2015/07/09 のログ
遠峯生有子 >  ああ、先日もこの術は使われていたのか。
 やっとそこに気づく。
 そのときはあまり気にしておらず、今回は2回目なので却って意識することが出来たので
 結果的にいくらか驚いた。というか少しは違和感を感じることが出来たのだが…。
「お茶を召還できるんですか?便利そうだね。」
 にこっと笑って。
 しかし、ここへ来る前に淹れたばかりっていっていたということは、自分たちが飲む分は、
 予定に入っていなかったのではないか、と気になった。

 気にしつつも、天導と、天体望遠鏡の方に意識を戻した。
 自宅にはなかったものなので、あまり使い方には詳しくはない。
 白河にこそっと、「使い方わかる?」と聞いた。

白河 誠士郎 > 「魔術って凄いなぁ……今度授業を取ってみようかな」

などと言いつつコーヒーカップや望遠鏡に目を配る。
生有子の言葉には、「わからない」と、苦笑いを返しながら。

リグナツァ > 「む……そろそろ時間か」
懐から取り出した金時計は常世島と違う時を刻んでいたが、確信を持ってリグナツァは言い切った。
帝国の道具が狂うはずもなければ、世界標準時を自分が読み違えるはずもないからである。

「話の続きが気になるところではあるが…」
テーブルが、カップが、ポットが、現れた時と同じく消えて、あとにはただ香気だけが残った。
「試験結果を守り通さねばならんのでな、こればかりはこの夜の儀式を中座してでもやり通さねば。」

貫頭衣の裾を翻して校内へ戻る扉に向けて歩き出す前に。おそらく今夜はもう出会わぬであろうからと、魔術師は学生に問いかけた。
「夜食を用意した学生、名は何と言う?…礼を言うにも名を知らねば困るだろう」
「俺はリグナツァ・アルファニウス・ピセロットだ。召喚術なら好きなだけ教えよう」

「場所がわかるものから、わからぬものまで」
「皇帝陛下のお触れとあらば異邦の学園とて手に入れるのが役目でな」
「生有子も気になるようなら…まあ、訪ねてくるといい」
こうも魔術に気づかないとなると、魔術的な素養は…と少しばかり考えないでもないのだが、何しろ恩のある学生を無碍には出来ぬ。

そうして、魔術師は校内に消えていく。
当然ながら巡回ルート上の職員室に当たる度にお茶は淹れる。
なにしろ三つも教室棟があるのだから。

ご案内:「屋上」からリグナツァさんが去りました。
白河 誠士郎 > 「リグナツァ・アルファニウス・ピセロットせんせーですね。
俺は白河 誠士郎です。今後とも宜しくお願いしますね。
では、またお会いましょう。」

消えゆく魔術師たちを見送るように、言葉は夜空に木霊して行く。

遠峯生有子 > 「わぁ。」
 と声があがるのは、今度こそその魔法にしっかり気がついたからである。
 魔術的な素養についてはすこし込み入った事情があるのだが、
 生有子自身は与り知らぬことである上に、リグニツァの考えることも知るわけではないので
 ここではなにも明らかにはならない。
 ただ、
「気になります!でも魔法難しいから、授業付いていけないかもしれないです。」
 えへへ、と笑って、
「先生おやすみなさい」と見送った。

 すっかり彼の姿が見えなくなってから、
「魔法とか使えます?」と隣の男子生徒に尋ねてみた。

白河 誠士郎 > 今の自身に魔法は使えるか?答えはNOである。
「んー……一応、魔力はあるとかいろいろ言われたんだけど、
使い方がまずわからないからね。」

先ず知識が、使用する方法が解らないのだ。
もしかしたら過去に使っていたかもしれないが、今は使えないと言って差し支えない。

「使えたらいろいろ便利そうだけどね。」

遠峯生有子 > 「あ、わたしも!」
 にこにこと、こそこそと話を続ける。
「がんばってみてるつもりなんだけど、何もおきないの。」
 魔力はあると、彼女もいわれているのだが。

 先日の、彼女が唯一受講している魔術関連の試験も散々だった。

「…便利そうですよね。
 さっきの召還とかも。」

白河 誠士郎 > 「まぁ、どうにかなるさ!魔力があるって事は何かが出来るって可能性があるって事でもあるんだし、気楽に行こう。気楽に」

どうにかなるさ。それが基本的な行動原理である。
故に、危ない橋もわたることもあるのだが……。

遠峯生有子 > 「うん、気楽ね。」
 えへへと笑って。
「魔力、あるって言われたことはあるんだけど、それもわかんないんですよね。
 自分では。
 たまにホントかなあって思っちゃいます。
 いつもはほんとだといいなあって思ってるんですけど。」

 目の前には天体望遠鏡があり、
 頭上には夏の大三角がある。

 三角はもっとも基本的な魔方陣だと、
 テスト前に読んだ魔術の本に書いてあったのだが…

 天を見上げる。

白河 誠士郎 > 「気楽でいられるならそれでいいのさ。
何時も下ばっか向いてたら首が痛くなっちゃうし……
何かが出来るって考えて、上を見ている方が楽しいよ。」

にひひ、と笑顔を見せて、空を見上げる。

三角形を中心とした夜空はまるで落ちてきそうだ。

遠峯生有子 > 「ええ、すごい前向きだー。」
 笑う。

 笑ってもういちど空を見上げ、
 生有子にはむしろ、自分が落ちて行きそうに見える。

白河 誠士郎 > 「元々すっからかんだからね。下に落ちようがないなら幾らでも上に登れるよ。それも楽しいしね。」

鞄と黒髪を揺らし、周囲を見渡す。
屋上だからか、ある程度遠くの街の光も見えている。

遠峯生有子 > 「すっからかんって、どうしたんですか?」
 気になって尋ねるが、聞かないほうがよかったかなとも考える。
 聞かれて傷つくようなそぶりがあるなら、話は変えたほうがいいかな、と。

 落ちていく感覚は怖い。
 空から視線を戻し、屋上の縁、フェンスに目をやる。
 ぐるっとそれをたどり、途中で視線がライティングされたままの机と
 笹飾りにかかり、それを鳴らす風を聞いた。

白河 誠士郎 > 「やー、俺、記憶が無いみたいでさ。
名前も偶々近くにあったチケットに書いてあったのを名乗ってるし。
だからマイナスからのスタートなんじゃないかな。」

だからこそ登り甲斐があるんだけどね、と続けつつ視線を向ける。
その顔は全く暗く無く、むしろ明るさも感じるほどだ。

「それに、見るもの聞くものすべてが新鮮に感じられるから戻らなくても良いかも、って考えてるしね。」

遠峯生有子 >  少しきゅっと眉を寄せたが、
 相手のあまりに前向きな認識に、
 うふふと笑みが漏れる。

「そんな風でもやっぱりどっか気になりそうな気がするけど…。
 すごいね。

 さて、と立ち上がり、示された天体望遠鏡に歩み寄る。
 覗いてみると焦点は事前に天導が合わせてくれていたので、
 問題なく星を覗くことが出来る。

白河 誠士郎 > 「いっそ、毎日記憶を失うのも良いかもね。冗談だけど」

だって、此処で出会った人の事とか忘れたくないし、と続けつつ鞄を片手に空を仰ぐ。

しばらく間を開けると、腕時計にちらりと視線を向けて軽く深呼吸。

「ふぅ……さて、俺はそろそろ戻ろうかな。明日はちょっと用事がある物でね。」

白河 誠士郎 > そのまま、足を動かして屋上から出て行かんとする。

「それじゃあね。また今度会おう。」

言葉を残し、その場を後にする

ご案内:「屋上」から白河 誠士郎さんが去りました。
遠峯生有子 > 「またね。」
 階下に消える男子生徒を、そう見送って、
 彼女自身は星の高さが変わるまで、
 そこで望遠鏡を覗いていたのだった。

ご案内:「屋上」から遠峯生有子さんが去りました。