#navi(../)
//ディレクトリ相対パス指定
*猫乃神ヘルベチカ [#a37ee6e5]

|http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/uploda/src/aca1.png|~性別|#listbox2(男,男,女,両性,無性,その他)|
|~|~年齢|17|
|~|~種族|人間|
|~|~立場|#listbox2(学生,学生,教師,その他)|
|~|~学年|二年|
//////学年は学生でない場合は削除して構いません
|~|~所属|図書委員会、Cafe E.Goery|

*設定 [#o296e264]
[[◆>http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/pclist/list.cgi?id=62&mode=show]]


**私の頭の中の図書館 [#m96903d1]
「みなさん、こんにちは。新入生オリエンテーション、図書館案内を担当する、猫乃神です」&br;
「普段本を読む人も、読まない人も、この学園では課題のために図書館を使うことは多いと思います」&br;
「ですので、簡単な図書館の説明をみなさんにさせていただくのが、この時間の目的です」&br;
「強制参加ではないので、途中で抜ける人、最初から不参加な人、いると思います。特にこちらでは呼びとめたりはしません」&br;
「ただし、知っていても、知らなくても、決まり事を守れない人は、罰されますので、気をつけてくださいね」&br;
「それでは、いきましょう。私の後についてきてください」&br;
(注:知らなくていいです)&br;
***構造 [#hc2ab4ba]

図書館群:&br;
 多数の図書館の集まり&br;&br;
図書館:&br;
 割り当てられた分野の蔵書を収めた建物&br;&br;
図書館内の設備:&br;
 背丈を超える書架&br;
 /書架の合間の机&br;
 /机に取り付けられたコンセント&br;
 /机は平机と学習机&br;
 /一人がけから四人掛け&br;&br;
 カウンター近くの入口&br;
 /休憩室&br;
 /自動販売機で売られるジュースにお菓子、惣菜パン&br;
 /図書の持ち込み厳禁&br;&br;
 書庫&br;
 /全ての本は開示され学ばれるべきと考えられている、閉架のない図書館の&br;
 /収められた本&br;
 /禁書魔導書異端の書&br;
 /選んで読むことは出来ない&br;
 /一人求める書物は与えられない&br;
 /選ばれる&br;
 /迷い込む&br;
 /導かれるため選ぶのは本の側&br;
 /手に取ることを選ぶのは本の意思&br;
 /図書館&br;
 /本来は人が己の意思で背表紙に手を伸ばす場所&br;
 /選択する場所で選択されるという矛盾&br;
 /図書館に相応しくない書物&br;
 /選ばれれば読まされる&br;
 /失われる自由意志&br;
 /ここに入り込んだお前に自由意志など無い&br;
 /整理整頓&br;
 /許可なく足を踏み入れた時点で処罰対象&br;
 /導かれようともなんであろうとも&br;
 /「禁書庫」の意味&br;
***制度 [#bfd185e3]
***委員会 [#qeefe07b]
***書籍 [#j5af1d99]
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;


**図書委員会 架空書架(C/D) [#w3c91ba8]
|担当書架|名称|担当分野|現在の異能|現在の魔術|現在の特殊能力|備考|
|第零架空書架(C/D0)|鱗内サンセリフ|コンピュータサイエンス、情報および総記||||管理官|
|第一架空書架(C/D1)|兵トレイジャン|哲学および心理学||||焚書官|
|第二架空書架(C/D2)|想野フーツラ|宗教||||警備官|
|第三架空書架(C/D3)|犬井バスカヴィル|社会科学|||この世界に存在する90度以下の鋭角から出現できる|延滞図書回収官|
|第四架空書架(C/D4)|欲野アベニール|言語||||警備官|
|第五架空書架(C/D5)|猫乃神ヘルベチカ|自然科学および数学|なし|なし|なし|×××|
|第六架空書架(C/D6)|楔ロックウェル|技術||||施設技術官|
|第七架空書架(C/D7)|錆川ディン|芸術||||修理官|
|第八架空書架(C/D8)|火引パラティノ|文学および修辞学||||移動図書官|
|第九架空書架(C/D9)|壊島クーリエ|歴史および地理||||事務官|
|第十架空書架(C/DX)|台詞|電子情報以外|島内に誕生した『新刊』を手近な書架に自動保管する|||架長|
ネットワークの海に広がる電子情報を分類し、それを各々一冊の書籍、ひいては書架と捉え管理する、図書委員会の役職。&br;
担当官は自己の担当情報を管理する義務を当たられる。&br;
取り扱い範囲は島内全域であり、書架である以上閲覧の可否を問わず、あらゆる情報を分類管理する義務がある。&br;
情報の行ずれによって異なる分野へと分類されることがあり、&br;その場合には担当官同士の協議をもって、その情報の分類科目を決定する。&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
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&br;
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&br;
&br;
&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;&br;


#region(図書委員のお仕事 1)
これは俺の物語じゃない。&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
雨降る街路は寒々とした灰色。&br;
時折避けきれぬ水たまりを踏めば、少年は顔を顰めて。&br;
傘を持つ手に力が入った。&br;
学生街。普段であれば生徒たちに溢れるこの通りも今は静か。&br;
きっともう少しすれば、華のように色とりどりの傘に溢れるだろう。&br;
けれど今、この野には、二輪だけ。&br;
少年の持つ紺色と。&br;
男の持つ、黒と。&br;
&br;
「返してもらいに来た」&br;
&br;
雨音に負けぬよう、張った声。&br;
紺色傘の少年が発した。&br;
黒傘の男は嗤う。&br;
&br;
「いいだろう、また延長したって」&br;
&br;
黒い傘がくるりと回れば。&br;
また一つ、何かが壊れる音がした。&br;
少年は紺色の傘を、閉じる。&br;
&br;
「いいや。終わりだ」&br;
&br;
ざぁざぁと。雨が少年を包み込んで。&br;
&br;
「返却の時だ」&br;
&br;
ぱぁっ、と。何かが空間を迸った。&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
いかづちのおとがきこえる。&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;37兆2000億の細胞が励起する。&br;
猫の耳、毛が逆立って、其処から迸る激しい雷。&br;
網目状に宙を走り、繋がり、分岐し、再び繋がり、そして分岐する。&br;
描かれる巨大な黄金図。&br;
&br;
それは文字のように見えた。&br;
それは一枚の絵画のように見えた。&br;
見るものによって姿を変えるロールシャッハ・テストのように。&br;
そして、最後には接続された。&br;
&br;
この島に聳える図書館群。&br;
その一端に、雷の先端が、触れて。&br;
図書館と図書館の間に、光の橋がかかる。&br;
大量の図書館の間に、幾重にも幾重にも雷が橋をかける。&br;
広がり広がりゆくそれは、最後に。&br;
ヘルベチカの文字を、映し出した。&br;
&br;
「描かれよ。猫乃神」&br;
&br;
顕現する。
#endregion

#region(図書委員のお仕事 2)
ある日。&br;
雷の多かった日。&br;
空に迸る雷を、多くの生徒が目にした日。&br;
&br;
その、次の日。&br;
&br;
ぺくしっ、という気の抜けたクシャミが図書館に響いた。&br;
音の主は、カウンターの内側。&br;
貸出用PCの前に腰掛けていた少年。&br;
親指の付け根で鼻を擦って一息吐けば、頭の上の猫耳がぴくぴくと震えた。&br;
&br;
図書委員の主な業務の一つ。&br;
貸出・返却の管理。&br;
貸し出すときは、生徒の学生証のバーコードを読み取ってから。&br;
返却するときは、それもなく。&br;
図書に付されたバーコードを読み取るのだ。&br;
外へと持ちだされるとき。外から帰ってくるとき。&br;
常に本はこの場所を経由する。&br;
&br;
人の入りが多い時には列のできるこのカウンターも、今は少年以外に人影無く。&br;
図書館の中にも数人の人影が有るだけだ。&br;
多数の図書館から成る図書館群。&br;
この図書館の蔵書に人気がないのか、それとも偶然なのか。&br;
いずれにせよ、暇を持て余した少年は、もうしばらくの余暇を楽しむ。&br;
#endregion





#region(図書委員のお仕事 X)
「だからさ。離れとけって言ったのに。バカなやつ」&br;
&br;
猫乃神ヘルベチカは、笑った。&br;
己を庇い、今、虫の息で地面に倒れ伏す少年を見下ろして。&br;
しゃがみ込んだ。手を伸ばせば、髪を梳くように頭を撫でる。&br;

「人のいいやつは、この島じゃすぐに死ぬか、食い物にされる。誰かの都合のいいように」&br;
&br;
だから、と前置きして。&br;
己と異なり、猫の耳など生えていない、黒髪の少年の頭を。&br;
ぽんぽん、と二、三度優しく叩いてから。&br;
&br;
「お前も、そうなった。悪いな」&br;
&br;
立ち上がった。少年は笑っている。&br;
最期の時に至り、気が触れたのかもしれなかった。&br;
けれど、それにしては、明るい笑顔。&br;
&br;
歩き出す先は、禁書延滞者の待つ方向。&br;
既に身はボロボロだ。&br;
あまりにも惨めで、視線の先、男は笑っている。&br;
制服の頑丈な生地には穴が空いて。&br;
体の節々の痛みで、歩くのも億劫そう。&br;
頬の傷から流れた血を、もう拭うこともない。&br;
&br;
その体から、ばちばち、と音を立てて迸る雷。&br;
37兆2000億の細胞が励起する。&br;
命の最期を燃やし尽くして、そして。&br;
指向性を持った雷が、禁書延滞者の男へ向けて迸ると同時。&br;
&br;
「さようならだ。そして、ようこそ。猫乃神ヘルベチカよ」&br;
&br;
ざん、と首が断ち切られる音。&br;
心底、つまらなさそうな顔で。&br;
男は、猫乃神ヘルベチカという少年の命を終わらせた。&br;
&br;
そして、少年の肉体から離れた頭は、固い音をたてて地面へ落ちる。&br;
勢いで二、三度転がって。&br;
血に塗れた'''金の髪'''が覆った後頭部。&br;
それを上に向けて、止まった。&br;
そうして金髪の少年は、長く短かったその生を終えたのだ。&br;
&br;
「ふん。最初から大人しく従っておけばよかったのだ」&br;
&br;
つまらない、といった口ぶりの男。&br;
転がった頭へと、歩み寄って。&br;
&br;
「それでは、渡してもらおうか………――――なんだと?」&br;
&br;
異常に気付いた。&br;
死した少年の頭部に。あるはずのものが。&br;
猫の耳が、ない。&br;
&br;
「なんっ、きさ、ま、まさかッ!」&br;
&br;
慌てた様子で、周囲を見回す。&br;
自身がぼろぼろに砕いた建物達の間。&br;
その一点で、視線が止まった。&br;
一際酷く砕かれた建物。真っ二つに断裂した壁面。&br;
そこから垂れ落ちた、一本の黒いケーブル。&br;
その先端を手の中に掴んだ、&br;
&br;
「殺すッ!」&br;
&br;
黒髪の少年に向けて、男は手の中から衝撃を迸らせた。&br;
塵を巻き上げ、高速で飛来する一閃。&br;
少年の頭、黒髪の合間から覗く猫耳を断ち切るより、触れるより早く。&br;
&br;
”なんぴとも猫を殺すこと一匹とて罷りならず”&br;
&br;
ルールが敷かれた。&br;
此処に定められた一条。&br;
だから、つまり、既に。&br;
終わっていた。&br;
&br;
&br;
距離損失を受けながらもファイバ・コアの中心を迸った光。&br;
それは、最終的に図書館の、OPACの一端へと触れて。&br;
図書館の内側へと潜り込もうとする。&br;
金髪の猫の残した、最後の能力の欠片が。&br;
黒髪の無能な猫の手から、迸る。&br;
&br;
図書館は遮断する。&br;
OPACシステム。其処から先は、スタンド・アロン。&br;
如何なるクラッキングスキルを持とうとも。&br;
如何に正当な手順を踏もうとも。&br;
そもそも用意されてなどいない回線を、通ることなど不可能だ。&br;
銀の鍵を持つものであっても。&br;
電脳の中に身を浸し、人を抜けだしたものであっても。&br;
それは、そもそもとして、彼らのルールの外側にあった。&br;
&br;&br;&br;
だから、これは、魂の物語。&br;
&br;&br;&br;
猫乃神ヘルベチカの魂を認めた図書館は、励起する。&br;
秘奥の奥底、禁書庫の中。&br;
焚書館の手に渡れば、即座に焼却されうるような、書物が並ぶその場所で。&br;
光が触れた。&br;
一冊の本が、書棚を転がりだした。&br;
宙に浮く。&br;
その46ページ、5行目、8つ目の文字。光る。&br;
次の一冊。190ページ目。2行目。2つ目。光る&br;
次の一冊。3ページ目。10行目。行頭。光る&br;
禁書庫の内側、何冊もの本が書棚から転がりだして、宙に浮かんで。&br;
光る文字列が単語を形作る。&br;
光る文字列が一節を捧げる。&br;
光る文字列が文章を描いて。&br;
光る文字列がそれを呼んだ。&br;
&br;
「描かれよ、猫乃神」&br;
&br;
遠く、図書館から離れ、砕かれた町並みの中。&br;
黒髪の猫乃神ヘルベチカの、呟いた一言があった。&br;
&br;
「その魂を寄越せ!それがあれば、私は、図書館の最奥まで――――」&br;
&br;
叫ぶ男。引き継がれたそれを求めて、手を伸ばして。&br;
同時。&br;
&br;
     界&br;
          を&br;
 視   で に     悉&br;
    元   ゃ     く&br;
   耳     あ     埋&br;
   。    、     め&br;
  瞳    と     尽&br;
 &br;
    の        く&br;
       猫   す&br;
&br;
&br;
&br;
       猫が鳴いた。&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
&br;
これは、僕の物語だった。そして。&br;
#endregion

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