キャラクターの名前など †
| 性別 | 女 |
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年齢 | 17歳(外見年齢) |
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種族 | 妖怪 |
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立場 | 学生 |
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学年 | 一年 |
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異能 | なし |
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魔術 | 妖術 |
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世界 | 地球 |
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設定 †
未完成
見やすくするため全体的に手直しを予定
名前 †
鈴ヶ森 綾(すずがもり あや)
素性 †
戦国の世の末頃、とある寒村で生じた蜘蛛の化生。
人に化けて人間(じんかん)で暮らし、人の精気や血肉を喰らう妖物。
現代においてもその性質は変わらず、大変容以降も人に紛れて生きてきた。
しかしある海辺の街を棲家にしている時正体を暴かれ、
深手を負って停泊していた常世島行きの船へと逃げ込み島へ渡る。
そのまま人間の生徒として学園を隠れ蓑に島に滞在、現在に至る。
容姿 †
外見年齢17歳
身の丈 五尺五寸(約166cm)
細身だがしっかりと出る所は出ている。
本来の姿では頭胸部から胴部までの体長がおよそ十尺(3m強)
癖のない黒髪を腰まで伸ばした長髪。
前髪は眉にかからない程度の所で切り揃える。
瞳の色は赤みがかった茶色。興奮すると赤みが増す。
日中、人間として過ごす時は眼鏡を着用。
髪も二つ結びの三つ編み等、古式ゆかしい文学少女スタイル。
夜間、妖かしとして過ごす時は裸眼。
髪も降ろした状態となる。
人間と妖かし、二つの顔は基本的に同じ作りだが術による隠形が行われている。
並べて見比べたとしても、無意識下に二つの顔を別人のものと認識させる力が働く。
人柄 †
表面上は物腰柔らかで鷹揚。
甘味に目がなく、書物を愛し、星空や夕焼けのようなありふれた自然風景を好む。
しかし本性は酷薄。
蜘蛛としての本能か、巣にかかった獲物の抵抗をねじ伏せて喰らうことに悦びを覚える。
人間を食う事に彼女が倫理的な罪悪感や躊躇いを覚える事はない。
人に対する憎しみも、遠大な野望もなく、ただ存在するだけで人に害をなす存在。
学園に籍を置いているが学業にはあまり興味がなく、目をつけられない程度にのらりくらりと日々を過ごす。
新しいものより古く伝統的なものを好む傾向があるが、決して現代文化に疎いわけではない。
戦闘技能 †
蜘蛛としての能力の他、人の心を惑わす術を得意とする。
「変化」
自身の姿を別のものに変える術。
見るものの精神に作用し認識を惑わす力があり、狐狸妖怪の持つ人を化かす能力に極めて近い。
部分的な変化や身体の一部を小蜘蛛に変えるといった使い方もできる。
「爪」
本体の持つ脚先に備わった爪。
部分変化により人型の時でも使用可能。
人体を容易に刺し貫く鋭さと刀剣の類とも打ち合える頑丈さを併せ持つ。
本体の脚を伴う場合、そこに重量による打撃力が加わる。
万全の状態なら同時に八本まで使用できる。
「糸」
糸いぼから放たれる糸。粘着性のものとそうでないものを使い分け可能。
ただの糸ではなく、自身の妖力の塊であり身体から離れたものも多少はコントロールが可能
張力と粘着力は極めて強く、強引に力で引きちぎるのは困難。
刃物で断ち切る事は可能だが、十分な技量と適切な獲物が不可欠となる。
温度変化には脆く、燃焼や凍結に弱い。
人間態の時はどのような場所からでも放つことができるが、意図的に掌から放つことが多い。
妖力の塊であるため本体から離れた糸は数十分から数時間で霧散する。
「魅了」
相手に自分を極親しい友人や恋人のように思い込ませる術。
相手を意のままに操れるという程強力ではないが、無理な「お願い」を聞いてもらう程度の力はある。
ただし、本人の命を無闇に危険に晒したり、重大な犯罪行為や著しく倫理に悖るような事はさせられない。
※基本的に他PC様への乱用は控える方針です。
食事 †
皮膚や粘膜の接触で相手の精気を吸う。
肌の接触での吸収量は微弱で、数時間に渡って吸われ続けるのでもなければ身体に深刻な影響はない。
粘膜での接触の場合、吸収量は数倍から数十倍となり、体力に乏しい者なら数分で歩行困難に陥る。
本来は一人の人間を標的に定め、友人や恋人として身近に接し数ヶ月から数年に渡って精気を奪い続け、最終的には骨ごと肉を食らう。
長くそういった捕食法を続けていたが、時代の流れに合わせて行きずりの相手を狙うことも増えた。
特に負傷中は傷を癒やすために積極的に狩りを行う。
人間が食べるようなものも普通に口にする。
しかしそれだけでは決して満たされない部分があり、人を喰らう事は必定となる。
邂逅歴 †
()付きは名知らず。
(楊柳一見)-落第街路地裏の廃ビルにて、妖かしとして出会う。
(柊 真白)-昼下がりの常世公園にて、妖かしとして出会う。
イチゴウ-七夕の夜に大時計塔にて、人間として出会う。
真乃 真-七夕の夜に大時計塔にて、人間として出会う。
(筑波 察)-夜の裏通りにて、妖かしとして出会う。
飛鷹与一-夜の大時計塔にて、人間として出会う。
イチゴウ-路地裏にて、妖かしとして出会う。
藤巳 陽菜-図書館にて、人間として出会う。
(和元月香)-歓楽街路地裏にて、妖かしとして出会う。
飛鷹与一-夜の公園にて、妖かしとして出会う。同一人物であると知られる。
レンタロウ-図書館にて、人間として出会う。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン-夜の公園にて、妖かしとして出会う。
笹貫虎徹-歓楽街の路地裏にて、妖かしとして出会う。
岡崎 燐太郎-カフェテラスにて、妖かしとして出会う。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン-女子寮にて、人として出会う。同一人物であると知られる。
レンタロウ-夜の公園にて、妖かしとして出会う。
岡崎 燐太郎-時計塔にて、人として出会う。
ロールプレイ †
200~400字を10分~20分程度と見ていただければ。
遅レスに付き合ってくれる方には感謝してもし足りません。
平和的な雑談◎ 喧嘩腰な雑談◎ 戦闘◎ 恋愛? コメディ△ エログロ○
NGは死亡、キャラによるメタ発言。他必要と感じた時追加いたします。
四肢切断程度の重傷、囁きでの相談、会話無しでの不意打ち等は可です。
駄文 †
ロール上特に読む必要の無い設定や属性等。
アライメント †
中立にして悪
秩序-混沌は規範、法律、権威、約定といったものに対する姿勢を
善-悪は他者の生命や尊厳に対する敬意や慈しみ、献身の精神の有無を指す。
中立にして悪に属する者は概して利己的。
自分の利益や楽しみのために他者を傷つける事を厭わない。
法や規則といったものはそれが自分の益になるなら利用し、そうでなければ無視する。
しかし殊更にそれらを破壊しようとするわけではなく、無闇な混乱は望まない。
過去物語 †
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| | その1
|
それは今からおよそ四百と数十年前、とある山裾の農村での出来事。
村には小さな神社と、それに不釣り合いな程広大な鎮守の杜があり、そこに聳え立つ古いクスノキは御神木として村人達に敬われていた。
杜は普段神主以外の立ち入りが禁じられていたが、子供たちにとっては禁忌を破ることも楽しみの一つだったらしく、秘密の遊び場として親しまれていた。
その日も農作業の手伝いから抜け出した数人の子供が御神木の前に集まり、何かの遊戯にふけっていた。
その遊びは離れたところから石を投げて逃げ回る虫にぶつけるというもので、標的にされていたのは一匹の蜘蛛だった。
蜘蛛は地面の上を右往左往しながら必死に投げ込まれる石を避け続けていたが
足の親指程もある石がその身体に当たると、ひくひくと身体を震わせて動きを止めてしまう。
石を命中させた子供は歓喜の声を上げ、今度は今しがた投げた物より二回りも大きい石を拾い上げ
足を止めた蜘蛛にトドメを刺そうと狙いをつけてまさに投じようとしたその時、一人の少年が現れて声を張り上げた。
「こら!!お前らまた言い付けを破ったのか!
御神木の前で殺生なんて、親父さん達に知られたら拳骨じゃすまねえぞ。」
少年は子供達より二つ三つほど年上で、その怒気をはらんだ声に子供たちは萎縮したように手を止める。
そして互いに顔を見合わせると手にした石を打ち捨て、口々に不平を漏らしながらその場から逃げ去っていく。
「まったく、何度言っても聞きゃあしない。」
子供達が立ち去った後、少年は彼らが虐めていた蜘蛛をそっとすくい上げると、御神木の注連縄の上に降ろしてやった。
それから暫く様子を見守っていると蜘蛛は息を吹き返したらしく、慌てて縄の上から幹を伝って樹上へと姿を消した。
「もう捕まるんじゃないぞ~。」
瞬く間に見えなくなった蜘蛛に向かって言葉を投げかけ、少年も自らの仕事へと戻っていく。
その去って行く姿を、枝の上から先程助けられた蜘蛛がじっと見つめていた。
少年にとってそれは、記憶に留める程の事もない、なんでもない日常の出来事だったかもしれない。
だがその蜘蛛にとっては、決して忘れる事のできない、運命的な出来事だった。
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+
| | その2
|
命を助けられたその雌の女郎蜘蛛は、少年が自分にしてくれた事を正しく理解し、ちっぽけな虫けらなりに恩義を感じていた。
そしてその恩を返すために、もっとよく彼の事を知るべきだと考えた。
近くで村の子供たちが遊んでいる時はその会話を盗み聞き、少年が神社の神主の息子で、源之助という名である事を知った。
早くに母を亡くし父と二人で暮らしている事、少々融通が効かないが真面目で思いやりがある性格である事も知った。
彼の事を知るほどに心は引きつけられ、さらに、さらにと願った。
そしてその年の秋祭りに、彼が御神木の前で奉納の神楽を舞う事を知る。
祭りの夜、多くの村人が御神木前の広場に集まり、篝火の明かりの中で舞う彼の姿を見物している。
彼女もまた、村人達から少し離れたところでそれを見つめていた。
舞の良し悪しなど分かりはしなかったが、その神々しさは彼に対する想いを決定的なものにした。
彼に受けた恩を返したいという願いは、彼の近くに寄り添いたいという想いへと変わった。
だが人でない自分に何ができるというのか、どうすればこの想いを伝えられるのか。
答えを得られないままに時は過ぎた。
やがて冬が到来し、彼女の生が終わりを迎えようとしていた。
自然環境下において、女郎蜘蛛の成虫が冬を越すことはない。
多くの仲間がそうであるように、彼女もまた死に瀕していた。
ぼろぼろになった巣を離れ、吹きすさぶ寒風から逃れようと御神木の虚に身を潜めた。
しかし冷え切った空気は容赦なく襲いかかり、彼女の意識は次第に深い闇の中に飲まれていった。
それから三ヶ月後。草が芽吹き、冬籠りの動物たちが再び姿を見せ始める季節。
彼女は長い冬を生き延びていた。
並々ならぬ執念がそうさせたのか、あるいは御神木に宿る力がその強い願いに応えたのかは分からないが
決して見るはずのない、二度目の春を迎えたのだ。
それからの一年は、ただただ時折杜に来る彼の姿を見つめる事だけに費やされた。
そうする内にさらに想いは募り、それに合わせたかのようにその身体も一回り以上成長していった。
だが両者の関係が何一つ変わることはなく、さらに八年の歳月が流れる。
彼女はまだ、杜で生き続けていた。
九度の冬を越えた彼女の体長は一尺を越える程にまで成長し、蜘蛛と言うにはあまりに巨大な姿となっていた。
その姿は時折村の子供達に目撃され、何時しか村人からは神の化身のように扱われた。
しかしそのような扱いを受けるようになっても、彼女の本質はなんら変わっていなかった。
そして今年もまた、秋祭りの夜がやってくる。
だがその年の祭りで、源之助による神楽が行われる事はなかった。
祭りの後に知ったことだが、先の冬に神主である父親が病で亡くなり、源之助も同じ病に冒されているという。
治る見込みはなく、今年の冬を越せるかどうかも危ぶまれていた。
その事実は彼女を絶望させるのに十分過ぎるものだった。
自分は結局、何も為すことができなかった。
ここまで生きながらえてきた事も、なんの意味もない事だ。
失意のままに冬を迎え、その身に降り積もる雪を払いのける事もせず神木の根本で眠りについた。
そして彼女にとって十度目の冬が終わり、十一度目の春が訪れた時、その身体に異変が起きた。
覚めなくても構わないと思った眠りから意識が覚醒した時、身体の感覚が以前と異なっていた。
「なにが…っ!?」
全身の違和感に、戸惑いの音が自分の口から漏れる。
それがまるで人間の言葉そのもので、それがさらに戸惑いを強くさせた。
一対ずつの手足、五本に別れた指、白く柔らかな肌、流れる黒髪、二つの目。
十年の長きに渡り神木の神気と月の光を浴び続けた彼女は、人の姿を持つ蜘蛛の怪異、妖怪へと生まれ変わっていた。
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| | その3
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病の床にある源之助は、その年の冬を辛うじて生き延びていた。
しかしその身体はやせ衰え、以前の精悍な面影は欠片も感じられない。
感染を恐れてか、村の者が神社に近寄ることもめっきり減っていた。
田畑や境内は荒れ果て、本人も自らの死期を悟り始めた、そんなある日の事だった。
身体の内側から来る痛みに悩まされながら一日を終えようとしていた矢先、家の戸を繰り返し叩く者がある。
村の者がたまに野菜などを届けてくれるが、基本的に顔は合わせない。やってくるのも日中のはず。
一体何者が訪ねてきたのか、重い体を起こして戸口へ立つと、戸を開けぬまま誰何する。
「どなたかな?私は重い病の身です。もし宿をお探しなら、申し訳ないが他の家を当たってください。」
家の中から声をかけると戸を叩く音が止んだ。しかし表の気配がその場を離れた様子はない。
訝しんでいると再び戸が叩かれ、それに女の声が続いた。聞き覚えのない声だ。
「はい、存じています。どうかここをお開けください、源之助様。」
源之助はどうするべきか迷ったが、こちらの事情を知っているのならばと、戸を開ける事に決めた。
表に立っていたのは、白い着物を着た、やはり見覚えのない娘だった。
見覚えはない。そのはずだが、不思議と初対面という気がしなかった。
年の頃は十四,十五、美しく長い黒髪、透き通るような肌、朱を指したように赤い唇。
田舎村には不釣り合いなその容貌は、どこぞの公家や大名の姫と言われたらそのまま信じてしまいそうだ。
ともあれ、春先の夜はまだ冷える。一先ずその娘を家の中に招き入れ、座って話を聞くことにした。
娘はすずと名乗り、山一つ越えた隣の村から来たという。
曰く、すずの父親が昔山中で怪我をして動けなくなった際、父に助けられたのだそうな。
そしてその礼に、娘が年頃になった時、父の息子、つまり自分に相手がいなければ嫁にやるという約束をしたと。
その時の約束を果たしに来たというのが、すずの話であった。
そのような話を父から聞かされた覚えはない。真偽を確かめようにも、父は昨年世を去った。
若い娘が伴もつれず、一人で山を越えて来たというのも妙な話だ。
「すずさんのご両親はどうされているのですか?」
「父は、先日身罷りました。母はそれより前に…。」
「あぁ…、これは申し訳ない。」
「父は生前、私が十五になったら源之助様の元に連れて行くとしきりに話していました。
ですがその前に、山で足を滑らせて…。」
娘の話はどうにも疑わしい点が多い。
だが、不思議とそこに邪な目的があるようには思えなかった。
仮に彼女が物取りだとして、この家に盗まれて困るようなものもない。
しかし、だからといって娘の話をすんなりと受け入れるわけにいかない事情がある。
「すずさん。先程伝えた通り、私は重い病に冒されていて余命幾ばくもないと言われています。
そんな私が妻を娶るような無責任な事はできません。何より、病が伝染る危険もある。
遠い所を訪ねてきてくださったのは嬉しいが、今夜は別の家に泊めてもらって、明日にでも村を…」
「構いません!妻にできないと言うなら、下働きの下女でもなんでも構いません!
食い扶持が必要でしたら、嫁入り道具代わりに持参した絹を替えてきます!
どうか、どうか私を、お傍に置いてください…!」
源之助の言葉を遮るように、すずは床に額を擦り付ける程に頭を下げて声を張り上げる。
その言葉に込められた並々ならぬ感情と覚悟を真っ向から拒絶する事は、源之助には到底できなかった。
翌日、二人は御神木の前で祝言を上げた。
それは他に祝う者もなく、源之助自身が祝詞を読み上げ、一杯の盃を飲み交わすだけの簡素なものだった。
二人が夫婦となった事はその日の内に村中に知らされた。
源之助の病のことを知る村人達は、すずを奇異の目で見て決して近寄ろうとはしなかった。
その事自体はすずにとってなんら苦痛ではなかったが
自分が村に馴染まないでいる事に対し、源之助が心を痛めているのが辛かった。
病で動けぬ夫に代わり、すずは懸命に働いた。
放置されて荒れるに任せていた田畑を、再び作物が育てられるようになるまで蘇らせ
神社の境内を整備し、家の中に滞っていた穢れを取り去った。
そして、病に苦しむ源之助に対し、自分の精気を分け与えるという方法で彼を救おうとした。
彼女に病を完治させる程の力はなかったが、その方法ならどうにか病状を一時的に押さえ込む事は可能だった。
すずが嫁ぐ以前の源之助は一日の半分以上を横になって過ごしていたが
半年が経つ頃には肉体に活力が戻り、翌年の春には再び畑仕事に出る事が出来るようにまでなっていた。
その様子に最初は半信半疑だった村人達だったが、源之助の病が完全に治ったのだと理解し、皆がそれを喜びあった。
それがきっかけとなり、すずもまた徐々に村の一員として認められるようになっていった。
蜘蛛の娘が長い間夢に見た幸せがそこにはあった。
だがその幸せも、長く続くことはなかった。
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