二年、川添孝一は手のつけられない不良であった。
身体変化系の異能『狂悪鬼(ルナティック・トロウル)』を使い、
あちこちで喧嘩を売って回り、一般生徒へ因縁をつけたり二級学生へカツアゲをしたり。
彼は自分の苛立ちを抑えきれないままに学校で暴れていただけのチンピラである。
しかし素直な一面もあり、ただの悪党でないことを知っている者もいた。
彼はアル中で一家離散の原因を作った上に病死した父親のことをコンプレックスに思っており、
夜の街でそのことを思い出し、暴走した際にカエラムに止められたのだった。
カエラムと出会った後に眠れぬ夜を浜辺で過ごす川添孝一。
その時、後に友人関係を築く蓋盛養護教諭と出会う。
ある日、不良たち五人と喧嘩になった川添は不良たちが彼の父親を笑ったことにより激昂。
全員を再起不能寸前まで痛めつけてしまうところを蓋盛養護教諭に止められた。
彼は自分が不良になった原因である、学園の真実の裏付けを取るために常世財団本部に潜入。
異能使いと大規模怪異災害である龍害との因果関係を知り、本部のある離島から逃げ出した。
川添は常世財団本部の情報端末から得た『追放された神』という言葉に不思議な興味を感じた。
それを追って海底遺跡へと赴く。辿り着いた魚人たちの墓場で魚人と戦闘になるも、撃退。
そこにあった石碑で追放された神の名前を知るのだった。
その追放された神の名を呼べば彼の異能は強化されると言う。だが、人間の声帯ではその名前は発音できなかった……
ある日、風紀の能見さゆりとカフェで一緒になり、彼の好きなデスティニーランドに二人で行く約束をする。
デスティニーランドで楽しいひと時を過ごした後、夕暮れの観覧車で川添は能見さゆりに真実を語る。
島に隠された真実、その一端。貴種龍(ノーブルドラゴン)と呼ばれる完全生命体を常世財団がコントロールしようとしていること。
島で人間が異能を使う際に発生する余剰エネルギーを餌に異世界とのゲートまで貴種龍を呼び込むのが龍害という大規模怪異災害であること。
そして、自分がそれに絶望して擦れた生き方をしていることを。
自分は生き方を変えられるか苦悩する川添。そこで能見さゆりに諭され、考え方に大きな影響を受ける。
カツアゲをやめ、自分で働いて金を得ることを始める川添孝一。
そこを蒼穹や蓋盛養護教諭に見られ、照れながらも自分が変わる意思を持っていることを話す。
ある日、家に帰ると扉の前に常世財団本部の人間が見張っていたことに気付く。
必死に逃げる川添。しかし落第街大通りの外れで追い詰められてしまう。
常世財団本部に忍び込んだことがバレたのだ。黒服によると川添は放校処分が決まったという。
現れた否支中活路や鈴鳴トバリに助けられ、なんとか黒服を撃退する。
しかし彼は真実を追いすぎたことを後悔し、腐った目つきで歩き去っていってしまった。
こうして彼の一番長い一日が始まる。
彼が落第街にいた時、突如として異世界と繋がるゲートが出現。
貴種龍の一匹であるグリーンドラゴンが出現した。龍害の始まりである。
自分にできることは何もないと諦観を持って事態を眺めていた川添孝一だった。
だが、目の前で少女がグリーンドラゴンに踏み潰されそうになっていた時、妹の泣き顔を思い出す。
咄嗟に少女を助ける川添孝一。
そして海底遺跡で見つけた碑文に書いてあった進化の言葉を叫び、
彼は新たなる異能『追放されし異形の果実(エグザイル・レッドフレア)』を得る。
仲間との協力の末、ゲートの向こうへグリーンドラゴンを押し返す川添孝一。
もう彼は進む道を間違えることはない。
償いと新たな戦いの道へ迷わず踏み出していくだろう。
カツアゲをしていた二級学生に謝罪する川添孝一だった。
しかし謝られていた女性が激昂、川添は鉄パイプで殴打される。
何度も何度も殴られる。彼の罪は、重い。
そこへ風紀のエンガが助けに入るも、川添に本当の意味での償いが必要であることを告げる。
川添は自分の手でこの街を守ることが償いの一助になることを信じ、
私設組織である怪異対策室三課を立ち上げることを決意した。
ゲームセンター「セバ」にボルト・デスティニーのキャラクターであるドナルド・ピジョンの人形をゲットしに来た川添。
そこで数多のプライズゲッターを食い物にしてきたアリ地獄の女傑(ゴートゥヘル)の異名を持つ女性店員と接近遭遇。
槙壌結雅など多数のギャラリーが見守る中、勝利の芽を見つけてプライズをゲットした。
去っていく男の背は誇らしげだったが、勝者はただ陽光の中に消えていくのみ。
彼は生活委員会の仕事に真面目に従事するようになった。その日も廊下の掃除だ。
その時、過去に彼がカツアゲ現場でお互いを傷つけあった井戸木さいこと再会。
お互いのことを許しあい、友達として付き合っていくことを握手で約束した。
彼のしがらみがまたひとつ消えた瞬間であった。
彼が生活委員会の先輩から買い受けたベイサイドブルーのニスモR34に乗っている時。
偶然見つけた車に公道バトルを仕掛ける。
激化するバトルの末に相手の車が悪魔のLだと気付く。
凄まじい速度の悪魔のLに直線で抜かれ、川添のRは接触事故を起こす。
走り去っていく悪魔のLをただ、目に焼き付けることしかできない川添だった。
カフェで『他愛もない世間話』をする川添孝一。
その時、室長補佐代理の言葉により自分の正義が歪んでいることを知るのだった。
学園の教師である最も古き竜であるクオンに話を聞きにくる川添孝一。
そこで龍が持つ物語と英雄が持つロマンの話を聞く。
自分にできることはただ英雄を見出すだけでなく、英雄の中に光を見出すべきだと信じる川添。
彼は龍殺しの英雄を探し続けるだろう。それがどんな結果を齎すことになるのか。
コミュニケーション学の授業に出席する川添孝一。
そこで待っていたのはボケ、ボケ、ボケというツッコミは自分だけの地獄だった。
女性陣へのツッコミに疲れ果てた川添はあえなく敗走するのだった。
グエンが女性風紀委員を嬲っているところを見つける川添孝一。
それを止めようと戦闘を挑むが、歯牙にもかけられない川添。
女性は連れ去られ、無力感と憎悪に苛まされるのだった。
二年、桜井雄二は氷雪系能力と炎熱系能力を併せ持つ複合能力者だった。
真面目、しかしどこかズレた感性を持つ彼の戦いと日常が始まる。
生活委員会の仕事で電灯を交換している時にゾンビ教師である片翼・茜と出会う桜井。
彼女と話をしながらも、怪異と戦う意思を新たにし、彼女と別れて帰路についたのだった。
カフェで宿題をやっていた桜井は生活委員会の後輩であるクラスカと出会う。
二人で談笑していた桜井とクラスカはウェイトレスに難癖をつけている禿頭の大男を見る。
連携で何とか大男を店外に追い出した二人は顔を見合わせて笑うのだった。
転移荒野外縁部で黒蟻の亜人、ギジンと戦う桜井雄二。
彼の憎しみは深く、いつ終わるともない戦いに身を投じていた。
そこに現れた雛元ひよりと彼女の友達であるゴーレムに助けられる。
辛くもギジンを撃退した桜井は雛元ひよりと軽い挨拶を交わして転移荒野を後にするのだった。
大時計塔の真下でチンピラに絡まれている女性を助けようとする桜井雄二。
その時、不意打ちでスパナを頭部に受けて昏倒してしまう。
助けに来た朝霧保険医の手助けによりなんとか無事に事態は収拾。
桜井は朝霧保険医にお礼を言ってその場を後にするのだった。
桜井雄二は川添孝一に騙され、女性にナンパ紛いの声掛けをしていた。
本人にとっては友人が欲しい一心でのことだったが、当然ながら結果は芳しくなく。
47回目に声をかけた相手は、四十万静歌。学園に通う少女であった。
彼女のネタバラシにより無事、騙されていたことに気付いた桜井は
川添孝一を47回殺すという誓いを立てるのだった。(四十万静歌とは友達になりました)
桜井雄二は放課後に生活委員会の仕事で廊下を掃除していた。
掃除に大事なものは、気合。彼は大声で叫びながら廊下を駆けていた。
その時、コゼット先生と遭遇、大声を少し控えるよう注意される。
名前を覚えられていたことを少し気まずく思いながら、控えめに呻きながら掃除をする桜井だった。
桜井雄二は再び異世界とのゲートができると予報のあった転移荒野に赴く。
そこでギジンと交戦、通りがかった岡部先生と協力してこれを殲滅した。
岡部先生が追っていたワームの討伐に向かう桜井。
相手は30メートル級のS級怪異災害だったが、炎熱エネルギーと氷雪エネルギーを合成して
消滅エネルギーとして放つ『極大消滅波』で無事、これを討滅。
岡部に美味い肉を奢ってもらう約束をしてもらいながら、力を使い果たした桜井はこの地を去るのだった。
疲れを癒すために男子寮の浴場に入る桜井だった。
(ちなみに見えませんでした)
カフェで四十万静歌とばったり会った桜井。
そこで他愛もない会話を楽しみ、相手のアドバイスを聞き、グァバジュースを楽しむ。
うっかり自分の兄が死んだことを四十万静歌に言ってしまい、後悔する桜井だった。
格ゲー、それは男のフロンティア。
格ゲー、それはワンコインの戦場。
格ゲー、それはプライドを賭けた戦い。
岡部先生との格闘ゲームを楽しむ桜井雄二だった。
生活委員会の仕事で廊下を掃除する桜井。
そこにウィリー・トムスンと蓋盛養護教諭が現れる。
ウィリーが怪異対策室三課に協力的であることを喜び、
また、蓋盛に対しギジンへの怒りを見せすぎたことを悔いる桜井だった。
パンを買って食べるところを探している時、九十九十六と遭遇する桜井雄二。
彼に職質を行う桜井雄二だったが、九十九十六が出した偽造学生証に騙されてしまう。
最後にお互い少し異能の話をして別れる桜井と九十九だった。
廊下の窓拭き地獄の際に三千歳泪と出会う桜井雄二。
彼女に薦められるままに彼女の販売するお掃除ロボを買い、掃除子と名づけた。
そのローンの一回目の支払いと称して彼女から誘われるままに二人はデートに行く。
円上神社のお祭を満喫する二人。お互いの話をし、楽しみ、二人で線香花火をするのだった。
掃除子と一緒に廊下を掃除している時に名取美子と出会う。
彼女のサボりには気付かなかった桜井は彼女の言葉を額面通り受け止め、
名取美子を勤勉な少女と考えるのだった。
名取美子は掃除子を撫で、そして掃除を邪魔したことを詫びると立ち去った。
ファミレス「ニルヤカナヤ」への新規開拓に訪れる桜井雄二。
だがそこに桜井雄二の大好物であるグァバジュースはなかった。
次々と現れる相席たちを前に、楽しい時間を過ごす桜井。
最後に岡部先生から次元境界線が歪んでいることを聞き、
この日常を守るための戦いに身を投じる覚悟を決める桜井だった。
常世公園で安室冥路、遠峯生有子、橘臨助と出会う桜井雄二。
そこで安室が懐いている猫に名前をつけるところに立ち会う。
安室冥路の自然な笑顔に感銘を受けた桜井は、彼から自然な仕草を学ぶことにし、
安室と友達になることになったのだった。
廊下で来島さいこ先生と会話を交わすことになる桜井雄二。
蟻人の生態や次元境界線の歪みなどについて話す。
蟻人への憎悪を隠しきれない桜井は、それでもどこかの誰かの笑顔のために戦うことを誓うのだった。
廊下の掃除をしている際に時間を越えてやってきた三千歳泪とばったり会う桜井。
時間旅行研究会の持っていたタイムマシン、《時間旅行機》を使ったためという。
しかし6時間後の時間旅行研究会では《時間旅行機》を巡って血で血を洗う戦いが起きており、
その絶望の未来から現時刻の三千歳泪を救うために動き出す桜井。
6時間後からやってきた三千歳泪から報酬の前払いにキスをされて送り出される。
カフェで時間旅行研究会に行く直前の三千歳泪に間に合い、彼女に仕事をキャンセルするよう迫る桜井。
しかし信用されず、彼女に『お前の未来を愛している』と告げてキスをし、抱きしめることでようやく事態を把握してもらえることとなる。
そこで時間は、結果は収束していく。
6時間後の時間旅行研究会に辿り着いた桜井は、銃を向けられていた三千歳泪を救出。
彼女を守り通すことに成功する。
泣き出す彼女を抱きしめ、宥める桜井。
この時点でカフェで時間の流れを修正した事実はなくなっているものの、
本当に大切なものを見つけ出した桜井の表情は穏やかなものだった。
青垣山に築かれた蟻人の野営地を襲撃することとなった桜井雄二と岡部吹雪。
可燃性の液体に満たされた小瓶を取り出す岡部。そしてそれを使って野営地を爆破する桜井。
隠し切れない蟻人への殺意、そして過去を語る桜井雄二。
過去を吐露する桜井に生き残るための心構えを教える岡部だった。
船を襲う謎の亜人の調査のために海底遺跡を歩く桜井雄二、安室冥路、岡部吹雪。
彼らが見たものは、幽霊の少年と高度な熱線銃で武装したマンセットと呼ばれる河童のような亜人だった。
軽い戦闘の後、彼らと和睦する一行。
そして彼らの世界からやってきた名前のない怪物が船を襲っているとの報があり、
桜井と岡部は現場に急行。
激闘の末に“名もなきもの”を撃破するのだった。
青垣山でデートをする桜井雄二と三千歳泪。
そこで時間旅行機の際にカフェで自分に何を言ったのかを質問する三千歳。
桜井はキスをして抱きしめた、と正直に言う。好きと言ってもらったとも。
三千歳と桜井はお互いに告白、気持ちを確かめ合う。
その後、照れながらも中腹での弁当を楽しむ二人だった。
図書館で蓋盛養護教諭とばったり会う桜井雄二。
そこで恋愛絡みの相談をしてみる桜井だったが、
思ったよりまともな答えが返ってきて深い感銘を受ける。
無表情に蓋盛に感謝しながら、桜井は蓋盛が去っていった後も勉強を続けるのだった。
転移荒野でゲート予報に備える桜井雄二。
そこに現れたのは異世界からの迷い子である少年だった。
名前を含む記憶の大半を失った彼を保護し、バイクで去っていく二人。
この世界に存在する古い歌を教えながら、生活委員会としてやるべきことをやる桜井だった。
三千歳泪の頼みにより中波放送送信所跡の掃除に向かう桜井雄二。
そこでAMラジオ同好会と一緒に鉄塔を綺麗にし、また使えるようにしようと試みる。
カセットテープと言う記憶媒体を見つけた二人は、ある曲を聴きながら二人きりの時間を過ごす。
と、思っていたが…………? 恥ずかしいが、確かな思い出を積み重ねた二人だった。