#author("2022-10-19T15:05:19+09:00","","") *葵の上 [#lfa0620e] |http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/uploda/src/aca2886.png &br;&br;|~性別|女性| |~|~年齢|既に死亡| |~|~種族|人間| |~|~世界|地球| |~|~居住地|日本| |~|~魔術|無し| |~|~異能|無し| ~ > いとをかしげなる人の、いたう弱りそこなはれて、あるかなきかの気色にて臥したまへるさま、いとらうたげに心苦しげなり。~ 御髪の乱れたる筋もなく、はらはらとかかれる枕のほど、ありがたきまで見ゆれば、年ごろ何ごとを飽かぬことありて思ひつらむと、あやしきまでうちまもられたまふ。~ ~ 「院などに参りて、いととうまかでなむ。かやうにて、おぼつかなからず見たてまつらばうれしかるべきを、~ 宮のつとおはするに、心地なくや、とつつみて過ぐしつるも苦しきを、なほやうやう心強く思しなして、例の御座所にこそ。~ あまり若くもてなしたまへば、かたへは、かくもものしたまふぞ」~ ~ など聞こえおきたまひて、''いときよげにうち装束きて出でたまふを、常よりは目とどめて見出だして臥したまへり''。~ ~ (紫式部『源氏物語 第九帖 葵の巻』)~ ~ **人物 [#e971ddc2] 桐壺更衣や藤壺、紫の上らとともに、[[六条院光源氏>http://guest-land.sakura.ne.jp/tokoyo/pclist/list.cgi?id=599&mode=show]]の人格形成に多大な影響を与えた人物のうちの一人。~ 架空の人物とされてきた六条院光源氏と共に、その実は歴史上存在した実在の人物であり、~ 源氏物語の作者・紫式部に同作の執筆を思い立たせた重大な要因の一つである。~ そのため源氏物語に記述された彼女の来歴は、その多くが事実に基づいている。~ ~ 父は桐壺帝(醍醐天皇)時代の左大臣、母は桐壺帝の妹の大宮。頭中将という同腹の兄弟がおり、血縁的には光源氏の従姉にあたる。~ 将来の東宮妃候補として育てられたものの、政治的な思惑を経て元服した光源氏の正妻(北の方)に収まることになる。~ しかしそれぞれの事情も相まって夫婦仲は冷淡であり、光源氏が葵の上からの情愛に気付いたのは、~ 彼女が産褥熱によって死に至った(作中では死因は六条御息所の生霊に呪い殺されたことによるものだとされている)後のことであった。~ ~ 光源氏は権勢の絶頂に立つ中、情愛を注いだもう一人の正妻である紫の上を亡くしたのち、人の命の葉露の如き儚さを嘆き、~ 同時に自らの理想を追い求めた結果孤独と苦悩のうちに病没した葵の上と紫の上に対する己の罪に苦しむことになる。~ ~ *紫の上 [#k20db6e4] |http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/up2/img/toko1335.png &br;&br;|~性別|女性| |~|~年齢|既に死亡| |~|~種族|人間| |~|~世界|地球| |~|~居住地|日本| |~|~魔術|無し| |~|~異能|無し| ~ > かばかりのひまあるをも、いとうれしと思ひ聞こえ給へる御けしきを見給ふも、~ 心苦しく、つひにいかにおぼし騒がむと思ふに、あはれなれば、~ ~ おくと見る ほどぞはかなき ともすれば 風に乱るる 萩の上露~ ~ げにぞ、折れ返りとまるべうもあらぬ、よそへられたる折さへ忍びがたきを、見出だし給ひても、~ ~ ややもせば 消えをあらそふ 露の世に おくれ先立つ ほど経ずもがな~ ~ とて、御涙を払ひあへ給はず。宮、~ ~ ''秋風に しばしとまらぬ 露の世を たれか草葉の 上とのみ見む''~ ~ と聞こえ交はし給ふ御かたちどもあらまほしく、見るかひあるにつけても、かくて千年を過ぐすわざもがなとおぼさるれど、~ 心にかなはぬことなれば、かけとめむ方なきぞ悲しかりける。~ ~ (紫式部『源氏物語 第四十帖 御法の巻』)~ ~ **人物 [#tfd902ef] 桐壺更衣や藤壺、葵の上らとともに、六条院光源氏の人格形成に多大な影響を与えた人物のうちの一人。~ 架空の人物とされてきた六条院光源氏と共に、その実は歴史上存在した実在の人物であり、~ 源氏物語の作者・紫式部に同作の執筆を思い立たせた重大な要因の一つである。~ そのため源氏物語に記述された彼女の来歴は、その多くが事実に基づいている。~ ~ 父は兵部卿宮(後に式部卿宮、藤壺中宮の兄)、母は宮の正妻ではない按察使大納言の娘。藤壺の姪にあたる。~ 生まれてすぐ母は亡くなり、その後は母方の祖母である北山の尼君に育てられた。~ 祖母の死後父のもとに引き取られるはずであった若紫を略取した光源氏によって彼の理想の女性として育てられる。~ 光源氏の最初の正妻である葵の上の没後に光源氏と初床となり、以後公に正妻同様に扱われた。~ 源氏の最愛の妻であった一方、実子を持たず確かな後見ある正妻でもなかったため、後年は自分の身の不安定さに改めて気付かされ、苦しんだ。~ 紫の上の悩みに気づかぬ光源氏と次第にすれ違いを重ね、その心労から37歳の厄年に重い病にかかり、療養のために二条院に移る。~ 晩年はさかんに出家したい心境を訴えたが、最後までそれを許されぬまま、光源氏に先立って病没した。~ ~ 光源氏は権勢の絶頂に立つ中、情愛を注いだもう一人の正妻である紫の上を亡くしたのち、人の命の葉露の如き儚さを嘆き、~ 同時に自らの理想を追い求めた結果孤独と苦悩のうちに病没した葵の上と紫の上に対する己の罪に苦しむことになる。~ #author("2023-03-01T07:49:31+09:00","","")