常世学園フォーラム

PBCサイト「異能学園都市“常世”」専用のフォーラムです。
サイト利用者以外は利用できません。
いわゆる「置きレス」可能な場として作成しました。

スパム投稿頻発のため、現在新規登録を停止しています。
新規登録希望の場合は当サイトのメールアドレスまでご一報ください。

ログインしていません。

#1 2016-08-08 21:26:13

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

寄月家

和室に座布団を敷き、茶の用意をする。
客人を招く準備は出来た。
あとは彼女が来るのを待つだけだ。

「……耐えられるといいが」

先日、ここで説教したことを思い出す。
今度はその延長線上の話だ。

人を斬ってしまった者への、人斬りから送る助言。
優しい女性に、それが受け入れきれるか、納得出来るか。
それだけが不安だった。

だが話さねばならない。
誰かに付け入られる可能性も否定できない。

秋輝は、彼女には無事でいてほしいと願っていた。
そのために、少しだけ強くさせておこうと考えた。

オフライン

#2 2016-08-08 21:58:30

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

本日招かれたのは最近仲の良い男性の家。
片手にずんだもちと桜餅を携えてやってくる。

(え~と、結局なんの用事なのかしらぁ)

用件は聞かされておらず、ただ呼ばれたのできた、という感じで。

kれの家の前まで来れば、ちょっとだけ立ち止まって家の全体を見渡し。
少し歩みを進めてインターホンを押す。

「寄月く~ん、いるかしら~?」

オフライン

#3 2016-08-08 22:07:32

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

インターホンの音を聞き、迎えに出る。
ドアを開け、ふっと笑みを浮かべる。

「いらっしゃい。
お待ちしていました、どうぞ」

ゆったりした和服姿。おそらく部屋着なのだろう。
そのまま招き入れて、準備をしておいた和室に通す。
座布団へ座るように示し、自分も正面に座る。

「本日お呼びしたのは、ちょっとだけ話しておきたいことがあったからです。
落ち着いた場所で、誰にも聞かれないように」

正座し、改まった様子で口を開いた。

オフライン

#4 2016-08-08 22:15:17

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

座布団に座るよう促されれば、素直に座る。
予想していたほんわかな雰囲気とは違って、堅い空気に自然と留以も真剣な顔つきになる。

「あらあら、お茶と御菓子でのんびり、って空気じゃないのね。
それじゃあこれはまた後にして……」

持っていた御菓子を机の隅に置き、しっかりと寄月を見据える。

「それで、お話の内容はなにかしら」

オフライン

#5 2016-08-08 22:23:25

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「すみません。
話が終わってから、ゆっくりとお茶にしましょう」

ぺこりと頭を下げる。
再び顔を上げ、まっすぐに見つめる。

「あなたが人を斬ったという事実に関してのお話です。
詳しく聞かせてください」

真剣に尋ねる。
それが相手のトラウマを抉ったとしても、これは聞かねばならない。

オフライン

#6 2016-08-08 22:38:35

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

「……」

ほんとうならば、話したくは無い。
留以という人生の中で最大の汚点。
それを話せというのだ。
断っても怒られはしないだろう。

「……初めは、ただの練習試合だったの。
お互い殺傷はなし。
勝敗はどちらかが気絶するか、負けを認めるまで」

けれど、ぽつりぽつりと話し始める。
それは彼に一種の信頼があるから。

そこから、練習相手がやってきたこと。
殺意を感じたこと。
殺しにかかってきたように、見えたこと。
できるだけ言葉を選び、説明をしていった。

オフライン

#7 2016-08-08 22:45:36

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「よくわかりました」

小さく頷いた。

「あなたに殺意は無く、刀を捨ててまで相手を助けようと走ったことも理解しています。
そして相手に殺されないための自衛手段として刀を振るった。
あなたが剣を振るわなければ、死人が一人出ていたでしょうね」

殺す気があったように見えた、だけかもしれない。
けれど実戦を経験した者の感知する『殺意』は、本当に正しいものだ。
殺気に反応し、自衛のための振るったのであろうことを理解していた。

「僕はあなたを信頼しています。
そしてあなたの心優しさも。
だからそれを踏まえて、『人斬り』としてあなたに伝えたいことがある。
……そのために、あなたをここに呼びました」

ほんの少し、ほんの少しだけ悲しそうに見える笑みを浮かべて言った。
彼女に同じ道を歩ませないために。

オフライン

#8 2016-08-08 22:55:23

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

果たして、あれは正しいことだったのか。
其れは今でも疑問に思う。
けれども、今になってはどうしようもない事実で、相手もそれを許してくれている。
ならばそれを背負ったまま歩むしかなく。

「……寄月くん、も。
人を斬ったことがあるのね……」

人を守る側の者としては、それは許せないけれど。
しかしそんなことは勿論いえず。
複雑な顔をしている。

オフライン

#9 2016-08-08 23:04:31

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「ありますよ。
極悪犯と戦い、首を落としたことがある。
暗殺者に仲間がやられないよう、僕が血を浴びたことがある。
ここに来る前、悪人が大量のクローンを連れて世界を潰そうとした時、何十人も斬り殺したことがある」

小さく笑う。
人を斬ることに慣れ、その自分をあざ笑うような、複雑な表情だ。

「……それで、多くの人に後ろ指をさされました。
人殺しとも、悪人とも、バケモノとも。
それでも、剣を振るうことが僕の生き方であり、守り方だったので、ひたすらに続けました」

左胸をぎゅっと掴む。
今でも罵ってきた相手のことは忘れられない。

「……ですが、あなたは自分が殺意を持って斬ったわけではない。
人を殺したわけではない。
留以さんは殺されそうな自分も、人殺しになりそうな相手も救ったのです。
だから、どう罵られても、あなたは強く心を持ってほしい。」

悲しげな笑みのまま、言い放つ。

オフライン

#10 2016-08-08 23:50:47

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

「ふふっ、ありがとう寄月くん。
でも、それなら寄月くんも一緒じゃない。
極悪人を倒した。それはきっと、これ以上被害者が増えないようにした。
暗殺者を倒した。それはきっと、これ以上仲間が死なないようにした。
野望を食い止めた。それはきっと、世界中の人が生きていけるようにした。
すごく、いいことをしてるわ」

事実がどうだったかはしらない。
寄月の言葉だけなので、判断はできないが、もしそうだとすれば感謝こそすれ、罵倒などもってのほかだ。
なのに。

「なのに貴方は罵倒され、貶され。
たった一つの事象だけで判断されて、貴方は悪者にされた」

こんな言葉がいいたいわけじゃない。
彼なりに励ましてくれているのに、この口は魔逆のことを言ってしまう。

「……私は、彼女を救ったのかもしれないけれど。
彼女の親やお姉さんから見れば、きっと貴方の様に、悪人かもしれないわ。
だって、大切な人を斬ったんですもの」

ちょっとだけ疲れたように、ふぅとため息をついて、優しい笑みを寄月にむけた。

「私は本当に、誰かを救ったのかしら」

オフライン

#11 2016-08-09 00:00:37

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「そう、同じですよ。
僕も、誰かにとって大切な人を斬っていたかもしれない。
そしてあなたも、誰かを救っていたたとしても、同じように罵られるかもしれない。
だから……」

眉根を寄せる。
鋭い瞳、けれど優しさを含む瞳。

「僕が保証します。
あなたは優しい人だ。
たとえどんなに蔑まれ、罵られようとも、あなたは二人の人間……あるいはそれ以上の人間を救った、優しい人だ」

息をほんの少し止め、吸い込む。

「だからもし、知らない誰かにそう言われたとしても、無為に自身を卑下しないでください。
その誰かの悪意に飲まれないでください。
顔も知らぬ誰かの甘言に惑わされないでください。

無論、自身が行ったことを忘れていいわけではありません。
人を斬ってしまったことを悔やみながら生きて、でもそれを足掛けにあなたを狂わせようとする人に負けないでください。
……僕は、あなたを……『留以さん』が失われるところだけは、絶対に見たくない」

きゅ、と唇をかみしめる。
心臓が強く締め上げられるような感覚が走る。
この女性が、そうして堕とされ、狂わされる姿を想像してしまった。
きっと、そんなことがあれば、『八雲 亜輝』はあの日と同じように狂ってしまうだろう。

オフライン

#12 2016-08-09 23:55:52

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

きょとんとした顔で寄月をみる。
そう返されるとは思ってなかったのだ。

「そういってくれるのは、凄く嬉しいわ。
うん、本心から、嬉しいって思うの。
でも……なんて言えばいいのかしら。
そこまで気にかけてくれる間柄だったかしら」

少し怪訝な顔をして、そんな質問をして。
はっと気付いたような顔をして慌てる。

「あ、ちがうのよ?
いやとかそういうのじゃないのだけれど。
寄月くんってそんなに面倒見のよい子なのかしらとおもって。
知り合って間もないのにこんなに助言してくれるなんて、珍しいなっておもって~」

オフライン

#13 2016-08-10 00:14:13

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

ぴたりと動きを止める。
胸を掴む手に、力が籠る。

そうだ、多分この感覚だ。
あの日『夏樹』に抱いた感情と同じだ。

「おそらく……おそらくですが……
僕はあなたが好き、なんだと思います。
留以さんを失いたくないくらいに」

違う。お前は間違っている。
そんな声が、胸の奥から響く。
それを握り潰すように、また胸を握りしめる。

「好意もそうですが……同時に、人を斬ってしまった先達として、伝えるべきことなんだと思いました。
僕らはどんなに安く見積もっても、ただの人斬りです。
でも、だからって……人を斬ってしまったからといって、謂れなき悪意を受け止めなければならない、などということは無いのです。
僕は僕と同じように、間違って、狂ってしまう人を見過ごしたくない。
……そう思ったからこそ……あなたには、これを伝えたかったんです。
誰にも聞かれない場所で、あなただけに」

乾いた喉で、絞り出すように語る。
自分のトラウマも引き出して、それでも告げたいことなのだ。

オフライン

#14 2016-08-10 00:25:39

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

彼はなんと言ったのか。
聞き間違い出なければ、意味が違うのか。
もしかしたら、友達としてという意味かもしれない。
いた、たぶんそうだろう。

赤くなる顔を自覚しつつ、頬を抑え。

「あら、あらあら。
そ、そうなのね。えっと、うん、寄月くんの気持ちはとても嬉しいわぁ~。
わたしも、心が弱かったりするから、そういう助言はすごくうれしいなって、ええ」

あからさまに動揺しつつ。

オフライン

#15 2016-08-10 00:56:04

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

ぎし、と胸を掴む。
苦しい、息がつまる。

「僕は昔……恋人を亡くしました」

ぽつりと呟く。

「大切な人を失いました。
命の前に、心を。
壊れた心で、僕を刺しに来た彼女の顔は……
壊れた心で、虚空を見上げる彼女の顔は……
……もう、思い出したくないほどに、悲しかった」



「だからあなたを……失いたくない。
あなたを恋人として迎えることになろうと、なかろうと……
あの時の壊れた目を、見たくない。
……留以さんに、同じ目をさせたくない」

まるで泣きそうな顔、震える唇で呟き、じっと留以を見つめる。
剣士としてではなく、守るべきものとして。

オフライン

#16 2016-08-11 02:02:25

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

「え、と……」

俯いたり寄月をみたりと、挙動不審になる。
泣きそうな寄月の顔は、留以の返事をさらにしにくくしており。
少し時間がたってから、顔を赤くして寄月を見る。

「あの、嫌じゃないのよ?
寄月くんは優しいし、信頼できるから、そう言われるととても嬉しいの。
でも、まだそういう考えはできないというか……。
実家の事や仕事もあるから、すぐには返事が出来なくて……」

まるで逃げるように、言い訳をのべてさきのばしにしようとする。

オフライン

#17 2016-08-11 02:19:22

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「『好きです』という言葉に……返事が欲しいわけではないです」

首を小さく横に振る。
少し落ち着けるように、目を閉じて深呼吸をして。
再び目を開き、顔を上げたときにはいつも通りだ。

「留以さんが人を斬ったという事実があろうとも、僕はあなたが大切に思えます。
僕と違ってとても温かくて、とても優しい人だ。
でも留以さんは、その優しさに必ず付け込まれる」

先ほどまでの乱れようが嘘であるかのように、凛として言葉を紡ぐ。
瞳にも、普段の力が戻っている。

「だから、これだけは覚えておいてください。
たとえ人を傷つけてしまったとしても、あなたは見知らぬ誰かの悪意を受け止める必要はない。
たとえ人を斬ってしまったとしても、あなたは幸せになる権利を失うわけではない。
そんな言葉であなたを惑わし、あなたを手にかける者を気にかけてはいけません。
それでも、折れそうになったら、僕があなたを好いているという事実を思い浮かべてください。
……誰がどんな評価をしようと、僕は今の留以さんが好きなんです」

背筋を伸ばし、言い切る。
鋭く、強い眼光。
嘘偽りない感情と、留以に伝えたい言葉だけがこの場にはある。

オフライン

#18 2016-08-11 02:37:37

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

寄月の真剣な目に留以も思わず背筋を伸ばし、こくこくとうなずく。
出来れば二度と人など斬りたくはないが。
しかし、この先無いとも言い切れず。
しっかり寄月の言葉を覚えておく。

「……寄月くんは、逆に。
誰かにそういう言葉は貰ったのかしら。
その、何かを支えにできる言葉は」

大切な人がいたといっていたから、もしかしたらその人から言葉をもらって、支えにしていたのだろうか。

オフライン

#19 2016-08-11 02:55:02

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

次に人を斬るという可能性以上に、それを理由に留以が責められる可能性を告げていた。
それが伝わっていればいいのだが、と小さく息を吐く。

留以の問いには、首を横に振った。

「いいえ、何も。
ですが僕の師は、一人は暗殺者で、一人はバケモノでした。
なので『剣士は人を斬って初めて一人前』と言われましたね」

その言葉だけで、相当に過酷な状況で生きてきたであろうことは理解できるだろうか。
彼は支えなど無く、悪意に苛まれながら自分の足で立って生きてきたのだ。

「……僕に支えはなかった、だから何度も折れそうになり……
恋人を失った時は、本当に折れてしまった瞬間がありました。
だから留以さんだけは、同じようになってほしくないんです。
……留以さんは……堂々と生きていいんです」

小さく、優しく笑顔を浮かべて、そう言った。
胸の痛みは、いつの間にか引いていた。

オフライン

#20 2016-08-13 00:00:54

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

「それじゃあ駄目よ」

寄月の言葉に否定をする。
堂々といきる。
寄月が、たった一人でも留以を肯定してくれるなら、留以は救われるだろう。
でも、それではダメだ。

「寄月くんも、堂々と生きてくれなきゃ。
ううん、寄月くんはきっともう、大丈夫なのかもしれないけれど。
私を支えてくれてる貴方が折れちゃったら困るもの。
だから」

一呼吸おいて

「私も、寄月くんのことが大切よ。
寄月くんのような気持ちではないけれど……でも、大切な人だから。
だから、貴方も堂々と生きて。
それで、折れそうになったときは、ちょっとだけでも私を思い出してくれると、嬉しいわ」

そう、優しく微笑む。

オフライン

#21 2016-08-13 01:22:43

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

きゅ、とまた心臓が縮み上がるような感覚が走る。

その言葉をかけられたのは、何度目だろうか。
彼女にとって、自分は特別ではない。
同じように言ってくれた、かつての仲間たち。
それと変わらない。

「……ありがとうございます……
肝に銘じておきましょう……」

微笑みながら。静かに嘘を吐いた。
自分はもう変われないのだ。
刀を振るい、血を浴び、命を消費して勝利を導く、『最強の捨て駒』としての生き方。
きっとそれを変えられる人間には出会えない。
きっとこの人も、自分を変えてはくれない。
そう感じていた。

「……お話は以上です。
我が家までお呼び立てして申し訳ありませんでした」

ぺこりと頭を深く下げる。

オフライン

#22 2016-08-14 20:38:23

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

「こちらこそ。
本当にありがとうね、寄月くん。
こうやって、貴方のことを教えてくれて。
心構えを、教えてくれて」

もしかしたら、この先で寄月のいうように、心が折れるようなことが起きるかもしれない。
しかし、その時に支えがあれば、おそらくはのりこえられるだろう。

「それじゃ、そろそろおいとましようかしら~。
御菓子もってきたけれど……よければてきとうに食べてね。
結構美味しいのよ~」

普段の調子に戻ったのか、ほんわかした声で御菓子を薦める。

オフライン

#23 2016-08-14 20:53:38

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「……ええ、理解してもらえて助かります。
あぁ、帰られる前に、こちらも土産を……」

傍らにある自分の刀を握り、留以に近付く。
それを鞘に納めたまま杖のように振るい、魔法陣を展開する。

「留以さんを守る魔術結界のトリガーを仕込んでおきます。
留以さんの精神を犯す術や魔法薬に反応して、それらをおよそ半日防ぐ結界を展開出来ます」

金色に輝く魔法陣が一つの点に収束し、光の玉になる。
その玉をぴっと投げると、留以の胸の中に潜り込んでいった。

「……これでおしまいです。
出来ればこれが発動しないことを願っていますね」

そう言って、もう一度笑った。

「僕も和菓子は好きなので、ありがたいです。
ありがたく頂戴します」

再び座布団に座って、ぺこっと頭を下げた。

オフライン

#24 2016-08-14 21:12:52

阿曇 留以
メンバー
登録日: 2016-08-07
ウェブサイト

Re: 寄月家

「あら、ありがとう寄月くん。
半日も展開できるのね……。
すごく、凄く助かるわぁ~」

とても喜んでいる顔。
基本的に妖怪退治は夜、深夜に行なわれる。
もしこの緊急避難が使われて半日続けば、朝まで持ちこたえられ、なんとか逃げ切ることは出来るだろう。
それは、なによりもありがたいことだ。

「それじゃあ、今日はありがとうございました。
また今度もお話しましょうね」

ぺこ、と頭を下げその場を立つ。

オフライン

#25 2016-08-14 21:15:50

寄月秋輝
メンバー
登録日: 2016-07-06
ウェブサイト

Re: 寄月家

「ただ精神を攻撃するものにしか反応しないので、十分にご注意を」

頭を軽く下げ、それに応じる。
そして再び立ち上がり、見送る構え。

「はい、ありがとうございました。
気を付けてお帰りください」

玄関まで先導し、ドアを開けた。
外はまだ明るい世界が広がっていた。

オフライン

Board footer