PC/生徒/橿原眞人 のバックアップ(No.13)

突発的「門」解放事件
眞人が家族を失った事件である。
眞人が14歳の時、関東のある都市で事件が起きた。
眞人の家族らが住むマンションが深夜に突如発現した異界の「門」よって現れた怪異に破壊されたのである。
マンションの住人は眞人以外を残し全員が死亡した。
これが公表された事件の概要である。このような突発的な「門」の出現による事件は珍しいものではない。

しかし、眞人はそれが真実ではないことを知っていた。
事件当日、「門」の発現前に、突如マンションの全ての部屋の出口のドアが強制的にロックされた。
何者かがマンションの管理コンピューターにハッキングをかけたのである。
その後、「門」が現れ、名状し難い怪異が出現し、マンション全ての部屋の住民を襲い始めた。
その「門」はこれまで世界に現れたものとは異なり、機械で構成されたようなものだったと眞人は記憶している。 眞人の家族らの部屋にも怪異が現れ、狂気的な姿をした怪異たちが眞人の父と母、妹を惨殺した。
マンションの住民たちは部屋がロックされているため逃げる間もなく怪異たちに襲われていっった。
眞人も襲われそうになるも、父親によって庇われ、何とか逃げる時間を確保した。
その時に異能《銀の鍵》が発動したのであった。
眞人は《銀の鍵》によってロックを解除し、死に物狂いでマンションを脱出。その頃にはマンションのほとんどは崩落していた。
薄れゆく意識の中で、眞人はマンションから去っていく人間たちを見た。彼らは何かを記録しているようであった。
そして、「実験」であるとか、「結果」というようなことを口走っていたのを眞人は聞いた。
彼らが何かを捜査して「門」を閉じるのを見たのである。

ここで、眞人はこの事件が何者かによって意図されたものだと知ったのである。
眞人はその後意識を失い、気づいたときには病院のベッドの上であった。

眞人は警察などにあの事件は何者かに意図的に起こされたものだと訴えたものの、聞き入れられることはなかった。
あの事件は突発的な異界の「門」の発生による事故として処理されたのである。
眞人はそのために、世界の様々なものを疑うようになった。
真実は秘匿され、何かが闇の中で蠢いている。それを知らなければらない。家族が死んだ理由を知らなければならない。
それが、眞人が《真実の探求者》へと入った理由であった。

ハッカー《銀の鍵》 †

上記の普通の学生の姿は仮の姿である。眞人には裏の顔がある。
眞人は《銀の鍵》と呼ばれるハッカーである。ネットワークの中に潜り、情報を抜き出すのである。

家族を失った14歳の頃から活動を始め、若くして謎のハッカー《銀の鍵》としてある一定の知名度を持っていた。
どんなセキュリティの門や鍵を潜り抜けてしまうとされたためだ。
企業や政府の情報にアクセスして、秘匿とされていた情報を抜きだし、ネットワーク上に公開していた。
その情報の多くは政府や企業の悪行についてであった。

だが、今年を境にその活動はぴたりと停止する。眞人が常世学園に入学したためだ。
現在の眞人の《銀の鍵》としてのターゲットは常世学園そのものである。
常世学園の抱える謎、そして異能や魔術、異界の門、異邦人、それらかつての世界を変容させたものについての情報を集めている。
その目的は常世財団のコンピューターに侵入することだが、未だ成功していない。
また、常世学園のネットワークの深層、殆んど打ち捨てられたような区域にもよく出入りをしている。
ハッカーの間で噂されていた謎の領域、《ル・リエー》あるいは《ルルイエ》に至ろうとしている。
何故そうしているのかは不明。
ただ、眞人がハッカーになったことは、家族を失ったことが原因であるようだ。

学園都市のいくつかの場所にセーフハウスのようなものを持っている。緊急避難用であるようだ。
その活動の範囲はネットワーク上だけには収まらず、必要とあらば現実世界でもその身を動かす。
異能の力をハッキングに用いているが、それを抜きにしてもその技術は卓越している。
この意味においては、眞人のやっていることは違法であり、眞人は違反学生ということになるだろう。
情報屋などと渡りをつけるため、身を隠しながら落第街などに足を踏み入れることもある。

《銀の鍵》 †

眞人が14歳の時に発現した異能。家族との離別に関係があるようだ。
その能力は「全ての門を開ける」というものである。
言葉通り、例外はあるものの、鍵のかかった扉や門、箱などを開けることができる。
銀の鍵と名付けられたのはその異能を使う際に、自分の手の中に銀の鍵が現れるからである。
この《銀の鍵》の力は現実世界だけでなく、ネットワーク上でさえ作用する。
そのため、眞人は《銀の鍵》としてあらゆるネットワーク上のセキュリティを突破することができた。
常世学園のネットワークの中枢、特に常世財団のコンピューターに侵入しようとする。
しかし対異能/魔術用の特殊なセキュリティがかけられており、未だ侵入には成功していない。

《銀の鍵》を以てしても破れないセキュリティを攻略するため、日々眞人は研究を重ねている。
この異能について眞人は公言していない。自身の異能は未覚醒だと人には語る。
滅多な事がない限りこの異能を人前で使うことはないだろう。
眞人はこの異能を単に門を開けるだけの異能と思っているが、変容の可能性もみせており謎の多い異能である。

《電子魔導書》 †

魔導書の電子化を現在試験している。異能と連動させることによってより効率化を図ろうとしている。
呪文の詠唱を、魔術の行使に至るために必要な過程・セキュリティ・鍵として考え、魔導書を電子書籍化させる際に機械語で記述する。
それを自らの異能によって一気に「開錠」してしまうことで、魔術の詠唱にかかる時間などを短縮させ、すぐに魔術を行使できるようにならないかと考えている。
現在、上記の方法での魔術の行使には成功しているものの、ごく簡単な魔術しか使える状態ではない。
より高次な魔導書の電子化などを考え、魔導書を探している。

元々はネットワークに強い眞人であったが、魔術にも関心を寄せている。
ハッカーとしての活動は危険を伴うものであり、時には物理的に対象に近づかなければならないこともある。
《銀の鍵》では仮に戦闘になった時に、身を守ることは難しいと考えた。
故に眞人は魔術を現在勉強している最中である。
魔術をネットワーク上でも発動させることができるのかどうかなども研究の対象である。

現在行使できる魔術などは下記のとおりである。

• 《常世神の糸》：魔力で構成された糸を自在に操り、攻撃・防御などを行うことができる
  • 『偽典・倭文祭文註抄集成』による。