかな?と言いたげに目の前で揺らして見せる。
シャークっぽくはあるがリアリティはさほどない。どちらかといえばぬいぐるみっぽい雰囲気がするだろうか。
ただ、作り物・・・というわけでもなさそうで。


「それにほら、二人でショッピング…ってまさにデートでしょ?」

橘壱 >  
なんだかやたら他人に対抗するな。
この前の旅行の時もそうだったし、
まさかイヴにもそういう意識があるんだろうか。
脳裏に過る思い出に、無意識に首筋を撫でた。

「イヴの尻尾はこう、肌触りがいいから……。
 か、環菜ちゃんは環菜ちゃんでそのままでも可愛い……、
 ……凄い揺れるね、それ。魚っていうか……サメ……?」

なんだか既視感あるなぁ~。
しかも元気に揺れている。作り物っぽさはない。
まぁ今の時代、精巧な尻尾位魔術で作れたりするか。

「そ、そっか……デート、か……」

誘った手前、そうなんだけど気恥ずかしさがくる。
それだけ彼女を意識している事でもあった。
ほんのり頬を赤らめながらじぃ、と並ぶ服装を視線でなぞる。
仮装のためとは言えこのぐるぐる眼鏡、見づらい。

「そう言われると色々試したくなっちゃうな。
 スタンダードにこういうのとか、どう?」

そう言って手に取るのはメイド服。
何故かはわからないが、その尻尾にはこれが合う気がした。

伊那美 環菜 > 「さめかな…狐はちょっと難しかったんだー。
肌触りはそんなに悪くないと思うから、ぜひ触ってみてよ。」

首筋をなでる壱くんの様子に少し目を細めて、歯をかちかち、と鳴らす。
その口元もどことなく鮫っぽい感じがしただろうか。

「じゃあちょっと、着てくるね!」

メイド服を受け取ると試着室のほうへ入り、シャッ、とカーテンを閉める。
スカートを床に落として、制服の上着もハンガーにかけて
メイド服を・・・

「うーん…胸元入るかな… よいしょ、っと…」

大きなサイズを選んだのだろうけれど、それでもなんとか納まるかな?といった様子で
なんとか収めたというか、なんとか着れた格好で試着室から出てくる。

「ちぃくん、あ、いや 『ご主人様』、どうかな?
似合う?」

ぱちーん、と片目をつむってポーズをして見せて。
たゆん、と少し胸元が揺れた。

橘壱 >  
「む、難しい?一体どんな技術が……」

彼女曰くそうらしい。難しいとは一体。
そう言えば妙に肉食系っぽい雰囲気というか、
なんだかサメ尻尾も妙に似合う。
試着室に入る前に、カチカチと鳴らす仕草に、
一瞬ドキリと胸を高鳴らせていってらっしゃいとお見送り。

「(大きいのを選んだ気がするけど、もう少し胸囲に余裕が……、
 ……え!?アレでもキツいのか!?た、確かに彼女のは大きいけど……)」

それこそ目を見張るビッグサイズ。
目視で結構デカ目だと思ってはいたけど、
やっぱりちゃんと図ったほうが良かったか。
漏れ技超える声に胸元を抑え、出てきた姿は……。

「おおぉ……!?お……!めっちゃ似合うっ!!」

ぐっ、と某四コマっぽい悦び方。
オタク、結局こういうのに弱い。
しかもこう、妙にエロい。テンションも上がる。
……が、幼馴染。たゆん、と揺れる胸に目を一瞬奪われ、
赤らむ頬を軽く振って、気を取り直して咳払い。

「ゴ、ゴメン。はしゃいじゃって……そ、それより胸キツい?
 ちゃんとサイズ見ればよかったね。ゴメン、ちょっと服のそれ、見ていい?」

……思い直すと結構変態じゃないか、これ?
幼馴染相手でもまずくないか???
内申キョドるオタクくん。

伊那美 環菜 > 「うーん、乙女の努力、かなあ。」

口元に指先を当てて。
異能由来だからか、あんまり詳しくここで語るのはやめておく。
ちぃくんにはコンプレックスみたいだし…楽しい場所で話すようなことでもない。

褒めて喜ばれて、微笑んで。
「似合う?よかったー。
胸元はちょっとね。異邦人さんもいるし結構なんとかなったりもするんだけど、
やっぱり普通のサイズだと合わなかったりはするんだ。
いいよ、ほら、見て見て。」

ぐぐっと、胸元を壱くんの目の前に差し出すように近づく。
メイド服の下に下着も付けてはいるが、ブラが少しちらちらと見えていたりもして。
ちょっときわどくはある、だろうか。

「サイズの融通が利くような衣装のほうが便利だったりはするよ。
制服もほら、上下別だしね。」

橘壱 >  
「乙女の努力、ね……」

恋に勉強に、努力の方向性は人それぞれ。
何よりも自分もそれを積み重ねるタイプだ。
そう言われるなら気になるけど、納得はする。

「そ、そうだね。バッチシ。何故か知らないけど、
 メイド服とかなり親和性があるしね……って、わ、わぁ!?
 ちょ、ちょっと待ってって!?せめてそういうのは脱いだ方から……!!」

せめてそこは脱いだ制服とかからだろうに。
手のひらを向けてどうどう、と落ち着かせるも、
ぐるぐるメガネの向こうできっちり谷間を見ている。
ゴクリ、と生唾を飲み込めば衣装棚へ視線をずらした。

「た、確かにおっきくなったり逆にちっちゃい人もいるし、ね。
 ……さ、サイズ……サイズの融通、か……、……い、いやぁ……」

魔女服に妙にそれっぽいローブ。
そして、包帯。うん、包帯。多分ミイラ用。
なんでこの場にそんな無造作に???
一番サイズの融通が効きそうだが、流石に……と思いつつ、目線はそこに止まりっぱなし。

伊那美 環菜 > 「え、あ。脱いだほうがいーんだ?
ちぃくんったらこんな場所でだいたーん…。」

くすり、とからかうように笑みを浮かべつつ
ちら、と胸元を少しめくって見せる。

「サイズならね、えっと…ひゃくごじゅう、だけどお。
結構ぴっちりした服じゃなければ都合はつくかなあ。」

服選びの横に並んで、魔女服やミイラ用を眺めてみて。
壱くんの視線の向きに合わせてそちらを見る。

「あ、包帯とかそだね便利だねえ。」

橘壱 >  
「!?ち、違うって!!縫いである制服とかから、その……」

ぶんぶんぶん、と慌てて首を振った。
眼鏡をカチャリと付け直し、めくられる胸元にどきまぎ。
10年前以上はもっと、おどおどしてた気はするのに、
歳月というのは、此処まで女性を大胆にするのか。

「ひゃくご……!?凛霞先輩よりも通りで大きいワケだ……」

正確なサイズを知らないけど、
目視で先輩より大きいのは知ってた。
いけない、サイズがはっきりするとこう、
より"意識"してしまう。落ち着け我が息子。
まぁとっくにズボンの下でスタンバってるんだが。

「…………」

便利そう。便利って何???
いや、試着。そう、試着なんだ。
既に前科一犯(?)だし、幼馴染にするくらいならきっとセーフ。
なんだか前より吹っ切れた壱の決断は速い。
す…とまず包帯の方を手に取り、差し出し……。

「宜しくお願いします」

90度腰を曲げた礼……!圧倒的な、お願い……!

伊那美 環菜 > 「脱いだ制服がいいの?はい。
そうだよー。おっきいと目安にしかならないけれど。」

小首をかしげて、試着室に残った環奈の上着を渡す。
そうして代わりに包帯を受け取って

「じゃあちょっと改めて試着してくるね!」

と言うと、試着室に戻る。
メイド服を脱ぐ衣擦れの音、包帯を体に巻き付ける気配…。
そういった音が試着室越しにも聞こえてくる。

再度何かの衣擦れの音が聞こえてから。
試着室のカーテンが開かれ―――

「はい、『ご主人様』、ミイラメイドゾンビですよーだ。」

がおーと襲い掛かりそうなポーズをとった、
胸元を包帯で抑え、頭部にも右目を覆うように包帯を巻きつけた包帯メイド姿の環奈が
試着室を出てくる。

もちろんしっぽにもちゃんと包帯を巻いてあって、
ぴょこん、と揺れた。

橘壱 >  
「えっ、あ、ちょ……」

そういう意味ではなかったんだけど、
思わず交換する形で受け取ってしまった。
手元には何時も幼馴染が来ている制服。
ナニカ言う前に閉じてしまったカーテン。
取り残される、壱。

「…………」

布切れ音を目に、高鳴る心臓。
碧の双眸は制服をじ、と見下ろし、
そして、それを鼻先に……。

「っ!?お、おぉ!?まさかのミックス!?
 凄いな……妙に肌色にマッチする……」

ば、と慌てて制服離して引きつった笑み。
単品ではなくまさかのミックス。
いや、これ結構破壊力高いな。素材がいい。
オタクくんなため性癖のプールは広い。ティア1(なんの?)
思わず無言に携帯端末を構えて、写真を撮った。

「確かに似合うし御主人様っていうのも、こう……"クる"な。
 けど、メイド服かぁ……折角だし、僕と合わせる感じで、コッチのがそれっぽい?」

もう片手に持った魔女服。
勿論今の時代、そのままでもハロウィンっぽい。

伊那美 環菜 > 「えへへー。うれしいね。」

端末のカメラを向けられればあらためて笑顔でポーズをとって見せたりして。
いくつか写真をとってもらってから、差し出される衣装を受け取る。

「うん、次かな。合わせるならそうだね、狼とか吸血鬼とか…
えーっとこれは…魔女?」

シンプルなローブ姿だろうか、有名な魔法学校バリエーションや魔女っ娘バリエーションもそこらにありそうだけど。
ただこれを羽織って見せるだけなら、試着室に入る必要もないだろう。

コートを着るようにその場で上から羽織って見せて…
胸元がドーンと主張してその下にローブが垂れ下がる姿になる。

「こういうローブは腰で縛れるとまだ見れるんだけど…
もしくは今着てるみたいに、前開きで下に何か着たほうがいいかな。」

うーん、さすがにじゃないかな、と感想を述べつつも
軽くふわっと、その場で回って見せた。包帯で抑えたままの胸がそれでもぽよぽよと揺れる。

橘壱 >  
「狼とか吸血鬼は尻尾と喧嘩しそうだなぁ……。
 ローブも僕は悪くないと思うけど、人に見られると……」

なんかちょっと良くないな。
別に"自分のモノ"でもないが、彼女にちょっと悪い。
となると、このメイドミイラが安牌っぽいかも。
たゆんたゆん揺れまくる150↑の暴力をきっちり目に焼付、
うんうんと頷いている。何処目線だよお前。

「そうだね、じゃあメイド服とミイラので行こうか。
 お祭りは暫くやってるし、また違うコスプレにしようか」

「こうして着飾るのもいいけど……折角なら、さ。一緒に周りたいしね」

せっかくデートって言うならそれが醍醐味だ。
静かにはにかみながら手を差し伸べる。

「お互いまだ、積もる話もあるしさ」

伊那美 環菜 > 「そうかな?吸血鬼でおしりになにかあったっけ…。
あ、ならしっぽ消すこともできるよ。がんばったら。」

提案だけはしておく。気軽に出し入れできるほど慣れているわけでもないが、
異能によるものなのでしっぽの付け消しは可能ではある。

とりあえずそこらにあった狼耳だけつけて見せて。
ローブもそのまま、ただし前を開いて見せたので
ミイラウルフメイドゾンビシャークウィッチ!大渋滞である。

「じゃあミイラメイドでお会計しちゃうね。」

結論が出たのでそれ以外の部分は脱いでお返しして、
店員にタグをきってもらう。

「そうだね、まだデート本番はこれからだよね。」

たのしみといいたげな様子で微笑んで、差し出された手に手を合わせた。

橘壱 >  
「頑張ったら消せるんだ……。
 一体どういう感じなんだホントに……」

異能はゾンビと聞いていたが、
明らかにゾンビっぽくはない。
もしかして、パーツのツギハギが出来るのか?
ということはサメの尻尾は……いや、深く考えないでおこう。
彼女のことだ、悪い事はしていまい。

「いや、流石に属性大渋滞だよ!?
 ……まぁ、可愛いからいいか……」

性欲の欲張りセットである。
だが、何よりも可愛いが勝る。
その格好のまま一旦お会計。お金は男の自分が出す。
これは譲れない。大体趣味に付き合ってもらってるわけだし。
温かな人のぬくもりを持った手が、彼女の手を握り返す。

「そう、本番。さ、行こうか」

そういうわけで彼女の手を引きエスコート。
ショッピングモールを後にし、大通りに出れば
色んな屋台どころか、同じような仮装している人物がたくさんいる。
それこそ吸血鬼やら何やら、色々。此の中に、"本物"が何人いるんだろうか。

「やっぱりお祭りってなると一杯だな……。
 何か食べる?かぼちゃのお菓子とか屋台とか、色々あるみたいだけどさ」

伊那美 環菜 > 支払いを壱くんが進んですれば
それに任せて、礼だけはきちんと述べる。

「ありがとう、ちぃくん。大事にするね。
…ちぃくんのってことで汚してもらっても、いいんだけど。」

包帯だけの姿を期待しちゃったりしたんじゃないのかな、と
再度ちらとメイド服の下を見せて。今度は下着じゃなくて包帯が胸をぎちぎちに巻いている。
脱いだ制服とブラは紙袋に入れてもらった。

手をつなぎあうと
少しだけ寄り添うように、胸が触れるくらいまで身を寄せて。

「ハロウィンの人がいっぱいいるね。
かぼちゃがやっぱりメインかなあ。菓祖祭もあるし甘くないものもいいけれど…
うーん、ちぃくんのおなかの具合は、どう?」

軽いものか、重いものか。
女子同士なら遠慮なくタピオカにしてしまうのだけど。
携帯でとこログをチェックしながら尋ねる。

橘壱 >  
「んんっ!?」

思わず変な声出た。
本当に大胆になったな。思わず口元を手で抑える。

「え、えっと……後でね

なんて、思わず言ってしまった。
自分のモノでもないのに、答えも返してないのに、
体ばかりどんどん沼に引きずられてる感じがする。
よくない。非常に良くない関係な気がしてくる。
何とか、何とか関係をはっきりさせないと……。
そのためにも、デートに誘ったんだから。

「まあね。皆お政は好きなんだよ。
 僕は甘党だから、かぼちゃのが好みだけど、
 アッチのお祭りにも興味あるなぁ」

そう言えばイベントがもう一つあったっけ。
あっちも今度、行ってみるのもありかもしれない。

「僕?こう見えてバッチシ何でも入るよ。
 環菜ちゃんが良さげな店とかあれば行くし、
 環菜ちゃんがほしいモノがあれば何でも言ってね」

男の子だからだいたい何でも入る。
横目で彼女を見やりながら口元ははにかみ笑顔。

伊那美 環菜 > 「・・・うん。」

軽く頬を染めながら、おっけーと言いたげに上目づかいで頷いて見せる。

「結構しっかりしたもので甘くても大丈夫…
屋台だとちょっと軽すぎるかな。神社のほうも楽しいけれど…。
あ、近くに喫茶店があるみたい。行ってみる?」

とこログをめくっていて、エベレストという名の喫茶店を見つける。
写真のメニューは割ととんでもないものも多いようだが…
旨い、との評価はかなり良い。

そんな携帯の画面を見せながら、どうかな?と問いかけた。

橘壱 >  
オッケーしちゃったよ。
この子は自分のことを受け入れすぎている。あまり良い、とは言えない。
けど、それに溺れかけている自分も……。
照れ臭そうに頬をかきつつ、彼女のスマホを見た。

「商店街の方のお店か……確かドカ盛りとかが有名な……。
 うん、そうだね。期間限定メニューもあるし、行ってみようか」

此処からなら歩いてちょうどいい距離だ。
行こうと決めれば彼女の手を引き、商店街方面へ。
随分と人が多い。はぐれないように気をつけないと。
だが、返って人が多いからこそ、誰も会話に注視しない。
今が丁度いいかもしれない。

「……ねぇ、環菜ちゃん。
 別れちゃった後、どうしてたの?
 その、異能のこともあるし、何してたのかなって思って」

「あんまり僕から聞くことじゃないけど、
 そんな昔の約束を律儀に守るほど、いい人いなかったのかな、って……」

結局色々はぐらかされていたけど、聞きたい所だ。
彼女の事。自分の知らない空白の10年間。異能。
此等をちゃんと知らなければ、いけない。自分の、彼女のためにも。

伊那美 環菜 > 「じゃあ目的地は喫茶店で、
途中に良さそうな屋台とかがあったらよろっかあ。」

はぐれないように、もう片手をつないだ手に回しながら。
あちこちのお店にも視線を巡らせている。

そんな密着しているから、
それまでを聞かれたときに、すこしびくっとしたのもわかるだろうか。

「あ、えーっと… わかれちゃった、とかいうとびっくりしちゃうな。
小学校から、その先のことだよね。」

「うーん…特に何もなくて、かんなだからね。普通、だったよ。
異能は、うん、目覚めるようなことがあったんだけど…。
そのあとはあれこれあって・・・学園に来たのは、だいたいわかるよね?」

しばらくの義務教育はなんてかわったところもなかったし、
ちぃくんと比べて環奈自身も普通だった。
あのことがなかったら…
そしてその後の、異能を手に入れた後のことは目覚めた人が学園に来る、その手順通りで。
説明したとしても通常の一連の手続き通りになるだろう。

「…ちぃくんのほうは、いいひといたの?
かんなにはそんな特別なことはなかったよ。それに…ずっとちぃくんのこと、覚えてたから。」

ぎゅ、と腕に抱き着いて。
不安げに壱くんのことを見上げる。

橘壱 >  
ビクリと震えているのが直にわかる。
前に聞いた時も、それなりにはぐらかされた気もした。
何となくだけど、彼女は此の自分の知らない時間を、
余り知られたくないような、そんな気配さえ感じる。

「……環菜ちゃん可愛いから、
 放って置く人のが少ないと思うけどな」

特に言い方悪いけど、体目当てって男はいそうだ。
此の大きな胸。出会ったときよりも大きいし、
彼女は優しいし純粋だ。悪い男に捕まらないか、心配にもなる。

「僕?……実はあんまり、そういうのに興味無かった。
 プロゲーマー時代にね、確かにファンはいたよ。
 けど、そういうのにかまけるよりは、ゲームのが純粋に楽しかったから」

何よりもゲームが楽しかったから、
それ以外の事はどうでもよかった
寧ろ意識し始めたのも、此の学園に来てからだ。

「此の学園に来てから、かな。日常的?な部分とか。
 そういうのを気にし始めたのも、この学園に来てから。
 だから、そういう意味じゃ環菜ちゃんと余り変わらないかも」

いい人なんて、それこそ意識もしなかった。
苦い笑みを浮かべながら、道半ば足を止めずに、
片方の手で軽く彼女の頭を撫でた。
それこそ不安げな気持ちを少しでも和らぐようにだ。

「環菜ちゃん。僕は、どんなキミでも嫌いにはならないよ
 ……だから、教えて欲しいな。その異能、どうやって目覚めたんだい?」

異能、ゾンビ。
名前通りの能力だとしたら、恐らく……──────。
だからといって、死者ですら平然と現世に舞い戻る世界だ。
今更何がどうなんて、壱自身の関係は変わらない。
無理にとは言わない。だけど、聞いておかなきゃいけなかった。
彼女ために……いや、何より自分自身がもっと彼女を知るために、だ。

伊那美 環菜 > 「かわいい?えへへ…。」

照れている。
体がこうなったのも異能の後からだし、そのあとはけっこうばたばたしている。
心配されてはいるものの、それまではそんな機会もなかったし…
それに壱くんは忘れているようだが、結構異能ゆえに普通の男性より力は強かった。

「そっかぁ・・・ちぃくんのことすきなファンがいたんだあ。
そうだよねちぃくんすごいもんね。」

当然いるだろうと想像通りだったことと
そういうひとがいたということに複雑なこたえを返す。

「かんなもそうかも、夢中だったことがあったから。」

頷いて。もちろん壱くんのことだけど。


「ちぃくん、それはね。
かんな一回死んだからなんだぁ。でも還って来たんだよ。」

そこまでしゃべるのは問題ない。たぶん。
推測もたつだろうなと思うだろうし… もしかしたら連絡くらいはいっていたんだろうなと、思う。
それまではこんな変な肌色じゃなかった。

しっぽがふるり、と揺れる。