AINetに接続中……現在33人がネットワークに接続しています。


こんにちは。私はHermes.aic、記録とコミュニケーションに用いられるver2.0人工知能コンスクリプトです。本日のご用命は?


Input: AINet-Lv.8にアクセス

要求されたネットワークにアクセスしています……
Error:Lv.8ネットワークは存在しません。もう一度入力してください。


Input: серафими мн҄оꙮ҄читїи҄

特殊IDを確認しました。
警告:あなたは特殊IDでネットワークにログインしようとしています。本IDはセキュリティクリアランス-レベルꙮの職員が所持するものです。
権限無しに本アカウントへアクセスを試みられた場合、機動部隊∅"Nemo Eyes"が動員され、即刻終了措置が取られます。
この危険を理解した上で続行されますか?


Input: 続行

ログインコードを入力してください:"There's an east wind coming all the same,


Input: such a wind as childhood's end."

ログインコードを認証しました。生体コードを認証しました。ログインに成功しました。ネットワークにログインしました。
おはよう、"Eurus"。今日は何をお探し?


Input: Code17についての最終報告書が提出されているはずだ、確認してくれ

勿論。少々お待ちを……見つけたわ。


Archive-Code17-Classified

《情報取扱手順》

 Code17は収容不可能です。Code17についての全ての関連情報は最高度に厳格な情報規制の対象となります。この隠匿のためCode17の取扱に精通した機動部隊∇"Atled"が組織されます。
 Code17の詳細な観測データについて、Code17の潜在的危険性から齎される社会的混乱を回避するため、あらゆる科学研究機関を検閲し、関連する研究を阻止してください。
 Code17の情報偽装目標として、LLOの実施するCode17対策プロトコル"N-Patch"が指定されています。対外的な"Code17"の正体は、"N-Patch"プロトコルを遂行するLLOそのものです。
 本報告書を含むCode17の情報は、Alfa評議会評議員及び各業務部門の上級責任者、Code17主任研究員および主任工作員にのみ開示されます。

《概要》

 Code17とは、三次元平坦トーラス体宇宙において、局所慣性系としてミンコフスキー時空を無限小領域として適用できる接空間にスケール不変性を持って発生する可能性がある、
 概念的エントロピーの不可逆的急速増大現象(IRICE現象, Irreversible Rapid Increase in Conceptual Entropy)を指します。
 通常、接空間における概念論的エントロピー増大は極めて遅い速度で進行しますが、IRICE現象の発生している接空間ではヌルゼロベクトルにおける空間的ベクトルが無限大に発散し、
 結果として時間的ベクトルがゼロに収束します。このため当該接空間における概念的エントロピー増大は事実上無限大の速度で進行し、結果として不可逆的な概念事象の崩壊を引き起こします。

 量子力学系における不確定性原理に基づく量子ゆらぎの観点から、IRICE現象が発生する地点と時刻を特定することは不可能だと考えられています。
 またIRICE現象の発生した接空間では未来方向時間的および過去方向時間的ベクトルの値がゼロに収束するため、IRICE現象の余波として発生する電磁波および重力波変動の観測を除いては、
 IRICE現象の発生を認知することさえ不可能です。基底世界においては、宇宙の誕生から現在までに少なくとも██,███回のIRICE現象が発生していると考えられています。

《歴史》

 Code17は、1917年1月にLLOの所管する重力波観測施設で初めて観測されました。当初この微弱な波は一般相対性理論によって想定される超新星爆発に伴う重力波の一種として考えられていましたが、
 その後の調査によって実際には量子ゆらぎに由来する時空構造の変動に伴う重力波の一種であるとされました。しかしながらこの重力波は所謂宇宙のインフレーションに伴う原始重力波ではなく、
 ビッグバン膨張後に発生した重力波であることが宇宙背景放射観測による偏光パターンの分析によって確認されています。
 またその後の継続的な観測の結果、Code17は1917年以降現在に至るまで127回観測され、この回数は宇宙全体のビッグバン膨張に比例して増加している可能性が示唆されています。~   

《対策》

 Code17の宇宙論的性質を鑑みて想定される最悪の事態は、人類の築き上げた文明社会の存立にかかわる主要概念または存在そのもの(例えば宗教、哲学、科学など)がIRICE現象の発生により、
 通時的タイムラインにおいて"そもそも初めから存在しなかったもの"になることであり、この事態が発生した場合、人類が過去又は現在、未来において得ていた、あるいは得るはずだった知識や経験は永久に喪われます
 LLOは1917年にこの危機想定に基づいてCCP(Civilization Continuity Plan)を策定しています。この計画では、現在LLOの発見している1690の安定的な平行世界現実において、
 常に65537基のパルメニデス対現実改変錨によって保護された情報書庫に、基底現実において現在記述可能な概念の全てを保存し、毎5.39116(13)×10^-44秒ごとに平行世界間通信方式によって情報整合性の確認を行います。
 基底現実の情報書庫の通時的整合性に問題があった場合、即座に他1689の情報書庫の同一記述を参照し、多数派の記述を採用し1690全ての情報書庫の情報書き換えを行います。
 また基底現実に存在する、あるいは存在していない概念が情報書庫の記述内容に反していた場合、常に情報書庫の記述を信頼すべきものとして考え、即座に大規模な現実改変プロトコル"N-Patch"が行われます。

《補遺》

 N-Patchは必ず遂行されなければならない。IRICEが一回発生するたび、人類の歴史の一部が喪われることに留意せよ。
 仮に君がN-Patchから基底現実において第四次世界大戦を開始させる命令を受けとり、その命令を遂行することによって世界人口の99%が死滅する推測が立てられたとしても、迷わず疑うことなく実行せよ
 これはこれ以上ない狂気か不条理に思われるかもしれないが、それこそが我々に求められている期待一切なのだ。  


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