2015/06/22 のログ
犬飼 命 > 「そうか……俺は犬飼だ、覚えておけ」

出てくる言葉がことごとく威嚇の言葉になっている。
こういう会話自体が慣れていないのだ。
柔らかい口調が出てこない。

「……っ!?」

明らかに落ち込んでいる。
その耳と尻尾の様子、猫を世話しているからわかる。
しかしだ、何が原因で落ち込んでいるのかわからない。
何故だ、なにをしてしまったというのだ。
しかめっ面で焼きそばパンをすべて咀嚼して飲み込む。
まるで睨んでいるかのような顔だ。

睨み続けてようやく思いついたのか何かを探す。
取り出したのは『ねこじゃらし』だ。
大きく勘違いしているが犬飼にとってはこれが最善だと思ったのだろう。
これを目の前でちらつかせば猫の機嫌が取れるのだと本気で思い込んでいる。

ユーユン・レイ > 「は、はい……」

覚えておけってやっぱりそう言う事?
ただ名乗られただけではあるのだが、この状況と口調ではより萎縮してしまう。
しかもかなり睨まれている様であった。
やはり最初の冗談をスルーしてしまったのが間違いであったか。
もしかしたら『何言ってるのこの人?馬鹿なの?』みたいな顔に見えたのかもしれない。
大分間抜け面だっただろうから…でもわざとじゃないし、その辺何とか分かってもらう訳にはいけないだろうか?

「……くっ!」

もうここが最後のチャンスかも知れない。
本来なら猫じゃらしにじゃれるのはかなりの屈辱なのだが、折角の好意を無駄にする訳にはいくまい。
ねこじゃらしを見れば手首を曲げて所謂猫パンチの構えを取る。
かなり気合の入った表情だ。

犬飼 命 > ようやく反応してくれたと、顔が少しほころぶ。
ユーユンの目の前で猫じゃらしを揺らす。
やっぱり、本質は猫と一緒なんだなと。
いつも猫と遊ぶかのようにゆらゆらと。
その顔は珍しく期待に満ちている。

ユーユンの心の中など知る由もなかった。

ユーユン・レイ > こんな所人に見られたら生きていけない…。
言うなれば人間がサルの真似をさせられているようなもので、これが結構恥ずかしいのだ。
ここで犬飼の機嫌を損なうまいと言う気負いから来る真剣な表情。
恥ずかしさから来る赤面。
そして揺れるねこじゃらしに合わせた猫パンチ。
合わせればねこじゃらしに夢中になっている様にも見えるだろう。

事実、理性の奥底に眠る本能が少し熱くなっている感はあったのだが。

犬飼 命 > 「……ハッ!?」

ひとしきり遊んだ後、気がついた。
猫の獣人とはいえこういうことをやってよかったのか。
少しだけ普通の猫と遊んでいる感覚で楽しんでいた感じはある。
なんと言おうか。
猫じゃらしをしまうと気まずそうに立ち上がる。

「……あー、わ、悪かったな」

時刻も昼休みの終わりを告げる頃。
なんだか気恥ずかしくてまるで逃げるように屋上から出て行った。
その後ろを猫が追いかけていく。

ご案内:「屋上」から犬飼 命さんが去りました。
ユーユン・レイ > 「えっ」

ここまでしておいて謝るのか。
寧ろ満足して帰って頂きたかった。
こっちだってここまでやったんだから。

「そ、それじゃ……」

猫パンチの格好で固まったまま挨拶。
いつもどおり一人で終わるはずの昼食が何だか妙なことになってしまった。
まぁでも、あの先輩は見た目より危なくないのかも知れないと言う事は分かった。
もうこれで食事の味も分かるだろう、と残りのツナサンドを齧ろうとした瞬間。

「……やばっ」

昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
サンドイッチを咥えたまま走り出す。
結局昼食は半分もとれなかった。
次に会ったらこの埋め合わせを要求してみようかな、なんてその場の勢いで思いながら屋上を後にした。

ご案内:「屋上」からユーユン・レイさんが去りました。
ご案内:「保健室」に犬飼 命さんが現れました。
犬飼 命 > 扉を雑に開けて入室。
保険医は居ない。
ちょうどいいので勝手にベッドに寝転ぶ。

「あー……いっつ……」

頭を抑えながら布団をかぶる。

犬飼 命 > 全身の筋肉は痛いし、頭はズキズキと痛む。
原因はなんとなくわかっている。
悪魔との契約だ。
異能で正式な手順を省略したのは良かったが、肉体に憑依させた分デメリットは多かった。
まずは悪魔との契約の基本で脳の領域を貸し与えるのが一つ。
これが頭痛の原因だ。
つぎに肉体に憑依させたことでの肉体の負荷。
さらに制御の失敗、これがさらなる肉体の負荷へとつながった。
お陰で全身の筋肉が未だに悲鳴を上げている。

ご案内:「保健室」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > コンコンというノックの後、すぐにカラカラカラーっと軽快にドアを開けて。
入ってくるのは、白いロングヘアをポニーテールにした、全く制服を着ていない少年。

広い袖を揺らして室内へ。

「当番入りますーっとだね、だね。
 お客さんはまだ居なさそう     でもないのかな、かな?」

犬飼 命 > 保険医が返ってきたと思ったが声の様子からして違うようだ。
サボリと思われたら面倒なので布団を深く被り寝たふりをしようとする。

カーテンで仕切られたベッドの一つから布団の擦れる音がした。
どうやらベッドに誰かがいるようだ。

雨宮 雫 > 「…………」

スタスタ、と。
床と上履きの擦れる音をさせながら、デスクに向かって利用者の記録帳を捲る。

現在の利用記録は無し。

顔を上げると、視線を仕切りのカーテンに向けて。

「お客さん、誰かに診てもらったかな、かな?
 昼寝でもホントの病気でも、どっちでもいいから名前だけは欲しいだね、だね。
 病人なら診察しますだよ、だよ?」

犬飼 命 > このまま寝たふりをしようと思ったがそういうわけにもいかないらしい。
というよりも声が響く、やたらと頭に響く。
頭を抑えながら上半身を起こし。

「うっせーな! 頭に響くだろうが!
 いちいちめんどくせーんだよ!
 ……てぇ」

カーテン越しに声を張り上げるが自分の声が逆に響く。
これはさすがに重傷だ。

雨宮 雫 > 「あれま、病人っぽいだね、だね。
 元気そうだけど……それじゃまぁ……」

失礼しますね、っと、仕切りのカーテンに手をやって、軽く避けて中を覗き込む。

「頭痛ならそんな叫ばなくてもいいと思うけども。
 具合悪いなら薬出してあげるのだよ、だよ、けひひ。」

やたらに楽しそうな笑みを浮かべながら、入っていいか?と首を傾げる。

犬飼 命 > 勝手にしろとつぶやく。

「てめぇは誰だ?
 保険医じゃねぇなら保健委員会か何かか?
 診察はどうでもいいから痛み止めとか出しな、それで十分だ」

なんだかめんどくさそうな奴が来たもんだと渋い顔をする。
自分で薬を探さなかったのは配置がわからないのと面倒くさいのとさっさと横になりたかったのがある。

雨宮 雫 > 「それじゃぁ失礼しますだね。
 んー……?」

言いながらにカーテンの内側へするりと体を滑り込ませて、カーテンはしっかりと閉じておく。

問われると、自分の顎に指を当てて

「ボクは保険委員の あまみや しずく というのだね、だね。
 薬を出すなら一応、診させてもらってからじゃないと駄目かな、かな。」

脇にあった椅子を引き寄せると、それに座りながら 楽しそう に話しかける。

「名前と自覚症状と、原因に心当たりがあれば教えて欲しいかな、かな、けひひっ。」

犬飼 命 > 「チッ……」

舌打ち、薬をもらうには付き合うしかない。
しかしこの少年、なんとも胡散臭そうな匂いがする。
なにせ患者を前にこうもニヤニヤするのはどう考えても胡散臭い。
どこかの闇医者みたいな雰囲気だ。

「三年の いぬかい みこと だ。
 頭痛と全身の筋肉痛、原因は……」

悪魔と契約したからなどと言うとめんどくさそうだ。

「テスト勉強と喧嘩のし過ぎだ」

適当にごまかすことにした。

雨宮 雫 > 「ふーん  なんか聞いたことある名前だね、だね。
                 公安の人かな、かな。」

名前を聞き、何で聞き覚えたのか。
ポツリと零すと、症状の説明には笑みをそのままにして立ち上がって顔を寄せて目を覗き込む。

緑色の目が じぃ と見つめる。

「ボクは薬の処方ができれば原因は何でもいいのだけど、けど。
 ソレでいいのかな、かな。
 それならそーいう薬にするけど、ホントにいいのかな、かな?
 知恵熱って子供にしか出ないけど、お子様かな?かな、けひひ。」

犬飼 命 > 「公安の犬と間違えるんじゃねぇよ……。
 俺は風紀委員だ」

雫を凶犬の目で睨みつける。
所属を間違えたからというよりは公安に間違えられたことにより怒りを覚えているようだ。

その目で覗きこまれれば逆に引く。
何やら覗かれているように気味悪さだ。

「んだとてめぇ!?
 からかうのもいい加減にしやがれ!」

とは言ってもあまり知られたく無いので言い訳を考える。
ガリガリと頭をかく、頭痛を紛らわす。

「魔術の使いすぎだ……」

嘘は言っていない。
悪魔の召喚は最も原始的な魔術であるのだから。

雨宮 雫 > 「おや、これは失礼しましたーだね。
 よくごっちゃになっちゃうんだよね、悪気は無かったから許して欲しいだね、だね。」

ゴメンネ と両手を合わせて 一応は謝っているつもりらしい。
睨まれ、引かれたのに かく っと首を傾げて。

「別に、からかってはいないのだけど。
 別に、誰かに言いふらしたりしないのだから、ちゃんと言って欲しいだけなのだけど。
 別に、意味の無い薬を出したくなかっただけで、好奇心で聞いてるわけじゃないのだけど。

 ――――というわけで。
    それならそれで、じゃあちょっと診させてもらっていいかな、かな。」

犬飼 命 > 「ハッ……」

調子が狂う。
ただでさえ頭がいたいというのに、こういう奴は苦手だ。

「あぁ、もううぜぇんだよ。
 いいからさっさと薬を……。

 ハッ?
 見るって一体何をだよ……?」

問診以上にいったい何を見るのだと。

雨宮 雫 > 「あぁ、じゃあささっと終わらせようかな、かな。
 説明よりもその方が早いよね、よね。」

ふっと息を吐くと、ぐいっと身を乗り出して相手の目をしっかりと覗き込む。

「魔術の使い過ぎは脳と神経にクルのだね。
 魔力、霊力、気だって体の一部だからね、精神的な頭痛だけで済むわけじゃないのだね?

 そうすると、瞳孔に出るのだね、だね。
 自覚無く揺れてたり、左右で大きさが違ったり。

 ソレなのに普通の頭痛薬は逆に、痛みが酷くなったりするのだね。
 あと、筋肉痛なのか神経のダメージなのか、も診たら薬をあげるのだね。」

犬飼 命 > 「あ、あぁ……?」

よくわからないが、目を覗き込まれるがままそのまま動かずにいる。

覗きこめばわかるだろう、犬飼の不調の原因が。
筋肉は単純に肉体の酷使だ。
所々筋繊維がちぎれているが安静すればそのうち良くなるものだ。

問題は頭痛であった。
脳になにか居る、というよりも脳の領域の一部を何かが支配している。
その支配しているものはまるで雫の覗き返すかのように……。

『目が会った』

それは勇猛で精悍でいて、獣のようにギラギラした目で雫を吟味するかのように覗いている。

雨宮 雫 > 「―――――あら、これはまた。
    頭の中にペットかな、かな?
  狭い場所なんだから、あんまり何かを飼うのはオススメしないかな、かな。」

ナニカが自分を見返している。
目の前の人間の中に居るナニカが、自分を観ている。

 にたぁり と楽しそうに顔を歪ませて、言葉を続ける。

緑色の目が、薄く鈍く光り始める。

「もう少し、そうだね、もう少しヤサシクしてあげないと、家が壊れちゃうのだね?
 人間は脆くて壊れやすいのだから、強い方が気を遣ってあげないとなのだね?」

話しかける相手はもう、目の前の 人間 ではなくて。

犬飼 命 > 「んだと……あぁ?」

(こいつ、契約のことを感づいて?
 なにもんだコイツ)

目の前で行われているやりとり、どのような力なのかわからない。
だとしてもこの少年は一体何者なのだ。

「てめぇ……誰に言ってんだ」

犬飼にでない何かにかけられた言葉、何を言っているのだと。
伝わるわけ無いだろと、呆れるが。

『くだらん戯言よ』

しゃがれたような獣の唸り声のような声が目を通して雫の頭に直接響く。
地獄の公爵にとって聞き入る価値は存在せぬ。
鼻息だったのだろう、威圧のような衝撃が雫に襲いかかった。

雨宮 雫 > 「ん、ダレにって――――  おァ っとぉ  」

説明をしようとしたトコロで  見えない手で押されたかのように、頭が不自然に仰け反った。

「ぁー 酷いコトをするのだね、だね。
 ボクは別に中身をどーこうする気はないのかな、かな。

 ボクはか弱いのだから、そーいう、のは遠慮したいのだね?
 ボクまで頭痛にする気かな、かな、けひひっ」

眉間を片手の指で押さえながら、仰け反った頭を戻していく。
若干、眉を顰めているのが衝撃の名残だろうか。

「と、いうか、話しかけてくるとか、社交的だね、だね?」

犬飼 命 > 「……ってぇ」

(おいおい、何だいまのは?
 まさか話しかけたのか?
 変な動きしたし拒否られたな?
 つーか、今ので支配少しだけ広がったぞクソが……)

「てめぇも余計なことしてんじゃねぇよ。
 余計に頭痛くなっただろうがよぉ。
 もういいだろうがよ、診るのはよ」

頭を抑えて雫をジロジロと睨む。
悪魔との契約は実に厄介だ、うまく付き合っていかないと支配されてしまう。
安易に契約するものではない。
あの時は死の寸前であったため、やらなければ死んでいた。

雨宮 雫 > 「こりゃ失礼しましたーのだね。
 ナニカ大変なモノ飼ってしまったのだね、だね。
 コレからの人生大変だね、だね、けひひ。」

じゃあ薬用意しまーす と笑いながらカーテンの外へと出て行く。
すぐに棚を開ける音や、何かを混ぜるような音がし始める。

犬飼 命 > 「ハッ……まったくだぜ」

思い返せば兄は複数の悪魔と契約をしていた。
それと比べるとちっぽけなものだが……。
兄の偉大さがこれほどまでとは。

ようやく薬が貰える。
手に顎をつき雫の調合をじっと見つめて待つ。
いったい何を調合しているのかなんてわからないが貰えれば十分だ。

雨宮 雫 > 少し時間が経過して。

お盆に湯飲み……ドロっとした、煮詰めた緑茶みたいな色をした液体の入った湯のみと、薬包に包んだ粉薬を10個ほど乗せて持ってきた。

カーテンを捲った時にチラっと見えたデスクには、乳鉢・乳棒、変な草とか、露骨に薬には思えないようなモノが乗っていた。

「はい、お待ちーなのだね、だね。
 湯のみの中は筋肉の回復を助ける生薬配合の特製のお茶、超苦いけど。
 薬は神経損傷と傷ついた気脈の治癒を促す仙薬だよ、だよ。
 頭痛の根本解決にはならないけど、緩和はできると思うだね、だね。

 まぁ、こっちも超苦いけど。」

そして、満面の笑みだった。