いつ頃の先祖が人間と交わったのかは定かではないが、その姿を見る限りヒトの遺伝子はかなり薄れているので、恐らく高祖父/高祖母より前であると思われる。
人間と交わった祖先は、後にも先にもその1回のみ。
IQは70。
狐にしては異常に高く、会話したり道具を使ったりするのに大いに役立っている。
しかし人間の平均値(100)と比べると低く、「一般的な人間と比べ語彙が若干劣る」「発言がやや幼い」等の特徴として現れている。
だが「会話がかみ合わない」「昨日起きたことを覚えていない」等の日常生活に支障が出るようなことはなく、本人も不便を感じたことはないらしい。
ヒトの遺伝子が入っているため普通の狐より寿命は長くなっているが、その遺伝子も薄れたため、40年生きられれば長いほうだと思われる。
人間の年齢に換算すると、現在20歳程度。
その生活は狐より人間に近く、簡単な道具は使うし風呂にも入る。
調理も加熱程度だが一応する。
しかし箸やスプーン等は使えない為、盛り付けされた物の場合は動物らしく食器に直接顔を出して食べる。
ワンハンド型(コップやボトル飲料、ドリンクゼリー等)の場合は、前足二本で抱えるように持って飲む(食べる)。
野生の血が濃いため、すばやく動き回るもの(ネズミ、じゃらし等)を見ると我を忘れて飛び掛っていく。
また、空の下が好きなようでよく外出し、公園にいることが多い。
女子寮の一室に入居している。
フローリングが爪で傷つくことを気にして、床には浴室以外満遍なく絨毯が敷かれている。
一応直立できるが、したところで背はやはり低いので、生活用品や家具は全て低いところにある(大半が床に直置き)。
唯一どうしようもないのが照明や換気扇のスイッチで、そのために階段状の足場を用意し、設置してある。
ただ、狐は暗いところも見えるので普段は照明をほとんど使わず、来客があったときにつける程度。
農業区の山奥。
人里から離れた手付かずの森で、山のふもとに掘られた穴蔵を家族で巣にしていた。
近くによくネズミが現れるスポットで、食料には困らなかったらしい。
その分縄張り争いは激しかったようだが…。
産後が悪く、狐々が生まれてすぐ母(純血の狐)は死亡してしまい、父(混血)一人に育てられたため、現在の人間らしい性格は父による影響が大きい。
しかしその父も、狐々が3歳になった頃、出先で猟師に狩られて死亡。
まだ狩りの技術も未熟だったため碌に獲物を捕らえられず、空腹に耐えかねて、危険だと知りながら一か八かで山のふもとの村に下りてきたが、意外なことにその村の住民には歓迎された。
人語を話せるということで、家畜ではなく「一人の村人」として迎えられ、村長の家を間借りしてしばらく暮らした。
人間らしい生活様式は、この村での生活で定着したものである。
現在は村を離れて学園の寮で生活しているが、休暇の際には帰省して村に顔を出したりしているようである。