なんでも、常世学園創設の際に崩された山にもともと棲んでいたらしい。
開発の際に、今の農業区山麓付近に移ったのだとか。
数百歳とされ、具体的な年齢は不明だが、遡って鎌倉時代末期にはその姿を目撃されていたことから、実年齢は4桁近いのではないかと推測される。
幼少のころは大変な悪戯坊主で、たびたび神々に叱られていたらしい。
本来の姿は、士尺(=十一尺/じゅういっしゃく)の名が示す通り、約11mの巨体で、尖った二本角に劫火の如く輝く眼、岩のような鼻、剣山のように鋭い牙、筋肉隆々とした蒼い体の大鬼。着物を腰にまとっている。
流雲齋とは、流れる雲に乗って自在に飛ぶその姿を、人がそう呼んだに過ぎない。
財団や学園を含めても数名しか知らないその真名は、劫山(ごうざん)。
とある密教の秘儀とされた神通力を使いこなすが、山籠もりの苦行で得たものである。
所持する武器は、八百貫大渦丸(はっぴゃっかんおおうずまる)という長さ8m、重さ3tほどの巨大な隕鉄製の直剣。普段は1mほどの金棒に姿を変え、自宅である古民家裏庭にぶっ刺さっている。
魑魅魍魎が見える人が見れば、ぼんやり黒い光を放っているのがわかるだろう。
弱点は退魔の術。特に神道関係とは相性が悪く、その手の剣士や術者にしこたまやられたため、苦手意識がなかなか消えない。
長年学園に勤めていたので、ロストサインの騒動も認識しているはずだが、「間の悪いことにちょうど四国遍路に出かけていた」とは本人の談。しかしその異能から、連絡さえもらえれば飛んでこれたはずだが……。
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