2015/09/09 のログ
■朝宮 小春 > 「ええ、大丈夫。私の方から処置に使ったと言っておくからね。」
そう言いながら、少しだけ微笑む。
相手の言葉を聞きながら、傷を見て小さく頷いて。
「……まずは一度冷やしましょうか。ちょっと待っていてね。」
ひょこん、ひょこんと頭が上下しながら冷蔵庫に辿り着けば、冷凍庫のそばから氷嚢を取り出し。
冷凍庫から氷を取り出して中に入れていく。
ぎゅ、っと圧縮した上で蓋を締めて。
その上で、またひょこん、ひょこんと戻ってくる。
「はい、じゃあ、腕を出してね。簡単に止めておくから、休み時間が終わるまで……は、このままにしておかないとダメよ。」
マジックテープで、そっと腕に固定をして……ふう、っと吐息。
本当は、どのくらい冷やさなければいけないのかはよく分からないけれども。
治療している側が「多分」とか言い出して不安を煽っても仕方ない。
自分の不安をぐっと飲み込んで、相手に言い聞かせるように。
■十六夜棗 > どう考えても、この先生の動き方が腕を痛めた自分より重傷に見える。
治療中は黙って、痣になっている部分をあらわにして固定したままにして、手早く終われるように位はして、押し黙る。
氷嚢が患部に当たった途端に奥歯を噛んで、堪えて、固定が終わった所で、痛みから気を逸らすべく、口を開く。
「……ありがとうございます。……先生は大丈夫ですか。」
元々寝ていた位重傷なのだろうし、足か、それとも腰か、と視線を下に。
■朝宮 小春 > 「痛い? ……我慢してね、出血が止まって腫れが引いたら、もう取っていい…からね。」
それだけは間違っていないはずだ。固定が終われば、ふう、っと吐息を漏らして。
「………? ぁあ、私はちょっと足が攣っただけだから。 大丈夫大丈夫。
こう見えて頑丈だし、今だってなんとか歩けるしね。」
拳を握って、ぽん、と胸を叩いて。ブラウスに詰め込まれた胸はばゆんと揺れた。
「それに、まだまだ若い女の子の肌なんだもの。
大事なのがどちらかは、誰に聞いても同じ返事ね。」
なんて、苦笑を一つ入れながら、なんとかかんとか元のベッドにたどり着いて、ぽすんと腰をおろし。
■十六夜棗 > 「……我慢は慣れてます。」
痛みの我慢なんて慣れすぎて嫌になる位慣れた。
経験上腫れが引いたら、大体固定するより暖めた方が楽になるし、何か巻く物も後で用意しておこう。
「……ああ、足…。攣ったままだと歩けても大変ではないですか。」
視線を上げると、ウググと呻きそうになる。ごまかして心配続行するふり。
「……そうでもないですよ。」
大事なのがどちらか、誰に聞いてもなんて。
そんな言葉は、綺麗事か建前でしかない。
「攣った所に湿布は張りましたか?」
薄暗い気持ちと思い出したくない過去を振り払うべく、先生自身の治療状況を聞く。
ごまかす為にぎこちなく笑顔も作り。
■朝宮 小春 > 「我慢に慣れることは悪いことではないけれど。
我慢をしないことを忘れてしまうこともあるから。
まあ、怪我は痛いものだから、我慢しないといっても困ってしまうけれどもね。」
なんて、苦笑を浮かべながら言葉を返して。
「そうねぇ、でも、さっきまでは歩けもしなかったんだけれどね。
治っちゃったのかしらね。」
なんて、くすくすと笑う。 生徒がいるといないとでは、行動の質が変わってしまう。
そういうものだ。
「あら、ふふふ、ありがと。
でもね、ここは学校でしょう? 生徒の方が絶対に大事なのは、それは間違いないじゃない。
ほら、先生らしいことも言わせてくれないと。」
笑いながら、相手が自分を立ててくれている、なんて勘違い。
流石に、誰に聞いても、なんて言葉は冗談交じりだ。 ウィンクをぱちん、と軽く飛ばして。
相変わらずのゆるさを持ちながら、大事大事、と頷く。
「……んん? ああ………そういえば、何もしてないわね。
貼っておきましょうか。」
ん、っしょ、っと、また立ち上がって、ひょこん、と。
■十六夜棗 > 「……そうですね?我慢をせずに吐き出す事も、大事かも知れないですねぇ。」
我慢しない事が周囲に許されていれば、この一文は付くけれど。
少し、心がざわつくような単語が近い。
暴発しないように今は気をつけよう。
「攣りは、打撲なんかよりも治るのは早いですからねー。
痛みも急だし、治りも急にだから困ったものですよ・
じゃあ、えっとこっちに…」
苦笑を浮かべて。
厄介なのはどちらもふとした拍子に来る事だろう。
湿布は取り出しますよ、と立ち上がった先生に手で制して棚から一枚拝借。
湿布を広げて足見せて下さい、と無言で示す。
「……そーでしょーか。
先生らしさって意味ではそうですけれど。
異能を持たない生徒、教師、異能を持つ生徒で壁がありそうですよ。」
発言として先生らしいけれど、この学園ならこの壁はあるんじゃなかろーか、この前の獅堂先生の言葉を思い出して、少し皮肉。
■朝宮 小春 > 「ええ、そうかもしれない。
なんでも言えばいいわけではないけれど、何も言わないことが正しいわけでもない、でしょう?
せめて、先生といる間くらいは、我侭の一つでも言ってもらわなきゃ。」
彼女は常にそのスタンスで触れ合ってきた。
相手の言葉を聞いて、思い切りしょげてしまうことも多いけれど。
でも、具体的に何かをすることができぬ彼女にとってすれば、一緒に傷ついてあげることくらいしかできないわけで。
小さく微笑みながら、どんとこーい、なんておどけてみる。
「あら、……ありがとうね?」
湿布を取ってもらえば、そっとスカートから覗くふくらはぎを見せて。
……ぅ、何かやっぱり、まだ痛い気はする。
「………そうだとも思う。それは仕方ないのかもしれないけれどね。
壁を作ってしまうことも、きっとあるかもしれないけれど。
でも、だからこそね。
仕方ないって貴方達が思わないような学園にしなきゃいけないでしょう?」
だから、がんばるね。と付け加えて、皮肉を皮肉として受け止めて、
それでも、前を向いた言葉を相手に返す。
■十六夜棗 > 「正しい事がどれだけあるか、どれが正解かなんて見極めるのも大変ですよ。
我侭を言う事なんて慣れてないもので。」
言って貰える事そのものはありがたい言葉だけれど、我侭を言葉として吐き出すと、研究施設の事件再発ともなりかねない。
だから首を振った。アンドロイド欲しいとか言えないし。我侭の為に魔術かけてもいいですかとかもっと言えない。
「…さっきのお礼ですから。」
とりあえずふくらはぎをじっと確認。
大丈夫、この程度で攣ってるだけなら湿布をしっかり張れば経験上は問題ない。
後は攣ってる場所を見極めてそっと変な歪みが出ないように湿布を伸ばして張る。
「…………」
言葉が続かない。
暫く間が開く。
「……もし本当にそう思うなら。
信じる人は選ぶべきだと思いますよ。
経験上の忠告です。」
深く、重い口を開けて、小さく呟く。
聞こえてなければ、それは仕方ないし、二度言うつもりも、ない。
■朝宮 小春 > 「そうね、……だから、とっても大変だと思うけどね。
ふふふ、丁度いい我侭を言うのは、結構難しいものねぇ。」
相手のことを全て分かるはずもない。彼女は彼女なりに、自分の最大限のキャンパスに絵を描くのみ。
相手が何を求めているか………それは、この学園ではあまりに多岐に渡り過ぎている。
教師の予測など、何の役にも立ちはしない。
相手が少しでも理解をして、少しでも希望を伝えてくれるよう、努力するしか無いわけだ。
「……ふふふ、あー、………いい気持ち。
お礼をしてもらっちゃった。 これなら、きっとすぐに治るわね。」
なんて、ちょっと茶目っ気と舌を出して、ふふー、っと笑う。
なんとも、いつだって楽しそうだ。 足を少しだけ揺らして。
「………そうかも、しれない。
でもね、………そうねぇ、宿題を写しているかどうかとか、そういうところは疑いの目で見ることもあるけれど。」
そこまで言って、ふふふ、っと笑う。
ズルをした人はちゃーんと見つけるくらいの手腕は、彼女にだってあるわけで。
その上で、そういう言葉ではないことを理解しているのか、その笑顔を僅かに緩め。
「だからこそ、信じることを第一に考えていたいの。
本当に傷ついている人が、本当に辛い人が、人を信じられなくなることは確かにあるけれど。
少なくとも生徒を選り分けて信じる、信じないとすることは、しないつもり。
いいじゃない、そういうお馬鹿な先生が一人くらいはいても。
この島、結構何でもアリ、って聞いたわよ?」
なんて、片目を閉じて笑って見せる。
自分の意思がどこまで貫けるかは、自分にも分からない。
だからこそ、きっぱりと。
■十六夜棗 > 「大変すぎて、難しすぎて、望んだ我侭を通せる人なんて一握りですからね。」
教師の思いが、言葉通りだったとしても。
自分の膨れた望みは大きくて歪んでいる。
そして、歪んでいると解っている相手にこそぶつけた方がいいものだ、と言う位の分別は一応残している。
まともな何かは諦めているとも、言うけれど。
「……きっと、そうかも知れないですね。」
病は気からってわけじゃないけれど。
見た目どおりに楽しそうなら痛みが過ぎるまで忘れていられそうだ。
「……」
眉間に、ぎゅっと皺を寄せて。
話を聞く間、言葉も挟まず、耳を澄ませる。
ゆっくりと息を吐いて、聞き終えて。
「……何でもアリでも、自分の身位は自分で」
意識下で、魔術を構築する。
if節と行動。その一行だけを。
「護る位はしないと、危ないですよ?」
構築、完了。
「信じる事が良い事で、救いになるとしても」
ゆっくりと、先生の額の方へ手を伸ばす。
「相反する生徒だっていれば、悪意のある生徒だって」
イルカモ、シレマセンヨ?
■朝宮 小春 > 「そうねぇ………願いが、叶わないことの方がきっと多いでしょうし、ね。
夢を持てって言っておきながらこれだから、やんなっちゃうけど。
ああ、だから、ちょっとくらいなら我侭言ったって、大丈夫よ?」
苦笑交じりに笑ってしまう。彼女もまた、夢破れた身。
仕方ないとは思っていても、ふぅ、っと小さく吐息を漏らす。
だからこそ、ちょっとだけね、なんて指でちょっとを示しながら微笑みかける。
「ええ、ええ。元々こう見えて頑丈だからね。
更に手当までしてもらったんだから、すぐに治るわ。」
これまた、きっぱりと言葉にする。ちょっとだけ手を伸ばして軽く揉んでは、目をぱちぱちとさせて手を離し。
なんだかんだで、まだちょっと痛い。
「………?」
はて、と首を傾げて、額に伸びるその手を見つめる。
目をぱちぱち、っと僅かに瞬かせて。
「先生は神様になれないのよね、本当。
だから、どうすればいいのかは………分からないけれども。
それでも、きっとこの学園の外に出たら。
まだ、まだ。 ……きっと、疑われることも多いと思うし。辛いことだって多いと思うの。
………きっと、ね。
まあ、理想主義とも言うわよね。それもわかってるんだけど。」
苦笑を一つ。よく言われます。
力無き理想は無意味であれど、理想無くして何を導けよう、という……よーく覚えている言葉。
「そう、ねぇ………。 なんとかなるって思って今までやってきたけど、やっぱり危ないのかしらねぇ。」
頬に手を当てて、少しだけ悩む。 それが目の前にある…という発想に、至らない。
■十六夜棗 > 「ええ、夢や願いなんて、本当に願っていた事が叶うなんて、夢の見過ぎも良い所でしょう。
我侭の程度を学んでからにしますよ、せめて」
言えない、と言えない空気。なら、ちょっとだけ壁を緩める位はしておこう。
したい事もあるから、微笑みも作って印象を良くする位は。
「頑丈なのは良い事ですよ。この島だと尚更。」
ふふ、と自然に笑う様に見えそうだろうか。
自分ではちょっと解らない。
伸ばした手はそのままに。
「理想も夢も、叶える為の道は遠い物ですよ。
諦めずに歩き続けないと、きっと叶わない。
それも…歩き続ける力があってこそ。」
ぺんっ、と額を手の平で叩く様に触れようとする。
接触と同時に、[バグ・コマンド]を打ち込む為に。
その一行は、こう、構成した。
[怪しい事、危ない事を知ったら、十六夜棗に知らせる]
「…これが剣だったり刃物だったりするのがこの島ですから、って休み時間終わっちゃいますね。
えーと、そう言えば自己紹介してませんでした。十六夜、棗、です」
目論見が成功しても、失敗しても。
背を向けて手を振って、次の授業へ駆けていく。
力はなさそうだし、何れにしても秘匿魔術を軽く実験するのが、精一杯。
ご案内:「保健室」から十六夜棗さんが去りました。
■朝宮 小春 > 「………そうねー。」
現実的な言葉をひっくり返すほどの力は、今も彼女には無い。
夢は、叶わなかった。 夢の見過ぎなのはこちらかもしれない。
でも、それでも我慢をして、微笑みをかけて。
「あぅ……。
いや、気持ちはわかるけど、先生の頭をはたかないのー。」
まったくもう、と不満気に唇をとがらせる。
彼女からすれば、何をしたのかも気がつかないままに。
かかったのか、かかっていないのか。 それもわからぬままに、もー、っと不満気に唸るだけ。
出て行く姿を見送りながら、ふう、っと吐息をついて。
ころん、っともう一度ベッドに横になる。
■朝宮 小春 > ………………
足が痛い。 生徒がいなくなってから、急に痛くなる。
支えてもらっているのはどちらなのか、なんて自嘲気味に考えながら、ズキズキと痛む足を抱える。
「ああ、もう………っ!」
元々、マイナス思考に寄りがちな、人。
頭を何度も振って、マイナスになりそうな自分を振り払う。
保健室で、一人。
ご案内:「保健室」に椚 真さんが現れました。
■朝宮 小春 > 「……ふー、………っ。」
落ち着いた。大体一人の時は、こうして落ち込んでは揺り戻して、を繰り返す。
今日は「そんな落ち込んでる場合じゃない」という現実が彼女を引っ張り戻したわけで。
「よしっ、早く治して………資料を作って。
……っ、つー………っ!!」
起き上がろうとして、ズキーン、と痛みが走って顔を伏せる。ぷるぷる。
さっき歩けていたのは、やっぱり気が張っていたからだろうか。
■椚 真 > 時間帯的には時計塔で命の危機を覚えるより前の出来事。
まだ真面目に授業を行っている体育教師。
何かあった時の為に直ぐに使えるようにと控室に備え付けているエアサロンパスが切れてしまいました。
こういう時は保健室から、ちょろまかす…基、借りて来るのが一番である。
と、言う訳でやって来たのは保健室。
何の遠慮も無しに不意に開かれる扉、あまり響かない静かな音と共に中を覗き込み。
「ちわぁ~っすん。誰かいる?誰もいない方がたすか……っと、朝宮ちゃん?」
誰もいない方が手っ取り早いと述べられた希望。
途中で言葉を遮れば珍しい人物がいると数度瞬けば室内へと入って扉を締め。
「…どっか痛めてんのか?取り敢えず無理はしなさんなよっと。」
何処か間の抜けたような緩い口調。
そんな口調とは裏腹に微かに心配を滲ませた表情浮かべては其方へと歩み寄り。
■朝宮 小春 > 「………あー、いったた………。」
呻く。元々運動不足が服を着て歩いているような人間だ。
栄養も偏っているし、睡眠時間もまちまち。
足が攣っただけなのだけれど、どうしても痛みは残る。さっき手当してもらった時には治ったと思ったんだけどなあ。
「……!?」
びくり、っと震えて視線を向ければ、そこにいたのはジャージ姿の先生が一人。
少しだけ目をぱちくり、と瞬かせた上で………じと目に変わる。
「あのー、ちゃん付けはちょっと恥ずかしいんですけど………。
あと、誰も居ないほうが助かる、って……?」
全くもう、と少しだけ困ったような素振りを見せながら相手に言葉を投げかける。
「ちょっとだけ、足が攣っちゃったんです。
さっき、生徒に湿布は貼ってもらったんですけどね。」
のほほん、とした雰囲気の彼女は、少し乱暴に自分のふくらはぎをん、ん、っと押して。
言うことを聞けー、とばかりに解しているようで。
■椚 真 > 女性からのジト目なんざ普段から慣れっこなのでこの体育教師を凹ませるには至りません。
先輩教師にはそれなりに敬意を示しますが後輩教師には遠慮が無いのが常。
手を伸ばせば届く距離まで来れば歩みを止めて彼女を見下ろす。
「ははっ、生徒が居たら控えるように気を付けるわ。
ん~?いやいや、こっちの話だから気にしなくていいぜ、ウン。」
にっこりと無駄に爽やかな笑みを浮かべてスルースキル発動。
攣ったとの言葉を聞けば中腰になって彼女のおみ足を眺めて――。
「…ナルホドな。……まぁ、アレだな。運動不足と栄養不足。
後、残念ながら湿布は逆にNGなんだぞ?…さてと。」
体育教師は身体を動かす事だけが本分ではありません。
人体にはそれなりに詳しいのか、ジャージの腕まくりをして。
「ちゃちゃっと治したいなら横になって力を抜いてくれ。
んでもって、膝を曲げてリラックス、リラックス。…俺がどうにかしてやっからよ。…治療で他意は無いからな?」
大体は直ぐに動けるようになるのだが、あまり良くない様子を見れば
声色を落ち着いてゆっくりとしたものに変えて彼女をまずは落ち着かせようと。
それから申し訳ないが湿布は剥がしてしまおうと手を伸ばします。
セクハラにならないように細心の注意は払っているのか若干の緊張は極力気取られないように。
■朝宮 小春 > 「……生徒がいなくても、職場では先生をつけてくださいよぅ。」
とほほ、と肩を落とす。この先輩に悪気はないことはよぉく分かってはいるから、本気で怒ることはないけれども。
ここは学園内で、彼女はいつだって先生であろうとするタイプの真面目さんである。
誰がいるかもわからない学園内では、やはりいつだって先生でありたいのだった。 …聞き入れられないが!
「うぐっ。 ……返す言葉も、無いです。
……そうなんですか!?」
痛いところをまっすぐに突かれて、視線をつつつ、っと真横にズラす。
うう、恥ずかしい。 すぐに分かってしまうものなんですね。
更に、治療法についても指摘を受ければ、自分の知識の無さに肩を落とす。
「……? ぁ、はい、わかりました。
こんな感じで、いいです?」
横になって、という言葉に、素直に頷いてころん、っと横になる。
基本的に、教師間においても素直に意見を聞き入れる方だ。教育観に関してはぶつかることも多いけれども。
膝を曲げて……ふー、っと吐息をついて力を抜きかけて。
「……分かってますよ。改めて言われると、ちょっと恥ずかしくなりますから、言わないでおいてください。」
結局のところ、ブラウスとタイトスカートの格好で寝転んでいるわけだから。
立てた膝の間をちょっとがんばって閉じてしまうのも、まあ、已む無し。
■椚 真 > 「上辺に拘らなくても朝宮ちゃんは立派な教師だろ?
んな体裁とか気にしなくても俺よりも立派にやってんだから気にすんなって。」
自分とは対極的な位置にいるかのような真面目な頑張り屋。
但し、少しばかり器用さに欠けると言った所が彼女への普段の印象である。
屁理屈ばかりは無駄に良く回るのか矢張り聞き入れられませんでした。
「俺達は身体が資本だからなァ?生徒の為、自分の為に頑張るのも結構だけどよ
…その為の下準備ってのも大切なんだぞ?」
普段の駄目っぷりから一変、大分珍しく真面目な教師っぽい台詞を並べては
責める訳ではないので口調は柔らかいが注意めいた一言を口にして。
「足が攣るってーのは筋肉が緊張してんの。どうにかしなきゃって焦ると悪循環だな。
後の事は後で考えて今は、ノンビリしようぜ?」
素直に聞き入れられれば零される安堵の吐息。
湿布を剥がしてしまえば、今度は彼女の足先を両手で包み込み、足首を回してのストレッチを行い。
「…しょうがねェだろ。誤解されやすいんだからさ。」
其方は極力見ないように視線は天井を見上げております。
力を抜けと言っているのに膝に力が籠っているのを感じれば、ぺしりと膝を叩いて窘めます。
■朝宮 小春 > 「そ、そうです? ……それならいいんです、けど。」
焦ったり、体裁を整えようとするのはまだまだ自信が無いから。
この、どちらを見ても「同じ」を見つけることが難しいこの学園で、自信を持って正解へ導く自信など持てるはずもないのだけれど。
それが不器用と呼ばれる由縁か。
相手の程よく力を抜いた、その自然体な雰囲気は………見習う、というと自分に真似できるものでもないけれど。
それでも、それが無理をしないまま、安定して生徒と向き合うためには必要なことなのだろうな、なんて彼女は捉えていて。
「………そ、それは、確かにそうかもしれないです。
うう、気をつけます………。」
返す言葉も無い。なんとかかんとか、運動をする時間を創りださねばなるまい。
食事を考える時間も作らねば……。 いろいろ考えて、ちょっとむつかしい顔をする。
「………大丈夫です、と言いたいところですけど。
実際見られたら、私が何を言っても、聞き入れてもらえそうにないですよねー。」
苦笑交じりに、こくん、と頷いて。 ぺしん、と膝をはたかれると、少しだけ力を抜いて。
ふくらはぎは、パンパンに張っている様子。
力を抜いているからか、痛みを訴えることだけはないけれど。
「ぁー、……でも、ん……っ、気持ちいい、かも。」
足もすっかりへたばっていたから、柔らかくストレッチをしてもらうと、それだけではぁぁ、っと吐息が溢れる。
■椚 真 > 「アレだな。余計なストレス抱え込みやすいタイプだろ?
心配しなくても、誰も悪く思っちゃいないから安心しろって。」
残念ながら自分が言った所で慰めにも気休めにもならないのだろうけれども。
きっと彼女はそういう性格なのである。別にそれを否定するつもりもないので
先輩として先輩らしく、少しでも彼女が肩の力を抜ければいい…心底そう思えば言葉から何時もの軽さは抜けており。
「取り敢えず風呂上りの10分間ストレッチぐらいでいいんじゃね。
いきなり運動とか言われてもどうせ無理だろ?」
体育会系は運動を習慣化出来るがデスクワーカーはそれが出来ないと
言うのも把握しているので提案される代案。運動は無理と読み切っているのか、悪気の無いアッサリとした口調で。
「…そこら辺はまぁ日頃の行いだわな。
まぁ、それはそれでネタ的に美味しいから気にしないけどさ。」
メンタル面だけに関して言えば先輩と言って差し支えないくらいに図太い体育教師。
けらけらと楽しげな笑い声を零しながら余分な力が抜けたのを感じ取れば
ストレッチする箇所をふくらはぎへと移し…ガチガチに固まっている筋肉を足先へと伸ばしながら…。
「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してくれよ?」
痛い思いはさせたくないので細心の注意を払って、ゆっくり…ゆっくりと。
体育教師の手は無駄に大きくて硬い…けれどもそれなりに器用なのか手際だけは良いのである。
■朝宮 小春 > 「……ぅ。それもまあ、否定できない気はします………
でも、……まあ、ちゃんとできているって言われてると思うと、少し嬉しい……で、いいです?」
相手の言葉に、少し唸って、やっぱり否定できない。がっくり。
でも、先ほどの言葉を合わせて考えれば、………教師としては、がんばっていると認めてもらっている、らしい。
それを、素直に喜んで。
「………よくご存知ですね。
ランニングをしたこともあるんですけど、転んで手首を折っ……‥怪我しまして。
……そういうことにします……。」
とほほ、と肩を落として。 それ以外には多分無いだろう、なぁ。
「ネタ的にも何も、そういうことになったら私が気にします。
だから、まあ、………そろそろ誰も来ないとは思いますし。」
多分。こんな時間に来る人間は少数派だろう。授業ももう始まっただろうし。
足からはすっかり力が抜けたまま、されるがままに。
「ん……っ! 大丈夫、です………っ!」
ゆっくり、ゆっくりと伸ばされ、解され。じくん、じくんっと僅かな痛みはあれど………。
「さっき、階段から無理してこっちに来た時の方が、よっぽど痛かったですし。」
ふふふ、っと笑って見せる。ふー、……っと深い吐息を突く時は、ちょっとだけ我慢している証拠。
足は触れているうちに、次第にやっと、柔らかく芯から強張りが抜けていくよう。
■椚 真 > 「ちょっとおっちょこちょいな所も魅力で個性。生徒皆に慕われる
優しいお姉さん朝宮小春。ははっ、俺じゃ逆立ちしても真似出来ねェよ。」
いいです?との疑問符に、ウンウンと言葉と共に首を縦に振って返し。
少しばかり思いつめる節のある彼女の気持ちを解す為に言葉を続ける。
勿論本音なので言葉に澱みは一つも無く。
「何か厄介事が起こると真っ先に危険に晒されるタイプだな。
…まっ、俺も運動は兎も角食生活なんかは滅茶苦茶だから人の事言えないんだけどな!」
最低限は気を遣うけれども最大限気を遣った事などは一度も無い。
身体を動かすのは好きなので問題ないけれども、基本的には極度の面倒くさがり。
気が向かない事にはトコトン無頓着なのであった…隠しもせずに笑い声混じりに暴露して。
「朝宮ちゃんとの仲を噂とかされたら流石のオッサンもドキドキするな。
まっ、来たら来たでちゃんと説明するし大丈夫だろ…多分。」
100%善意で行っているにも関わらず誤解の可能性が否めないのは厳しい所。
この茶化すような言動が主にアウトと気付いているのかいないのか、口は流暢…しかしそれと同じくらいに手も滑らかに動いております。
「女の子の足マッサージする機会なんて滅多にねーからずっと続けてたいが…後はしばらく安静、だな。
ちょっと待ってろよ…………ほれ。これも勿論対策の一環だぞ。」
マッサージは後ろ髪引かれてしまうが、ゆっくりと手を離せば立ち上がって移動。
冷蔵庫を開ければ予想通り備え付けのスポーツドリンクがある訳で。
ペットボトルを一本手に取れば再び彼女の元へと戻ってそれを差し出して。
■朝宮 小春 > 「それフォローになってないですからね?
うう、やっぱりおっちょこちょいなんですかね………昔に比べればマシになったと思ったんですけど。」
素直に褒められているようで、褒められていないようで。
でも絶対悪い何かを抱えているようには見えないし、むしろ本音で言ってそうだし。
怒るにも怒れず、肩を落としてため息をつくしかない。
……とはいえ、こうやって話しているだけで落ち込んでしまう、内向きな彼女は顔を隠すのだから、上手く行っているといえば行っているのだろう。
「………食生活は、まあ、………気を遣ってないですね。
運動も×で食生活も×なので、二倍ですね、二倍。」
大声で笑い飛ばされてしまえば、こっちも肩の力が抜けて、そんな言葉を返してしまう。
気をつけます、と、小さくなりながらも、ちょっとした照れ笑いで誤魔化してしまう。
「…そういう噂って、やっぱりするものなんですかね。
広がるものなんですかね………。
来たら来たで説明しますし、きっと、私が説明すれば大丈夫ですよ。
でも、……ぅん、本当に気持ちいいので、有り難いです……。」
ほぉ、っと吐息を漏らしながら、なめらかに動く手に目を閉じそうになってしまう。
痛みは大分薄れ、疲れきった足が解されて気持ちがいい。
「………ん、ありがとうございます。
ふふふ、女の子扱いです? ……ちょっとうれしい、ですけど。
流石に私も少しくらいは分かりますよ。……ぁ、でも、喉乾いてたので、本当……。
ん………っ!」
喉も乾いていたのだろう、ペットボトルを開けて、喉を鳴らして一息で1/3ほどを流し込んで。
………は、ふ……っと、口を離してから出てくる吐息は、深い深い溜息。
■椚 真 > 「あるぇー?…っかしいな。これ以上ないくらいに気の利いた格好いいフォローだったつもりなのに。
…ぶっちゃけると見てて不安になるレベル。何せ常世だからなァ…。
まっ、何かあったら正義の味方椚マンが助けに来てくれんじゃねェかな、多分。」
ポリポリと頬を指で掻いては自分の目論見が外れた事を不思議がっている模様。
そしておっちょこちょいは取り消さないらしい…何故か正義の味方になっている体育教師、
無駄にドヤ顔で激しい自己主張は欠かしません、ある意味平常運転。
「完全に仕事漬けじゃねーか。まだ老け込むような歳でもねーんだぞ。
俺に此処まで心配させるとかある意味スゲーな…立派な問題児だったわ。」
人前では此処まで気を遣いませんし、頭の悪い事発言ばかりして
周囲に笑いをばら撒いている青年、彼女の言葉は今一つ笑えないらしく溜息混じりに両肩を落として。
「もっと真面目な先生とかだったら説明だけで終了なんだろうけどな。
普段からしょっちゅう女の子引っ掛けてるからな…。
見つかったら犬にでも噛まれたと思って諦めてくれ。」
てへぺろっと舌を覗かせる三十路手前のナイス害。
大分彼女がリラックス出来ているのが伺えれば嬉しそうに口の端を緩めて。
「後輩相手にあんま言いたかねーが可愛いのは事実。
女の子扱いしなかったら逆に俺が朝宮ちゃんファンに刺されるレベル。
……寝てる時とかも足攣るかもしれないから今の流れ覚えとくようにな?」
真顔でくだらない事を言う辺り割と本気なのかもしれません。わざとらしく周囲に視線を巡らせたりもして。
そして微かに滲んで見える疲労の色に小さな苦笑い。ベッドの隣、丸椅子に腰を下ろせば
そのまま手を伸ばして彼女が拒まなければ、頭を撫でようと…何の気は無い、労いみたいなものである。
■朝宮 小春 > 「うぐっ………こ、この島って、そんなに危険なんですか?
………正義の味方、です? じゃあ、期待しておきます。」
一応。……ずっと気になっていた質問を一つ、投げかけながら。
ドヤ顔でそんなことを言われてしまえば、ころころと笑って頷いて見せる。
否定せずに、お願いしますね? なんてちょっとだけ悪戯っぽく返して。
「も、問題児………うー、この称号だけは今まで貰ったことは無かったんですけど。
まさかここで人生初が出てくるとは思いませんでした。
い、一応、ちゃんと気をつけますよ?」
ぅうー、っと唸る。この先輩相手だと、ダメな後輩になってしまう。
生徒相手だと全力で先生をしてしまう分、先輩相手には少し甘えてしまうのかもしれない。
本人は自覚は、やっぱり無いけど。
「そうなんですか? ……そりゃあ、その、男女関係は大人なんですし、自由だと思いますけど。」
もごもご。恥じらいを捨てきれない理系奥手女史。 ダメな大人だった。
リラックスはすっかりしていて、ベッドに座るように。
「………い、いきなりそこまで言われると、普通に照れますからね?
あ、………ええ、寝てる時にも攣るんで、覚えておきます。」
こっちも手を伸ばして、その鼻をきゅい、っとつまんで注意を一つ。
もう……困った先輩です、なんて、表情が何よりも雄弁だ。怒っている気配は、全く無いけど。
「……ぅ、ん? ………………私が生徒みたいじゃないですか。」
もー……、っと小さく文句を漏らしながらも、素直に頭を撫でられ……目を細めて。
■椚 真 > 「落第街の方に行かなきゃ大丈夫じゃね?朝宮ちゃんとか絶対面倒事に巻き込まれそうだし。
……ふふん。こう見えても椚さん逃げ足には自信あっからな。
いざとなりゃ抱えてでも逃げるさ。」
異能が無くとも環境に染まっていれば構わない。
けれども彼女は本当の意味での一般人である。口調こそ軽いが少しばかり忠告じみていたかもしれない。
そして偉そうに忠告していた自称正義の味方は自慢にもならない事を口にしては得意気に自分の胸板を叩いて見せるのであった。
「頭がイイだけじゃ生きて行けないってこった。
……いやはや、心配。本当に心配。大切な事だから二度言った。」
歳がそう離れていない事も相まって気分的には手の掛かる妹のような感覚である。
それでも世話を焼く事、心配する事…別に嫌ではないのか口調、表情共に上機嫌で楽しそうではあった。
「いや、変な誤解はしないように?俺は可愛い女の子と楽しく話して
美味しいお茶でも飲めればって思ってるだけで…それ以上はやった事無いからな?!」
盛大に誤解をされている気しかしないので割と全力で訂正をしておく事にした。
そして奥手さを感じさせる恥じらいの様子…そりゃ人気も出るわな、と視線が悟りを開いていたとか何とか。」
「……後は非情に立派な、おっ……もごっ。」
言葉は最後まで言い終える事なく彼女に鼻を摘ままれて途切れる。
ぶひっ、と豚みたいな鳴き声はオマケしておく事にしよう。
「ははっ、細けェ事は気にしなさんな。…生徒みたいってのは否定しないけど。」
余計な一言は付け足さずにはいられない性分である。
張り詰めていた空気が解けたのを感じれば手を離す…それと同時に締め切った室内に吹く、微かなそよ風。
柔らかく暖かなソレが彼女の頬をゆるりと撫でて――。
■朝宮 小春 > 「………何でそんなことがわかるんです? って言いたいところですけど。
怖いもの見たさで冒険する年でも無し。
……自分の間の悪さくらいは承知の上。一人では絶対行かないですよ、流石に。」
環境には彼女なりに馴染んでいると思っているが、それでも根本的な部分での考え方の相違にまでは気がつくことのできない。異能が持つ重さに。異邦人が抱える重さそのものを、全て理解しきることができない。
その浅さが、彼女の致命的な部分。
まあ、その代わり、相手の忠告を素直に聞き入れることのできるところが、彼女のいいところ。
抱えて逃げる、という言葉に苦笑をしてしまうのだけれど、……じゃあ、その時は? なんて笑って言いながら、片目を閉じるわけで。
「そんなにですか!?
生徒一人分くらいは心配されているような気がします………言い過ぎじゃないです?」
とほほ、と肩を落としながらも、本当に落ち込んでいる様子は無い。
ちょっとだけ唇を尖らせて、訂正を求めてみる。
姉妹しかいなかった彼女にとってすれば、兄弟の感覚は分からない。
でも、楽しそうに笑う相手といて、楽しくないわけがない。そういう感覚は「普通」のままだった。
「そ、そうですよね! そうですよね! そうだと思ってました。」
赤い顔でぽんと掌を合わせて、うんうん、と大きく頷く。
何を考えていたか? そんなの秘密に決まってるじゃないですか。
分かってても言わない!
「立派な、……何です?」
はて、と首を傾げて。相手が流すならきっと流してしまうだろうけれど。
「………せめて生徒0.5人分くらいになりません?
そろそろ、……足も、動きそうです。」
細かいことを気にする先生だった。
そっと手を離せば、ちょっとだけ不満そうにしながらも……くすくすと笑う後輩の先生。
■椚 真 > 「……明らかに何か持ってる系の人間だかんなァ。後も一つ付け足すとしたら…俺の悪い予感ってのは大体当たるんだよ。
どうしても行くっつーなら俺んトコ来い、付き添いぐらいはしてやっからさ。」
根拠も確信も一つも無い。飽くまで何となく…
そう言った理由しかないのだが嬉しくない事に悪い予感の的中率は無駄に高いので顔つきも真剣になると言うもの。
まぁ、どちらにせよ今するような心配でもないかと彼女のウインクに肩を竦めておどけて見せて。
「大方、仕事で焦ってたんだろ。足は攣らすわ、悪循環陥ってるわ…心配もするっつー話だよ。」
まだまだしばらくは先輩風を吹かさないといけないらしい。
両手の人差し指を交差させて×マークで彼女の訴えを却下してしまう。
喋りは若干ぶっきらぼうだが、端々には甘さを含ませて…分かりやすく甘やかしているのだろう、警戒心の類は一切なく。
「――…耳年増で済んでる内はいいんだろうけどなァ。26でその反応はどうよ。」
言及はしないけれども視線が若干生暖かく見守るアレである。
馬鹿は頭は悪いですが察しはいいので色々と予想している模様…どんまい、と肩を軽く叩く無駄な優しさ。
「……ぇー、聞きたいの?んじゃ今回の代金分と合わせて
教えてやっから、ちょいと目を閉じてみそ。」
食いついて来たので流そうかと思ったけど思いついた妙案、ピコーンと。
満面の笑みと共に強調される代金の二文字。
「……周りから天然って言われるけど否定するタイプだなこりゃ。
ん、良かった良かった。くれぐれも無茶はしないようにな。」
少しでも彼女の気が紛れればそれで幸い、と。
零れる笑みに先輩の先生もまた上機嫌そうな様子は崩さずに。
■朝宮 小春 > 「大丈夫ですよ、買い物は近所の商店街で大分間に合ってますし。
怪しげなアクセサリーとかを欲しがる年頃でもないですから。」
苦笑をしながら、手をひらひらと振って行かない行かない、と告げる。
ただ、まあ、行かないから絶対に安全ではない、ということに関しては理解が欠けているわけだけれど。
「………ぇ、えー、っと………焦ってました。」
ダメだ今は勝てない。今は勝てない。白旗が頭の上から上がってぱたぱたとはためく。(イメージです)
かくん、っと頭が落ちてため息一つ。
どうやら私はまだまだ生徒並の不安さらしい………
「生徒……ひ、一人分くらい…?
あと、天然とか言われますけど、別にそんなつもりないですから。」
すっごく情けない声になってしまった。
その上で天然を否定するのだけれど、その否定が自分の墓穴を綺麗に掘り進んでいることには気がつかない。
「な、何のことだか分かりませんけど……?
ちょ、ちょっと、何の慰めですかこれっ!?」
お察しの通り、……いや、全く無いわけじゃないですよ!
ホント、でもこれ以上はシークレット、トップシークレット。
「…ぁ、はい。」
代金分、と言われ………なくとも、きっと目を閉じていただろう。
これでいいですかー? と、声だけで返して。
■椚 真 > 「根拠の無い大丈夫は止めましょうって話。そこに行かなきゃ大丈夫って話でもないんだぞ?
…学区内でも誘拐とか拉致とかあったらどうすんだよ?」
危機感があるのだか無いのだか…何かあったら困るから
定期的に生存確認ぐらいしておこうかと固く胸に決意するのであった。
「困った時は頼ってくれてもいいんだぞ。出来る範囲で手伝ってやるしさ。」
偉そうな体育教師が見られるのは案外彼女の前でだけかもしれません。
腕組みを作って仁王立ち状態。零した溜息はちょっとだけわざとらしかったかもしれない。
「いや、ざっと生徒二人分ってトコ。生徒もピンキリだから何とも言えないけども。
ウン、知ってる。天然は自覚が無いから天然って言われるんだからな…。」
間違いなく天然、しかも割と筋金入りを伺わせる反応である。
案外今まで無事に島内で生きて来れたのは強運の持ち主なのかもしれない、と本気で考えている模様。
「見ての通り哀れな後輩を慰めてる図。
いいもの持ってんのに宝の持ち腐れで御座ったか、はっはっは。」
後ろ指はしょっちゅう刺されるが基本的に清い関係を貫く駄目教師。
すっかり彼女をそういうイメージで定着させてしまったらしい。
妹としての好感度だけなら無駄に上昇中でありました。
「素直だ…それじゃ頂きます。」
目を閉じた彼女の目の前で合掌。
――…後に伸びた手は彼女のそれはもう立派な胸へと触れる訳である。
流石に揉むのは大問題なので撫でておく事にした。明らかにご利益がありそうな気がしたので。
終われば立ち上がって、それこそ何も無かったかのように歩き始める。
当然逃げの一手である…。
「立派なおっぱいだなぁって。……うん、これで今回のチャラな。
――…ごっつぉさん。」
清い関係が聞いて呆れる下衆っぷりでありました。
言及、追及逃れの為か素早く逃げてその場を後にする教師。
この後、天罰が下される事になるのだが、それは彼女の与り知らぬ所であった――。
ご案内:「保健室」から椚 真さんが去りました。
ご案内:「保健室」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > 青垣山に向かう前の事、詰めていた保健室
から出た陽子は、別な保健室から椚先生が出てきて、
ドアを閉めずに立ち去るのを見て、ドアを閉めようと
近付くと、中から今度は朝宮先生が出てくる。
「朝宮先生、大丈夫ですか?」
と尋ねる陽子。
■朝宮 小春 > 「…ぅう、っ………
は、ぁい、お願いします。」
ズバリと言われてしまえば、返す言葉も無い。さっきから返す言葉が全く無い気がする。
自分の認識の甘さを再確認して、ベッドの上で小さくなってしまう。
危機感はある、あるのだ。ただその枠組、フレームが一般人のままなだけで。
手伝ってやる、と言われれば、そこをもう断る理由というか、断れる立場にない。
情けない声で頭を下げて。
「二人………。」
あ、ショックを受けている。そっちにショックを受けている理由?
天然はまだ言われたことはあるからだ!
が、がんばろう………と、本気で思うわけで。
具体的には生徒二人分くらいがんばろう。
二重三重でがんばることが彼女の唯一の手段です。
「………あ、哀れとか言わないでくださいよ…!
私、これでも楽しく仕事してるんですから。」
すっかり弄られになってしまって、もう……っと僅かに唸る。唸って唸って、ちょっとじと目。
効かないことは分かっていても見てしまうわけで。
「………ん、ひゃんっ!?」
流石に、そこに直球で来るとは思っていなかったのだろう。
ふにゅ、と触れた手に思わず腰が跳ねて。
「……あ、……あ、……後でひどいですからね!!
後で本当にひどいですからねっ!!」
真っ赤になり、背後に向かって立ち上がりながら。手元に何かあったら投げつけていただろう。
無いから、うー、うーぅ、っと唸ることしかできないけれど。
ため息をつきながら、保健室を出たところで。……お、っと立ち止まる。
「……あ、ら。 大丈夫よ。 ちょっと足が攣ってしまったけれど、二人に手当してもらってね。」
十六夜さんに、椚先生。二人と続けてお話をしたら、すっかり時間を食ってしまった。
外を見ると、すっかり夕暮れ。………ああ、資料作成何もしてないな、なんて遠い目になってしまいつつ。
「……少し保健室を使わせてもらったけれど、……ああ、後、氷嚢とテープ。湿布をいくつか、使わせてもらったから。」
それは伝えて置かなければならない。 ゆっくりとそれを伝えて、今日は帰ろう。
まだちょっと足は張るが、……きっと、大丈夫だろう。
ご案内:「保健室」から朝宮 小春さんが去りました。
■嶋野陽子 > 朝宮先生の説明を聞くと、
「それは、お気をつけて。ご報告ありがとうござい
ます」と答えて朝宮先生を見送る陽子。
(朝宮先生、頑張り過ぎて倒れないで下さいね)
と心の中でつぶやく陽子。
ご案内:「保健室」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「食堂」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > 食堂で昼食中の陽子に、珍しくステラから
話しかけてくる。
[陽子。明後日、半日ほど宇宙船と一緒に留守にし
てもいいかしら?]と、尋ねてくるステラ。
(あら、敬一君がどうかしたの?)と尋ねる陽子。
宇宙船と一緒ということは、ヨーロッパの敬一君が
からむ話だろうと見当を付けて。
[敬一が、ロンドンからニューヨークまで飛行機で移動
するので、日付も日付だし上空を護衛しようかなと]
と答えるステラ。
確かに、明後日と言えば9.11だ。この世界ではあの
テロは起きていないどころか、世界貿易センタービルは
未だに健在で、《世界異能センタービル》となっている。
(万が一、ハイジャックされたなら、操縦をハッキング
して、強制着陸させちゃってね。どこの便で飛ぶの?)
と陽子が聞くと、
[BA001便、機体はA3000《コンコルド・ヌフ》だそうよ]
とステラの答えを聞いて、心の中で口笛を吹く陽子。
WTCビル同様、大混乱期を生き延びたエアバス社が開発
した、マッハ3で飛ぶ超音速旅客機。コンコルドの後継と
いう自負を込めて作った、ドラゴンをも振り切るマッハ3
の超高速機だ。
(敬一君、ずいぶん張り込んだわね)と陽子が言うと、
[指導教授が怪我して行けなくなった学会に、代わりに行
くから、教授の予約をそのまま引き継いだらしくて、格安
で行けたそうよ]と答えるステラ。
(判ったわ。時間はこちらの時間だと18時から23時位
だったっけ?)飛行時間は3時間未満なので、宇宙船を回
す時間も含めても、不在時間は5時間もあれば十分だろう。
[ロンドンを朝10時発で、ニューヨークに朝8時着だか
らそんな感じになるわ。薬師寺さんがその間に襲われなけ
ればいいけど・・・]とそこだけが気になるステラ。
(そっちはやれるだけの事をやったわ。薬師寺さんにも後で
唐沢先輩の件は連絡しておくし)と答える陽子。
昼食を食べながら、脳内でこんな会話を交わす二人。
■嶋野陽子 > 「ごちそうさま」
豚の生姜焼き定食を食べ終えると、トレーを持って
行き、ロビーに向かう陽子。今日は雨なので屋上に
は行けない。
ご案内:「食堂」から嶋野陽子さんが去りました。