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(未開拓地にできた遊園地。
夏の終わりに佐伯貴子はここに来ていた。
まだ開場はしていない。
列の一番先頭である。
一日フリーパスチケットを二人分買った。学割で。
サービスなのか冷感符というマジックアイテムももらった。
身体の何処かに貼れば涼しく感じるというものである)
ここのマスコットはどこか…怖いな?
ネコマニャンランドができればいいのに…
(ディスティニーマウスというマスコットのイラストの目を見ながらいう。
目が笑っていない…気がする。
佐伯貴子はオレンジ色のワンピースを着ている。
花柄だが異世界の花らしく、種類を見分けるのは困難だろう。
今日は一日オフである。
遊園地というものに縁が薄い、よって、
ある意味冒険でもあった)
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そうか……?
オレは別に怖いと思わねーけどな。
結構可愛いと思うんだけどなー。
(貴子に言われてディスティニーマウスを見るレイチェル。
なるほど確かに目は笑っていないようでもあるが、
これはこれで可愛いのではないか、とレイチェルは思うのだった)
さてレイチェルは、と言えば。白のライダースに紺色のチュールスカート、といった
服装だ。完全にオフのそれである。)
ネコマニャンランドができりゃいいっつーのは、そりゃオレも同感だけどよ。
まぁ、ここも結構楽しい……って聞くし、楽しみだぜ!
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可愛いか…まあこうして人気があるのだから可愛いのかもしれない。
見ていれば見慣れてくるかもしれないしな。
(そう言って後ろの髪をかきあげ、首筋に冷感符を貼り付ける。
これから日が高くなると少々暑くなるので、これで安心。
レイチェルが必要とすれば手渡すだろう)
ネコマニャンはゲーセンとかでよく見かけるから逆にこういう大規模のは作れないのかもな。
よし、行こう!
(開場である。思ったより静かなものである。
特に走ったりするメリットがないからだろうか)
最初は「運命のバザール」だな。
こういう「お土産屋」は、荷物になるから最後にもう一度見て回ろう。
(初心者が陥りがちなトラップに、最初に大荷物を買ってしまう…と言うものがある。
だから軽く見るだけにしようと思ったのだが…
ネズミの耳の形をしたヘッドアクセサリ。
これは…着けながら園内を歩くものではないのか?
じっと見入ってしまう)
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そうそう。帰る頃には貴子も、グッズを買い漁ってたりしてな……っと、さんきゅー。そいつは頂くぜ。
(冗談っぽくそう言って、笑うレイチェル。彼女は勿論グッズを買いに買う予定らしい。
貴子と同じように首筋に貼れば、小さな肩を二、三度回すのだった)
そういうもんか。じゃあせめてアトラクションとか出来てくれりゃ嬉しいんだけどなー。
出来ねぇもんかな、このデスティニーランドに……。
(真顔である。果てしなく、真顔である。その表情のまま、ゲートの向こうを見つめている。)
そうだな、ぬいぐるみだとか買いたいもんは色々あるが、最後でいいよな。
まずはアトラクションに並ばねーとな。せっかく遊びに来たんだか……ら?
って、おいどうした、貴子?
(貴子の視線の先を追って、レイチェルはヘッドアクセサリを見た。
見ながら、顎に手をやるレイチェルは、至って冷静な口調でこう言った)
へー、貴子こういうのに興味あるんだな。ちょっと意外だぜ。
……でもこれ、貴子がつけたら可愛いかもな。頭につけるんだったら荷物にもならねーだろ。
買ってくか?
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何か、泥沼にハマってしまうような感じで怖いのだが…
そういう趣味が一つ増えてもいいか。
(レイチェルは可愛いものに目がない。このキャラクターたちを可愛いと思えばグッズを買うだろう。
…ということは予想できたが、自分がどうなるかは神のみぞ知る処であった)
目が怖いぞレイチェル。
どちらかといえば、商店街で小さなショーをやる…位が現実的じゃないかな?
(ネコマニャンショー。何をやるのかはわからない。
歌って踊るのだろう。
いいじゃないか、可愛いじゃないか…と想像する)
どうしたと言われても…何かに呼ばれているような感じが…
(まるでチャームの魔法にかけられたかのように、ヘッドアクセサリを手に取ると、
試着して、設置されている鏡を見る。
似合うかどうかは別として、非日常的な印象を受ける)
レイチェル、先に行っててくれ。
私はこれを買う。
(そう言うとレジに向かう。まさか何らかの魔法で買わされたかのようだ。
が、実のところ、佐伯貴子は浮かれきっており、雰囲気に飲まれてしまっているだけなのであった。
次は順当に行けば「ディスティニーキャッスル」。
夕方から夜にかけてのパレードが有名である。
カップルで来たらこの城を背景に写真を撮る、のが定番だという。
女子二人の場合も大抵は同じ結果になりがちである。
レイチェルが先に行こうと行くまいと、とにかく城を間近で眺めることになるのだろう)
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良いじゃねぇか。趣味が増えるっつーことは、それだけ人生の楽しみ方も増えるってことなんだから。
そこんとこ、広く受け入れていこうぜ、貴子もさ。
(と、軽く笑うレイチェルであった。)
商店街で小さなショーか。それはそれでまぁ、良いんだけどな……。やっぱりこう、どーんと壮大なスケールで見てみたいもんだぜ。
ネコマニャンの世界を。ネコマニャンワールドをさ……!
(これ以上無いほどの真顔である。やはり、こういったものについて語る時の彼女は別人のように見える……かもしれない。
目が怖いと言われたのを気にしたのか否か、肩を竦めて首を振りいつもの調子に戻るレイチェルであった。)
お、良いじゃねぇか。似合ってるよ、貴子。
(微笑んで、レイチェルは彼女を見て何度も頷く。
あらゆる角度から回り込むように見た後、大きく頷き――)
うん、すげー可愛いよ。
(――と、そんなことを真顔で言うのであった。いや、オレも買うよ、と付け足して。結局レイチェルも一緒に
買うのであった。)
なんか不思議な気分だな。異世界の中で異世界に迷い込んでる、全くもって不思議な感覚だぜ……。
っておお、すげぇな。あの城、結構迫力あるもんだな! なぁ貴子、せっかくだし写真撮ろうぜ?
(ネズミの形をした自分のヘッドアクセを触りながら、そんなことを言って城を眺めるレイチェル。)
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人生の楽しみが増えるか…レイチェルはいつでも前向きだな。
私は「出費も増える」という言葉がついてくるのが怖くてな。
(苦笑しつつ同意する。
出費と言っても大したものではないし、楽しみが増えるのは良いことだ)
ネコマニャンワールド…大きく出たな。
楽しそうだから本当にできるといいな。
(うんうんと首を縦に振る。
そもそも、ディスティニーマウスよりネコマニャンの方が可愛い…ように見えるし、
知名度も割りとあるのだから、案外現実味があるかもしれない)
おっ…そうか?
なんだか照れるな…
(レイチェルの言い方なのだろうか、
本気で褒められたと感じて赤面してしまう。
お世辞は言わない相手なのはわかっている。
だからこそ照れくさくなってしまうのだ)
レイチェルも似合ってるそ!
超かわいいな!
(お返しとばかりに褒めてみる)
異世界の中で異世界とは…そりゃあ不思議だろうな。
私にとっては異邦人街も十分異世界なんだが…それよりファンシーな世界に感じるな。
あ、写真なら…
(ここでは他の客に頼む必要はない。
キャストと呼ばれる自動清掃ロボットに写真を頼むのだ。
携帯デバイスをキャストに渡すと、「4,5枚撮ってくれ」などと頼む)
ほら、レイチェル!ポーズポーズ!
(可愛いポーズを取ろうとするが、何故か無言でピースサインの佐伯貴子であった)
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