その生き物は死してのち、灰より再び生まれ出でる。 あらたなはじまりは醜き蟲の有り様で。 しかし眩き宝石をその身に宿しているという。 みっつの夜を経て、それはふたたび舞い上がる。 最後の不死鳥の再誕をもって、 『灰の劇場』はその役割を終えた。 【現在】 落第街に存在していた、蜃気楼のように幻出する巨大劇場。 が、ここしばらくは姿を見せていない――今後見せることもない。 音楽の公演を主として運営されていた違反部活の施設だったが、 最終公演となった演目は豪奢な管弦楽と演出に彩られた演劇だった。
『Il morte di Coppelia』。 以後、演劇の界隈で語り草となる幻の演目。 脚本は実在の犯罪組織による事件を再現したものだとか。
主演は無名の女優。 ブロードウェイの魔王『ミカエラ・ベルナール』、 『無貌の音楽家』という米国の極星ふたりの出演があった…… だとか、根も葉もない噂が流れている。 録画も出回っていない都市伝説のようなおはなし。
公演後に、『灰の劇場』は瞬く間に廃墟となったのだという。 眠りにつくように。 そして今は、もう誰もたどり着くことはない。
魔王はとあるインタビューで『次世代の注目株はコッペリア』と冗談めかして、 無貌は『役者のオファーは引き受けてない』と一蹴した。
【これまで】 名目上は違反部活『夜に吼えるもの』の拠点。 ……と、いうよりは実質ノーフェイス個人の劇場だった。
落第街に突如として出現・消失を繰り返す、荘厳なバロック調の大劇場。 コロッセオを思わせるすり鉢状の二階建てで、 普段は馬蹄型に座席を配置して公演が行われる。
ノーフェイス個人、及び違反生ミュージシャンの受け入れ先として、 『演奏技術』と『集客力』……『実力』を備えるものだけが公演を許される。 その演者の中には真詠響歌を迎え、ツインボーカルとなった『ライオット』もいた。
金をかけてこだわり抜いた音響設備とライト。 最新鋭のそれには劣るが光学魔法(マギア・オプティカ)による演出も完備。 チケットは一律5000円(1ドリンクつき)、演者と支配人の配分は5:5。 ここでの公演は実質的に『路上演奏』として扱われる。 また、表現規制はないものの、あくまで行われるのは『公演』のみ。 違法薬物や過激な手段、儀式などの異物の混入は原則として禁じられている。
インターネット上で突如としてチケット販売サイトが出現し、 謎掛けと情報収集を適切に行えたものだけがたどり着くことができる。 出演のハードルの高さから、公演の内容は折り紙付き。アングラな熱狂が渦巻く場所。
■PLより シャンティ・シンPL様と設定を共有しているロケーションでした。 音楽公演は既知・既参加設定可。演者としての参加経験は私書のほうへ。 最終公演は『噂話』としての既知は歓迎、観劇していたという既知は私書でご相談を。 |
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