2024/12/30 のログ
ご案内:「落第街 アパートの一室」に夜見河 劫さんが現れました。
ご案内:「落第街 アパートの一室」に比良坂 冥さんが現れました。
夜見河 劫 >  
もう年末も年末、今年も1日程しか残っていない日の事。

「………。」

ベッドでごろごろしていた、グレーの髪の男であった。
普段使いのブレザーは少し前のある事件で使い物にならなくなったのでゴミ箱行き。
顔に巻いている筈の包帯も切らしてしまったので、素顔を晒している。

「……腹、減ったな。」

充実感が持続しないというのは、少々辛いものである。
先日の事件で得られた充足はすっかり枯れており、また虚無感に蝕まれる日々。
最も、それも日常である。何とか堪える事位は出来た。どれだけ持つかは微妙だが。

「……食事にでもしよう。」

やる事といったら食事位しかない。
普段はカロリーブロックやら何やらで雑多に済ませているが、この時期は
やたら沢山の総菜が纏められているオードブルがそこそこ安い。
ついでにクリスマス商戦の見切り品もそこそこ安く手に入る。
つまり、普段より冷蔵庫の中身は充実していた。

だるんとしながらベッドを降りると、さて何を食べるか、と考えつつ、キッチンへと足を運ぼうとする。
 

比良坂 冥 >  
コンコン。

部屋の主がいざ行動を起こそうとした矢先。
出鼻をくじくように響くのは、ノックの音。

とりあえず人が訪ねてくるような時間ではないが、
そんな非常識な時間にたずねてくる人間に部屋主も心当たりくらいはあろうか。

ちなみにドアの前には、寒空の下に真夏と変わらぬ制服姿、頭の上に雪を積もらせた少女がいつも通りのぼんやりした表情で突っ立っている

夜見河 劫 >  
「ん………。」

ノックの音。
此処を訪れる人間は珍しい。
というか、皆無と言っていい。
何しろまだまともな立地とはいえ落第街。そんな所に訪ねて来る程、
暇とスリルの探求を持て余す知り合いはいない。
いたとして…風紀委員辺りだろうが、自宅まで押しかけられるような事はここ最近していない。

となると、考えつくのは唯一の例外。

凡その見当をつけながら、キッチンに向かうはずだった足の行き先を変え、
玄関に向かい、鍵を外してドアを開く。

「…いらっしゃい、冥。」

頭上に雪を積もらせ、真夏と変わらぬ姿に寒そうだと思いつつも、声をかけて軽く手を伸ばす。

「寒くない? …とりあえず、上がるといい。」

ごく普通に、自宅に迎える姿勢。

比良坂 冥 >  
「めりーくりすます」

顔を見ると、すでに過ぎ去ったそんな挨拶。
相変わらず何を考えているのかよくわからない少女。
寒そうに見えつつも別段震えているという程でもなく、
迎え入れるために伸ばされたその手に伝わる冷たさも、いつも通り。

「慣れた」

寒くない?という問い掛けにはぽつち、そう返して。
招かれるがままに、アパートの部屋へち踏み入る。

「お邪魔します」

淡々とした、そんな言葉をその場に残して、二人の姿は部屋の中へと消える。

夜見河 劫 >  
「……そっか、そういえばそんな行事もあったっけ。
縁がないから忘れてた。」

黒い服の男にとって、クリスマスは少ししたら見切り品の食べ物がお安く手に入るチャンス位である。
最後にプレゼントなど貰ったのは……もう忘れてしまう程の以前だ。

「風邪ひいたら大変だろ。
…今、少し暖房強めにするから。」

自分一人なら普段はそれ程強くなくてもいいが、慣れたと言われても
見た目寒そうな少女には、やはりあまり寒いのはよろしくないと思う。
取り合えず、エアコンの温度を数度高くしておく。

「……今から食事にするつもりだったけど、冥も何か食べる?
出来合いの総菜がほとんどだけど。」

チキンとか、ポテトとか、オニオンリングとか。
そんなものが一纏めになっているオードブルが幾らか冷蔵庫に入っている。

比良坂 冥 >  
「……大丈夫。風邪、ひかないから」

玄関前で頭に積もった雪をぱたぱたと落とし、部屋にあがればちょこんと、定位置?へと座る。
身体が冷たいのはいつものことなので気にしなくていい、と言わんばかりに居直っている。

「食事……」

「もしかして、邪魔しちゃった?」

丁度食事の時間だったのかな、と。
小さく首を傾げて、そう問いかけてみたりもする。
相変わらず表情の変化に乏しいので、いまいち心情は伝わりにくい。

夜見河 劫 >  
「……なるべく暖かい所に居なよ。
今年は寒い。」

風邪をひかないとはいっても、他に体調を崩す危険もある。
流石にそれは…何と言うか、あまり気分がよくないので、出来るだけ
暖かい所にいるようにお願いはしてみる。

「邪魔…って程でもない。
つい今しがた、食事にしようかなって思っただけだから。」

別に気を遣っているわけではない。
実際、食事にしようと思ったのとほぼ同タイミングだったので、少し動く先が増えた位でしかない。

とりあえず、少し小さめの、クリスマス時期の残りっぽい総菜ものの
詰め合わせを選んでレンジに入れ、温めを開始。
その間に、飲み物…といってもちょっと安売りされていた大型ペットボトルの紅茶だが、
それを紙コップ二つと一緒に手にしてリビングへ。

「冷たい飲み物しかなくて悪いけど。」

そう言いつつ、ペットボトルから紅茶を注ぐ。
――少し離れた所のゴミ箱には、所々がどす黒くなった、穴だらけの
服らしきものの残骸が無造作に放り込まれていた。

比良坂 冥 >  
「…劫は心配性だね」

どおかズレた返し。
それでも強くなった暖房が、雪で湿った髪や服を少しずつ乾かしてゆく。

「…そう?…じゃあ、ご馳走になる」

のろのろと言葉を零しつつ、
温められた相愛に手を付けてみよう。
残りもの、といったものでも十分が過ぎる。
基本的に劣悪に生きる少女にとっては贅沢という意識自体がなかった。

「………」

そんな中、ふと部屋のゴミ箱へと視線が向く。

「……劫の部屋、いつも血の匂いがする」

「……今日は、いつにも増して」

夜見河 劫 >  
「そうかな…薄着過ぎると、凍えないか心配になるし。」

言いながら、こちらも温め終わったチキンのひとつを割り箸で掴む。
自身と少女、二人分の紙皿のうち、自分の方に一度置いてから、一口。
こちらも普段、あまりまともな食事は摂らない方なので、こうした料理は割と珍しい方だ。

そんな中で、少女の言葉を耳にすると、一度箸を置き。

「……少し前に、一度殺されたから。
女の子…に見えたけど、アレは多分…いや、間違いなく人外。
人間でない事は確か。」

視線を少女に向けながら、そう事情を軽く話す。

「…冥も、気を付けた方がいいと思う。
他に、多分落第街(ココ)のゴロツキだと思うけど、何人か挽肉みたいにされてた。」

食事時にするには、随分と物騒なお話。

比良坂 冥 >  
少女はもそもそと超がつくほどのスローペースで揚げ物をかじっていた。
…一つ食べ終わるのに数十分かかるのでは、と思うくらいに遅い。

「………」

「……死んでた?」

なんか、喧嘩は強そうだったけど。
殺された、なんて口にするんだし、人外……このあたりでは、珍しくないのかも。

「今生きてるなら、いいよね。
 ……私は…大丈夫じゃないかな。
 そんな危険な誰かがいても、きっと私には興味ないから」

ぽそ、とそう呟くように返答し、はむ、と揚げ物を咀嚼する。
……なんともダウナーな空間である。

夜見河 劫 >  
「うん、死んでた。
拳の届く距離で、身体中からでかいトゲを出されて…避ける方法がなかった。
身体中、串刺しにされちゃ、流石に生きてられない。」

そんな事を言いながらチキンを食べ終わると、今度は焼き鳥に手を伸ばす。
串刺しという死因を話しながら串焼きを食べるというふてぶてしさ。

「風紀委員の方に通報はしたし、多分警戒情報位は出ると思う。
これでも監視対象だし。
現場の壁に…名前みたいなの書いてたけど、読めなかった。」

結局読む事は放棄する事にした。
一時の充足については多少の感謝はあれど、名前を覚える程にまでは向かなかったらしい。

「…それでも、冥は落第街(こっち)に来る事が多いでしょ。
流石に心配になる。」

素直にそんな事を口にしつつ、焼き鳥をもしゃもしゃ。
男女が揃いながら、何とも色気のない会話。

「他にも…名前を忘れちゃったけど、強盗とか、殺人とかで追われてる奴も居るみたいだし。
落第街は、物騒な話題には事欠かないな、ホント。」

その物騒な話題に便乗して、「欠けた実感」を少しでも味わおうとしてる奴が何を言うか、と言われそうな。
そんな奴でも、目の前でゆっくりと揚げ物を齧っている少女の事は心配であるらしい。
少なくとも、自分の身よりは。

比良坂 冥 >  
「…名前、書いていったんだ。
 じゃあ、気に入られたんだね」

なんとなく、そんな不穏な相槌。
読まなかった、ということは難しい言語だったのか。
それとも字が汚かったのか。

「風紀委員の人がうろうろすると…面倒だね」

違反部活…売淫部への出入りがしづらくなる。
こういった『別宅』をいくつか持つ少女であるが。
基本的には身体を売って過ごしているのだ。
風紀委員が多くやってくると、動きづらい。

「……それでも、生きてる実感は、こっちのほうが得られるから」

歪な似た者同士。
こうやってやってきたということは、今日は泊まるところがないということだ。

夜見河 劫 >
「気に居られた、か……。
こっちから殴りに行くなら兎も角、付き纏われるのは御免かな。
服がいくつあっても足りなくなる。」

一番の問題が其処か、と言われそうな問題。
実際、死んでも生き返るなら、その後の服の方が心配にもなるのかも知れないが。

「…そうだね、面倒。
俺は監視対象だから…上の方よりは緩いけど、もしかしたら囮か
鉄砲玉にでも狩り出されもするかも。」

上位の者達とは違い、そんな機会はそうそうないのだが、それでも場合によっては
駆り出される事もあるにはある。主に大勢との戦いの頭数などでだ。
場合によっては報酬が出る事もあるが…それでも面倒、という気持ちの方が強い。

「そっか……それは、冥もおんなじか。」

再確認じみた一言。
そんな間に、焼き鳥と、オニオンリングを二つほど食べ切ると、少し考えてから席を立つ。

「――ちょっと待ってて。」

そう言って一度向かうのは、キッチンの冷蔵庫。

比良坂 冥 >  
「……そうなの?
 そういう時が一番、生が実感できる…じゃないの?」

それよりも、服が台無しなることのほうが天秤としては重いのかな。
でも、服がないと困るのは確か。

「……なるほど」

確かに、誰かに使われるのはきっと気分が良くない。
自分を殺してくれるナニカがいるとしても、そこにはきっとプライドや矜持なんかも介在するから。

なんでもいい、ってわけじゃないんだ。

もしかしたら、そこは自分と少しだけ違うところなのかも。

「……?」

ぼんやりした表情のまま、彼wを視線で追う。
待ってて、なんて言われたらそれこそ永遠に待っていそうな女である。

夜見河 劫 >  
「……ただの命の奪り合いなら、いいんだけどさ。
アレは多分、もっと趣味の悪い奴だと思う。人をオモチャにして楽しみそうな。
それだと、生殺しになって気持ちが悪くなりそうで。」

生か死か。その二つのいずれかというシンプルなやり取りなら兎も角、
生かさず殺さずというのは気持ちがあまりよろしくない模様。
そう言う意味では、殺す気で向かって来る相手というのが一番やり易いタイプ…なのだろう。

そんなやり取りをしながら、戻って来た黒い服の男の手には、紙皿に載った、ショートケーキ。
よく安く売られている、二つ入り1パックのアレだ。

「……とっくに日時も過ぎちゃってるし、見切り品のケーキでちょっとすまないけど。
泊ってくなら、折角だしクリスマスの真似事でもしてみる?

何か、「そういう」事をする同士だと、こういう事をするのがお約束?みたいだし。」

随分と偏った知識である。
別にそんな仲の男女でなくても、そういう事はするものだろうと思うが。