探究をやめるなかれ。すべての探究の最後に我らは初源の場所に戻り、そこがどこかを初めて知るだろう。 ――T.S.エリオット「四つの四重奏」
イース(Yith)と呼ばれる滅亡しつつある銀河の彼方から6億年前の地球に到来した、実体を持たない精神生命体。
時間の秘密を極めた唯一の種族であるため畏敬の念を込めて「イースの大いなる種族」あるいは「イスの偉大なる種族」などと呼ばれている。
現代文明をはるかに超える高度な科学力・技術力を有しており、かつては人類発生以前の地球にも居住していた。
知性と知識を至上のものとして尊敬し、様々な時代・地域へ知識の収集のため時間旅行を繰り返している。
彼らは精神交換技術を用いて時間を超え、高度な知性を持つ個体の肉体に一時的に憑依させ、一時的にその個体の精神を退去させる。
イース人は自らの素性を周囲に明かすことはなく、また自分たちの高度な知識を開示したり、技術を用いることに忌避的である。
イース人の魔術的知識は彼らのもつ科学的知識と同様に高度であり、地球人の畏怖と尊敬を集めるものであるだろうが、彼らの多くは魔術の学習に消極的であり、また積極的に行使しようともしない。
イース人は魔術を精神の規律を乱すものだと考えているからである。勇敢な人間と認めた者に対してイース人は時折その魔術的知識の一片を教授するが、それが積極的に使用されることは望まないだろう。
イース人は、冒涜的な魔術を用いる狂信者たちが世界に《大変容》をはるかに超える破滅的な混乱を巻き起こすことを恐れている。
なぜなら危険な魔術によって招来された存在は、彼らの住む時間という存在そのものさえ吹き飛ばしてしまいかねないからだ。
イース人の重要な特徴は精神転換装置による時間跳躍であるが、どのような種族に対してもそれが可能というわけではない。
イース人は高度な知性を持ち、また自分たちと精神構造が似通った存在を精神転換の対象にする。
人間の肉体はイース人にとってはその寿命が短すぎるため種族ごと移住する対象にはならなかったが、それでもイース人にとって最も友好的な関係を築いている存在は人間であることには間違いない。
イース人は人類の多様性ある文明をおおむね肯定的に評価しており、危険な魔術を行使する者による世界の崩壊を阻止するため、人間と協力することがある。
地球には常に何人かのイース人が研究あるいは情報収集のために滞在している。イース人たちの活動を支援するため、地球には以前より彼らを後援する人間たちの組織が存在している。
このような組織は通常非合法な活動は行わず、構成員の多くは異能も魔術的知識も持たない人間である。彼ら主にイース人が地球で活動するのに必要な金銭の工面や情報収集の協力などを行っているが、
一部の治安当局はこのような組織を「カルト組織」と定義し、要注意団体として監視しているところもある。
イース人がこのような組織の協力に対して自分たちの技術そのものを見返りに提供することはほとんどないが、支援者の抱える問題を自分たちの技術によって解決することはある。
たとえば《クライン生命保険相互会社》は、《大変容》以前から全世界に拠点を持つイース人の支援組織である。
クライン生命保険相互会社
イース人が持つテクノロジーのうち、代表的なものを取り上げる。
《電撃銃》
イース人が好んで使う武器。テーザーガンのような見た目をしており、強力な電気の塊を射出することによって相手を攻撃する。一つのエネルギー・パックにつき最大32発分の発射が可能。
一度に32発分までまとめて発射することもできる。エネルギー・パックの交換や再充電を行うには極めて高度な技術力が必要。
威力は1発分の射撃で通常の遮蔽物として十分な厚さを持つコンクリート・ブロックを破壊できる程度。
《携帯用停滞装置》
イース人の発明品の一つである「停滞キューブ」の技術を応用し、賽子サイズに小型化したもの。
作動させると、キューブ周囲半径1メートルの時間を周囲の時間に比べてほとんど完全に停止させることができる。
小型化の弊害によって従来の停滞キューブよりも性能が低下している。
《精神空白装置》
スマートフォンサイズの箱型装置。操作すると電極が伸び、これを犠牲者の記憶系に接触させることで犠牲者の過去の記憶を箱の中に吸収・保管することができる。
なお、装置を適切に扱えば、記憶を元に戻したり、他の人間に偽の記憶を植え付けることもできる。
《時間通信装置》
スマートフォンサイズに小型化された、イース人同士が連絡を取り合うために用いられる通信機。
通信相手が遠く離れた時間や場所にいても、ほとんど遅延なしに通信を行うことができる。
《精神交換装置》
この装置はひとつの部屋ほどの大きさがあり、移動させることは難しい。また、装置がなければ精神交換を行うことはできない。
操作には高度な技術力を要求されるため、装置があったとしても普通の人間には扱うことができない性質のものである。
この装置時間や場所を超越し、装置の行使者と犠牲者の精神を交換する。交換された知性体の精神には大きな負荷がかかる。
6億年前、イース人がイースから地球に飛来した時以前から存在する。
イース人の地球での肉体的寿命はおおよそ5000年であるが、彼女はその明敏な知性を生かし、命の危険が迫るたびに自身の精神を未来に転移させることで肉体的な死を免れてきた。
最も優秀なイース人の科学者の内の一人であり、人類社会の知識を収集するため「清水千里」という人間の女性と精神交換を行う形で派遣されている。
イース人の中でも特に人間には友好的な存在であり、人間を愛し、その可能性を信じている。
図書委員としては、禁書庫内の《禁書》や常世博物館地下の《遺物》(アーティファクト)の管理を支援し、情報を提供する連絡員として活動している。
数理物理学者。日本の裕福で開明的な家庭の長女として生まれる。小学生のころにアメリカ合衆国マサチューセッツ州アーカムに移住。
6歳でアイビー・リーグの名門校として知られるミスカトニック大学数学科に入学し、10歳で卒業。14歳のときには同大学で博士号を得、同校の数学講師として勤務していた。
しかし16歳の時、彼女は極度の神経衰弱に陥る。同僚の数学者は、彼女の為そうとしている仕事について「100年ほど早すぎる」と称した。
「……私が再び科学的な私の仕事を継続できるまで回復するのは何時か、私には判りません。ここしばらくのところ、私は何一つ、それに手をつけられないでいます。
しなくてはならない講義の準備をするだけで限界です、私に必要な精神的なはつらつささえ返ってきて、科学的に活気がでれば、どれだけ幸せでしょう」
その後、彼女はイース人との精神交換を受けることになる。イース人の精神が憑依した彼女は、常世学園の門戸を叩くことになった。
「清水千里」の生命に対する危害は排除されなければなりません。超法規的な観点から、当該職員は
「清水千里」への具体的危害を阻止するため合理的に必要と考えられるあらゆる作戦の実行を許可または追認されます。
またこれに際して、当該職員は二十四時間体制で「清水千里」の動向を監視してください。ただし、非合法な監視任務の露見時に発生する可能性のある重大な法的問題を極力回避するため、
「清水千里」を対象とする監視任務は、可能な限り合法な行為によって遂行することが推奨されます。
追記:「清水千里」の要望により図書委員会連絡室が創設されました。この部署では図書委員会の業務全般に対して統括的な後方支援業務が行われます。
これに当たって、「清水千里」には禁書庫および地下収蔵室における秘密取扱資格が付与されます。なお、警備手順は通常の規定を適用してください。
追記2:「清水千里」の監視責任者として公安委員会情報分析官のハロルド・ラズウェル委員が任命されました。以降、「清水千里」に対する公的接触一切は彼に一任されます。
メモ:何度でも書いておくが、彼女は学園秩序にとって危険な存在ではない。監視対象者だからと言って他の者と一括りにしないように。担当職員にはできるだけ性格平穏な者を充てること。
「清水千里」は最近この手の友人と”情報交換”を行っている。
各国の事情に詳しい者ならば、「清水千里」の名前や素性を事前に知っているか、もしくは会ったことがあるかもしれない。
ハロルド・ラズウェル
常世学園公安委員会情報分析官。「清水千里」監視責任者。アメリカ非公的組織《デルタグリーン》隊員。
ジェイムズ・カーター
男性。元英軍特殊空挺部隊(SAS)隊員。アイルランド非公的組織《グループ13》エージェント。
アレクサンドル・プーシキン
男性。ロシア連邦軍参謀本部情報総局第8特務部《GRU-SV8》局員。
張明倫
女性。中国共産党中央軍事委員会内部部局《咸豊》局員。
アフマド・モハディ
男性。イスラム系過激派組織《アッラーの拳》工作員。
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