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8歳(小学2年生)の初夏、下校中の交差点にて信号待ちをしていた際に左折するトラックの後輪に巻き込まれて重傷を負った事故。
目撃者の証言や現場の詳細な調査の結果、後輪に巻き込まれたことで右手足を付け根から千切れる形で損傷。
しかしその直後に急激に傷が回復。警察や救急が駆け付けたときには手足は完全に回復し、千切れてしまった
手足や血液は完全に消滅していた。葵本人は強い痛みを訴えたのち意識を失いその場に倒れていたものの、搬
送後の病院での検査ではバイタルは安定。2日後には退院している。
当人は風紀委員として活動するときのほか、日常生活においても武装している。
当人の転移魔法は「異能による生命活動の維持が困難な時」に発動するように設定してあり、手、足、頭部をあ
らかじめ設定した地点へと転送する。転送先には両手は風紀委員会本庁、両足は自宅に設定したとの自己申告書が
提出されているが、頭部の転送先については申告書が提出されておらず、当人のみが転送先を知っている。
3.1 検査入院の所見 検査入院の結果、当人の細胞は特定条件下で通常の人間に比べて数千倍~数十万倍の代謝速度を発揮することが分かった。 この特定条件というのは細胞が外的要因によって破壊された場合である。組織が傷を負った場合、破壊された細胞から警告物質が分泌。これを周囲の細胞が受け取ると代謝が非常に活発になり、破壊された組織を急速に修復する。 3.2 生体データ提供での所見 検査入院によって異能の概要が判明したのち、異能の応用の為により詳細な調査を実施した。組織の修復が完了した後もしばらくの間は代謝は活発であり、組織が発達する。また細胞を正常に複製する為に不可欠なテロメアが非常に長く、また複製時に短くなりにくいという事実も確認されており、当人の生物としての寿命は非常に長いものと推測される。大きな外傷を追わない場合、その寿命は1000年~2000年と推測されるが、これは一般的な生活を送った場合の概算であるうえに精度にも期待はできない。 日常的な生活を送る程度なら特別な措置は必要としないが、頻繁に外傷を負う場合は投薬による過剰な細胞分裂の抑制が必要である。投薬の頻度は外傷の程度によるものの、人間的な生活と身体を維持する為に錠剤による1日2回の錠剤の服用が望ましい。また身体の5割を超える損傷や脳細胞の損傷した場合には通常の投薬に加えて吸入、あるいは静脈への直接の投薬が必要となる。 3.3 【閲覧制限】痛覚訓練での所見 本訓練によって異能の応用的能力の調査も行われた。調査は主に異能による回復が働かない部位や器官の有無、記憶や人格などの継続性の有無、回復に必要な細胞の下限、継続的な損傷による身体機能の変化、毒物への耐性などが調べられた。 3.3.1 異能の発動条件 当人の異能は物理的な要因によって細胞が破壊されなければ発動しない。この異能は細胞膜の破壊を伴わない細胞の死は異能の発動に寄与しないことがわかっている。これは細胞膜が破壊された際に細胞内から警告物質が分泌されることで発動するためであると考えられ、毒殺や酸欠などによる物理的な細胞の破壊を伴わない行為へは不可逆的なダメージを負う危険性がある。 3.3.2 人格の継続性 当人の異能は破壊された細胞の回復のほか、すべての細胞の情報を共有する機能も有していることがわかっている。この機能によって脳を破壊したとしても人格と記憶は回復後も継続する。また発達した筋肉なども回復後は損傷前の状態に戻ることが確認されており、投薬によってどの時期の情報を記憶するのかをある程度操作することが可能となっている。 3.3.3 回復限界点 当人の異能は生きた組織が体積比で全体の3%以上残っていれば正常に回復することがわかっている。これは異能を一時的に無力化する装置で身体を部分的に切除、冷凍して保管したのち、本体の回復を待って身体を破壊する方法によって確認された。生きた組織が3%を下回ると、正しい形状に回復しない、記憶障害がでるなど正常に回復しない可能性が出てくる。 3.3.4 継続的損傷に対する耐性 当人の異能は継続的な損傷に対しては不可逆的な損傷を負うリスクがある。例えば傷口縛ってしまうなど物理的にふさいでしまった場合は細胞は分裂できず修復ができない。また損傷した臓器は完全に機能を失うことはないものの性能は低下するため、心肺を継続的に傷つけた場合は他の組織が酸欠で壊死する場合がある。 【/閲覧制限】