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格子状に形作られた電脳の世界の中が視界の中に生み出されていく。

――没入する。

マトリクスが現れる。この常世島に張り巡らされたネットワーク。
その中に没入する。電脳世界へ、仮想でありながら一つの現実である疑似世界へとダイブした《銀の鍵》は巨大な《大電脳図書館》の前に来ていた。
ステルスプログラムを起動し、並大抵の警備プログラムの目は既にごまかしてある。
学園地区を再現した電脳領域。そこに《銀の鍵》はいた。
図書館が立ち並ぶその中でひときわ目立つもの。
《大電脳図書館》あるいは――《サイバーアレクサンドリア大図書館》などと言われる場所だ。
《銀の鍵》 > 《サイバーアレクサンドリア大図書館》とは俗名であり、正しくは《大電脳図書館》なのだが、その蔵書データの多さからそのように呼ばれるようになっていた。
通常、許可なく入れる場所ではない。電脳世界に没入した際は、そのアカウントなども入念に調べられる。
この電脳の大図書館には学園の報告書や研究業績、機密文書などが収められていると噂されている。
故に、普通ではないれない。一般学生では許可すら出ないだろう。
《銀の鍵》が今用いているアカウントは偽のものだ。よく調べられればすぐに偽だとわかるだろう。
だが、元よりそんなものをアテにはしていない。《銀の鍵》はハッカーである。
そして――彼には異能の力があったのだ。

大図書館の入り口。警備プログラムなどが周回する中、ステルスプログラムを起動し、《銀の鍵》は姿を消しつつ、ジャミングプログラムを飛ばす。
刹那、警備プログラムの電脳に偽の映像記録が映し出される。その間に、《銀の鍵》は何重にもロックされた扉の前に立つ。

「――開錠」

扉の前に右手を伸ばし、そう呟くだけで、何重にもかかっていたはずのセキュリティロックが一気に外れていく。 -- 真人? 2022-02-04 (金) 05:27:42


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