2016/03/21 のログ
ご案内:「教室」に六道 凛さんが現れました。
六道 凛 > キーンコーンカーンコーン……

鐘の音がする。ごーんごーんと、頭になる頭痛と一緒。
あれから何日経ったか。時間を数えることはしてなかったのでわからない。
ただ、できるだけ。できるだけ。思考しないようにはしていた。
思考すれば、何かを。ふつふつと煮えている何かが飛び出そうだった。

今日は、もう終わり。
帰り道、まっすぐ帰る気にはなれず。空き教室に廊下からふらり。

夕焼けが、染みる。もうなれた、つもりだったのに。
この灯には――

そしてぼーっと。ぼーっと、時間を過ごす

六道 凛 > そっと、ノートを取り出す。
今なら、なにか書けるだろうか。生々しい、背景。
劇という場所において、”現実味”というものを引き出す架空。
描写、創作――

綺麗に、書けるか?
     ――なぜ、そこまで綺麗に。あのときを再現しようとするのか。

「――さぁね」

もう意味は無いとわかっているのに。もう確定したのに。
でもそれでも、この”依存”からは離れられない。

なぜならば。この世界は”退屈”だ……

六道 凛 > ”退屈”だと知ってしまったからこそ

   もう描けないと、わかっているんだろう?

その席に、座り続けても意味が無いと、わかっているのに、なぜ。

「――うるさい」

聞こえた、ものをかき消すように。ただがむしゃらにノートにペンを走らせる。

――そうしていれば、最期を全て観終えるとでも? 見たくて座った特等席
――だがその特等席に座れたのは一度だけ。たった、一度。
――しかも、一番見たかった演目は、舞台が違うときた。
――だから焦がれてる、だからイラつく。だから、もう一度書こうとしてる。もう無理だとわかっているのに。

「――~~~」

声にならない叫びを上げながら、ただがむしゃらに書いた。
感情が分かってなかったモノがそれをまた、爆発させて。

――不死鳥はもう二度と、孵らない

六道 凛 > 「――はぁ……」

現実は、劇のように。アンコールとはいかない。
いや、アンコールなんて無いのが、彼らの演目だ。
だってそうじゃないと現実味が薄れてしまう。
人生は一度きりだ。

――ダメだな

なにも際立つことのない、ただの絵。
出来上がったのは、たまごの絵。
ほんの少し、ヒビが入った、卵――
誰かを、引き立てる絵ではなく、これは――

「――魔術が使えれば、もっとマシになるのかな」

禁止されている魔術。いいや、それを使ってすら、きっと描けない。
今は、まだ――

六道 凛 >  
「敵、ね」

敵がいると、聞かされた。ならばカカなければいけない。
彼らのためではなく、初めて。別の人を主役とした背景。
かけるだろうか、引き出せるだろうか。
いや、やらなければいけない。

「帰ろ」

くっしゃくしゃに絵を丸めて、投げ捨てる。ゴミ箱からは外れた。

まだ、卵は。孵らない……


ご案内:「教室」から六道 凛さんが去りました。