近世代中期(17世紀前半~)に」発足したことが記録されている宗教団体。
キリスト教を源流に持つ、ユニテリアン・ユニヴァーサリスムに属する一派で、
イエスと同じ次元へ到達することを目指していたカルト教団(ムーブメント)。
いわゆる『閉じた』宗教団体であった。
外側から招く者は多かったが、外に示すことはなかった。
信徒は日常生活を送る傍らで、様々な精神修養を行っていた。
ナザレの地より昇天した先は虚空――宇宙の果てにこそ在り、と考え、
精神を磨き抜くことでそこにいたろうとしていたのである。
その修養の内容の多くは、芸術や学習、奉仕活動や禁欲といった地味なものが多い。
誰にでも修得できる魔術『人智魔術』の研究もそのいちアプローチに過ぎなかったようだ。
ここまでは広く公開されている情報である。有志編集可能な辞典サイトにものっている。
地味ながらも規模が大きく、ほそぼそと続いたこの宗教の転機は1990年代後半、『大変容』直前。
輝きの御子と呼ばれる存在が担ぎ上げられ、様々な奇跡を起こしたのだという。
イエスの再来。万能の存在が。
その前後から、世界中の著名な芸術家が虚空教団に多額の投資を行い、
最隆盛の時代に差し掛かった。直後に『大変容』が発生。
祝うべきであった2000年の下旬、輝きの御子は、
大西洋上に開いた中規模の『門』に身を投げて、身を呈して信徒たちを護ったという。
輝きの御子は実在が確認されていない。
概ね、洋上で生還の奇跡を果たしたものたちが後付けで創作したプロパガンダとされる。
金髪と碧眼の少女であった、という話はあるものの、肖像画の執筆を全員が断った。
後年、生存した信徒が口々にその実在をうたっていたが、やがて教団解体とともに風化していった。
参加者やその修行形態、輝きの御子を含む最盛期の情報を含めて外側に殆ど漏れ出していない。
インターネット隆盛直前(~1999、2000年)に起こったムーヴメントだから、である。
しかし、大変容以降にもほそぼそとした活動や、生存した団員たちの形跡は見られた。
密教のように、変わりゆく世界のなかで、何かを『秘匿』したように。世界各地に情報が飛び散っている。