2015/07/06 のログ
日恵野ビアトリクス > 「ほう」
瞬きを一つ。
大した感慨もなさそうに、ヨキの横顔を眺める。
その言葉を素直に受け取るなら正しくけだものだな、と思う。
「にしては随分と文明的な格好をしていらっしゃる。
 ……なぜ今は人の装いを?」

スケッチブックについて尋ねられれば、
それをぱらぱらとめくる。
鉛筆や色鉛筆による写生で埋められているのがのぞく。
「いえ。
 ――評価に値するものではありませんよ」
冷たい、断じるような口調。卑下や謙遜とはもっと別のもの。

ヨキ > (普段どおりの無感動な声。至って平坦な語調)

「ヨキは人に討たれたのだ。
 獣として在るべき律を狂わされた。

 逃げ延びて『門』を潜り、この学園に拾われた。
 今や『門』が現れることもない。

 ヨキは宿るべき場所なくして生きることは出来ん。
 ここは『人間』の暮らす島だ――実情はどうあれ。
 だからヨキは、人間を選んだ」

(振り返る。
 ベンチの背凭れに肘を預け、些か無粋さの表れた座り方でスケッチブックを覗く)

「君の言う『評価』とは何だ。巧緻か?表現の豊かか?
 ヨキとてすべてを数字に落とし込む真似はせん。

 描かれたそれは、君の視界そのものではないのか。
 ヨキはヨキの狭い視野の外を知らん。

 君が見たものを、もっと見せてくれ」

日恵野ビアトリクス > 「人に……」
ヨキの言葉を反芻する。
なるほど、見た夢というのは討たれた際の記憶か、とビアトリクスは理解し、相槌を入れる。
しかし、人に討たれ、人の装いをする――というのは
彼にとってはひどく屈辱的なことではないのだろうか――
とは思ったが、それ以上踏み込む気にもならなかった。

「……。これは素振りのようなものですから」
観念した様子で、スケッチブックを手渡す。
開いてみれば、ページの八割が写生で埋められている。
題材は、屋上から見える、さまざまな角度や位置から描かれた街の風景。
これが半分を占める。
残り半分は屋上そのもの。フェンス。コンクリートのタイル。
鉄の扉。給水塔。室外機。アンテナ。
それらが、鉛筆か色鉛筆かによる違いはあるが、
ページの端まで、高い客観的正確さで描かれている。

ヨキ > (問われることをしなければ、それ以上語ることはしなかった。
 『人間を選んだ』と事もなげに言い切って、それきり)

「何を言う。素振りほど大事な鍛錬もないぞ。
 素振りは人間を偉大な剣士にも、スラッガーにもする」

(ビアトリクスの目を真っ直ぐに見据え、にたりと笑う。
 けだものの歯並びだ)

「………………、」

(スケッチブックを宝物のように受け取り、開く。
 一ページずつ丹念に捲り、眺めてゆく)

「君が描き続けること、手を動かし続けることが、ヨキには大事なのだ。
 ……このヨキの目には恐らく、君が見ているようにはこの絵が見えてはおらんだろう。

 それでも、君がこれらの場に立ったこと、事物を目にしたこと、目にしたものをその手が描き留めたという事実を――ヨキは愛する」

日恵野ビアトリクス > (……この男も笑うのか)
スラッガー。
浮世離れしたこの男が用いるには似合わない例えだ。
つられて皮肉げな笑みを見せてしまう。

「…………」
時に吐き気を催しながら埋めたそれに対する、
飾り気のない、偽りの気配が感じられない言葉に鼻白む。
ヨキがスケッチブックを検め終わったのを確認して、それをひったくる。
「……今日は素振りはやめておきます。それじゃ」
そして逃げるように屋上を去る。
とても彼のいる場所でスケッチをしようなどという気にはならなかった。
やはりこの男は、苦手だ。

ご案内:「屋上」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。
ヨキ > (手からスケッチブックが離れる。
 真顔で相手を見つめ、ぱちぱちと瞬く)

「……何だ。今日は描かんのか」

(去りゆく早足の背中を、ただ見つめる。
 立ち上がる素振りさえ見せず、彼が屋上を後にするまで)

「………………、」

(独り残されて、ぽつりと呟く)

「――悪いな。
 この学園の中にある限り、ヨキは『教師』で在らねばならんのだ」

(聞くもののない呟きを最後に、目を閉じる。
 無感動な絵の連なりが、瞼の裏を過る)

「ヨキほど『正しい教師』はあるまいよ」

(言い聞かせるような小声。唱えて笑う)

「ヨキは――正しい」

ご案内:「屋上」からヨキさんが去りました。
ご案内:「屋上」にリーセ・グリエさんが現れました。
リーセ・グリエ > 「いやー……試験というのも肩が凝りますねぇ。
 というか、
 テストなんてしたのいつ以来でしょうかっと。」

屋上に現れベンチに座って、
まぐまぐとハンバーガーを食べ始める。

リーセ・グリエ > 「――どうでもいいんですが。
 魔王様は試験受けてらっしゃるんですかねぇ?」

まぁ、ケアレスミスさえしなければ、
何があっても大丈夫だとおもいますが、
とひとりごちて。
ゆったりと。

リーセ・グリエ > 「それにしても……」

雑誌を取り出して読み始める。

「今年の水着の新作も実に良いですね。
 素晴らしい。
 ――相変わらずこの時期は眼福過ぎて困ります。」

身もだえを始めた。

ご案内:「屋上」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > 屋上のドアを開き。

紙袋を片手に下げた、制服を完全に無視した中華服の生徒が屋上に出てくる。

とりあえずはベンチを目指し と 先客が居るようで。

「と、 すいません反対側座ってもいいかな、かな?」

リーセ・グリエ > 「おっと失敬。どうぞどうぞ。」

にっこり笑ってこたえるだろう。

「肉まんですかな?」

なんていってくる。

雨宮 雫 > なんか身もだえというか、クネクネしてたんで大丈夫かな?
と思ったが、大丈夫だったらしい。

「ぁ、返ってきた。ありがとうだね。
 じゃあ失礼するのだね。」

やや、いや頑張って反対側の端っこに座ると紙袋をガサガサと。

「ん?
 良く分かったのだね、何となく食べたくなったのだね、だね。」

リーセ・グリエ > 「すみません、妄想の中に行っておりました。
 本当に失敬失敬。」

いやはやと頭を軽く下げて

「そうですね。なんていうか……
 ももまんみたいな雰囲気があったもので。」

しれっと。
実の所、素直に中華風だったからついてでただけである。

「紅茶でよければありますが、
 いりますか?」

雨宮 雫 > 「あぁ、妄想は大事だね、うん。
 桃饅は自分で作らないと、コンビニには売ってないから……どんな雰囲気なんだろう、ボク。」

桃色?
いや、服装にそんな色はないのだが。

まぁ、紙袋から出した肉まんの裏の紙を剥がしつつ……

「ぁ、大丈夫だね、だね。
 お茶も買ってきたから。それより、何か読んでたのかな、かな?」

リーセ・グリエ > 「ええ、妄想なくしてはいきられぬのです。
 どんな雰囲気かといわれますと、
 そうですねぇ。
 一目見て中華料理が食べたくなる感じでしょうか。
 自分作れる辺りさすがですね。」

ニコニコ笑っている。

「ちなみに読んでいたのはこれですよ。」

今年の夏の水着特集。
水着をきた綺麗な女の子達が一杯映っている。

「24ページの子とか、
 42ページの左下の子とか、
 実にレベルが高い。
 どれもレベルが高いですけどね。」

しれっと女の子評価するあたり、
この執事はダメかもしれない。

雨宮 雫 > 「それは雰囲気っていうかボクの服のせいじゃないかな、かな。
 確かにこんな服着た生徒は余り見かけないかもしれないけど……あぁ、ボクは保健課の薬を作る人なので、料理も必須なのだね、だね。」

首から上は見ていないのかもしれない、とちょっと思ったが。
別にそれでも不具合は無かった。

「どれどれ―…………あぁ、海開きだからかな、かな。
 モデルは皆、綺麗なもんだけども……そういう子が好みなのかな、かな?」

言われたページを見つつ、他のページも流し読みしていく。

リーセ・グリエ > 「服装は大切だとおもいますよ。
 思わぬ真理をつけるくらいには。
 まぁ、見た目としては……
 お可愛らしくてさらいたくなる感じでしょうか?
 ええ。
 それにしても、薬、薬ですか。
 ……媚薬とか作れるんですか?」

なお、この執事、
可愛くなかったら割りと態度にでたりする。
それより薬と聞いて媚薬が出る辺りどうなのか。

「まぁ、好みといえば好みですねぇ。
 一番の好みは……
 もっとつつしまやかで美しい人ですが。
 まぁ、在り方も含めてですからね。
 本当に好みだというには。
 ちなみに雑誌の中の女性は皆愛してますよ。」

きりっと真顔で答えるだろう。

雨宮 雫 > 「あれ、おかしいな。
 一言にツッコミどころが二個あっただね。
 一つ、ボクを攫おうとか変態かな、かな。
 二つ、保健課だって言ったのに媚薬って何かな、かな?作れるけど。」

どうしよう、ちょっとオカシイ執事だったみたいだ。
いや執事のコスプレをしたオカシイ人なのかもしれんが。

一応は丁寧にツッコミを入れはするのだが。

「外見だけでいくと中々、中身がねぇ……まぁ、分からないでもないけど、愛してるっていうのは良く分からないかな、かな。」

愛想笑いの裏では、駄目な人だという認識で固まっていく。

リーセ・グリエ > 「突っ込み所でしたか?
 まぁ、女性の方が好きですけど、
 可愛らしい男性も好きですよ?
 私は。
 それに、
 保健室って聞くと何かいけない感じがするもので?」

なんて気にした風もなく笑っていって。

「愛してるが分からないというのも
 言葉通りですが。」

しれっと真顔が崩れない辺り真性の変態である。

「――ま、ですが、
 相当に腕前のいい薬師みたいですし、
 人材的な意味でも欲しい、
 というのはあるかもしれませんね。」

雨宮 雫 > 「あ、どっちもイケる人だったのだね。

 あと保健室でそういうことをする人は追い出すのだね、掃除させてからだけども。
 ニオイとかもう酷いんだからね、あれ。」

両刀なのはいいだろう、いいのか?いや、いいか。
自分に来なければいいだろう、うん。

あと、保健室をそういう用途で使われた記憶もあるらしい。

「愛はいいかな、もう。
 ボクも人の愛とか言われても多分、分からないで終わるだろうし……

 んー?
 薬が要る用事でも勤め先でもあるのかな、かな?」

リーセ・グリエ > 「まぁ、
 確かに後始末するほうはたまったものではないですし、
 後始末も出来ないようなら使う資格もないですねぇ。
 あなたが連れ込むということはない、と。うん。
 
 まぁ、ですので、欲しくなったらお相手しますよ。
 どっちでもオッケーですから。
 あ、もちろん、相手して戴く方でも結構です。」

さらっと誘うあたりほんとダメだ。

「ま、愛……
 といっても、私が気持ちよくなりたい、
 他者を愛でたい欲の意味合いが強いですけどね。
 私の場合は。
 なので、分からないで終わる気持ちもわかりますね。

 ちなみに、現在用事も勤め先も特に考えてませんが、
 転ばぬ先のなんとやら的な意味ですかね。
 人、というはいざという時に伝手があるというのが大切ですから。」

いざという時に人がいる、いないでは大違いなんですよ。
と。
首をかしげて。

「ああ、でも、そうですね。
 よく効く栄養ドリンクは欲しいかもしれませんね。」

雨宮 雫 > 「ボクはそんなに飢えてないし、買うなら他所でやるかな、かな。

 あと、ナチュラルに誘わないで欲しいかな、要らないから、全然、要らないからね。
 頭の中どうなっているのだね?」

肉まんをモグモグと齧りつつ、手を大きく横に振って NO を示す。

「あれ、無職なのにその格好なのかな、かな。
 てっきり生徒の誰かの執事とかそういうのかと思ったのに……伝手にしたければアレだね、保健課に あまみや しずく で問い合わせてもらえればいいかな、かな。

 あと、ドリンク系はちょっと持ち歩いてないかな、かな。」

リーセ・グリエ > 「こうなっています。
 と見せてもいいですけど、
 流石にグロくて昼食時にみせるようなものではありませんね。
 しかし、要らないとは残念ですね。」

どうぞ?と水筒からコップに入れた紅茶を差し出しつつ

「いえ。
 職はありますよ。もし誘ったとしても、
 職場を用意できない的な職が無い、ですね。
 現在は諸事情から公安で事務をしているもので。
 ああ、1年のリーセ・グリエ。
 現在は公安委員会所属ですよ。
 仕事は事務処理ですね。
 流石に事務関係の仕事で薬がいるとかいう事態もありませんし。
 しかし、持ち歩いていないという事はできると。
 今度保健室にとりに行きましょうかねぇ。
 あ、対価とか必要ですか?雫さん?」

じーっと上目遣いに覗き込むように目をみようとしてくる。
殴ってもいいかもしれない。

雨宮 雫 > 「ここで頭を開けても処置に困るから、開けっ放しになるのだね。
 だからまた今度にしておくかな、かな。

 ぁあ、ありがとうだね、だね。」

困らなければサックリ殺ったのかもしれない?
肉まんを食べ終わった指を舐めつつ、差し出されたコップを受け取って口をつける。

「公安にしては随分アレな……事務ならあんまり外に出ないからいいのかな。
 ボクの作る薬は市販品じゃないから、試作品ドリンクとかならあげてもいいけど、ノークレームノーリターンだからね、けひひ。

 まぁ、欲しいなら次どっかで会ったら分けてあげるだね。
 あと、その目を止めるのだね、鬱陶しいかな、かなっ」

しっし、と手を振って。

リーセ・グリエ > 「はっはっは。まぁ、あけられてもいいんですけど、
 ご褒美は欲しい所ですしねー。」

いろんな意味で手遅れであった。

「まぁ、派手に動いてる部署がありますけど、
 基本的には表に出ないで不正の調査等が主……
 というかうちの部署ではその考え方ですね。
 組織が大きくなるとどうしても一枚岩とはいきませんからね。
 あまりにも酷かったら公安自体にクレームいれれば、
 内部で動きがありますよ。
 最も、表沙汰にはできないものですから、誤解されやすいんですよね。
 ちなみにノークレームノーリターンで問題ないです。
 問題は私は試験体としては向かない点くらいでしょうか。
 次を楽しみにしていましょう。」

ちぇーと言ってしっしとされると普通にするだろう。

雨宮 雫 > 「     再生とか不死系の種族か異能とかかな?かな?
 ソレはソレで大変、興味深いモノではあるのだけども、そろそろ時間だし、試験も受けないといけないのだよね、けひひ。」

ほんの僅かな時間だけ、目を細めて観察する瞳になったが、コップの中身を飲み干して返す頃には愛想笑いに戻っていた。

「不正、ねぇ……

 とりあえず作ってみたい飲み薬でも調合してみようかな、かな。
 それじゃボクはご飯も終わったし、教室に戻るのだね。

 紅茶、ご馳走様だったのだね、けひひ。」

リーセ・グリエ > 「おっと。そんな時間ですか。
 まぁ、種族柄再生能力が高いものでして。
 異能はまた別のものですよ。
 戦闘能力は全くありませんが。」

お互い頑張りましょうね?とにっこり笑って首を傾ける。
よく、観察すると目だけが、笑っていないのにきづけるかもしれない。

「ま、ほら、着服とかしてたら困るでしょう。
 事務してると。
 
 それでは、また何処かで会いましょう。雫さん。
 お気に召していただけて何よりです」

そして、
最後に礼をする姿は執事として実にさまになっているだろう。

雨宮 雫 > 「…………そうなんだー、それじゃあ試験でいい成績取れるといいね。」

お互い、見たままの性根では無さそうなのが良く分かった。
紙袋を丸めてゴミにしながら立ち上がると、ドアに向かって歩き出す。

「不正に気づいて殺される第一人者っぽいよね、事務って。
 それじゃあ、またねーなのだね、けひひ。」

ドアを開いて挨拶  で、名前を聞き忘れたと思った。



まあ、次でいいか、と   そのまま階段を下りていった。

ご案内:「屋上」から雨宮 雫さんが去りました。
リーセ・グリエ > 静かに礼をしたまま見送り――

「いやぁ、実に面白い手合いですね。
 それに可愛らしいのがいい。
 実に、いい。」

なお、性根はともかく、
変態なのも本当である。
ちなみに、消される等もとより上等なのである。
ただでは転ばなければいいのだ。

「我が忠誠のあり方はただ一つですしね。
 さて。」

食べ終えて、ゴミを片付けて。

「いきますか。」

転移して消えるだろう。

ご案内:「屋上」からリーセ・グリエさんが去りました。
ご案内:「職員室」にコゼットさんが現れました。
コゼット > 「…。」

(今日も生憎の雨模様。
試験期間中は兎に角やる事が無い。
強いて言うなら試験に関してアドバイスを求められる事位だろうか。
向上心があるのは良い事だけれど、普段不真面目な生徒が直前になって聞きに来るというのは何処の学園でも居るもののようで。

試験期間が終わった後の事を考える。
おさらいをしつつ、今後の講義の予定を組み立てる。
成績が悪ければ穴埋めしつつ、次の魔術に関しても都度学んで貰わなければ。

…なのに。)

「うーん、何だか捗らないな…。」

ご案内:「職員室」に片翼・茜さんが現れました。
片翼・茜 > ガラリ、とドアを開けて職員室に入ってくる。
コゼットが居ることに気づくと、一旦自分の机にバッグを置いてから、やってくる。
「コゼット先生。随分遅れましたが、復帰おめでとうございます。」入院していたという話は聞いていたのだが、病院に見舞いに行けるほど、ゾンビは衛生的な存在ではなかったので、出来なかったのだった。

コゼット > 「ん。…ああ、茜先生。
ありがとうございます。ご心配をお掛けしまして。」

(少しアンニュイな表情を浮かべていたが、祝いの言葉を言われれば笑顔を作り。
…彼女が病院に着たら大騒ぎだったりするのだろうか。)

「すっかり体調も戻って元気になりました。
今ではまた生徒達に今後どう講義をしていくか頭を悩ませる日々ですよ。
茜先生の方は相変わらずですか?」

片翼・茜 > 「大事無いようで何よりです、今後はお気をつけ下さいね?」大した怪我ではなかったとは聞いたが、実際見るまでやはり不安だった。大丈夫そうで安心。

笑顔を見せられれば、こちらも指で頬を釣り上げて笑う。
茜が病院に入ろうとするなら、完全に密閉された、バイオハザード用の全身を覆うスーツを着なくては立ち入りを許されないであろう。

「魔術は人によって素質が様々だとか、個人相手ならともかく、集団相手に授業として運営していくのは大変そうですねぇ。お疲れ様です。」魔術の素養が無い自分にはどういった苦労があるのか想像できない、出来るのは労をねぎらうぐらいだ。

自分について聞かれると「あ、いや……。」と目を泳がせてから
「まぁ、特に、何も、変わり、ない、です。」とやけに言葉を区切りながら答える。
ごまかすようにポケットから缶コーヒーを取り出して、開ける。いつものブラックではなく、カフェオレだ。

コゼット > 「あー……、はい。」
(実は例のアレにやられたのは二度目なのだが、まぁ態々言う事ではないだろう。

茜の方は前みたいに指で頬を吊り上げたりして、ああ茜先生だなぁ…と何時も通りで安心した。)

「そうなんですよ。私の講義を受けるって言う位だから、力があると思いきや全く魔術が使えない生徒もいるものですから。
それ以外の事なら、他の授業と大差はないのですけどもね…。
でもまぁ、それでも理解出来るようにするのが教師の腕の見せ所ですよね。」
(悩んでいるとは言うが、しかしそれを言うコゼットの顔は困ってこそいるが、何処か楽しさを感じているように見えたかもしれない。)

「…?」
(彼女がいくらゾンビでいるからと言って、滑舌が悪い印象は無い。
その不自然に喋る言葉に、何かあるのだろうかと感じずには居られない。)

「別に無理にとは言いませんけれど…、私で良かったら相談に乗りますよ?」

片翼・茜 > 「ふふ、そうは言ってますが楽しそうですよ?やりがいを感じていらっしゃるようですね、いいことだ。」コゼット先生は教師としてはまだ経験は浅いと聞いているが、その精神は立派なものだ。それを嬉しく思った。

「あ、いや……ええと、まだちょっと、自分の中で整理がついていないというか……。」茜にしては珍しく、歯切れが悪い。
そして顔をしかめながら、カフェオレを一気にあおった。
直後、明らかに驚いた顔。ブラックだと思って飲んだらカフェオレだったみたいな顔。驚きすぎて気管に入った。
「ゲホッゲホッ!!」慌ててハンカチを取り出し、口元をおさえながらむせる。

コゼット > 「遣り甲斐…。そうですね、なりたくてなった教師ですから、楽しくない筈がありませんよ。」
(……多分。
そう、教師である事自体は楽しい。夢にまでみた仕事なのだから。
不満があるとするなら、教師としての──。)

「うわっ、だ、大丈夫ですか!?」
(思わず立ち上がっておろおろと。
とりあえず治まるまで背中をさすってやる事にするが…。)

「整理って…仕事の事ですか?それとも…」
(…自分自身の事?)

片翼・茜 > 「ゲェホッゲホッ……はぁ、すみません。」なんとか治まって、バツが悪そうに謝罪する。どうも万事がこの調子なのだ。飲んだ缶がカフェオレだということに気づいて「カハァー……。」呆れたように息を吐いた。カフェオレの甘ったるい匂い。

「その、ひどく個人的なことでして、教師としての職務に全く関係がないのですが……。ご覧のように動揺してしまって……間抜けなミスをを色々と起こしてるんです、今のところ授業までは影響が出ていませんが……。」話すべきかどうか、悩む。だがこんな調子をいつまでも続けるわけにもいかないだろう。
周囲を見渡してから、声をひそめて「……ご内密にお願いできますか」相談することにする。

コゼット > (まぁ、飲み物で咽るなんて事は誰でもありうるのだが。
しかし今の彼女は寮で出会った時と違ってこう、何処か様子が違うのだ。
…よもや、カフェオレだったからというだけではないだろうが。)

「はぁ。まぁ私にも個人的な悩みというものは無い訳ではありませんが…。
でも、その様子だと随分何かが頭に引っかかってるっていうか…。」

「ええ、それは勿論。」
(内密に、と言われれば席には座らず、職員室の奥の方を目配せして。
話が外に聞こえないように扉から離れようという配慮。)

片翼・茜 > 「すみません、ありがとうございます。」と、視線を理解して職員室の奥まった方へ、途中で缶を缶用ゴミ箱へ捨てた。

「それで、ええと……。」言い出すのは恥ずかしいが、ここまで来たら言うしか無い。覚悟を決める。
「蓋盛先生に、口説かれまして……。」そう、先日保健室に立ち寄った時に、ふとしたきっかけで口説かれたのだ。そのことがずっと頭の中に残っていて、注意力散漫になっているのであった。

「その時は途中で、蓋盛先生が出て行って終わったんですが……。ずっと頭から離れないんですよ、どういう顔して会えばいいのかもわからないですし、ずっと何か……もやもやしてしまって……。」自分でも整理がついていないと言ったとおり、抽象的な表現になってしまった。

コゼット > (奥の方に移動すると、振り返って茜の方を向いて話を聞き始める。)

「…ん、え?」
(何の悩みかと思ったら。
飲み物を含んでいたら自分も咽ていたかもしれない。
また確かにあの人はそうゆう人だが、しかしそれが本当かは少々疑問に残る。…何故なら)

「…あまり本気にしない方が良いと思いますよ?
その…結構、そうゆう事を言うイメージがありますから。」
(そんな評価だからだ。それとはちょっと違うが、自分も赤っ恥をかいた事もあるし。)

「大体口説かれたって…なんて言われたんですか?」

片翼・茜 > 本気にするな、と言われれば。顔をしかめて、額にてをやりながら。
「そう、ですよね……きっと遊びの一環だとは思うんですけど……本当にそんなこと言われたのは、数十年ぶりなもので……動揺してしまって。」
生娘だってこうはいかないだろう、何百年も生きているというのに、恥ずかしい。生きていれば耳まで真っ赤になっていることだろう。

「私が……輝きを忘れてしまった宝石、だとか……私は確かに生きている、とか……そういったことを。」他人の口説き文句再現することがここまで恥ずかしいことだとは思わなかった、耐え切れず、目をそらす。

コゼット > 「なんて言ったって自由ですからね…あの先生は。
私も似たような事は言いましたけれど…それに近いものじゃないですかね。
"例え身体は死んでいても、それは守らない理由にはならない"とかそんな感じ。
確かに身体は死んでいるのかもしれませんけれど、私は"死んでいる"とは思ってませんよ。」
(本当に死んでいるとするなら、それは全てにおいて光を失った時だ。
彼女の心は、まだ生きている。私もそう思う。)

「なるほど…。
さっきも言ったように、あまり気にしない方が良いかと思います。
…ただ、どうしても頭に残るっていうのなら──」

(それはもう既に、奥深くに棘が刺さっているのだろう。)

「本人に聞いて見ては如何でしょうか?はっきりさせて置いた方が良いかと思いますよ。」

片翼・茜 > 「私はもう死んで……いや、まぁ、今はそれは置いておきましょう。」死んでいるというのは譲らない。それを認めてはいけない何かがあるかのように。それに年寄りは頑固なのだ。


「ああー、うー……やっぱりそうなりますよね。うあー。」頭を抱えて悶える。普段なら絶対にしないような仕草だ、相当堪えているらしい。
「会って、会ってなんて聞きます?"私を口説いたのは本気なのか?"とでも言えばいいんでしょうか?」不安そうに問う。茜は永く生きているが、口説かれるような恋愛経験はほとんどない、どんな対応をすればいいのかさっぱりわからないのだ。

コゼット > 「そう思っているならそう聞くべきではないでしょうか?」
(他人の色恋沙汰にはドライな対応をするコゼットだった。まぁ、相手が相手というのもあるけれど。)

「でも、そうでもしないとスッキリしないんじゃないでしょうか?
変にぼかした所で通じるとは思えませんし。
違うと言うなら、なんだ違うのかって気持ちも整理が付くでしょう。」
(自分にだって恋愛経験は無い。だからこその彼女なりに的を得た回答。
彼女が今どんな感情の渦の中にいるかはコゼットは想像も付かない。しかしそれを何とかしたいと願うなら、尤も効果的な道を提示する他に無い。)