2016/05/14 のログ
ご案内:「屋上」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 「ふぅ」

手元のお弁当箱を閉じる
今日も綺麗で美味しい、母様手製のお弁当は量も味も大満足だった

色々な事件から数日
昼食を一人でとることも最近では珍しくない

「んん……はぁ、いい天気…」

本日は快晴、小気味良い日差しが屋上を照らす

ご案内:「屋上」に烏丸秀さんが現れました。
烏丸秀 > いい天気だ。
こんな日は何処かに誰かと出かけたくなる。

が、今日烏丸は珍しく屋上に居た。
そもそもあまり授業に出ない人物だが、少し用事があったのだ。
それが――

「――あ、いたいた」

伊都波凛霞。彼女に会いに来たのである。

伊都波 凛霞 > 「ぅむ?」

紙パックの苺ミルク、そのストローを咥えたまま、声のしたほうを振り返る

少年の姿が目に入れば、ストローからその口を離して

「こんにちわ。キミもお昼ごはん?……って、どっかで会ったこと、あったっけ?」

挨拶をしてから、気づく
いたいた、ということは多分自分を探していたのだろうということ

こちらからは、面識がなかった…はずである

烏丸秀 > 意外と軽い挨拶が返ってきた。
もう少し怯えるとか警戒するとか、そういう反応が返ってくるかと思ったのだが……

「初めてだよ、伊都波凛霞ちゃん。
あ、ボクは烏丸秀。よろしくね」

楽しそうに言うと、何事もなかったように彼女の隣へ座る。
ここらへん、手馴れたものである。

「あ、食事終わった所だね、丁度よかった」

うんうんと頷く。

伊都波 凛霞 > 「だよね、でも名前は知ってるんだ?」

よろしく、と言われにこやかな笑みを返す
てきぱきとお弁当箱の包みをバッグへと片付けて

「うん、なんだろ。私の事探してた?みたいだったけど。
 何かの用事かな…?」

委員会まわりかな?と勝手な推察をしつつそう尋ねる

烏丸秀 > 「うん、君有名だからね。
才色兼備、古武術の家元にして面倒見のいい、パーフェクト女子学生」

実際彼女は有名だ。
憧れている人間も多く、裏では彼女の生着替え盗撮なども高値で売買されている。もっともコラ写真だが。

「――それがどうしてこんな事になってるのか、知りたくてさ」

そっとスマホを差し出し、彼女に画面を覗かせる。
そこに映るのは――彼女のもっとも見たくない、彼女自身の痴態。
数日前の事件の一部始終である。

伊都波 凛霞 > 「え?あははは、いやぁそんな風に言われるほどのものでもな───」

突縁評価を述べ始める少年に照れ笑い気味の視線を返す。
もっとも、その笑顔はすぐに凍りつくのだけど

「───……」

表情が凍てついたように動かない
それなのに、まるで反比例するように、鼓動は早くなってゆく

「……何処で…それ…」

一転、笑顔は立ち消えそのまま俯いてしまう
小気味良い陽気の下、その表情には陰が落ちる

烏丸秀 > 「うん? 何処でだろうねぇ」

とぼけながらも笑顔は崩さない。
傍目には仲の良いカップルにすら見えるかもしれず。

「あ、大丈夫。そんな流出とかしてないよ、ラッキーな事にね。
ボクと、あとはまぁ、限られた人間しか持ってない――はずだよ、うん」

こういう物はすぐに拡散されるものだが、珍しく烏丸は自分以外に持っている人間を特に知らない。

伊都波 凛霞 > 凛霞本人が知る限り、"その画像"を所持しているのは学内でも2人、3人程度の筈だった
無論彼らには、それをネタにしての行為の強要、
それに応じることでの非拡散の約束になっている
…けれどいま目の前の少年が出してきたそれは、その少年達の所持するものとは"違う"
約束を破られたわけではない
…むしろ、それよりもきっと…

「……どうするつもり、なの?それ……」

ぎゅ、と自分自身の手を握りしめるようにして、問いかける
勿論すぐにでも消して欲しい、という想いはあるものの……
こうやって見せに現れたということは少なくともそういった気はないのか──

烏丸秀 > 「うん、別にどうするつもりもないよ」

これは本当である。
烏丸にとってこの映像は、貴重な収集品である。
撮影した少年があの世に旅立った以上、むしろ価値ある美術品のようなもので、消す事もしなければ、広めて価値を下げる事もしない。

「だってさ、もったいないでしょ。ほぼボクだけが持ってるものを、他に広めるなんてさ」

嬉しそうに言いながら、凛霞の顔を覗きこむようにする。
間近の距離で彼女の反応を楽しむように。

伊都波 凛霞 > 「──……」

顔を寄せられて、目線を逸らす
行っていることが良くわからない。
単なる収集癖の持ち主なのか、それならばなぜ自分に声をかけてきたのか…

やっとの思いで、そのこわばった口を開く

「……消して、くれないかな…」

漏れたのは、縋るような一言

烏丸秀 > 「んー、そうだねぇ」

そっと彼女の艶やかな髪に手を伸ばす。
肉体の質感も好きだが、烏丸は髪を愛撫するのを殊更好む。
女の命とも言われるそれをこの手に抱く快感である。

「うん、教えてくれたら考えてあげる。
君はさ、なんでこういうやつらの言いなりになってるの?」

彼女の力なら、こんなやつらをねじ伏せるのも簡単だろうに。
そして、こういう奴らを付け上がらせても何も良い事が無いのも分かるだろう。

伊都波 凛霞 > 「………」

この状況で髪を撫でられても、湧き上がるのは不安を、一抹の拒否感のみ
それを顔には出さないように苦心する

「───それは」

「拡散するって、脅されて───」

広められたくない
それは正直な気持ちである、が…本質はそこじゃない
万に一つも、妹には知られたくないということ

それを口にすべきではないと心が警鐘を鳴らし、口を噤んだ

烏丸秀 > 「んー、でもさ」

彼女の髪はまるで黒い絹のようだ。
なでていて飽きない。警戒されているのが残念だけど。

「こうやって、ボクとかが持ってるわけで――意味ないよね、それ」

この情報化社会で、何人の手に渡ったか分からない情報を止めるなど、それこそ不可能。
それくらいは彼女も分かるだろうし、こうやって言えば分からないわけがない。

「だから、そういうのを持ってる人間を片っ端からブチのめした方がまだマシなわけだよ、うん」

そう、それが烏丸の知りたい事。
彼女の行動はおかしい。本当なら心が折れるか、快楽を楽しむかしてもおかしくないはずなのに。

「でも、なんで君は『黙って耐えてる』のかな?」

彼女に肩を寄せ、さらに距離を縮める。

伊都波 凛霞 > 「それは……」

俯く
顔に落ちる陰が深くなる

烏丸と名乗った少年のいうことはほとんど間違いがない
けれどそれは──

「…暴力で解決は、しちゃいけないことだよ」

違う、そんなことは建前だ
はっきりと自分の心の中で答えは出ている
心を折ることも、皆楽に堕とされることも、暴力で叩き潰して解決することも
……きっとどれも、溺愛する妹が描く"姉"としての姿にふさわしくないのだと

「…耐えてればきっと、そのうち飽きるよ」

あはは、と力なく笑った

烏丸秀 > その力無い笑いが、烏丸の琴線に触れる。
なるほど、彼女はどこか『壊れている』のだ。

うん、良い。
とても良い。

その心の欠損こそが、烏丸の愛でる対象である。

「嘘だね」

決め付けるように言う。
何故なら――

「だって君は、他の人間……たとえば、君の女友達が同じ目にあってたら、危険を顧みずにでも乗り込んで解決しようとするだろう?」

――他の人間。
あぁ、なるほど。

「ん、それとも、一緒に誰かが居た……とかかな。その子を守る為、とか?」

伊都波 凛霞 > 「っ、何で…」

嘘じゃない。言ったことが全てではないけど、決して嘘では……

しかし反論は続く言葉に打ち消される
言われた通りだ、自分は、自分なら……同じ目に遭っている人間を見たら、きっと

「……違うよ、違う。あの時私は、一人だったもの」

嘘は言っていない
誰かを守るため、それは常にこの心のなかにある
だけどそれは、それとこれは、関係のない話なんだと自分に言い聞かせた

よくわからないけれど、何かが叫んでる
この少年に、絶対に妹のことを知られてはいけない

烏丸秀 > 一人。その言葉が本当か嘘か、烏丸には分からない。
ただ、どうしても違和感が残る。
彼女のイメージに――どんな人間でも面倒を見るパーフェクト女子学生という人物に見合わない不可解な行動。

「ん――」

烏丸はそっと彼女の肩に手を回し、顎を持ってこちらに向けさせようとする。
まるで、恋人にキスする為の仕草のように。
そして――

「ね、教えてよ。ボクだけには」

毒のように甘い言葉を注ぎ込む。

伊都波 凛霞 > 「──っ、…」

抵抗、しようと思えばできる
腕を跳ね除けて、その華奢な身体を押しのけて

が、頼りなく細腕が、少年の身体へと触れるだけに留まる

顎を掬われるままに、視線を外す
まっすぐにその瞳を見ると飲み込まれてしまいそうな、言いようのない恐怖を感じた

「……何も、言うことはないよ」

烏丸秀 > 決して視線を合わせてはくれない。
彼女の瞳の奥に何があるか、それを知りたかったのだけど。

「残念――」

烏丸は薄く笑うと、凛霞を抱きしめるように片腕を回し、顎を掬いあげたまま――

(自分で調べるしかないか)

吐息がかかるほどの距離。
凛霞の不安な声すら愛おしい。

「それじゃあ、こうしてもいいよね」

そのまま、唇を重ねようと。

伊都波 凛霞 > 「…だっ───め…!」

少年の身体に押し当てた掌に力を込めて、抵抗する
押しのけるように、明確な拒否を

「っどうして、こんなこと…?」

うつむき加減に、上目遣いになってしまうが、少年の顔を見る──

烏丸秀 > 「おっと」

キスできなかった。
烏丸は心底残念そうな顔をしながら――

「ん、だってさぁ……」

そしてその笑顔を崩さないまま。
今度こそ少女の瞳を覗きこみながら。

「好きな物ってさ、無性に壊したくならない?」

伊都波 凛霞 > 素直に、ぞくっとした
何を言っているんだろう、と
この少年は……

自分に写メをネタに脅しをかけてきた少年達とは違う
彼らはまだ自分達が満たされるためと、面白半分という感情を感じ取ることができた

烏丸と名乗ったこの少年は、きっと違う

「…もう、用がないなら、私っ…」

顔を背け、身体を引き剥がそうとする
言いようのない身の危険を、どうしても感じてしまう

烏丸秀 > 離れようとすれば烏丸は素直に手を離す。
そもそも力では勝てるはずもない。
この能力者たちの島で、烏丸は無能力に近いようなものだ。

「うん、じゃ最後にこれ」

彼女の手にそっとお香を握らせる。

「――あんまり男の臭いをぷんぷんさせてると、また襲われちゃうよ」

くくっとからかうように微笑みながら

伊都波 凛霞 > 「───っ!」

お香を握らされて、思わずバッと離れる

今日はまだ、ソウイウコトはなかったはずである、
思わずブレザーの袖で鼻を隠すように覆うような仕草をしてしまう

「……消してよ、あの動画…」

結果として彼の希望に沿わなかった
それでもそうお願いはするしかなく

烏丸秀 > 「うーん、そうだねぇ……」

袖を振り、軽く服装を整える。
和服は崩れやすいのが欠点だ。その他は楽でいいんだけど。

「――君を手に入れたら考えようかな」

目的は果たせなかったが、烏丸はこの逢瀬を気に入ったようだ。
上機嫌で鼻歌など歌いながら屋上を後にし、階段を下りていく。

ご案内:「屋上」から烏丸秀さんが去りました。
伊都波 凛霞 > ………

一体彼の言葉はどこまでが本気でどこまで…

わからなくなる
ただぺたりとへたりこんで、胸元できゅっと手を握る

「……」

その背に言葉もかけられないまま、ただ見送るしかなかった

ご案内:「屋上」から伊都波 凛霞さんが去りました。