2015/07/02 のログ
渡辺慧 > 「………………んー」

シシ。
と笑って。その滲む笑顔に、ふと右手を伸ばす。



「知ってる」
あれだけ振り回されたら、知らないというのは無理があるだろう。
だけれど、まぁ――…。

「だけれど、その大変なのも。思い起こしてみれば素敵な思い出、という奴?」
なんとなく。そんな気がした。
だからこそ、大事な友人、と呼んでるんじゃないかと。


「一般論、で言えばそうかもだけどね」
「雄二と話して、相手が笑ってるなら、まぁ」
「それでもいいんじゃない?」

自分でも、そういうものには疎いが。
少なくとも、この少年との会話は楽しくあった。


「うん、なんつうか、その」
「……うん、まぁ、あれだ。雄二はモンちゃんと行くといいと思う……無理しないでいいから……その……」

にじみ出る哀愁。
これでも言葉を頑張って選んだのだ。褒めてほしい。


「数直線で表せば、案外同じぐらいだったりしてね」
無意味な言葉。
だけれどやっぱり、それはどこか楽しさがにじむ。


「いいね、それ。いつかの未来ねぇ……」
それを想定するには、少しばかり。
少年は若かった。

桜井 雄二 > 「………?」
触れる頃には、いつもの無表情に戻っていたけれど。
「俺の顔に何かついているか、慧」


「そうだな、素敵な思い出だ」
「あってはならない事件だってあったけれど」
「二人で何とかしてきたから、最高の思い出だ」
それから、桜井は三千歳泪だけでなく、色んな友人と事件に首を突っ込んだけどな、と付け加えた。
彼にとっては毎日が刺激的なのだ。


「………そうだな」
「俺の周りの人間は、いつも笑顔で」
「自分が笑顔を返せないのが申し訳ないけれど」
手にしていたモップを降ろして、自然体になる。
「とても居心地がいい」
それでいいんじゃないか、と言われれば。
きっと、それでいいんだ。


「す、すまない慧………俺は、破廉恥な男だ……」
それだけ搾り出すように呟いて、俯いた。
正直、三千歳泪と海なんて――――めっちゃ行きたい――
恥の多い人生を生きている。そう痛感する17歳だった。

「結構、バランスが取れているのかも知れない」
「なぁ、慧。俺たち、いい友人になれると思わないか?」
それは冗談でもなんでもない、本心からの言葉。

「いつかの未来は、きっと来るよ」
「そのためには『場』をよりよくする努力が必要だし」
「転んでも歩き出さなきゃ、ダメなんだろうけれど」
時計を見る。少し話しすぎた。
「すまない、俺はこれで帰るよ」
「試験勉強をしなくちゃならない」
「今日は楽しかった、また会おう、慧」
手を振ってから、掃除道具を持って立ち去っていく。

ご案内:「教室」から桜井 雄二さんが去りました。
渡辺慧 > 「いいや」
すっと離す。

「いい感じ」
恐らく、何が、とわからないだろうが。
むしろ、その方がいいのかもしれない。
考えすぎて、無理に出すより。

「ん。……お似合いって奴じゃん?」
なら、おめでとう、と言っておくのが。
今の気分なのかもしれない。


「がんばれー」
なんだか、適当な応援。だけれども、しかし。

「気にするな、じゃなくて……あれだな」
「また、いつか、笑ってるところでも見せてくれりゃいいんじゃねーかな」

なんて、気を軽く。
そっちの方が、多分自分にとっても。居心地がいい、というものなのだろう。



「いや、割と普通な感覚なのでは……?」
まぁ。

自分にはそういうのいないけどな!
等と自爆をしながら。
楽しそうに笑う。

「…………友人、友達」
……。その言葉には、いろいろ思うところがないわけではない。
だけれども。
向こうから、そう言ってくれる。
……この、無表情故、それを隠せない少年は、多分。
――本心から言ってくれてるのでは、なんて。

「――そーかも、しれないね」
なら、それは。嬉しいのかもしれない。


よく、分からない。
何となく自分は昔に固執してる節はある。
だけれども、やってくるものはやってくる。

「あぁ。……俺もやらなきゃなー」
「不真面目でも、単位は気にするものだって、メモに書いといてもいいかんな」
なんて冗談を飛ばし。

「あぁ、またな」
それを、片手を振って見送った。

渡辺慧 > さて。
と、独り言にもならない、小さな声を上げて。


机に移動する。
中から取り出すはペンケース。



そのまま、帰ろうかと。……ふと、窓の外を見る。
もう夕暮れ。それは人に何かを回想させるというが……。

なんの気なしに、椅子に座る。

渡辺慧 > ぼぉ、と。
遠くを見ているようで、焦点の合わない目線。

こぼれた様に、先程。
そして、昨日。

色々。
思い起こして、ぽつりと。
「友達、ねぇ……」

渡辺慧 > 「……俺の?」
それはいささか、疑心にとらわれた…………というより。
不思議そうな響きで。

しばらくの沈黙。
夏の音が教室に響く。




「…………兄貴のじゃなくてか」

渡辺慧 > 不意に。
小さく、わずかに口の端が歪み。
なにか、聞こえないほどの音量で呟く。


そのまま、さっと、立ち去るとあとにはだれもいない無人の教室だけがあった。



――ざまぁみろ、なんて。誰に言っているのかわからない呟きは、どこにも届いていなかった。

ご案内:「教室」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「屋上」に鬼道椿さんが現れました。
鬼道椿 > 2日の無断欠席の報告をしてその足で屋上へと向かった
幸い教師陣は椿が退魔業を行っている事を知っていたためその2日間の間に何をしていたのかは聞いては来なかった
仕事熱心な教師が退魔士協会に問い合わせて嘘がばれない限りは大丈夫だろう
今時自分からそんな面倒事に首を突っ込む教師など居ない

ベンチに腰を下ろしふぅとため息をついた
体が重い
へとへとだった…、購買で買ってきた元気メロンパンを齧り空を見上げる
学生街は驚くほど平和だ…

ご案内:「屋上」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。
鬼道椿 > もそもそとメロンパンを食べる
本当は牛魔王亭の烈火スタミナセットでも食べて力をつけるのが一番の近道だが生憎今は菓子パン程度しか胃が受け付けない
祖父に厳しい稽古をつけられた時でもここまで食欲が落ち込んだことはなかったのだが…

「甘いな…」

ふむん、甘いから元気が出るか…?出ないな…
上の空でもそもそとメロンパンを齧る
ここに来る途中生徒の噂を耳に挟んだ、風紀委員が点数稼ぎに躍起になっているとか
最近は私もガラの悪い街に入り浸っていたから注意の一つでもされるかもしれん
あんな所に居るとろくでもない目に合うと

ろくでもない…

ろくでも…

「あぁあぁ~~~~!!!!」

誰も居ないことをいいことに情けない声を上げてベンチに突っ伏した
先日の『行い』がフラッシュバックして耳まで真っ赤になる

日恵野ビアトリクス > 屋上入り口の陰からスケッチブックを抱えた人影が現れて、
鬼道に近づいてくる。叫び声を耳にしていたのか、表情は無。

「どーも。ここで待ってればひょっとしたら来るんじゃないかと思ってました。
 調子はどうですか? ……すごい声出してましたけど」
本当はいないふりを続けようかなとかちょっと思った。

鬼道椿 > 「これは御機嫌よう、日恵野殿」
キリッとした顔を作るが顔はまだ赤いままだった

「・・・・・・・・聞いていたか」
これは恥ずかしいことを見られた、と苦笑いを浮かべる
「調子は・・・まぁまぁだな、まぁまぁ・・・うん」

日恵野ビアトリクス > 「聞いてなかったフリをしたほうがよかったですか?」
潜んでいないふりをしないことにした以上、それも難しかった。
失礼しますよ、と一言告げて遠慮無くベンチの隣に腰を下ろす。
「……何か飲み物でも出しましょうか」
食が進んでいない様子を見て。


「それにしても鬼道さんがそんなに恥ずかしがるようなことが?」
顎に手を添えて考えるポーズ。独り言のように。
「昔書いたポエム集でも発掘されたか」
実体験。
「なにか恥ずかしい格好でもさせられたか」
ネットで流れていた写真に鬼道さん似の尻を見た気がする。
「……あるいは、色恋か」

ご案内:「屋上」に蒼穹さんが現れました。
鬼道椿 > 聞かれていることには変わりないからいいよ、と短く切り上げてパンを齧る
「渋いお茶がいいかな…」
何時もの様な凛々しい感じはなくどこか力が抜けていた。

「そんなもの書けるほど文才はないさ…」
もそもそパンを齧る、甘い・・・甘すぎる・・・
「なんだってそんな話になるんだ」
例のカジノの画像を流した犯人を絞めなければな…
「…………見当がついてて言ってるんじゃないのか?」
自分の中に抱えているモノは色恋などではない
ないのだが…あの男の顔を思い出す
次いで感触を…
「私に何を言わせたいんだ…」
むぅ、と唸り日恵野を睨んだ。本気と言う訳ではなくどこか照れが滲んでいる

蒼穹 > (突如として、何だかよく分からない声が空を裂く。何だかよく分からないが、聞いたことがあるような内容な声、な気がする。)
(その音源たるは…上?)
…。
(好奇心につられて、ふわりと屋上にやってきてみた。ともすれば、意外にも一応知り合いが揃っているという…一人は本当に知り合ってるだけだが。)
…お、おやまぁ…。変わったカードだこと。
お久しぶり、かな?ツバキ…と、ええと、名前聞いてなかったっけ。
(片目の隠れた様相にスカートの男子。二人とも、既視感のある容姿である。ちら、ちら、とその姿に目配せをしながら挨拶がてらに軽く手を振ってみる。…現在、お食事中の様だが。そういえば、己も何だかBBSで何やら見たような、見ていない様な…といって、この時点では彼女であるとは全く結びついてはいない。…しかし、少し緊迫したという意味ではないが異様な雰囲気がある。のは気のせいだろうか。)

日恵野ビアトリクス > 「はいはい」
渋いお茶、あったかな――と記憶を探って。
スケッチブックを開いて、白紙の頁を指でなぞり――《踊るひとがた》で
やたら濁っていることをウリにしているお茶のペットボトルを描くと、
ニョキニョキと頁から中身のつまったペットボトルが生えてくる。
(やっぱ便利だなこれ)
そして手渡す。
「口はつけてませんよ」

「あ、バレてました?」
睨まれれば、そう悪びれることもなく認める。
「企み事はありません、単にあなたが心配なだけです。
 ……東郷氏とやりあったんじゃないですか?」

日恵野ビアトリクス > おや、見た顔だ。軽く手を挙げて応じる。
「そういやお前には名乗ってなかったな。日恵野ビアトリクスだ。
 ……鬼道さんと知り合い?」

蒼穹 > んん、どうも。蒼穹《ソラ》っていうよ。よろしく。
(そういえば、前回も屋上であったが、今回は…どうなのだろうか。あの時は女の子っぽい男性が集まっていた記憶があるが、今回はと言えば…。)
…んまぁ、知り合いっていうか、無愛想にあしらわれたっていうか。
そんなとこかなぁ。…んで、何かあったの?
(苦笑い交じりに答える。…そして、音源の方に一瞥を遣った。)

鬼道椿 > 相変わらず見事なものだ、とうんうんと頷きペットボトルを受け取る
「別にそれ位は気にしないさ」
そう言って一口お茶を飲む。
甘くどく感じていたところにこれは嬉しい

「なっ?!」
日恵野から東郷の名が出てきたことも驚きだがその後に続いた言葉に取り乱す
「や、ヤりあってなど!!そう言うのはない!ないんだ!!」
露骨に動揺した
「むしろ私としては日恵野からあんな下種の名が出る方が心配だ」
「その人間のクズの事は忘れてしまえ」
耳まで赤くなったまま目を逸らす

その先で見知った顔と目が合った
「ああ、ソラじゃないか。久しぶりだな…どうしたんだ?」
「何か言いたそうだが」
ソラから送られる視線に眉をひそめた

蒼穹 > うん、お久しぶり。
(ひらひらーっと手を振って、こくんと頷く。)
…いや、まぁその。叫んでたからね。
何。…やってしまったのか。
(成程、大体理解した。彼女はやってしまったらしい。彼との会話から漏れる情報をピックアップすれば、聞きたい事は大体片付いた。こう言う子に限ってウブというのは最早言うまでもないだろうに、やってしまった恥ずかしさがフラッシュバックしたのだな、うん。…と、彼女からしたら些か不謹慎な自己完結をしたのだった。)

日恵野ビアトリクス > 「そうか、よろしく、蒼穹。
 ……べつに何もないさ」
無愛想に応答する。


「…………」
蒼穹から視線を戻し、半目で真っ赤な鬼道を眺める。
「口ではそう言っているが顔は正直極まりないですよお嬢さん」
スカートのポケットからキャラメルを一つ取り出して、
紙を剥がして口に放り込む。

「下種なことはぼくも同意しますよ。
 彼とは二言三言言葉を交わしたぐらいですけど」
何かあったのは確定的に明らかだ。
「男女の機微にはいまいち自信がないんですけど……
 ぼくは祝福してあげればいいんですか?
 それとも、東郷をぶん殴ってくればいいんですか?」
淡々とした、感情を感じさせない声。

蒼穹 > …おいおい。
(この場には、釣れない人物が多いのか。それとも遠巻きにされているのか。どっちにしても寂しい。ってかキャラメル常備しているのか彼は。何だか、この妙な雰囲気的には浮いた話な気がするが、そうでもないのだろうか。)

鬼道椿 > 「その頬抓るぞ、不審者S」
「勝手に話を決めるな!そして決めつけは感心せんなぁ」
そう言ってソラの頬をもにもにと揉んだ
ソラが口を挟んできてくれたおかげで少しいつもの調子に戻る
ほんと、この子には目に見えないところで助けられるな…

「そんな事をしてみろ、拳を振り上げたところで首が飛ぶぞ」
それに風紀委員の前であんな危険人物の名前を連呼されるのもどうにも落ち着かない
「やけに突っかかるじゃないか、一体どうしたって言うんだ」
「あの男に関しては男女の機微も何もない。」
「前にもお前は聞いただろう、私がどう思っているか、どうしたいのか」
「ならそれが答えだ」
様子のおかしい日恵野を見て片眉を吊り上げる

蒼穹 > ちょっ?!んにゃっ…んん、XからSに昇格かぁ。あっはは。そりゃどうも。
ん?じゃ…やったわけじゃないのかな。
(正直すっごい慌てた。まさか頬を掴まれるとは予想外。だが、頬が掴まれた状態でもなお普通に喋るという器用な真似を披露しながらも。…もしかして、先程の叫びって。)
…ん、久々だけど。何かあった?
(あんまり、良くない事があったのだろうか。元々殺気立った子だったし、落第街にも顔を出してた。頬抓られたままぐいー、と向き直って少しばかり神妙な表情で見据えてみる。)

日恵野ビアトリクス > 「……。いえ、そうですね。
 鬼道さんの仰るとおりです。少し冷静さを欠いていました」

「…………“殺したい”でしたっけ。
 でもできていないんでしょう?
 あなたの仰る通りぼくはミジンコです。
 あの男やあなたと戦えば歯も立ちません。
 けど……」

言いかけて。

――鬼道椿は強い人間だ。
しかし同時に脆く危うい面も持っていることもわかった。
そんな人間が死地を求めてさまよえば、そう遠くないうちに死ぬか死ぬより酷い目に遭うだろう。
もう遭っているかもしれない。
だから戦わないでほしい――自分はそう言おうとしているのだ。
それがどれだけ傲慢な主張かぐらいは、わかる。

「…………」

一度押し黙る。

「鬼道さんは、剣は好きですか?」

自分のスケッチブックを、チラと見た。

鬼道椿 > 「色々だよ、色々。あの浜辺の後いろんな人に会って考えさせられたのさ」
以前の様な張り詰めた感じはない、穏やかな様子でそう言って笑った
「私も冷静じゃなかったが・・・まぁこの島で上を見始めればキリが無いしなぁ」
東郷は強かった、だがそれ以上にその先を行こうとする剣士に出会った
妖魔を倒していい気になっているようではまだまだなのだ
それに殺気立っていては何も解決しないのだ…

「日恵野殿、風紀委員の前でそういう事を言うな」
「まぁソラは私の事を危険人物認定しているから問題はないが」
時折この男は気配りができるのかそうでないのかわからなくなる時がある
日恵野は何を迷っているのか次の言葉を待った
「うん、剣は好きだ。自分にはこれしかないとも言えるしな」
「剣を振っているときはなにものにも縛られていない気がする。自由なんだよ」
「だから好きだよ。それがどうかしたのか?」

蒼穹 > …はぁ、そう。ま、大分釣れる様にはなったとは思うけどなぁ。
(ふふーん、と何となく機嫌よく、今度はこちらから頬をつつき返しながら。)
いやぁ、辺鄙なもんだよねぇ、この島も大概。
時折意味わからん奴が沸いてくるんで私もびっくりだよ。…んでも、色々で片づけられるのは少し不満かな。
言いたくないならいいけど。
(戯言を溢すようにぽつりと。といっても、何となく幸のある話ではなさそうだが。)

…少なくとも浜辺とかで殺気放つのはやめようね。喧嘩なら買うけどどう考えても危険人物だからね。
(さらに小さく後付するのだった。…っていうか、風紀委員って知ってたのか。)

日恵野ビアトリクス > 「えっ風紀委員だったのこいつ」
この適当そうなのが? という表情で蒼穹を見る。
思わず素になる。多分初耳だ。興味がなかったからかもしれないが。

咳払い。

「……そうですか。ぼくも絵が、きっと好きです。
 きっと鬼道さんが剣に対するのと同じぐらいに」
目を伏せて、あくまで感情を声に出さないように。

「……でもいくら絵筆の扱いがうまくなっても、
 ぼくはあなたの物語にかかわれるようにはなれないでしょう。
 それが悔しかった。ただそれだけです」

席を立ち、鬼道に背を向けた。

「すみません。我儘ですよ、ただの」

蒼穹 > うわ、ひっどい。幽霊だけど風紀委員だよー。
大方失礼なこと考えてたみたいだしお灸を据えたいけど、今はシリアスを続けて、どうぞ。
(咳払いの意を察してか、今回は不問にしておく。つぎ癪に障ったら矢の一本か二本は突き刺そうとか不穏な思考を馳せつつ。因みに適当であることは実際その通りである、それに悪びれないのも問題であるし、風紀委員っていうのは意外といって間違いなかろう。)

鬼道椿 > 「はっはっは、私も成長したからな。もう誰彼かまわず殺気を振りまいて剣を抜こうとするなんてことはしないさ」
「学生街でそんな事するほど分別が無いわけでもないしな」
じゃあ他の場所では…?と言われるとそれは答えなかった

「日恵野は時々本当に辛辣だな」
じゃれてくるソラを猫扱いして撫でる
「・・・・・・・・・・」
「日恵野、悪いがお前が言っていることはこれっぽっちも理解できん」
「私の物語とやらがどれだけたいそうなものなのかは知らないが」
「こうして話をして関わっているのに今更知らぬ存ぜぬは少々冷たすぎるんじゃないか?」

蒼穹 > はぁ、そう…。ま、最初こそ本当斬りかかってくるんじゃないかと思ったよ。
実際斬られなかったけど。…そういえば、剣の腕に自信はあるのかな?
(苦笑いしながら、あれ、何でか小動物的にあしらわれてない?とか思いながら、むっとしつつ。だが、この場でこれ以上じゃれる雰囲気でも無ければ、ささーっと身を引いて幾許か真面目な様相に。)

日恵野ビアトリクス > 「えっ……」
振り返る。目を瞬かせる。
彼は彼で鬼道の言葉を理解するのに時間がかかった。
やがて呆れ顔になる。

「鬼道さん……あなたって人はそうやってすぐ簡単に
 ぼくが真剣に悩んでることを大したことないって言ってくれますよね」
肩から力が抜ける。やがてくつくつと笑った。
「まるでぼくが馬鹿そのものみたいじゃないですか」
参った参った、というポーズ。この人には勝てない。

日恵野ビアトリクス > 「辛辣っていうのはよく言われますね……
 あまり敬意を払いたくなる対象がこの世界にはいないので。
 あ、鬼道さんには払ってますよ。これでも」

鬼道椿 > 「待て待て、何故そうなる。」
「私のはお前の事を馬鹿にしているつもりもないし」
「それに日恵野が悩んでいる事があるなら相談に乗ってあげたいとも思う」
「最も私の様な剣ばかり振り回してきた粗雑な女にできることは少ないだろうから」
「話を聞くことしかできないが…」

「それに私の物語がどうこうと言うのは、その、なんだ…そう言った言い回しは得意じゃないが」
「私と関わって物語を紡ぐ、と言うなら…それこそ腕っぷしも剣も関係ないだろう」
「さっきも話をしたが、現に私はソラと浜辺で出会って変わった」
「誰彼かまわず殺気を振りまいて剣を抜こうとしなくなった」
「小さな出会いだったが…憎しみに囚われてそれに振り回されることは間違っている、と思えた」
「お前の言う物語に関わるっていうのはそう言う事じゃないのか?」
言葉に力がこもる、こういう時本当に剣を振り回し腕力で解決してばかりだった昔の自分に悔いる
悩んでいる友達一人助けることが出来ないじゃないか、と

日恵野ビアトリクス > ふう、と溜息。
再び顔を背ける。鬼道からも、蒼穹からも。
ひどく情けない顔をしそうな予感があった。
自分が優しさに弱いことはわかっているから。

「…………」

すべて鬼道の言うとおりだ。
なら……自分は何が不満なのだろう。
それを考えてしまえば、ごまかし無く捨象された単純で、
ひどく幼稚な、身勝手な願いに行き着いてしまう。

それを鬼道の前で口に出せば、きっと軽蔑されるかもしれない。
何よりも恐ろしいことだった。

脇のスケッチブックにもう一度視線をやる。
なぜならこの絵という道に対する侮辱でもあるのだから。

振り返る。完璧な灰色の笑み。

「ありがとうございます。嬉しいです。
 でも……鬼道さんに打ち明けることはできません。
 とてもくだらない悩みだから……」

ぺこり、と頭を下げる。
鬼道の気遣いが嬉しいのは、本当だ。

「またいずれ、お話しましょう。
 ……では」

背を向ける。
その言葉への返事を待たず、ビアトリクスは屋上を後にした。

ご案内:「屋上」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。
鬼道椿 > 「おい!日恵野!!」
足早に屋上を出て行った日恵野を止めることはできなかった
「あのバカは!あんな顔してまで思い詰めてくだらない悩みなわけがないだろうが…」
灰色の笑みを浮かべた日恵野の顔が頭をよぎる
「はぁ…私はいったい何をしてるんだ」

何をやっているんだ、と憤り食べかけだったメロンパンの最後の一口を食べる
「すまんなソラ、なんだかゴタゴタしたところに巻き込んでしまって」
「私がもっとスマートに事を運べれば良かったんだが…」

蒼穹 > お疲れー。
(と、大分彼女と彼にスポットライトが当てられていたようだが、ひょっこりと挨拶を一つ。)

あっはは。良いよいいよ。つもる話もあったんでしょ?
しかたないしかたない。
(ふる、と首を振ればようやっと彼女の前に戻って―――)

(―――そのまま、通り過ぎて、すとんと、屋上にあるベンチの一角に腰を下ろす。)
…さて、さっきちらーっと掻き消えたけど、結局剣の腕って立つの?
(シリアスなムードを打ち払いながらの帰還だった。)

鬼道椿 > 「日恵野は…いつも何か落ち込んでいる様子だからな…」
「私なりに元気づけたりしているつもりなんだがどうも逆効果のようだ」

「剣の腕には自信がある方だったが…最近は負けが続いてね」
「本土の方ではそれなりだと思っていたんだがこの島では大したことないんじゃないかと思えて来たところだ」
「私の剣の腕がどうかしたのか・・・?」