2015/07/10 のログ
ご案内:「職員室」にアルスマグナさんが現れました。
■アルスマグナ > 「あっちー……」
ガラリと職員室の扉を開けてすぐに入る。
エアコンがきいている室内は実に心地いい。天国だ。
パタパタと手にした書類や教科書をうちわ代わりに自分のデスクにつく。
今日の講義をひと通り終えて、休憩をしに来たのだ。
椅子の背もたれにもたれかかるとぎしりと軋む音がした。
■アルスマグナ > 窓の外はこれまでの雨降り天気とうってかわり日差しがこれでもかと照りつけている。
そんな中を学生たちがわいわい騒ぐ声がする。
いやー若者って元気だなぁ……。
そういえばもう海開きは済んでいるらしい。これまで試験機関でために貯めた鬱憤をはらすためにそこへ遊びに行く生徒も多いのだろう。
アルスマグナも海は気になっている。
どっちかといえば海自体より悪魔の岩礁跡とよばれている洞窟の入口のほうだ。
聞く所によると怪しい神殿があるそうじゃないか。
破壊されているとはいえその痕跡がまだ残っているのなら、実際に見てみたい。
学者としての興味が沸いてしまうのだ。
ご案内:「職員室」に惨月 白露さんが現れました。
■アルスマグナ > (それにしても……)
異邦人街での人さらいを目撃したあの一件から、数日が経っている。
目撃者である自分を口封じにでもくるかと思って散々警戒していたが、今のところ何も異変はないので少し拍子抜けだった。
もちろん好んで面倒事に巻き込まれたいとは思わないが、長く親しんでいる異邦人の街で、次にさらわれるのは知り合った相手かもしれないし、自分の生徒たちかもしれない。
そう思うとなんとなく、放っておくのもためらわれるのだ。
風紀や公安に匿名として情報を流すという手もあるだろうが、それでわざわざ生徒たちを危険な事件に巻き込ませるのも忍びない。
それは大人としてなんか情けないではないか。
■惨月 白露 > こんこん、と職員室のドアを叩く。
「1年、白露 小百合です、失礼します。」
扉を開け、入口で名乗ると、
ゆっくりとアルスマグナのほうに歩み寄る。
「―――あの、せんせ、今お時間宜しいでしょうか。」
■アルスマグナ > 「どーしよっかなー……こういう時頼れる相手って思い浮かばねぇなぁ……」
独り言をぶちぶち言いながらギイギイと椅子を鳴らして背を伸ばす。
頭の上で手を組んだりしながら考え事をしていると、女子生徒が自分のほうへ歩いてきた。
姿勢を正し、笑顔を向ける。
「はいはーい、白露さんね。なんの御用かなー?」
■惨月 白露 > 「あ、おくつろぎ中、邪魔をして申し訳ありません。」
そう言って、申し訳なさそうな笑みを浮かべる。
手には二つのお弁当が握られている。
「私、最近編入したので、
アルスマグナ先生の試験を受け損なってしまって、
追試や補修についてお伺い出来れば、と。」
そう言って、もじもじと体を動かし、頬を赤く染める。
「それであの、しっかりと説明が聞きたいので、
もし宜しければ、昼食をご一緒できないかなぁって。
………アルスマグナ先生の事、えっと、その、尊敬してるので!!」
お弁当を片方差し出しながら、頭を下げる。
まるで、先生に憧れる女子生徒のように。
■アルスマグナ > 「いやいやいいよー。今暇してたし」
そう言って、相手へ近くの椅子を座るように勧める。
向かい合うように椅子を回すとのんびりとした口調で
「ほー最近入ったばっかりなのね。
考古学の講義の申し込みはもう済んでるのかな?学生課に問い合わせて先にそれを済ませて、
それで追試は……一応この間やった試験内容をもう一度やる感じにしようかなぁと。
希望があれば補講も開くし……」
試験のお知らせのプリントどこやったかなぁと乱雑な机の上をかき回す。
積み重なったプリントの中から一枚目的のものを見つけると、
相手にはいどうぞ、と渡し
代わりに差し出されたお弁当にぽかんとする。
「ん?……え?」
ちょっと分かりかねるなぁーという顔をしながら白露とお弁当を交互に見て、最後に自分を指さし
「あれ、これ俺にくれるの?ええーいいの?
尊敬?ははー照れるなぁ!
ま、ここで断るのも悪いしそれじゃあ頂いてもいいかな」
片手でどーもとお弁当を受け取った。
■惨月 白露 > 説明を受け、プリントを受け取ると、
軽く目を通し、にっこりとほほ笑んで、小さく一礼する。
「―――あ、ありがとうございます。」
『あ、』ってつけるのは失礼でしたね、と頬を掻き
引かれた椅子には座らず、もう片一方の弁当箱を手に持ち、彼に向けて笑いかける。
「あの、他の先生方もいらっしゃいますし、
もし宜しければ、他の場所で食べませんか?
先生は気にならないのかもしれませんが、
いくら真面目な生徒とはいえ、
職員室は生徒としては少しばかり居心地が悪いので。」
『御足労、大変申し訳ないんですが。』と顔と耳を伏せる。
■アルスマグナ > 「いーや、興味持って来てくれる生徒って珍しいから
こっちこそ嬉しいよ。
それにしても、入ったばっかりでよく俺の授業なんて受ける気になったね。
女子受けはあんまり良くないかなぁと思っているんだが。
試験の内容的にさー……」
いひひと冗談めかして笑う。
相手が恐縮の態度を取るのなら自分も弁当を持って立ち上がり、
「今誰も居ないから気にしないでもいいんだけどなー……。
まぁ気になるって言うならそれじゃ移動しようか。
どこにする?ってあんまりまだどこに何があるか知らないか……。
それじゃあ食堂か、日陰のある中庭とかどうでしょ?」
気の利いたところ思いつかなくてごめんね、なんて詫びながらそう言った。
■惨月 白露 > 「とても魅力的な授業ですから、
異なる世界をまたにかけて異種族や異民族を調査をする、
かの有名なアルスマグナ先生の授業ですからね。」
「私も異世界出身なんですが、
先生の御高名は私の世界まで届いていますよ。
それに、考古学とか遺跡とか、なんだかロマンチックで素敵ですしね。」
頬に指を当てると、
少し悩むような仕草を取りながら、あたりを見渡す。
「……あ、本当ですね、先生と話すのに緊張していて、
周りが見えてなかったみたいです。」
てへ、と舌を出し、頭をこつんと叩く。
「―――他の先生は何をしているんですか?
試験直後ですから、採点に忙しい時期だと思っていたんですが。
しばらくは誰も戻ってこないんでしょうか。」
立ち上がった彼を見ながら、
歩き出そうか、歩き出すまいか悩んでいるような仕草を取った。
■アルスマグナ > 「ええ?まじでそんな有名になっちゃってるの?
いやー困ったなぁ。俺なんかまだまだひよっこで全然名誉とかそんなのないと思っていたんだけどなぁ。」
照れたように頭をかく。そして白露が異世界出身なのをその頭部の耳からも判断し興味深そうに顎をなでた。
「ふむ、白露さんの世界ってどんなところだったのか聞いてもいい?
あ、立ち話も何だし、他の先生が気になるって言うならこっちにしよか。」
そう言うと、職員室の脇にある衝立のついた来客用のソファとテーブルがあるスペースに案内する。
どうぞ遠慮なく座ってと勧めたあと、自分は備え付けの冷蔵庫から冷えたお茶をだして、来客用の茶器に二つ入れて持ってくる。
片方をひとつ白露の前に置き、自分はその対面に座った。
「ここなら、直接は見えないからまぁいいかなって思うんだけどどう?
あ、粗茶ですがどーぞ。
他の先生達は、別の所で涼んでたり休憩したりかなぁ。
ほら、ここ校舎でかいでしょ。職員室もここ一室ってわけじゃないし……個別に研究室持っている奴とかもいるからなぁ。
結構すれ違うほうが稀かも。」
■惨月 白露 > 「ええ、私の世界ではちょっとした有名人ですよ。
私の世界には変わった種族が多いですからね。
異種族に対して理解のある学者さんは支持されやすくて。」
歩きながら、彼に向けて笑顔で「ええ、いいですよ。」と答える。
くすくすと笑って、招かれるままにソファに座り、
冷えたお茶を一口飲む。唇を湿らせると、
口元をぺろりと舌で舐めてコップを持って立ち上がると、
アルスマグナの横に座り直した。
「そうなんですか、他の先生は、来ないんですね。」
―――口元が歪み、グレーの瞳が細められる。
■アルスマグナ > 「ふむ。異種族の多い世界ね……。
この常世でも多くの種族が居て、それぞれの領域を持って暮らしているわけだけど
お互いのこと知らんぷりじゃ一緒にいるのにあんまりに寂しすぎるからな。
学べるところは互いに学び、理解しあいたいとか
なーんかそういうかっこいいこと思っちゃったりしちゃうからなんだけどさ。
いやーほんと、種族の違いって難しいねぇ」
席を移動し、自分の横に座り直す白露にわずかに動揺し
拳一つ分の間を空けて離れた。
「ええー何?他の先生が居たりしたら話しづらいこと?
俺のスリーサイズとか聞いたりしない?
そうじゃなくて俺と嫁の慣れそれとか聞きたいの?」
細められた瞳に不穏なものを感じつつ、それを気取られないよう軽い口調で話し続ける。
■惨月 白露 > 「ええ、とても素敵な考え方だと思います。
本当に、この学園の『異邦人』への扱いは酷いものですよ。
そう、例えば、研究資材として誘拐されたり。」
彼のダークグレーの瞳がアルスマグナの紅い瞳を覗き込んだ。
口元が、歪む、歪む、歪む。―――嘲るように。
「まったく、こんなにあっさり『罠』にかかるヤツが、
著名な考古学者で、遺跡探索の授業を持ってるなんてな。
今までよく死なななかったな。―――せんせ❤」
自分の服のボタンをいくつか外すと、
じりじりと距離を詰める。
「今からする俺の質問に正直に答えろ。
ま、正直に答えなくても、殺すとまでは言わねーよ。
……せんせーの『不純異性交遊』がその大好きなお嫁さんと、
学校に知られてちょっとばっかーし立場が危うくなる事はあるかもしれねぇけどな。」
■アルスマグナ > 白露の言葉にわずかに顔を曇らせる。
いや、それよりも近い。ああこれまずいな。直感で悟る。
ああーうん、本当厄介事って向こうからやってくるよな。
波瀾万丈の人生は悪くはないが……もうちょっと穏やかな時間も欲しいかもしれない。
疲れたように自身の顔を片手で撫で、白露の言動にはぁああと大仰なため息を吐く。
相手から後退ると、両手を上げて降参のポーズ。
「そりゃ悪かったな。こんな奴が学者でよ。
それで?何が聞きたいの。それが素ってやつ?
そもそも君がききたい答えを俺が持っていたらいいんだけどな。
テストの答案とか解答とか――」
あくまで苦笑いしながら余裕を見せる。
■惨月 白露 > ふぅ、安堵するように息をつく。
「素直なやつは長生きするぜ、
もしかしたら、『諦めの良さ』がせんせーの
遺跡探索のコツだったりするのかもな。」
手を挙げている彼の瞳を覗き込み、
くっく笑うと、瞳を伏せてソファーに座り直す。
「ま、そんな身構えるなよ、
折角、俺みたいな美少女と昼ごはんが食べられるチャンスなんだ。
昼ごはんでも食べながらゆっくりしゃべろうぜ。」
取り出した箸で卵焼きを掴むと、
笑みを浮かべて『あーん❤』と言いながら彼の前に差し出した。
「ま、そうだな、まずはせんせーの質問に答えようか、
『素なのか?』って質問だけど、せんせーのファンなのは本当だよ、
遺跡探索の力量は勿論、異世界人に対する考え方とかも立派なもんだと思うし。」
『そのわりには無警戒すぎてちょっと拍子抜けしたけどな。』と付け加えつつ、やれやれと首を振る。
「聞きたい件ってのは、異邦人街であった誘拐事件の事だ。
まぁ、俺が知りたいってわけじゃないし、
先生に個人的な恨みがあるわけでもねーんだけど、『頼まれごと』でさ。」
『俺はむしろテストの答案とか解答とかのほうが気になるんだけどな』と肩を竦める。
■アルスマグナ > 「残念、俺の探索のコツはその逆さ。
『しぶとく諦めない』、たぶんこれだな。」
差し出されたたまごやきを鼻先につきつけられるも
片手でそれを制する。
「いーやー折角だけどお断りするわ。
毒でも入れられてたらたまったもんじゃないしなぁ。
俺のファンにしてはやり方強引すぎない?もうちょっと素直に寄ってくれればサインの一つもあげちゃうさ。
それに自分で自分のこと美少女って呼んじゃう子は好みじゃないの、俺。
嫁一筋だからさぁ……」
『頼まれごと』。その言葉に宙を一瞬視線がさまよい、考えるように目をつぶる。
しばしの無言、それから口を開く。
「『頼まれごと』っていうのはお使いってことか。
んんー、……残念だけどそういうのは直接聞きに来て欲しいなぁ。
誰がその件を知っているのか、それを知りたがっているのかには俺も興味がある。
だがまぁ、今はお引き取り願おうか。悪いがあんたのお使いは失敗だ!」
だんっ!と片足を床にたたきつけるように踏みしめる。
靴のつま先に仕込んだ短い刃が衝撃で飛び出した。
反動で立ち上がると、刃を出した足を相手の胸元をかすめるように蹴りだす。
所詮一瞬の不意をついた悪あがきだ。避けようとすればいくらでも避けられるだろう。
■惨月 白露 > 胸元を掠めるように足が振るわれると、
その刃で外されていなかったボタンが外されて、
はらりと服が肌蹴る、とっさに胸元を隠すように抑えると、
―――小さく舌打ちする。
「なるほど、『しぶとく諦めない』ね、やるじゃん。せんせ。」
今は一切武器を持ち合わせていない。
戦闘する、という意味なら、相手が仕込み刃を持っているなら、
ただ手を挙げて降参するしかない。
「手は挙げなくていいかな?それとも、
『隠さないで見せてみろよ』とか言っちゃう?」
そう言ってやれやれと首を振る
「ま、じゃあお使いを頼んできた人には伝えておいてやるよ。
『武器も何も持ってない状況で、刃物つきつけられて脅されたら引かざるをえない』し。」
カーディガンを羽織ってアルスマグナに切られた服を隠して、
机に弁当を残したまま立ち上がると、
職員室に入って来た時のようににっこりと笑みを浮かべる。
「―――憧れの先生に可愛い教え子が折角作ってきたんですから、ちゃんと食べてくださいね、せんせ❤」
『毒とか別に入ってないですから、ね。』と付け加えて、アルスマグナにウィンクして職員室を出て行った。
ご案内:「職員室」から惨月 白露さんが去りました。
■アルスマグナ > 「おっと、悪い……。加減したんだけどな」
はだけた胸元から視線を逸らすが警戒をとく気はない。
足を下げると、軽く構えを取りながら軽口に応じる。
「んな品のないこと言うか。
大体そんな貧相な胸魅せられても嬉しくもなんともないっつーの。」
渋い顔でため息をつく。相手が退くというのなら深追いはしない。そのまま見逃すだろう。
「武器がないねぇ。色香って武器の一つじゃないの?
んじゃ弁当箱は洗って返すからまた取りに来な。
それともこっちから返しに行った方がいい?
商談抜きなら考えなくもないぜ。」
ウィンクをさっとかわすと、代わりに軽く手を振った。
完全に相手が遠のいたとわかると、やれやれと肩をすくめて刃をしまう。
これで相手から反撃でもされたら多分自分じゃどうにもならないだろうなぁという予感はあったので退いてもらって助かった。
ちょっとドタバタして散らかった周りを片付け、弁当に手を付ける。
いただきますと両手を合わせて口に入れる。
嫁の手料理には敵わないがまぁまぁうまかった。
ご案内:「職員室」からアルスマグナさんが去りました。