2016/05/19 のログ
ご案内:「教室」にリビドーさんが現れました。
■リビドー > ~二日酔い~
頭を抱えながら教室に立ち入る教師が一人。
微かに酒の匂いと、甘ったるい匂い。
「あー……すまないがテキストの用意を忘れた。
少々羽目を外しすぎてね。猛省するよ。」
何を隠そう、教師仲間の月見里 神女と飲み明かしてそのまま直行。
不良教師ここに極まり――流石にわざわざ言う事こそしないが、
少しの酒と甘い匂いは引っかかる要素足りえる。
「そんな訳だから今日は全員出席扱いにする……が、来た以上は講義するだけするからな、
試験には織り込まないが聞きたければ聞くと良い。」
■リビドー > 「こう言う時のためのストックだけは用意してある。
……問題は講義にするには纏めきっていないし、この古代哲学概論とは大分テーマは逸れる所だ。」
教務課辺りの『科目名と違う』垂れ込まれても困る故に予防線を張っているつもりなだろう。
……今更な話ではあるが。
「で、まぁ。そうだな。今日は『強さ』とは何か、にしておくか。」
■リビドー >
「この強さって言うのも一重に色々ある訳だ。
……が、この強さは概ねこの2つに大分出来る。」
合間に水を飲みながら、黒板に文字を奔らせる。
「『外への影響力』『自己の完結力』……
……もっと言うと外的世界への影響力と、内的世界を軸にした完結力だな。」
頭を抱え、わざとらしく息を吐く。
「哲学や基本的に内的世界の話だ。宗教もそうだが、宗教には外的世界の話が強く絡んでくる。
古代哲学に限ればそれなりに外的世界の話も含むとは言え、本来ならば分析心理学で終わる話だ。
……ああ、内的世界と外的世界の意味については大丈夫かい。」
『内的世界』『外的世界』
古代哲学からは少し逸れた、心理学で用いられる単語だ。
状況によってぶれやすいものでもある。
「ニュアンスで理解する程度で良い。内的世界は精神で、外的世界は現実とか、その程度でも構わん。」
■リビドー >
「結局は内的世界は精神の在り方を決める動機にしかならず、
現実に影響を及ぼすものではなかった。外的世界が現実のすべてであったんだが――」
乱暴に、走らせた文字にニアリーイコールを書き込んだ。
「『大変容』以降、そうも言ってられなくなった。
……ああ、板書を取るときは注意しろよ、乱暴な話だからな。」
反射的に板書を取る生徒を見つけたのだろう。
一言を加え、釘を指す。
■リビドー > 「早い話が超常の起こし方だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魔法や異能は決して外的世界の法則に当てはまってくれるとは限らない。」
語る口が加速する。
未だに酒でも残っているのか――
「同時に魔法や異能も外的世界の法則に基づく場合もある。
一見すると見分けもつかず、混ざり合っている事もあるが覚えておくと良い。」
「炎を出す異能や魔術にしたって、
"分子運動による熱"なのか、"物理的な燃焼"なのか、
はたまたそんなものを知らない"何でも燃やす赤竜の炎"なのか、
炎に見せかけた呪いと怨嗟による炎なのか、四大元素の変換なのかあるだろう。
こいつらが全て外的世界の物理法則に当てはまってくれる訳がない。
呪いや神秘は炎の概念を使う以上は炎の性質に引っ張られるが、
別の要素がそれより強い事が多々あるからな。極論、変なものまで燃やしかねん。」
■リビドー > 「ここまで踏まえた上で現実の話に戻ろう。
キミたちが思う"強い奴"を挙げてみろ。」
スポーツ選手、ドラゴン、映画俳優、憧れの風紀委員、公安委員
漫画のヒーロー、漫画の悪役、俺、列強国家、ヤンデレ、ロリ巨乳、貧乳、指名手配犯――
茶化しも含め、"多様な強い奴"が挙がる。
うん、うん、と、二度頷いた。
「有難うキミ達。やけに乗ってくれるじゃないか。
……まあいい、さっきの話に戻るが、大体が『何をしても動じない奴』か『外への影響力が強い奴』、だろう。
途中に名前の挙がった虞淵なんかは"物理的に強い影響力を持つ奴"の極みだ。落第街の超人だったな。
ロリ巨乳や貧乳は、精神的・性的に強い影響力を持つ奴の類だな。限定的だが、これも馬鹿にならん。」
ご案内:「教室」に阿曇留以さんが現れました。
■リビドー > 「ああ、カレー粉なんかも……まあこの辺にしておこう。限りがない。」
そう言って言葉を打ち切る。
「で……ふむ。少々挙がったものが偏ったな。
そうだな、映画俳優や憧れの人、漫画の登場人物、俺と言ったキミ。まぁこの辺で良いか。
こいつらは物理的・外的世界への影響力も強いが、考え方や行動も恰好良かったり、動じなさがあるだろう。
これが『何をしても動じない奴』――『内的世界が固まっている奴』、ざっくり言えば意思の強い奴だな。
滅多にいないが、立ち居振る舞いだけ意思を力にできる奴、あるいは意思で行動する奴だ。」
■阿曇留以 > 「……」
ふむん、と黙って話を聞きながらシャーペンを握っている。
ノートは真っ白。
聞いている分には面白い話なのだが、いかんせん頭がついてきていない。
(つまり……えっと……)
真面目な顔で、二日酔い教師の講義を聴いている。
聞いているふりをしている。
■リビドー >
「何が言いたいかと言えば、アレだ。
ひとまず名だたる哲学家や宗教の教祖を浮かべてみるといい。
浮かぶのを躊躇うならば、とりあえずブッダが良いな。
覚った果ての自己完結力の極みだからな。」
一気に語り倒せば、大きく息を吐いた。
どこからかペットボトルの水を取り出せば、一気に飲み干した。
「外的世界に内的世界、理念の強さと実世界への影響力。
そいつ個人の持つイデアをどの程度現実世界に落とし込めているか。
……と言う話も出来るが、これは講義に取っておく。
目まぐるしくて恐縮だが話を戻そう。
……本来ならば『ごく一部の超人や狂人』だけが握れるような、
外的世界に影響を及ぼす『内的世界の強さ』を万人の手に落としたものが"魔法"や"異能"だ。
少なくとも、ボクはそう睨んでいる。」
■リビドー >
「……さて、何か質問などはあるかな。」
次のトークを纏める時間を稼ぐついでに、質問を促す。
云いたいことを言ったから切り上げてもいいのだが――
(聞かないのも損だからな。挙がる挙がらないの問題でもない。)
■阿曇留以 > 「……」
ずっと講義を聴いていた留以。
すっ、と手を挙げる。
落ちそうな袖を抑えながら、綺麗に、まっすぐ。
■リビドー >
「ふむ。キミが一番早かったか。
えーと、童顔美人巨乳みたいな強さを持つキミ。
確か……阿曇さん、だったかな。」
下手を打てばセクハラまがいの言葉を叩きつつ、
挙手に視線を目配せて、質問を促すか。
■阿曇留以 > 今のは褒められたのかしら、とちょっとだけ苦笑いをして手を下げ。
「阿曇 留以です。
あの、ちょっとした質問なんですが。
先生の場合は『外への影響力』『自己の完結力』、どちらに当てはまるんですか?」
そんな質問を投げてみる。
■リビドー > 「良い名前だ。
先生、この場合の先生は概念的・普遍的な意味合いでいいかな。
それともボクかい。まあまずは普遍的な意味合いで話そう。」
自身の強さを質問されているのか、
それとも"大抵の先生"が持つ強さを質問されているのか。
どちらとも取れる内容であるが故に、思案げな素振りを見せて――後者を選ぶ。
「ボクの強さにも通ずるからな
そうだな。『両方』だが、『個人的には後者が欲しい』と答えねばならん。早い話が哲学者・宗教家と同じ路線だ。
”先生"も人を教え導かねばならん。しかも、基本は言葉と知識で普遍的な形で教える必要がある。
教える相手にわかるように示さねばならない。
それには『影響を与える』だけの知識と舌は要る。
何を教えるか、の意味では『自己の中』でロジックを完結させねばならん。
極端な話、自信なさげな教師は不安を覚えるだろう。気弱な神は助けてくれるか不安になるだろう。
だから、後者寄りだな。
……時にはその気弱さが献身となり人を導くこともあるが、基本的には教えるだけの教育理念が要る。
こんなもので、どうかな。」
■阿曇留以 > ふんふん、と頷き、にっこりと笑う。
「ありがとうございます、先生。
ちなみにさっきの質問は、先生個人のことを聞いたつもりだったんですが、私の言葉が不明瞭で誤解させてしまったみたいですね。
すみません、先生」
また、同時に頭を下げて謝る。
■リビドー > 「構わないよ。
ボクはあまり自分を強いとも思っていない――とは言わないが、
中々強さを誇るのが苦手でね、逃げた節もある。」
おどけたように誤魔化して笑ってみせ、
気を楽にさせようと試みる。
「質問は以上かな。
ああ、最後にこれだけ言及しておこう。
異世界の技術法則を扱えるケースや、実際に神様から力を借りているケースだ。
それらもまた"真"かもしれない。そうならばまた内的世界とは異なる法則だ。
但し、その"神"の内面世界を借りているケースもある。だがそれは置いておこう。」
うん、とうなずいてみせ、肯定してみせる。
「ボクらも知らない法則。それはそれは心躍るものじゃないかい。
その法則が顕現している以上ボクらの世界に隣接している。隣接して観測できる以上、いつかは届く法則と言う訳だ。」
どこかそれを望むように、
柔らかく笑ってみせる。
……講義の終わりを知らせる鐘の音が響く。
■リビドー >
その後、表情を戻す。
締めに入るつもりなのだろう。
「とは言えそれは未知の法則だけの専売特許ではなくてね。
理解や再現が難しいだけで、内的世界の法則にも当てはまる。
火が何でも燃やせると思うだけの意思がある。
そうであってほしいと叶えるだけの願いがある。
それがそうなると思えるだけの認識と権能がある。
――一つ一つを説明すると散らばってしまうな。まあいい。
繰り返し気味になるが、その異能や魔法が何を由来にしているのか。
その上でどう運用しているのか、それが分かれば、異能や魔法と相対しても臆さないかもしれないぜ。
臆さないと言う事は、向き合えるかもしれない。そいつの一端を理解してやれるかもしれない。
案外、それが救いや友情・恋愛につながる事もある――なんてのは夢の見すぎかな。」
締め括った事で、彼自身の気も緩んでいるのだろう。
再び、おどけたように笑ってみせた。
■阿曇留以 > (……つまり、私は『自己の完結力』の力になるのかしら……)
シャーペンを置き、ノートをバッグに纏めながら首を傾げる。
少なくとも巫女は『自己の完結力』、なんだろう。多分。
では自分は?
童顔美人巨乳というのはおいといても、自分はどっちになるのだろうと首をかしげ。
しばらく教室に残っている。
■リビドー > 去り際、ちらりと阿曇を見る。
(装いからするに、巫女か。
巫女は人と神・自然を繋ぐ色もあるからな――。ふむ。
導く意味では教師に通ずる自己の完結だが、
それを民の手に渡らせる点は影響力、教師に通ずるそれだな。
神秘を借りるとしたら同じ内的世界でも意味合いは変わる。とは言え巫女も色々あるが――
……ああ、今思えば外への影響力の観点で、物理と精神をごったにしてしまったのは失策か。
ま、繋ぎにしては十分か。とは言え次に語る時には詰めておくとしよう。)
阿曇が悩む姿を見れば、歩きながら一人反省会。
とは言えそれを終えても彼女に声を掛ける事はせず、そのまま立ち去った。
ご案内:「教室」からリビドーさんが去りました。
■阿曇留以 > 首をかしげ。
頬にシャーペンの消しゴム側を頬に刺して。
蒼黒の髪が、首を傾げるたびにさらさらと流れる。
(……もうっ、こういうのはあの子に聞いたほうが早いかしら。
実家に帰ったら聞いてみようかしら)
とりあえず、次の講義に遅刻するわけには行かない。
手早く残りを纏めると、足早に教室を出て行く。
ご案内:「教室」から阿曇留以さんが去りました。