「わかっているサ」
「自分のしていることぐらい」
秋尾 鬨堂(あきお ときたか)
少し浮世離れした感じの教師。
機械いじりとクルマいじりが好き。
ウィークデイ、深夜。
一般車も、物流トラックも疎らなその時間帯に始まる戦い。
違法にチューニングされ、寿命と引き換えに怪物じみた速さを手に入れたマシーン同士が出会う。
惹かれ合うように、出会ってしまう。
出会ってしまえば―どちらが速いか、知りたくなる。
ただ、どちらが速いか―
それは、レースではない。
公道300km/h速度域でのドッグファイト。
朝、人々の生活が動き出すまでの短い夢。
常世島湾岸高速エリアで語り継がれる伝説。
100年前のクラシックカー、初期型NS-L。
この島に現れて以来、スペック以上の異様な速さを発揮し、
度々巷を騒がせては、いつの間にか消えていく謎のマシン。
その度人々は噂する。
どこかのチームに撃墜(オト)されて消えたのだとも、
大事故を起こしドライバーが死んだのだとも。
どちらの噂も、その数50は下らない。
だが、幽鬼のように―
今、この常世学園島環状高速道路に、
工業/農業区産業道路に。
伝説は走り続けている。
『小鍵式ピストンリング』の組み込まれたL30A改ツインターボエンジンと魔術スポッティングが施されたボディを媒介に、島全体に刻まれたタイヤパターン陣を用いて喚び出された悪魔。
真の名は※※※※。
風を読み、路面を知り、そして誰にも解することの出来ない叫び声を上げ話すという。
悪魔のLと、そのドライバーに取り憑いている。
リアルタイムミッドナイトでなくとも時間設定はミッドナイト。
それでも基本的にミッドじゃないナイトにミッドナイトすると思います。
伝説なので