2015/06/25 のログ
ヘルベチカ > そのまま、食べ続けていれば。
麺は気づけば、残り半分ほどに減っていて。
だから、選んだ。
卵天を投入することを。
割り箸で掴んだ。歪な球形の天ぷら。
挟んだ瞬間。歪(ひず)んだ。あぁ、これは、半熟だ。
うどんの丼の上まで持ってきて、端を噛む。
白身のつるりとした歯ざわり。そして、掠めるように僅か。
熱で硬化した黄身の感触。
咀嚼し、噛み痕を覗くと、同時。
噛み痕の中央、濃い黄色から溢れだした。半熟の黄身。
ぽたりと一滴。うどんと大根おろしの白へと零れた。

ヘルベチカ > そのまま卵は、うどんの麺の上へと置かれて。そこで割られる。
いよいよとろりと溢れた液状の黄身が、うどんを黄色に染める。
かき混ぜた。薄れ、しかし色を残す黄身。
少年はうどんを啜る。先ほど噛んだ白身と似た、しかしまた異なる舌触り。
麺に、大根おろしが絡んで。それを、とろけた黄身が包み覆って。
最初食べ始めた時は、白であった。
半ばもまだ。けれど今は、薄く白く。黄色。

ヘルベチカ > ひやあつに始まり、大根おろしをかけ、そして置いておいた半熟の卵天を載せて崩して。
気づけば随分と温度を落としたうどん。けれど、だからこそ、舌の上に踊る味がわかる。
踊るうどんは少年の口内へと、つるつると、つるつると消えていく。

ヘルベチカ > 愈々。うどんは全て、少年の腹の中へ収まった。
箸を置いた。大根おろしの入っていた器の上へ。
そして、両の掌が、うどんの入っていた丼を包み込んで。
口元へ寄せて、傾けた。口内へ滑り込む、味の色彩。
わかる。出汁の甘みが。大根の甘みが。卵の甘みが。
わかり、わかって、そしてそれらが合わさっているからこその深みが、舌を撫でる。
ごくり、ごくりと。舌の上を通り過ぎた汁は、喉へと流れて。

ヘルベチカ > 丼を傾けるのを辞めた時。
微かに残る大根の繊維と、黄身の残滓だけが、丼の中にあった。
ゆっくりと、深く息を吸って、吐いた。
満足を表すための、単純で、しかし十全な表現。

ヘルベチカ > 丼を置いて。そのままそっと、合わされた掌。
少年は目を閉じて。
「ごちそうさまでした」
返事はどこからも帰ってこなくとも。
感謝の心を言葉にした。

ヘルベチカ > ここで初めて手を付けた、冷たい麦茶。
口内に残ったうどんの残滓を押し流す。
甘みは旨味に繋がるが、けれど、長居すると、くどい。
舌に絡んだ黄身も。喉の奥に残る大根おろしも。
薄茶の麦茶が、全て、胃の奥へと連れてゆく。

ヘルベチカ > 最後を締める冷たい麦茶がなくなった時。
盆の上には既に、食べうるものは何一つ。飲みうるものは何一つ残っていない。
呼吸は深く数度。割り箸を丼の中へと放り込んだ。落とさぬため、盆を必要以上に汚さぬために。
そして立ち上がれば、盆を持って返却台へと赴いて。

ヘルベチカ > 「ごちそうさんでした」
盆を置き、洗い場の奥へと声を投げてから、少年は食堂を後にした。

ご案内:「食堂」からヘルベチカさんが去りました。
ご案内:「ロビー」に加賀背 雄さんが現れました。
加賀背 雄 > (休み時間ともなれば、クラスメイトと話に興じるもの、次の授業の準備をするもの、
 そして携帯端末を弄るもの等、色々いるわけだけれど、自分は一番最後に当てはまる。)

なになに…?へえー… 歓楽街で怪しいネズミを発見、近づかないように、か…
(SNS<ドリームランド>にアップされた情報は、家にあるサーバを経由してまとめられ、
 管理人である自分らや、ユーザーが確認できる。 天気や交通情報、休講情報や
 委員会の取り締まりの場所等、嘘とも真とも取れないそれらの情報を、目をほそめて眺める。)

加賀背 雄 > (ひとしきりチェックが終わった後は…ちょっとだけ左右を見回して、端末を覗き込むような人がいないことを確認。
 もう一つの姿である「ホシノカミ」用の服を購入するための調査だ。 曲がりなりにも一応年頃の男子なので、
 やっぱり女物の服とかを見るのは世間の目が気になる。 家でやればよいといえばそうかもしれないけれど、
 帰ったら帰ったで<ドリームランド>管理人の業務が忙しいのだ。)

夏物かあ…どうしようかな…
(端末で検索すれば、これでもかというくらいに出てくる夏の新物。 端末をつんつんつつきながら、
 どれが似合うか、どれが好みか、どれならユーザーが喜ぶかをぼんやりと考える。)

ご案内:「ロビー」に緋群ハバキさんが現れました。
緋群ハバキ > うぉっと。

【スマホを覗き込んでいた眼鏡の少年の目の前、長身の生徒が危うくぶつかりそうなタイミングで身を除ける】
【と、身を動かした拍子に長い赤マフラーがふわりと風を孕み、眼鏡の少年の視界を遮った】

おわっ、と。ごめん! 大丈夫?

加賀背 雄 > あ、これいいかも…
(さらさらと通販サイトを確認している手がピタリと止まる。 ビキニとパレオのセット…これなら股間も隠せるし、
 肌の露出も多い。 これから暑くなるだろうし、受けるかもしれない。 でもちょっと派手すぎないだろうか。
 購入ボタンの真上に指は動くけれど、それを押すことが出来なかった…のだが。)

うわ、あっ!? あ、あれ…?
(一瞬視界が真っ赤に染まる。 驚いた声を上げ、反射的に身を守るように手を動かした。)

ええ、大丈夫です。 こちらこそすみません、ちょっと集中していて… あ、マフラーかっこいいかも…
(相手の言葉に答えながら、手早くウェブサイトを閉じる。  背の高い人を見て、おお、と声を上げて。) 

緋群ハバキ > 【慌ててマフラーを背中に流す長身の少年はなんだかバタバタしながら頭をペコペコしている】
【が、マフラーかっこいいかも、という呟きを耳ざとく聞きつけ瞳が光った。なんだかウザいポーズまで取り始める】

いやいやこっちこそ。ぼけーっとしてた……お、分かる? 分かっちゃう???
赤いマフラーは正義の証、つまりいつでも正義の心を忘れず在ろうと俺はこのマフラーをつけている訳でそれが人様の迷惑になったとあればすいません死んできます。

【ドヤ顔からの、流れるような土下座であった】

加賀背 雄 > あっ、は、はいっ…結構風になびくマフラーっていいなって思って…
あ、いえ、迷惑とかそんな! お願いですから顔を上げてください、大丈夫ですから…
世間様の目もありますから、あの、どうぞお立ちになって…!
(マフラーのかっこよさを語っていた青年は、シームレスに土下座フォームに移行した。
 目の前で行われた事態に一瞬ぽかんとするも、大慌てで彼の肩に手を当てて起きてもらおうとする。
 このままではクラスメイトから土下座マイスター(させる意味で)になってしまいかねない。)

緋群ハバキ > 【御白州で裁きを待つ受刑者が表を上げるのを赦されたかの如く顔を上げる】
【その時、その眼鏡は美しく気高く絶対的なものとしてハバキの目に映った】

ゆ、ゆるされた……
あーあーあー。まぁ、目に入ったとかじゃなかったら良かった良かった。
悪堕ちマフラーになるところであった。
ええと、

【明らかに年下の少年――15歳位であろうか。線の細い印象を受けるが身長はそこそこ】
【その顔は何処かで見覚えのあるような、ないような】
【記憶の糸を手繰り寄せつつ、マフラーの少年は立ち上がって犬のように首を振る】

い、一応聞いておいた方がいいのかも知れない! ひょっとして先輩という事もあり得るのがこの学園だから……!
何年、です……?

加賀背 雄 > ええ、大丈夫です。 特に怪我とかあったわけではないですから。
悪堕ちマフラー……やっぱり黒くなったりするんですか…?
(はっとして顔をあげる彼は、身長から大分年齢に差があるように見えるけれど、
 自分とさほど歳は離れていないだろう。 先輩なのは間違いなさそうだけれど…)

は、はいっ。15歳です。 ええと…中等、部? すみません、まだちょっと学校の事がわかってなくて…
(自分の学年くらいきちんと覚えておいた方がよいのだけれど、驚きのおかげで思い出せなかった。
 恐る恐る問いかける相手に答える自分も恐る恐る。 なんともおっかなびっくりな邂逅が面白くて、
 言い終えた後にくすりと笑う。) 

緋群ハバキ > 多分真っ黒に染まってオーラとか出しつつ自立防衛したりする。着用者は死ぬ。

【大真面目にそう語って頷きを一つ。勿論冗談なのであるが冗談というのは何処まで大真面目に語って信じさせるかがキモなのである】
【尤も、ハバキのマフラーにそんなエンチャントも特性も在りはしないので悪堕ちしたところでどうという話なのだが】

なんだか初めて年下に出会ったような。そんな気持ち。
緋群ハバキ16歳高校過程一年目! ピカピカの一年生は彼女なし!

……な、なんか笑われてる!

【堂々と自己紹介した後、雄の浮かべた笑みに肩を落とし】

……さっきは熱心に、スマホを見てらっしゃいましたが、何を……? パドル&ヴァイキング?

【むくつけきヴァイキング達を集めてヴァルハラに侵攻するのが主な目的の若者向けソーシャルゲームの名前などを挙げて首を傾げた】

加賀背 雄 > 自分で動いてくれるのは便利ですけど、着用者が死んじゃうんじゃ元も子もないですね…。
年下…たしかに、見た目幼い方はいっぱいいますけど、実年齢が年下っていうのもあんまり見ないですね。
ええと、加賀背 雄(かがせ ゆう)と言います。 よろしくお願いします。
(相手の言葉にふうむ、と考えこむような仕草。 自分を防衛するための道具を、自分も準備できないだろうか。
 元気よく名乗る相手に、自分も名前を告げる。しっかりと頭を下げるのは相手への礼儀だ。)

なんだか二人でおどおどしているのが面白くて。 ええ、パドル&ヴァイキングも時々遊びますけど、
SNSをやっていました。 <ドリームランド>というやつで、ここの島民専用をうたっているやつなんです。
これ1つで島のいろんな情報がわかって面白いですよ。
(画面を開いて、これ、と指し示す。 もちろん自分が管理人だなんてことは言わない。)

緋群ハバキ > まぁ今のところそんな素振りは全く無いんだけどね。
雄くんね。覚え――

【脳裏に浮かんだ顔と名前が一致し、笑顔の奥で関連付けられる】
【思い出した。本土に居た頃に、資料として読んだ、大規模電脳テロ事件、しかしその事件はただ一人の少年が引き起こした物であり――】

覚えたぞ!

【刹那の間は彼が頭を下げている間のもの。詐術は苦手だが、不自然を気付かれた所でハバキ本人にとっては問題があることでもない】

俺はその、アレなので。小動物のような心で居たい……
SNSかぁ、そういやこっちの島には専門のがあるんだっけ、どれどれ。

【画面に躍る情報に目を通せば、其処に流れるのはリアルタイムで更新される島の些細な情報たち】
【口コミで拡がるお得な情報。学生たちにとっては実生活と密接した情報収集ツールであり、適度な暇潰し、といった所だろうか】

ほぅほぅ。凄いな……口コミ井戸端会議の規模が島中になってる感じだ。

加賀背 雄 > 覚え……? ましたか!
(タメを作ってからの覚えた宣言に、よかったと胸を撫で下ろす。
 きっと覚えた事を強く意識づけたかったのだろう。 相手の心の中で
 行われている照合に気づくことなく、にこにこと相好を崩して。)

小動物のような心…周囲にぬかりなく警戒するってことですか?
ええ、井戸端会議みたいなもんです。  買物情報もそうですし、
後は、例えば…風紀の取り締まりがどこでやってるか、とか。
困ってる人が、近くのユーザーに物理的な助けを求められるのも特徴です。
(相手が食いついてくれるのは嬉しいけれど、自分が猛烈に進めるのも妙だ。
 今の自分はただの1ユーザーに過ぎないのだから。)

緋群ハバキ > 【特に不審に思われている事も無さそうだと判断し、人懐こそうな笑みを浮かべる少年を改めて見れば】
【なんというか、『そういう手合』には全く見えない。勿論見かけで判断する事は間者にとって命取りなのであるが、自分に直接関わりの無い学友を疑いの目で見るのは趣味が悪い】
【少なくとも、出会いはハバキの心中に好感を齎しているのは間違いが無いのだから】

長いものに巻かれて庇護されたい……けれどたまには反骨心を持っていたい……
そんな心意気、かな……

【アングラさと物騒さをも取り扱う情報流通をほほーと聞きながら、首をカクカクと縦に振る】
【実際、場所によっては物騒な島内である。そういう情報の需要は常に存在しているのだろう】
【――尤も、受け取った側がその情報をどう扱うかという事は発信側の知ったことではないのだろうが】

物理的な助けをーってのは良いかもねぇ。風紀にしても通報から現場に駆けつけるまでにはやっぱタイムラグってあるもんだし。
なんかエラいハマってるんだな! 面白そう!

加賀背 雄 > それ、小動物なんでしょうか……
(長くて反骨。 なんとなく自分には蛇のように思えた。
 草むらに伏して、いざとなればガブリ。 悪いイメージではないのだけれど。)

そうですね、生徒が暴れていたり、悪いものが暴れていたり、そういう時には役に立ちます。
そうじゃなくても、重たい荷物を運ぶとか…ゲーム仲間がほしいとか、そういう時にも。
面白いですよ。 もし良かったら一緒にやってみませんか? これ、ボクのIDです。
(メモにさらさらとIDを書き記して彼に渡す。 仲間が増えるのは大歓迎だ。)

緋群ハバキ > 出来れば平和に過ごしていたいので、小動物だと思います。どうだろう?

【雄のイメージ通りの人間かどうかは、微妙な所である。何しろ今のところ思ったことが全部顔に出ているような人間なのだ】
【むしろ、人懐こい大型犬のような印象を受ける者が多い】

ほう。ほうほう? 確かに役立ちそうだなぁ――なんだけどーー……

【アングラな情報を取り扱うが故に、恐らく利用者も気にするであろう事というのもあって】
【多機能ベストの内側から生徒手帳を取り出す。公安委員会所属の生徒専用の代物】

こういうサイトってさぁ、公安委員が利用してもいいものなのかなー……なんかハブにされそうっていうかめっちゃ遠巻きに見られる予感がするっていうか……
いや、俺全然下っ端だし特に何かって訳じゃないんだけどね!? ホントだよ!?

加賀背 雄 > なるほど、できれば平和に…それはそうかもしれないですね。
(彼は比較的シンプル…なのかもしれない。 背の高さとこのひょうきんさは、
 なんとなく大きな犬を想起させる。)

なんだけどー……わあー…公安の方だったんですね。
(ちょっとびっくり。 なんとなく嘘をつくのが苦手そうな人に見えるから余計に。
 はたして海千山千の委員会の中でうまくやっていけているからには、力はあるのだろうけど。)
別にいいんじゃないでしょうか。 情報をどう扱うかは受け取った人のすることですし…
あえて公安だ、とか風紀だ、とか名乗るひともいますけど、ユーザーの中には
所属を隠してる人と思いますよ。 

緋群ハバキ > そうそう。貴重な学生生活、楽しく過ごしたいよねぇ。
本当に、貴重なんだよ、学生生活。同年代が沢山居るというだけで、十二分に……!

【肩を竦めてそう言う様はなんだか妙に切実そうであった】

まぁ、言うてもメッセンジャーっつーか。
メールとかだとハッカーとか怖いってんで、偉い人とか偉い部署とかに書類を届けるのがメインで、後は雑用ばっかなんだよね。

【苦笑気味に自分の仕事について語った後、あっさりと別にいい、と言う雄に意外そうな顔】

っつかやっぱ居るのかご同業! 
まぁそりゃ居るよねぇ。こんだけ情報集まるトコなら調査部なんかは、余計に。

ともあれ、誘ってくれた雄くんが問題ないっつーなら大丈夫っぽいよね!

【多機能ベストのポケットからスマホを取り出し、メモに書かれたIDを打ち込む。よどみなく行われるフォロー申請】

あぁ、なんか「友達を探しましょう!」みたいないらんチュートリアルが無いのがすごくいいなぁ……

加賀背 雄 > そうですよね、学生生活…… な、なにかすごく重たい物を感じますけど…
(なんだか切実さ溢れるコメントに、ちょっとだけ心配げな表情。
 きっと彼も彼なりに困ることとか、切望していることがあるのだろう。)

でもすごく大事っていうか、危ないんじゃないですか?
対立してる人に狙われたりとか…
(”下っ端”というレベルではない大事な仕事をしているのではなかろうか。
 なんだかんだで彼もすごくやり手なのだろう。
 ただののんびりした青年という認識を改める。)

それはそうですよー。 もちろん騙りかもしれないですけどね。
なんだかんだで、こっそり情報戦をしてたりするのかもしれないですよね。
会ったばっかりなのに信じてくれるなんて、ハバキさんってすごい器が大きいんだなあ…
(あっさりとSNS登録を済ませてくれる相手に若干びっくり。無駄がないところを褒めてもらえると、
 ほんのりと嬉しげな表情を浮かべて。)
 

緋群ハバキ > 三重県のクソ山奥の分校で猪や猿と一緒に勉強する様を想像して欲しい。
フレッシュさの欠片も無いだろ!? つまり俺の青春はこの4月からようやく始まったという訳だよ!!!

【己の身の上を熱く語る少年。その半生は山で野生動物に追い回されるものだった――】

ああ、逃げればいいんだよ。脚には自信あるしね。
大体委員会街でのやり取りだから、よっぽどの事がなければ危ない事はないし……ってか、マジで危ないやつはもっと実力者の先輩が担当してんじゃないかな。

【事も無げに言う辺り、実際自信はあるのだろうが……】

まっそれに危ない場所の情報とかは、これからは<ドリームランド>で仕入れられる訳でー。
お仕事に役立たせて貰いましょうかねーっ

ふっふっふ。惚れたらあかんで……

【器が大きいと言われて両腕を広げてドヤ顔をキメる。男子相手にやることではない】

加賀背 雄 > イノシシ…サル…あ、ああ、なるほど、4月にここに来られたってことなんですね!
(ものすごく熱く語る相手の言葉には、思わず頷くしかなかった。
 境遇から考えれば、ここでの生活は楽しいに違いない。)

なるほど、逃げる…そうですよね、あんまり派手にやるわけにもいきませんしね。
(事も無げに語る相手は、その敏捷性を活かしてのメッセンジャーなのだろう。
 なるほど、と頷いて。)

はい、是非利用してくださいね! っていうと、ボクが開発者みたいな言い方ですけど…
ハバキさん、ボクが女の子だったら今すぐその胸に飛び込んじゃうところですよ。
(両腕を広げていい顔になってる相手をハグしたらどんな顔をするだろう。
 そんなことを考えたりするけど、しない。)

あ、そろそろ次の授業があるからいかないと… ハバキさん、ありがとうございました。
また学校で見かけたら、お話してください。
(ふと壁の時計に目をやると、授業への残り時間は5分を切っていた。
 立ち上がって深く頭を下げて、お別れのご挨拶。)

緋群ハバキ > そうそう。だから一年目なんだよね、俺。

っと。
女の子に胸に飛び込まれたいなぁ……雄くん実は女の子だったりしない?
しないな……

【脳内から引き出したプロファイルを参照するまでもなく、骨格を見れば彼が男性なのは分かる。尤も細身に何処か優しげな雰囲気は、同年代の女子と比してもそこまで変わる事もないだろうが】

おーう。引き止めちゃってごめんね!
……っつーことは俺も授業じゃねーか!!
まったねー雄くん!

【すちゃ、と手を上げ、人混みをまるで意に介さぬ速度で目的の教室へと走って行く】
【マフラーをたなびかせて人にぶつかる事もなく移動するその様は、何となく、海外で間違った日本観の代表とされるアレによく似ていた】

ご案内:「ロビー」から緋群ハバキさんが去りました。
加賀背 雄 > なるほど、1年生…でも、すごく大人っぽいですよ。
(良い意味での”軽さ”、飄々とした態度は、自分にとっては大人のそれに見える。
 かっこいいお兄さん というやつだ。)

さすがに男ですよ。 見てみます? …生徒証をですけど。
(相手の言葉に楽しげに表情を緩ませてお返事。)

はい、また!
(素早く人を避けて疾走し、あっという間に視界から消える彼を見て、
 頭のなかに浮かんだのは……)
ニンジャ…?
(ニンジャっぽいといえばそうかもしれないけど、赤いマフラーするんだろうか。
 そんなことを考えながら、次の授業へと向かった。)

ご案内:「ロビー」から加賀背 雄さんが去りました。
ご案内:「教室」に斎藤 朱莉さんが現れました。
斎藤 朱莉 > 「……っつーわけでだな。ベンサムはルソーの提唱した社会契約論の、特に自然法の概念に関して露骨に否定的だったわけだ。
事実どうかはともかく、ベンサムはこの世に神なんざ存在しねぇとリアリスティックに捉えて、その上で政府が存在して保障することで初めて、権利関係が発生すると説いたわけだな」

要点を黒板に纏めつつ授業を展開する。
今回の内容は功利主義の取っ掛かりであり、それなりに重要なのだが…

「(まあ、魔法とかやんねーとこんなもんだよな)」

彼女の講義…『政治思想史』はあまり人気がなかった。
一般科目として設定されている「とある魔法も異能も存在しない世界軸において展開された政治的な思想の歴史」を読み解くこの科目は、一般的な学府ならばともかく、この常世学園においては些か浮いたものでもあるのだろう。

それでも他の一般科目よりはそこそこ人気があるのは、多分このグラマラスな体のせいだ。

斎藤 朱莉 > 魔法を扱える者は更にそれを高みへ。使えぬ者は何とかして使えるようになろうと。
この学園の本旨に違わず、やはり基本的には魔法、異能を扱う授業の方が人気は高い。

だが、斎藤朱莉はこう思うのだ。
ンなモンなくても生きていけるための地力もまた、大切だろうと。

そんな気概で以てこの常世学園の教師を引き受けたわけだが…

「で、ベンサムはthe greatest happiness for the greatest number…『最大多数の最大幸福』っつー考え方を提唱した。
これは「自然は人類を苦痛と快楽の二大原則で支配してきた」と言う発想が元で…おいテメー寝るな!」

現状、こんなもんである。
ここ数か月で鍛えに鍛えられたチョーク投げの腕前が炸裂し、一人の男子生徒の脳天にヒットする。

『あだだ、寝てねーっすよ!』

「よだれ垂らして突っ伏しといてよく言うな…」

生徒達も興味が薄いのか、あまり真面目とは言えない。
一応、取っ掛かりやすくするために単位認定を若干甘くし、聞きに来る生徒には丁寧に教えるつもりではいるが…

「(クソ、就職先ミスったか…?)」

割とお先真っ暗な現状だった。

ご案内:「教室」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > チョーク投げを食らった生徒の3つ前。
割と前の方の席でノートを広げ、シャーペンを持って板書を写す、割と真面目な方の生徒の一人。

真面目じゃないのは全く何も制服を着てないところ。

カリカリ音をさせながらノートを埋めていく手を休め、チラっとチョークを食らった生徒を振り向いて、 ふぅ っと溜息をついた。

不真面目さを憂慮しているような顔だったが、実際は

”流血でもすればいいのになあ”

と思っているのは本人の脳内だけの呟きであった。

斎藤 朱莉 > 気合と根性が身上の朱莉ではあったが、真面目に組み上げた授業内容をガンスルーされてしまうのは教師として実に堪える。

「ったく。でだ、この自然は人類を苦痛と快楽の二大原則で支配してきた、っつー考え方を元に、人は基本的に快楽を追求し苦痛を避ける。
故に快楽を追求する行為、より多くに快楽を与える行動こそが善であり、逆により多くに苦痛を与える行為は悪であると定義したわけだ。
ここまでわかるかー?」

簡単に説明して、取り敢えず状況を確認してみる。普段はもう、どいつもこいつも曖昧な顔して済ませてくるのだが。チクショウ。

雨宮 雫 > 「まぁ、苦痛が好きなのはマゾとか苦行趣味の坊主だけだよね、だね。
 普通は楽しい方に流れるものかな、かな。」

説明に そりゃそうだろうなー という頷きと共に感想を零す。

斎藤 朱莉 > 「ま、フツーに考えりゃそうだな。
基本的にアタシらもお前らも、楽できりゃ楽してぇし、わざわざしんどいことはしたがらねーだろ?
ベンサムはこの考え方が自然に存在する真理だと捉え、これに従う方向で「快楽追求」を是としたわけなんだが…」

雨宮の呟きに応え、ついでに全体に問いを投げ掛ける。
ちなみに経験上、これに答えられた学生はいないのだが。

「このベンサムの『人は基本的に快楽を追求し苦痛を避ける様に行動するものである。故に人は快楽を追求し苦痛を避けるべきである』っつー考え方にはある批判がある。
単なる違和感でもいい、それが何かわかるヤツ、挙手」

当てたら点数に色つけてやるぞー、と釣ってみる。さて、なんでもいいから自分なりの答えを出す奴はいるのかな?

雨宮 雫 > 少し待って、見回してみる。
誰か居ないかな?居ないのなら、少ししてから手を挙げてみようかな?

控えめに軽く左手を挙げてみる。
出席率が微妙なところである自分にとって、こういう機会はやるだけやっておくべきであろう。

「何でもいいのならーボク手を挙げてみるのだね、だね。」

斎藤 朱莉 > 「おお、雨宮っつったか?
取り敢えずなんでもいい、答えてみろ。まあ間違えてもだから減点とかはねーから、自由に考えればいい」

挙手があったことで嬉しそうに。普段どいつもこいつも無難に目線を逸らすばかりで授業に参加しようという姿勢が見られないのだ。

雨宮 雫 > それじゃあ。
一応、立って見るか?

ギっと椅子を引いて立ち上がると、少し視線を上に向けて
”考えながら喋っています”
という感じの格好をつけ、喋り始める。

「ぁー……苦痛を避けるっていうのにはあんまり問題はなさそげかな、かな。
 いや、一概にそうは言えない部分もあるけど、けど。

 快楽を追求するべきっていうのは、割と個人差があるのは問題になるんじゃないかな、かな?
 快楽の追求が是也 だと、モラル……あー、その時の社会規範?社会を構成する上で常識とか守るべきものとされる定義を外れる行為もある種、肯定するコトになるんじゃないかなと思ったのだね、だね。

 他人のアレが欲しい、我慢するのは苦痛也、だから奪って自分のモノにすれば気持ちいい、だから是也
 っていう解釈もアリにならないかな、かな。

 この主義の前提には”快楽の追求は他人に迷惑はかけないこと”というー前置きか、注釈が居るんじゃないかな、かな?

 …………というトコロでどうでしょうか、とボクは今考えてみましただね、だね。」

斎藤 朱莉 > 「ほう…!」

最初に意図した問いの答えではなかったものの、それは「功利主義」と言う思想が持つ構造的欠陥を見事に指摘したものだった。
少し注釈を入れてやる必要はあるが…いい答えだ。

「よし、狙った問いとは違ったがその答えは実にいいぞ。点数くれてやる。
少し先の内容になるんだが、功利主義にはそういう批判があるんだ。
功利主義は基本的に『最大多数の最大幸福』を追求する思想だから、世間にとってより幸福になる政策こそが善政だと捉える。
なんでまあ「全体の幸福になることをすれば他人に迷惑は掛からないだろう」っつー前提があるんだが、ここでモラルや社会規範が出てくる。
例えば、奴隷。
昔は大国において、奴隷制度はそう珍しいモンでもなかったんだ。最大多数の最大幸福とは、その政策によってより多くの人が快楽を得られる状態を求める思想。だから「大人数のために使い潰される少人数の奴隷の快楽を無視」出来てしまう。モラルを無視してでも最大幸福を求める場合、少人数に対して非人道的な行為すら許容されちまう。
究極の多数主義であるために、マイノリティが完全に割を食っちまうってわけだ。
いくつか先の授業で紹介するJ・S・ミルがそこら辺をつっついた功利主義を説いたんだが…さて、ちょっと話を戻すぞ」

一息。

「で、さっきの問いに関しては「事実認識から価値判断を導き出している」っつー批判があるっつーのが正解だったんだ。
例えばだ、雨宮。
ある農村で、雨が降らない。これじゃ作物は育たない。
では問題だ。『ここで雨は降るべきか否か?』
ついでだ、ちっと考えてみろ」

ついでに、と少し取っ掛かりになる問いを投げてみる。さあ、どう解釈してくるかな?

雨宮 雫 > 「加点になるなら良かったのだね、だね―……」

満足げに頷いて、先生の説明が終わったら座ろうと  あれ、続きがあった。

立ったまま、片手を顎にやって

「ぅーん……まぁ、そりゃドすとれーとにすると 降るのが是也 だとは思うのだね。
 作物が育たないんじゃ、農村が立ち行かないからね。
 ボクとしては、その農村を取り巻く環境を加味しないと考えづらいトコロなんだけども……

 ソコで雨が降るコトで所属する社会が受ける幸福、快楽?が、降らないコトで受ける幸福を上回るなら、降るべき になるんじゃないかな、かな。

 あれ、社会ってドコまで範囲になるのかな。
 属する国が当て嵌まりそうだけども……

 雨が降らないコトで国が属する世界の受け取る快楽が、雨が降るコトで世界の受け取る快楽を下回れば 降るべき になる考え方になるのかな。

 こうなるともう、農村のみの問題じゃないのだけど   あれ、主題からズレてる気がしてきたのだね、だね?」

斎藤 朱莉 > 「くくっ、実はな、この問いの答えは『関係ない』なんだ」

少し笑う。しっかり真面目に考えてくれたのが嬉しい。が、ちょっとひっかかっちまったな。

「お前が陥っちまったのは『自然主義的誤謬』っつーもんでな。
若干言葉遊びになっちまうが、お前が「雨が降るべきだ」っつったのは「雨が降った方が都合がいいであろうから」だろ?
それは「雨が降るべき」じゃなくて「雨が降って欲しい」なんだ。
何々すべき、と言う根源的な論に関していえば、単なる事実からそれを導き出すことは出来ない。
『現状~と言う状態だから、これに関しては~である、もしくはないべきだ』っつー考え方は、その『ある、もしくはない』と言う判断に、それを提唱した人間の利益や思想、都合が反映されちまう。
ベンサムのこの理屈…『人は快を求めるのだから快を求めるべきである』は、人によっては『人は快を求めるのだから、それを律し苦痛にも目を向けるべきである』と言う観点になる。
単なる事実認識から価値判断や道徳原理を直接的に導き出すことは出来ず、それをする場合判断したヤツの価値判断や道徳原理が反映されちまう。
まあ長々と話したが…要するに今の雨宮の場合は「それはお前が持つ価値判断や道徳原理において雨が降った方が都合がいいだけじゃねーの?」と言われるし、ベンサムの場合は「お前が快楽を求め苦痛を避ける方が都合がいいから、それをあるべき姿とすり替えてるんじゃねーの?」になるわけだ。
ちと意地悪な問題だったか?」

一息に喋った後、ついで「あ、座っていいぞ」と雨宮に着席を促す。
授業参加してくれるのが嬉しくて、ついつい引っ張ってしまった。

雨宮 雫 > 「はーぃだね、だね。」

許可を受けると、すとっと着席。
言われた事を思い返しながらノートを作っていく。

「この話だと、快って人それぞれだから、あるべき姿の定義ってできないんじゃないかな、かな。
 んー……そもそも あるべき姿 って何?という疑問は……授業聞いてれば解説してくれるのかな、かな。」

斎藤 朱莉 > 「そうだ、本来よっぽどの事じゃない限り、何かであるべきっつー姿は定義できねぇ」

頷きながら、生徒全員に向き直る。

「そもそも、あるべき姿って何だ?っつー雨宮の疑問ももっともでな。
それに対する回答は『存在しない』だ。
だがアタシ達はそんな存在しないものを、有意識無意識問わず勝手に定義しちまう。
例えば…そうだな。さっき寝てたヤツをアタシがキレてぶっ殺したとしよう。まあまずゴヨウされちまうな。
それは『人は人を殺すべきではない』と言う価値観に基づいて作られた法律に違反したからだ。
だが、『人は人を殺すべきではない』と誰が決めた?その根源的な根拠は誰が保障する?
そう考えた時、突き詰めていけばこの世の全てにおいて『~すべきである、ない』と言う理論はまるで意味がないように思えてくる。
けどな、世の中そうはいかねーだろ?
道徳観念や倫理観念で縛らないと、生き物のあらゆる行為は無条件に肯定されちまう。それだと秩序は崩壊し、社会は成立しなくなる。
…お前らは、まあ大体が何かしらの異能を持ってるんだろ。持ってなくても、まあそう言ったもんが欲しくて来てる奴が大半だ。
秩序が崩壊し社会が成立しなくなったとき、支配をするのは力のあるやつだ。
だから、力を持つ、もしくは求めるお前らにこそこう言った思想について考えて欲しい。
人は『~であるべき』と言う存在しえないものを定義しないと秩序を維持できない存在だ。
人は、よりよい秩序を求めてそれを必死に定義しようとしてきた。
ベンサムのこれに関したって、要するに理論がすっ飛んでて説得力に欠けるってだけで、間にもう一つ論が挟まれば肯定されるんだよ。
アタシはな、力のあるやつにはそれに義務が伴うと思ってる。
頭の悪い力馬鹿なんて最悪だ、周囲にどんな被害を齎すかわかんねぇ。
だから、力を持つ、もしくは求めるお前らは、人一倍思想に敏感であり、己の力を見つめ直す必要があると思ってる。
アタシの授業は、その手助けさ。お前らが色々と考える取っ掛かりとして、先人達がどうやって社会の秩序を定義しようとしてきたかをなぞるもんだ。
だからまあ…少しでも参考になりゃ、幸いってとこだな」

答えになったかはわかんねぇが…と少し笑ったところでチャイムが鳴る。ちょっと話し込みすぎたかもしれない。

「っと…悪い、ちと長引いたな。取り敢えず、各自暇があったら復習しとけよ」

一旦授業を締めて溜息を吐く。ちと喋りすぎたかね、本当に。

雨宮 雫 > 「隣人がいきなり襲ってくるかもしれない とか、とても社会として成立しないよね、よね。
 そういう意味では、集団生活をうまいことやるための定義みたいなものなのかな、かな。

 まぁ、大体は 人に迷惑をかけない範囲でやろうね に収まっていく気がするけど、それも

 周囲に迷惑をかけるのを是也とする思想は集団社会を構築できない、もしくは長期維持できない

 というのがあるからかな、かな。
 今の社会形態は歴史として積んできた試行錯誤の成果物なんだし、今後の試行錯誤、どうしていくかを考えるなら勉強するのは良い事かな、かな。

 うん、この授業はアタリの授業だと思うのだね、だね、けひひ。」

カカカっと手早くノートを書き終えて、ゆっくりと教材を片付けながら、黒板を見返して一人思考を続けてみた。

出て行く生徒が多い中、次の授業が無いせいか、のんびりとした所作が目立つだろう。

「この辺は西洋思想も悪くはない、のだね。」

斎藤 朱莉 > 授業が終わり、生徒達が退出していく。
自分なりに、教師としての思いをぶちまけたが…伝わっただろうか。

そんなことを考えていると、のんびりとしている生徒がいた。先程の雨宮である。

「おーい、雨宮ー」

本当に何の気なしにではあるが、声をかけてみた。
基本的に単位欲しさに雑に受けてる奴が多い中で、この生徒は実に真面目な方だ。少し話してみたかった。

雨宮 雫 > 「んー?
 ぁあ、はいはい、なんでしょうだね、先生?」

クルクルと回したシャーペンを筆箱に放り込み、袖の中に としたところで顔を上げた。

ガタっと席を立って、長い白いポニーテールを揺らしながら先生のところまで歩いていく。

斎藤 朱莉 > 「あーいや、何だっつーわけでもねーんだけどな」

少し頭を掻く。

「いやな、思ったより真面目に受けてくれる奴がいて、ちっと嬉しくてな。
悪かったな、長々と立たせちまって」

苦笑しながら詫びる。長い解説の間立たせ続けたのは、目立ちもするしあまりいい気分ではなかったろう、と。

雨宮 雫 > 「何だ、別に全く問題がないのだね、だね。
 ボクはこういう思索を促す授業は好みだから、あの位は全然平気なのだね。

 気になるなら、その分ホラ、加点してくれればおっけーなのだね、けひひっ」

気にしない、気にしない、と手を振って にへら と笑って愛想よく応じる。
楽しんだのも本当だし、それで今、機嫌も良くなっているのだし。

「チョーク投げの割に、そんなの気にするのだね、先生。」

斎藤 朱莉 > 「はは、ならよかったんだけどな。
何、お前は出席日数は怪しいけど授業態度は良好、しっかり考えて自分なりの答えも出してきたし、基礎点は十分だよ。後は試験次第だな」

笑って応える。実際とても優秀で、数年常世学園で教鞭を執った中では上位に入る生徒だった。

「いやいやいや、アタシだって好きでチョーク投げるわけじゃねーんだぜ?こうでもしねーと平気で爆睡しやがる奴が悪い」

開き直って大きな胸を張る。この学園に来てからそう言う生徒が増え、自然とチョーク投げの腕も磨かれたのだ。

雨宮 雫 > 「試験はまー筆記論述なら頑張れるかな、かな。
 出席日数は勘弁して欲しいのだね、最近、保健課のシゴトが多い気がしてるのだね、けひひ。」

褒められると、嬉しそうに緑の目を細めて体を左右に揺らす。

「寝るのは確かに、ソレなら外で寝ればいいのに授業に出なくてもいいとは思うのだね、だね。
 アレは何を目当てに来てるのだろうね?ボクは寝るなら保健室にいくのにだね。」

そりゃきっと、目の前の大きな胸とか目当てなんだろうけど、この少年が見てるのは主に先生の顔であった。

斎藤 朱莉 > 「おお、試験形式は筆記論述だから頑張れ。
丸暗記じゃなく、自分なりの考えも書いてもらうぞ。
…まあ、この学校は風紀とか公安とか保険とか、忙しい生徒も多いからな。出席日数は大目に見るさ。しっかり出る時に出てそれを復習してりゃ、点は取れるし単位にもなるようにしてあるよ」

ははは、と笑う。出席日数が怪しいのは保険課の仕事だったからか。寧ろ、それを縫って出てくれるのだからますます以て優秀だ。

「ま、出席日数稼いで平常点貰おうとしてるんじゃねぇのかね。アタシは出席日数重視じゃねーから意味ねーんだがなあ」

眠る生徒に関しては、本当に困ったように口にする。
容姿も整っており胸もデカい、と主に男子生徒を惹きつける要素は大量に持っているのだが、それに関する自覚は大して無いようであった。

雨宮 雫 > 「さっきみたいので良ければ幾らでも書けるのだね、ボクは。
 口先は自信があったりなかったりするのだね、だね。

 まぁ、進級自体にはあんまり興味があるわけでもないのだけども。」

先生の真似なのか、腰に手を当てて胸を張る。

「授業と授業の間が開いたから埋めてみた とかかもしれないけどね。
 もしくは、先生の声が聞きやすくて眠気がきちゃうとか?」

斎藤 朱莉 > 「進級に興味がない学生っつーのも珍しいもんだな…」

ちょっと呆れたように笑いながら、胸を張って応えられれば困ったように首をひねる。

「まあ穴埋めはありえそうだけど、アタシの声なあ…眠くなるような声かね?」

それなりに綺麗でよく通る声なのだが、やはり本人に自覚はない。

雨宮 雫 > 「3年で卒業必須というわけでもない学園だしね、ボクの家も、留年に寛容なのだね、だね。
 好きなだけ居ればいいんじゃね、けひひ って言ってたのだね。
 ココは学べるコトとか興味のあるコトが多いのだね、だね。」

へっへっへと笑う顔はすごーく楽しそうである。

「ボクの感想では、先生の声はとても聞き易い、いい声なのだね。
 一緒にカラオケとか行くと楽しそうかなと思うかな、かな。」

斎藤 朱莉 > 「学費もタダじゃねーってのに、マジで寛容だな…」

金銭的に余裕があるのだろうか。それにしても、学びを尊重してくれるとはいい両親であるし、それに積極的なこの生徒もいい生徒である。

「そうかぁ?カラオケとか言ったことねーから、よくわかんねーんだけどなぁ」

困ったように首を傾げる。はて、自分の声って歌とかに向いてるように聞こえるんだろうか

雨宮 雫 > 「ソレなりに古い家だから、金はあるんじゃないかな、かな。
 カラオケ行ったコトないって珍しいだね、だね。

 ソレはいけないのだね、先生。
 昔の思想もいいけど、現代の文化にも触れておくべきなのだね?
 だからよし、じゃあカラオケ行こうだね、先生。」

ナチュラルに何か誘い始めた。

斎藤 朱莉 > 「ああ、名家とかなんかね…」

成程、と納得しながら、突然の誘いにびっくりする。

「おいおい、いっきなりだなー…アタシ、そんなに歌のレパートリーとかねーぞ?」

基本は読書派なので、あまり音楽も聞かないのである。特に歌詞のあるものは、読書の邪魔になることも多いので聞いてもクラシックなどメインだったのだ。

雨宮 雫 > 「多分?名家の端っこの風下の日陰くらいかな、かな。」

かく、と首を傾げるのだが、自分の家のコトなのにこの言いようである。

「まぁ試してみればいいんじゃないかなと思うのだね。
 歌うのもやってみると案外楽しいかもしれないし、2時間くらい体験してみればいいと思うのだね、だね。」

だから行きましょう行きましょう、と笑顔になる。

斎藤 朱莉 > 「あ、あー…まあ、物は試し、かあ?」

腕組みして首を傾げる。確かに、一応2時間ほどならば時間もある。

「そんじゃまあ、行く、かあ?」

首を傾げながら流されるようにその提案に乗った。

雨宮 雫 > 「うんうん、乗ってくれる先生は大好きなのだね、だね。
 じゃあ歩きながら予約でも入れようかな、この校舎の玄関口で待ち合わせれば大丈夫かな、かな。」

袖からスマホを取り出すと、ロックを解除して歓楽街のカラオケボックスを検索し始める。

斎藤 朱莉 > 「お手柔らかに頼む、っつーのも変だけど、あんまり期待しないでくれよ?」

ボヤきながらも今日の予定はもうないことを手帳で確認している。
なんだかんだで、もう行く気になったようだ。

雨宮 雫 > 「大丈夫だね、何でも最初は初めてだから初めてって言うものなのだね。
 それじゃ、ボクは下で待っているのだね、だね。」

さっきの自分の席に戻ると、机の上に残っていた教材その他を手早く、袖の中に放り込む。
膨らんだ様子もない袖が全部を飲み込むと、先生に しゅた と片手を挙げて。

「先生も早く来て欲しいのだね、だね。」

斎藤 朱莉 > 「あ、ああ…分かった、じゃあな」

困惑したように手を振って見送り、そして首を傾げる。



「…アタシって結構流されやすいのかなぁ?」

その呟きは誰にも聞こえず、空中に消えていくだろう。

雨宮 雫 > タタタっと機嫌よく、足早に教室を出て行った。

なんか残ってた男子生徒の視線が嫉妬とかそういうのに満ちてた気もしないでもないが、雫には通じなかったようだ。

ご案内:「教室」から雨宮 雫さんが去りました。
斎藤 朱莉 > 「…準備、すっかぁ」

首を傾げながらも、取り敢えず誘われたからにはしっかりと準備していかねばならない。
荷物を片付け、教室を後にした。

ご案内:「教室」から斎藤 朱莉さんが去りました。
ご案内:「教室」に光ヶ丘 睦美さんが現れました。
光ヶ丘 睦美 > 「むむむ…むぅ…」

うなり声を上げながら、私はますます机に突っ伏して、なにも書かれていない白紙の紙を見ている。

もちろん、その、テストの答案ができていないわけじゃなくて。
それとは、別件。これは、私の頼まれごとだ。

光ヶ丘 睦美 > 最近始まってしまったプールの授業。
(私としては、今年からこうしてつけはじめた手袋のことが色々心配だったけど、お母さんは着けたままで大丈夫だって)

小学校のプールとは大違いのプール!初めての授業だからって、自由時間を多めにとってくれた先生!
…と、そこまでは良かったんだけど。

同じ団地から来ている剣くんがとんでもないことを言い出して。
「なあむつねーちゃん、教室でもプールに入れたら最高じゃねー?」

光ヶ丘 睦美 > ちょうど髪の毛をタオルで挟んで乾かしていた私としては、呆れてものも言えないというところだったんだけど、
そこは剣くん小学生気分が抜けてない。というかホントは6年生のはずなんだけど。
「やっぱそう思うだろ?」
思わないってば。
そう言う前に、剣くんの言葉に感化されたみんなの周りにシャボン玉が浮かぶのが見えてくる。

そう、このシャボン玉が見えるのが私の異能。人の願い事、夢、あとは喉が渇いたとかそういうささいなことが見える。見えてしまう。
…そのときは、みんながみんな、全くそれぞれ別の方向に『教室でプール』を想像してるのがはっきり、見えました。

光ヶ丘 睦美 > 「ねー睦美ちゃん、お願いしてみようよー」
「むっちゃんもプール入りたいっしょ?」
「ねね、じゃあさじゃあさ、指定の水着じゃなくていいほうがいい!」
盛り上がるみんなが私の机の周りに押しかけてくる。押されてく私。ちゃんと着替えてからにしようってば。とくに女の子。

でも、私も悪かったのかもしれない。…いや、ほんのちょっとのことなんだけど、
私にはこの時、もしも引き受けたら、とっても美味しそうなプラーナが手に入るのが目に見えていて……

光ヶ丘 睦美 > そうこうして、今に至るという話。私の目の前には、教室をプールにした上で授業を受けたいという先生への書類…申請書?になるもの?が白紙のまま置いてある。
「テスト勉強しなきゃいけないのに、私なにやってるんだろう…」
後悔先に立たず、というんだとか。お母さんは後悔はさせるものだと言ってました。

光ヶ丘 睦美 > 「ま、まずどうやって書き出せばいいんだろう、水遊びしながら授業が受けたいとか…」
楽しそうなので教室をプールにしませんか。
今なら先生も水着で楽しめちゃう。


「だ、ダメだー!!」

光ヶ丘 睦美 > クラス一同での打ち合わせの中で、異能でも魔術でもとりあえず水を出すくらいなら出来るから、あとは先生の許可を取れば大丈夫!
という話になっているから、
許可をくれそうな先生にこの申請書を出すのが一番の近道、だと思う。

逆に、風紀委員とか、そういう人に見つかっちゃうとマズイのかな…?と思うけどまだ申請書は白紙だったんだっけ。

「たしかに、教室がプールになったら楽しそうだけど」
さっきまで使っていた教室が5Fだから、
せめて陽の光が弱まるように、直接入りませんようにと、
1Fの空き教室へ荷物を持ってきて書いているんだけど、
それでもやっぱり、暑いものは暑い。
「でもノートとか教科書とか濡れちゃったら大変なんじゃないかなぁ…?」

光ヶ丘 睦美 > …みんなが考えていた、プールの内容を思い出す。
ええと。教室が流れるプールになってて、黒板まで行く時に流れに乗ればいいとか。
廊下もプールになってるから、学校に来たらゴムボートで教室に向かうとか。
窓からウォータースライダーになってるから、階段を降りなくて済むとか。
「…そんなに大規模なはなしになると、絶対年上の人達に怒られちゃうよね」
私達初等演習6組のように、みんながみんな楽しめる話ではない、と思う。

光ヶ丘 睦美 > 初等演習。
物知りな先輩に言わせれば、この常世学園と似たような仕組みの大学でも、
入ったばかりの学生に勉強の仕方から教えるための少人数の教室が有るとかないとか。

あと、最近の学生は簡単に大学にいけてしまうからそういうものが必要に…とかなんとか。
その後の話は、あんまり覚えていない。頼まれてたゲームのレベルアップで忙しかったし。

ともかく。私達のように年少者は年少者で集まるクラスがあるけど、
それ以外の科目はいろんな年代の他の学生とも一緒に受けるわけだし。
あんまり、目くじらを立てられないほうがいいんじゃなかろうか。
また6組か…とか思われると、困ってしまうし。

光ヶ丘 睦美 > 「むぅ……むむ……むむむ……」
鼻の下に鉛筆を挟んで見ても、やっぱりあんまりいい考えは浮かばない。
あんまりにもあんまりなほど進展もないことに疲れてきちゃって、
机に頭を預けると、窓からの日差しが眩しかったので反対側を見てみる。

教室の扉が見える。
「あそこから、ゴムボートに乗って教室に入ってくる、ってことだよね……」
なんだかちょっと、わくわくする。

光ヶ丘 睦美 > 段々と、それが想像なのか、現実なのか私にもわからなくなってきて、

それはつまり、ようするに、

ねむけが、ねむ……ねm…………

ご案内:「教室」から光ヶ丘 睦美さんが去りました。