代償魔術(仮称)

 学問や技術としての魔術ではなく、代償を払うことで特定の作用を発揮するだけの魔術。
 代償となるのは人間の精神活動を担うエネルギーとしての魂であり、精神力と謂われるものである。
 由来については不明であり、古代から存在していたとも、異世界から齎されたとも、外宇宙から伝来したとも言われている。
 使用するために勉強や知識などは必要なく、この魔術の存在を知り、魂を代償とする方法を知っていれば誰にでも扱うことが可能である。

知る方法

 後述する魔術によって記述された魔術書、または同魔術を使っての口伝による。
 この魔術を一つでも扱えれば、伝えるための魔術も必然的に扱えるようになるため、誰がどのような方法で知っていても不思議ではない。

代償について

 魂や精神力という曖昧な物を代償として消費する。
 些細な魔術ほど消費は少なく、強力な物ほど消費が大きい傾向にある。
 この場合の魂とは概念的な精神エネルギーであり、魔力などと言ったものとは完全に別物である。
 意識活動、精神活動を行う生命ならばあらゆる者がもっており、これが消耗することで意識・精神活動が緩慢化、発露しなくなり、枯渇することで意識・精神活動が停止する。
 僅かでも残っていれば、時間経過や意識・精神活動を外部から刺激する事で回復させることが出来るが、枯渇した場合の回復は不可能である。
 人間ならば人間、動物ならば動物と、生命体によって魂の量は決まっており、気合や精神論で総量は変動しない

発動プロセス

 代償魔術(仮称)は【使用すると明確に意識する>代償の支払い>溜め>効果の発現】と言った順に処理が行われる。
 この溜めというのは、払った代償を用いて効果を発揮させるまでの時間であり、この間魔術を発動させるという意志を持ち続け且つ、発現する効果をイメージし続ける必要がある。
 このイメージは具体的である必要はないが、現れる効果の正確さや強弱に直結し、このイメージが維持できないと効果は発現しないため、溜めの間はイメージの維持に集中力を割いていなければならない。
 イメージを維持するだけの集中力が足りなかった場合(外部刺激で乱された場合も含む)は、効果は発現せず、代償だけが支払われることになる。
 傾向として溜めが長いほど代償を少なくできるようである。
 魔術によっては発動を待機する事ができ、溜めを終えれば集中力を切らしても待機状態のままストックされる。その後、任意または条件が揃う事で発動可能である。
 効果を維持できる魔術も存在するが、維持中は魔術ごとに決まった量が時間に応じて代償として支払われる。

魔術リスト

 以下、追加自由の魔術リストになります。編集テンプレ、注意等はページ下部に。
・溜め:無で即時 小でコンマ秒~数秒 中で数秒~十数秒 大で二十秒以上
・代償:小で数度使うと昏倒 中で昏倒しなかった場合、数回で枯渇 大で二度使うと枯渇(何れも万全な精神状態での使用を前提とした目安)
・発動:即時(溜め後即座に発動) 遅延(溜め後一定時間以降に任意発動) 条件(溜め後待機状態になり条件を満たした時に発動)
・維持:効果を維持するための代償。代償と同じ。

強化、付与系

魔術:加速(スペル:アクセル)

・溜め:無 代償:小 発動:即時 維持:極小
・効果
 物体の動きを加速させる。
 ただし、発動後すぐに速度が増すのではなく、あくまで動いてる物を加速させるだけである。
 そのため停止状態では効果が無く、動き始めてから効果が出る。
 性質上動く距離が長ければ長いほど効果が現れ、短ければ短いほど効果が薄い。
 さらに初速によって加速効果が変わるため、初速が遅ければ効果時間に対して効果は薄い。
 効果は100m動く物体が、同じ時間で150m動く程度。
 効果を維持しているだけ加速し、維持中は少しずつ代償を支払う。
 重ね掛けすることで効果を増幅可能だが、その分維持の代償も支払うため効果的かは疑問。

魔術:停止(スペル:フリーズ)

・溜め:小 代償:小 発動:即時 維持:不可
・効果
 自身を含めた自身の周囲50cmの物体の動きを停止させる。
 時間停止等とは異なり、物体の動きだけを止める魔術である。
 効果時間は発動した瞬間のみであり、一度停止した物体は慣性なども失う。
 比較的有用な魔術だが、範囲外には全く影響を及ぼさない。
 範囲を超える大きさの物体が対象に含まれる場合、範囲に入った部分だけは発動の瞬間停止するが、減速するか全く効果が無いかは状況次第である。
 その性質上、飛び道具に効果があるかもしれないが、連続した物には無意味かもしれない。

魔術:暴走(スペル:リリース)

・溜め:小 代償:小 発動:遅延 維持:小
・効果
 対象物の精神的な枷を一つだけはずすことが出来る。
 例としては、無意識で筋力をセーブしている枷を外し肉体の限界性能を発揮したり、集中しすぎないようにしている枷を外し極端な集中力を発揮したり、などである。
 遅延発動が可能なため、日頃から発動待機させストックしておくという使い方も可能。枷を外す対象は発動時に決定できる。
 珍しく非常に扱いやすい魔術ではあるが、その反動は推して測るべし。

魔術:強化(スペル:スターディ)

・溜め:中 代償:小 発動:即時 維持:無
・効果
 物体の強度を水増しする魔術である。
 効果のほどは、文庫の表紙が柔軟さを維持したハードカバーになる程度。
 重ねがけも出来て維持にも代償が必要ないが、硬くなるわけでなくあくまで強度が増すだけである。
 そのため、この魔術を重ね掛けた服を着た相手を銃で撃つと、銃弾は貫通しないが衝撃はそのまま伝わるため吹き飛ばされる。あと服ごと体にめり込むかもしれない。
 外部から衝撃を受ければ水増しした強度はそれに応じて消耗するため、そのうち結局壊れる。
 扱いやすく有用な魔術だが、場合によっては使わない方がいい事もある。

魔術:見ざる、聞かざる、言わざる(スペル:シャットアウト)

・溜め:小 代償:小 発動:即時 維持:小
・効果
 自身に対してのみ効果を発揮する魔術。
 視覚、嗅覚、聴覚及び、自身が発生させるあらゆる音がなくなる。
 あくまで自身が発生させる音であって、物にぶつかったり擦れたりすると音は発生する。
 どう使えば有効なのか不明。寝付くのに便利?

妨害系

魔術:横やり(スペル:インターセプト)

・溜め:中 代償:中 発動:条件(複数待機不可) 維持:不可
・効果
 待機させておくことで、他者の魔術に反応し妨害する魔術である。
 魔術というのは普通、精密な制御や滞りのない魔力の運行が不可欠である。
 この魔術は代償として支払った魂を、そう言った魔術のデリケートな部分に楔としてインサートする事でちょっとだけ邪魔をする。
 詠唱の開始や魔力の運用が始まった瞬間に反応するため、案外お邪魔能力は高い。
 けれど例えば詠唱や魔力運用が始まったにこの魔術を用意しても発動しないため注意。
 邪魔の効果はちょっとだけ(集中してる相手の背中を指でなぞる程度)のため、制御に秀でた相手や豪胆な相手には効果が薄いかもしれない。反対に、相手によっては予想外の効果が出ることも予想される。
 有用な魔術ではあるが、溜めや代償、その効果が相手に依存する事もあり、いまいち信用できない。
 日ごろから待機させて置きたくなるが、対象はともかく(同タイミングなら選べる)発動は任意でないため、魔術の気配に反応して勝手に作用するから良い子は常に待機なんてさせちゃいけない。とても迷惑である。

魔術:すこし黙って(スペル:サイレンス)

・溜め:無 代償:小 発動:遅延(複数待機不可) 維持:不可
・効果
 一瞬だけ対象が声を発せなくなる魔術。
 一瞬言葉に詰まった、という状態を作れる。それだけ。

魔術:ちょっと待って!(スペル:ホワイトアウト)

・溜め:小 代償:小 発動:即時 維持:不可
・効果
 相手と自分の意識に、一瞬、瞬き程度の時間空白を作る魔術である。
 効果が現れている間は、対象の意識は喪失状態になる。
 そのため集中を途切れさせる、むしろ自分の集中を切るために(相手を巻き込んで)使うなどが出来るかもしれない。
 しかし大抵の行動は意識が途切れても即座に止まるわけではなく、この魔術は無意識にまでは影響しないため、無意識による行動及び行動の持続には影響が出ない。
 使いどころによっては有効利用できるかもしれないが、他人に干渉するもののため、相手の抵抗力次第では自分だけにしか効果が出ないこともある。
 絶対にいたずらで使ってはいけない魔術である。

魔術:あ、そこ濡れてるから滑って転ぶと危ないよ(スペル:スリップ)

・溜め:中 代償:小 発動:即時 維持:不可
・効果
 対象の上に乗ったものを、まるで濡れてたから滑ったようにさせる魔術である。
 対象になるのは地面や床で、その上に乗ると雨の日の階段みたいに滑る。
 あくまで滑るだけであり、転ぶかどうかは相手次第。
 対象の範囲だが、『だいたいそのあたり』というアバウトなものなため、人が密集している場所や、階段やエスカレーターでの使用は厳禁。
 いたずらで使うときはきちんと状況を見てから使うこと。

魔術:目印(スペル:マーキング)

・溜め:小 代償:無 発動:即時 維持:無
・効果
 発動から数分間、対象に魔術的な目印をつける。
 魔術によっては前提にこれが必要な場合もあるため、使い忘れや効果時間に注意。

防御系

押し付け(トランスファ)

・溜め:小 代償:小 発動:即時 維持:不可
・追加条件:【魔術:目印】を使用した物。
・効果
 発動後一回だけ、この後自分に加えられるだろう何らかの影響を、【魔術:目印】を使った対象に押し付けるだけの魔術である。
 物理的、魔術的、精神的な被害だけでなく、何でも押し付けることができるという魅力的な魔術。
 たとえば空腹感や満腹感、眠気など。いたずら目的での使用はほどほどに。
 ただし、自身の怪我などすでに起きてしまった被害は押し付けられず、空腹感や眠気に関してもこの後訪れるだろう物にしか効果が無い。
【例1:銃弾到達直前に発動⇒銃弾が当たっても自分には被害がなく弾は弾かれる⇒【魔術:目印】を使用した対象が銃弾によって与えられるはずだった被害を変わりに受ける】
【例2:銃弾に当たってから魔術を発動⇒自分は銃弾の被害を受ける⇒【魔術:目印】を使用した対象は被害を受けない】
 前提条件があるとは言え、非常に珍しい単純に勝手の良い魔術である。
 ただし、極短時間の溜めが必要なため、使うタイミングが重要である。

魔術:紙一重(スペル:シールド)

・溜め:無 代償:中 発動:即時 維持:不可
・追加条件:イメージの精確さ
・効果
 自分の皮膚表面から3cmまでの位置に障壁を発生させる魔術である。
 その強度と範囲は術者のイメージに依存し、明確ではっきりとしたイメージができるほど強力になる。
 強度の限界を迎えるまで勝手に持続し、強度を超過すると砕ける。
 作成者も命は惜しかったのか、珍しく真面目に開発したと思われる魔術。
 ただし障壁を発生させられるのはあくまで体表面から3cmの部分だけであり、よくある盾のような使い方は出来ないため要注意。
 強度は【でこピンで壊れる程度~砲弾を弾く程度】まで幅があり、さらに代償を上乗せする事で強度を増すことができる。
 しかしただでさえ、二度三度と使えば昏倒する恐れがあるほどの代償なので、ご利用は計画的に。

魔術:返品は出来ますか?(スペル:リフレクト)

・溜め:小 代償:小 発動:条件(複数待機不可) 維持:不可
・追加条件:魔術名(ルビ右部分)を唱える
・効果
 手のひらに当たった物を反射させる魔術である。
 手のひらに当たればどんな物であっても反射させることができる、便利な魔術である。
 ただし、対象が必ず手のひらに当たってから発動するため、物によっては痛いし影響も受けるし、視認している物しか反射できない。
 さらに追加条件により魔術名を唱える必要があるのだが、それ以降、魔術の待機中に自分以外から否定的な単語を掛けられると魔術がキャンセルされる。

治癒、回復系

魔術:痛くない(スペル:アナルジージァ)

・溜め:小 代償:小 発動:即時 維持:極小
・効果
 一時的に対象の痛覚を麻痺させることができる魔術である。
 ただし麻痺させる痛みの度合いは、現在対象がはっきり痛みだと認識している痛みの中でもっとも弱い物が基準となる。
 つまり、すこし痛い怪我と、すごく痛い怪我があった場合、すこし痛い怪我の痛みはなくなり、すごく痛い怪我はわりと痛い怪我くらいになる。
 持続に少ないが代償を支払う必要があるので、さっさと鎮痛剤を使うことを勧める。

魔術:傷を塞ぐ(スペル:アドヒージョン)

・溜め:小 代償:小~大 発動:即時 維持:無
・効果
 傷口を塞いだ気になる魔術である。
 傷口の大きさによって支払う代償が変化し、払った代償に応じた範囲の傷を塞ぐことができる。
 代償として支払った魂でそのまま補填しているため、塞いでいる魂は不可視であり傷口は丸見えである。
 けれど、傷に触れることは出来なくなり、止血効果もあるので意外と有用。
 ただしそのままでは傷口はちゃんと塞がらず治癒もしないので、ちゃんとした治療を受けるべきである。

その他

余計なお世話(インストラクション)

・溜め:無 代償:無 発動:即時 維持:無
・効果
 自身の持っている代償魔術(仮称)を何らかの形で伝えることができる。
 本にしたり、口伝えたり、方法は様々であるが、どれにしても教えられた側は存在を知り代償魔術(仮称)使えるようになってしまうはた迷惑な物である。
 ただし教えられる側が望んでいなければ、習得することはできない。
 これによって教えられると、教えられた代償魔術(仮称)と魂を代償とする方法を身につけることができ、それを同様の方法で伝授することができるようになる。
 感染症のような物なので、なるべくほしがらない事が肝要である。

設定の使用、運用、追記編集について。

 使えるようで使えない、ちょっと使える魔術という設定をコンセプトに作ってみました魔術体系です。
 誰でも使える代わりに効果がどこかいい加減で、代償が重い、使いづらいなどと言った特徴があります。
 これの利用や、新たな代償魔術(仮称)の開発追記などは自由にしてくださって問題ありません。
 その際はコンセプトを理解したうえで、適度な物を開発していただけたらと思います。
 基本的にどんなくだらない物でもOKです。適度に有用でもOKです。たまには普通に使える魔術が合ってもOKです。
 すでにある魔術と類似しているが、代償や溜めなどちょっとした部分で違う物があっても問題ありません。
 誰でも使えるという事は、誰でも新たな魔術を開発する事ができる……かもしれません。

注意事項

・代償魔術(仮称)使用の際には、必ずRP中で溜めや代償の支払い、魔術が待機状態であることなどをある程度描写してください。
 それまで何の描写もなく、あらかじめ溜めておきました、待機させておきました、というのはトラブルの原因にしかなりません。不安なときはそっと、このwikiのURLをささやいてあげてください。
・代償が少ない、溜めも少ない、だけど使いやすくて効果がすごく高い。という魔術は絶対に開発しないでください。
 あくまでこの代償魔術(仮称)のコンセプトは、使えるようで使えないちょっと使える迷惑な魔術です。
 たまに扱いやすい物はあってもいいですが、現在のリストと照らし合わせて比率と効果を調整していただければと思います。
・溜めによる時間は厳密に設定しないでください。ある程度曖昧でないと、RP中自分も相手も融通が利かなくなり苦労することになります。
・代償による影響は個々人によって様々でしかるべきです。
 意識・精神活動の低下がどこにどのような形で現れるかはすべてお任せします。
・代償を支払った影響は、即座でなく多少のタイムラグがあっても問題ありません。
 RPに不都合がない程度に描写していただければと思います。
・ここの内容は予告なく変更する、される場合があります。  運用前には一度、使用する魔術と注意事項の再確認をお願いします。

編集テンプレ

名前(読み)

・溜め: 代償: 発動: 維持:
・効果
(ここまで必須項目)
・追加条件
・その他


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