【効率的燃焼魔術の発現】 サリナ・イバルラ・アマビスカ著
この本は炎と酸素の関係とそれについての利用法を書いた本だ。
内容には科学の事が多めに書かれているように見えるが、化学式はあまり用いておらず、あくまで魔術師としての視点で見ている。
つまるところ、この本は魔術師の為の本である。一部の魔法を除き、入門者向けではない。
本の冒頭に、
「この著書に書かれた魔法は、術者の安全の考慮の為に失敗時の暴発等のリスクを抑えており、
失敗しても何も出ないか、魔力の喪失感を味わうだけである。
しかし、魔法が出た後の現象についてはいずれも危険であるので使用には十分に注意するように」
と書かれている。
ちなみに5000円程度の値段で売っているのを見かける。
以下、本に書かれた利用に値する魔法を抜粋する。
- 【燃焼】 炎 難易度:1
初歩的な魔法。魔力を燃焼し、手の先からガスバーナー程度の炎を出す。
この魔法は戦闘の用途には全く向かない。いわば実験や物に火をつける用途でしか使えない。
炎は常に酸素を奪い続ける。当たり前の事ではあるが、この魔法で出る炎は赤いのだ。
- 【火花の投射】 妖術/炎 難易度:1 射程:中(5m~)
初歩的な魔法。火花を迸らせる玉を飛ばす。何かの物体に当たると火花を撒き散らして消える。
この魔法は服に焦げ目をつける程度の威力しかないが、虫を殺すには十分な威力だ。
攻撃的な魔術を欲している者の入門には最適でもある。
『妖術』とは、攻撃的な指向を持つ魔術の総称である──とこの項で説明している。
無論サリナの世界での話で、この世界での常識には当てはまらないので攻撃魔法とでも覚えておけばよい。
- 【酸素の塊】 風 難易度:2
手の先から酸素の塊を生み出す。
この魔法は酸素が逃げないよう、生み出した酸素を薄く透明な魔法の膜で覆う。
膜に覆われた酸素は数分間シャボン玉のように中空に留まる。
この魔法は口の中でやると水中での息継ぎにも使えるが、そういう用途は想定していないので長時間の使用は厳禁である。
- 【酸化炎】 炎/風 難易度:3
【燃焼】に酸素を混ぜた魔法。ガスバーナー程度の規模の炎で色は青い。
この魔法も戦闘には全く向かない、いわば実験用の魔法である。
この項では酸素と炎の結びつきについて書かれている。
【燃焼】よりも高温だが、発光が淡いので光源としての格は落ちる。
- 【青い炎の放射】 妖術/炎/風 難易度:4 射程:短(1~3m)
手から青い炎を放射する。よく目にする赤い炎よりも高温で、とてつもなく危険な魔術だ。
この魔法は、十分な酸素の供給を受けている為に青い色をしている。
また、何かに延焼した後も絶えず魔力と酸素の供給を受けているのでしばらくは青いまま燃える。
術者の手を離れた青い炎が赤い炎(還元炎)に切り替わるのに数分の時を要す。
この本のまとめである魔法で、頭一つ抜けて難易度の高い魔法である。
この魔法を使うには妖術、炎の魔術、風の魔術、それと魔術全般の知識に長けていないといけない。
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