久喜棗 †
| 性別 | |
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年齢 | 不詳 |
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種族 | 鬼神 |
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立場 | |
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学年 | 学年 |
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異能 | 怪力乱神 |
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魔術 | 妖力を持つ |
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世界 | 東の方 |
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所属 | 今はまだ |
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半身図
設定 †
身体的特徴 †
- 白髪白肌赤瞳、頭の左片方にだけ角が生えている。
- 普段は着物の奥に引っ込めているので目立たないが右手を肘の先から失っている。
- 3サイズは全体的に平たい族。
- かなり長いこと生きているが本人も自分の正確な歳は知らない。
趣味など †
- 釣りが趣味、学園に居ない時は大抵何処かで釣りをしている。
来歴 †
東方のある国の山中で生きてきた存在。
九鬼姫と呼ばれ地元の者からは畏れられていたがある事件を境に土地を離れる。
能力 †
- 怪力乱神
- またこの力は他者に分け与えることが可能で、体液の交換という儀式を経ることで契約が完了する。
- 唾液程度では一時的に力を得るだけだが、血を交えること、または他の方法で強く力を得ることができる。
- だが人間では得た力を制御しきれずほとんどが精神異常を起こし異形化してしまう。
過去の話 †
CAUTION:このエピソードについて棗は余程親しくなければ話はしません。既知可ですが扱いにはご注意ください。
+
| | 昔話
|
昔々あるところに。
それは満月の日だった。
具足を付けた少年が夜の山中を走っていた。
その背後、10メートルほど後方には、武士と思われる男たちの一団が少年を追い駆けている。
山は背の高い草が生い茂っており、少年と男たちが月明かりを頼りに寸歩前に進む度に、掻き分けられた草々がガサガサと音を立て騒ぐ。
やがて少年の前に行く手を邪魔する草が無くなった。だがそれは行き止まりを意味していた。
地面は途切れ崖になり、少年のはるか眼下には川が流れていた。思わず少年は踏みとどまる。
足を止めた少年を見て男たちは弓を構え、矢を放つ。
放たれた矢は少年の背へと突き刺さり、否も応も無く、少年の身体は崖下へと放り出された。
ドボン。と勢い良く少年は川へと飲み込まれ、意識朦朧としながら川下へと運ばれていった。
川の下流、大きな木の枝の上に一人の少女がまたがり、釣り針を垂らしている。
少女は白い髪で、白い肌をし、さらに頭部には角が二本生えている。
地元の者には九鬼姫と呼ばれる鬼であった。
そんな彼女の釣りを邪魔するかのように少年の身体が上流より流れてくる。
彼女はそれを見止めると、釣り針を少年の具足に引っ掛け釣り上げた。
満月の日は妙なものが釣れよる。彼女はそうつぶやくと少年を揺り動かし、起こそうとする。
だが反応はない、呼吸も聞こえないし、そもそも脈すら取ることができない。
常識的に言えばその少年は死人であった。
少女は少年の顔をじっと見つめ、やがてやれやれといった風に懐から小刀を取り出す。
取り出した小刀で、まずは自分の腕を切りつけ血を流す。
次に少年の腕も切りつけ、自分の傷と少年の傷を交わせた。
半刻後、少年の心臓に再び鼓動が戻る、血はめぐり肌の色は土気色から生者のそれへと戻った。
少年はゆっくりと目を開ける。目を開いた視線の先に、少女の顔があった。
少年はすぐ自分の状況を把握する、少女に膝枕されているのだ。
思わずバッと顔を起こそうとするが少女に止められる。
「これ、まだ動くでない。儂の血を与えたとはいえ馴染むにはしばらく時間がかかるでな」
「き、君は?」
「不躾な子供だのう…他人に名前を聞くときは自分から名乗るぐらいせぬか
儂は、九鬼姫と呼ばれている者といえばわかるじゃろうかな」
警戒を隠さない少年へ、少女はあくまで優しく語りかける。
「九鬼姫……?」
そう呟いて少年は少女の顔を見る、少女の頭部には角が二本、非人間的な白い肌。
少年もこの辺りの森に九鬼姫なる鬼が出るという話は知っていた。
だがそれらは子供を躾けるためのお伽話であり実際に存在するとは露とも信じていなかったのだ。
だが確かに目の前の少女は人間とは思えない特徴を備えている。少年は恐る恐るゆっくりと身を起こした。
自分の体を確認しそのあまりにも異常の無さが異常に思える。
自分は後ろから矢を放たれてさらに崖から滑り落ちたのだ。
だのに今の自分の体には傷ひとつ無い、一体何があったのだろうか?
「失礼しました、私の名は棗平(ソウヘイ)と言います
あの…私はどうなっていたんでしょうか?敵に追われて崖から落ちたまでは覚えているのですが」
「ああ、なるほど…そうであったか
背中に矢が刺さっておったから一体何事があったのかと思ったぞ
うむ、お主はな、一度死んだのだ」
少年は「は?」と思わず聞き返して少女の目を見返す。
「比喩ではないぞ、儂が釣り上げた時には芯の底まで冷えて心臓も止まっておった
ゆえに儂が血を与えて鬼とすることで生き返したのじゃ」
「な、何を馬鹿な…」と言い返そうとするも先に少女の手が少年の頭へと触れる。
いや、正確には少年の頭部の角に、であった。
「ほれ、このようにな」
少年は少女の手を振り払い川辺と急ぎ、川面に自分の顔を向ける。
そこには確かに二本角が生えた少年の顔が映し出されていた。
少年はわなわなと拳を震わせ、ガクリと腰を落とした。
「むぅ…そう露骨に傷つかれてはこっちまで傷ついてしまうではないか」
そう言って少年の隣へと座り諭すように手を肩へと添える。
「鬼となったところでむやみに力を使わねば角が生えた以外には人と大差はない
むしろ命を拾った幸運を喜ぶべきではないか」
「でも、私が人ではなくなったと知ったら父上や母上が何と嘆くか…」
「ああ、それなら心配するでない」
と少女が満面の笑みで答える。少年はそれに対し「えっ?」と振り向く。
「お主はもう家族の元へと帰ることはない
儂のもとで一生を暮らすのだ」
「な、な…!それは無理です!申し訳ないが、命を助けてもらったことは感謝しています…ですが、それはできません
今私が使えている家は戦争の真っ最中なのです、一刻も早く国へと帰らないと」
慌てて説明する少年に少女は微笑んだままガシリと肩を掴む。
「人間としてのお主は先刻死んだ、ゆえに家へ向ける忠誠や家族への想いも許さぬ
それはこれからは儂へと向けるが良い」
「……申し訳ありませんが」
そう言って少年は踵を返し、その場を去ろうとする。
だが、体が動かない。
どれだけ力んでみても前に一歩を踏み出すことができない。
「儂は鬼の姫、九鬼姫ぞ。ぬしが鬼である限り拒否権は無いと知れ」
少女は勝ち誇るような表情でそう宣言した。
季節は巡り一年が経過した。
少年と少女は二人きりで暮らしていた。
最初は故郷への思いを断ち切れずにいた少年も、少女と暮らす内にだんだんと望郷の念も薄れ、今の生活に慣れていった。
少年はその日は森に落ちる木の実を拾い集めていた。
木の実をより多く集めるためにいつもより人里近い場所へと入ったからだろうか。
少年は一人の男と出会った、少年はその男を見知っていた。
男は少年が元々使えていた家に仕える、いわば同僚であり、少年を見るとまるで幽霊を見たように驚いた。
男は頬が痩け、見るからに満身創痍であり、今にも倒れ伏せてしまいそうだった。
男は最後の力を振り絞るように少年へと縋り付き、懇願する。
聞けば少年が元使えていた家が、敵国に包囲されておりこのまま援軍がなければ落城が確実だというのだ。
男は包囲の中を何とか落ち延びたものの味方の隣国へと辿り着く体力は無い、だからお前が救援を要請してくれと、必死の形相で頼まれた。
そして、男はそれだけ言い終わると静かに少年の手の中で絶命した。
少年は手厚く男を葬ってやると少女の元へと向かう。
少年は今すぐ飛んで行きたかったが、それには少女の許可が必要なのだ。
「駄目じゃ」
土下座して頼み込む少年を前に少女は冷たく言い放つ。
「言ったじゃろう、人間としてのぬしは死んだと
最早そのようなことはお前には関係ないはずじゃ、違うか?」
少年は、まったくもってその通りだと答えた。
だが、それでもどうしても、これが最後だから自分の願いを聞いてほしいと地に頭を擦り付け懇願する。
「……いかん、行けば必ずお主は戦に巻き込まれる
お主は鬼になったとはいえ、なっただけじゃ
鬼の力を使いこなせはせぬ、必ず、死ぬよりもひどい目に合うぞ」
少年は答えなかった。
代わりに土下座をし続ける。
「好きにせい」
少女はそんな少年を放置すると何処かへ去ってしまった。
数刻後、少女が帰ってきても少年は不動の土下座をし続けていた。
少女はとうとう根負けし、許可を言い渡す。
「ああもう、わかった!もうよいわ!
行ってよいぞ、でも必ず戻ってくるのだからな
……お主は命は儂のものということを、忘れるでない」
少年は少女の言葉に顔を上げ、深々とまた頭を下げた。
隣国までは人の足で行けば山を挟み一日がかり、だが今の鬼となった少年ならばほんの数刻で辿り着くことができた。
山々を駆け抜け、隣国の城まで辿り着く。
角隠しの鉢巻を撒き、門番へと事情を説明する。説明を受けた門番は中へと入っていき、少年はしばらく待たされた。
しばらく後、帰ってきた門番の答えは予想外のものだった。
援軍は出せない、その一点張りだった。
少年は思わず門番に掴みかかりそうになるが寸前で冷静になる。
ここで押し問答しては失望感と怒りで門番を殴り殺してしまうだろう、そうすれば援軍がどうのといった話ではなくなる。
少年は諦めその場を離れる。
まだ、希望はあった。
少女からは止められていたが自分が戦いに赴けばよいのだ。
勝算はあった、この一年間鬼の力を少年なりに試していたのだ。
その力は常識を超えており人間の軍の包囲を打ち破り助けるぐらいは容易に思えた。
いま、隣国が冷たく接するのはこちらが酷い劣勢にあるからだ。
こちらも戦う力が残っていることを見せれば気も変わってくるだろう。
そう判断した少年は故郷へと急いだ。
山間をひとすじの疾風が吹き抜ける。
それは少年であった。
少年の駆ける速さは行った時よりも更に速くなっているようだった
速く、速く、もっと速く。
少年がそう念じるたびスピードが増していき、身体が軽くなる。
飛ぶように木々をくぐり抜けた先にやがて見慣れた光景が目に飛び込んできた。
城だ。
城は数千の軍勢に取り囲まれており、鼠一匹逃がさない陣形が敷かれていた。
少年はその軍勢のど真ん中へとズシンと着地する。
兵士たちは少年を見て何やら驚いているようだった。
まぁ人が空から降ってきたのだからそれは驚くだろう。
それにしても、何故かやたらに気持ちが良い。
思わず空へと顔を上げ叫んでみる。
周りの兵士たちは怯えきった表情で少年を見上げる。
少年はそれが、楽しくて楽しくて仕方がなかった。
今にも雨が振ってきそうな厚い雲が空を遮っていた。
戦場が残酷なのはある意味当たり前の光景なのではあるが、端的に言って地獄絵図であった。
遊ばれたようにねじ切れた死体が積み上げられ、地面は変色した血で黒く染められている。
そんな異常な場に似つかわしくない、着物の少女が一人立っていた。
少女は思わず顔を歪め死体から目を背ける。
少年の帰りがあまりにも遅く不審に思いここまで来たのだった。
近くにグチャグチャと音を立てる何かが居た。
しかし姿は見えない。
少女はそれへと近づいていき、見えない何かへと手を掛ける。
「棗平か……?」
少女とて「ソレ」がもう手遅れであることはよくわかっていた。
だが一縷の望みが彼女にそんな迂闊な行動を取らせてしまった。
見えない「ソレ」が彼女の手首を丸ごと飲み込む。
少女は手を引き抜く暇もなくバキリと骨を噛み砕かれ、右手を持って行かれてしまった。
少女は激痛に一瞬怯むも残った左手で思い切り見えない何かを殴り飛ばす。
その衝撃のせいだろうか、見えなかった何かがその姿を表した。
それは異常な姿だった、身長は3メートルはあるだろうか。
筋骨隆々で岩のようなゴツゴツとした硬く頑丈な肌に獅子のような鋭利な爪を持ち、肉食の魚類のような頭部が大口を開けこちらを睨んでいた。
それを見た時ようやく少女は理解した、もう少年は居ないのだと。
少女は知っていた、鬼の力に溺れたら最後はどうなるのかと。
その末路が目の前の異形だった。
最早目の前の化け物は鬼ですらない、暴走するソレは少女の命令でも止まらない。
殺すしかなかった。
彼女はこうなることを恐れていた、だがこうなるであろうことも理解していた。
だから止めたかったのだ、少女は少年を好いていた。一目惚れだった。
だから助けたのに、結局失った。
それも自分が許したからだ。
自分が化け物の力を渡し、止められたのに化け物にしてしまった。
自分が撒いた種は自分が刈らねばならない。
今ここでこの化け物を止めなければ、化け物は敵軍に飽きたらず城の中にいる者達までみな食い殺してしまうだろう。
それは少年が望んでいたことではない。
少女が涙を流し、吠えた。
少女の咆哮は曇天を貫き戦場に陽の光を差し込ませる。
それに呼応するように化け物も咆哮する。
両者の咆哮に大気は震え地鳴りが起きる。
まず仕掛けたのは化け物だった。
その巨大な拳を振り回し少女を打ち抜こうとする。
少女はその拳を左手で受け止めるも地面の方が耐え切れずにバキバキと砕かれた。
しかし少女は拳をグッと掴むとそのまま化け物を持ち上げ宙へと放り投げる。
化け物ははるか上空へ舞い上げられ、少女もその高さまで跳躍する。
そして宙で更に化け物を掴みぐるぐると振り回し、眼下に見える山へと打ち下ろす。
音速の壁を超え周辺の空気を弾き飛ばしながら化け物は山へと墜落していく。
化け物は轟音と共に山へと突き刺さり、その衝撃で山の上半分は吹き飛んだ。
そこへさらに少女が遥か上空から蹴り落ちてきて、化け物の腹部へと突き刺さる。
着地の衝撃が爆音に変わり周辺の土砂を巻き上げる。これで山の残り半分が吹き飛んだ。
化け物はダメージを受けたものの立ち上がり、少女の足を掴み槍投げのような構えで思い切りぶん投げる。
少女は森の木々をなぎ倒しながら崖へと突き刺さる。その衝撃で崖は吹き飛んだ。
化け物は少女へ追い打ちをかけようとすぐさま飛んで行く、土砂に埋まる少女の姿を確認するとトドメとばかりに殴りつけようとした。
しかしそれは少女に当たらず、むしろカウンターヒットで化け物の顎に少女の左ストレートが突き刺さった。
バゴゥンと爆発音が響き化け物が地面を削り取りながらふき飛ばされる。
少女は再度咆哮を上げ、周りの物を吹き飛ばした。
少女の角が、眼が、異様に赤く光る。
化け物は立ち上がると拳を振り上げ迎撃の体制を取る。
しかし、あまりにも遅すぎた。
最後の攻撃を化け物は視認することすら叶わなかった。
赤い光が化け物を通り過ぎ、心臓を抉る。一瞬後に到達したソニックブームが全てをなぎ倒した。
一連の戦いの余波は周辺の地形に甚大な被害をもたらした。
山が無くなり、森が無くなり、敵国はその理解不能な破壊の痕に恐れをなし侵攻を取りやめた。
棗平の仕えていた国は戦争の危機は去ったものの、山と森を失い多くの人が食い扶持を失った。
少女もまた、住処の森を自らの手で破壊してしまったため、他所へ行く他なくなった。
更に右手、右角も失われた。
戦いの後、力を使いすぎたことにより右角は自然と砕け散ったのだ。
少女はあてもなく森から森へ彷徨い歩いた。
それから何年も後、有角の少女が人里に出没するようになった。
彼女は名を、久喜棗と名乗った。
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| | 要点だけ
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- ある時死にかけの少年を鬼の力を渡すことで蘇生させる。
- しかしその力が元で少年は破滅し、棗は自分の手で少年を殺すことになってしまった。
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忘備録 †
ミウ
常世港の波止場で会った、自称神様、自称ではないらしいが。
おこん
破廉恥子狐、長年の腐れ縁。
稲葉聡美
おこんの生徒らしい、よくない影響を受けないか心配している。
橿原眞人
機械に詳しい、卑猥な画像を収集している。
雪城氷架
女子寮の浴場であった少女、シャイなところのある若者らしい若者。
鈴成静佳
女子寮の浴場であった少女、スキンシップとセクハラのボーダーラインが曖昧。
蒼穹
破壊神。彼女の目的は一体……。
志葉恭介
時代遅れな格好をした少年。他人のことは言えないが。