2016/05/24 のログ
ご案内:「屋上」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 朝早くの学校で――男女は向かい合いながら。
会話する。長く男が、若干叫ぶように口にして。
そしてそのあと、女が口を開く。
風がなびく。 沈黙――
男がようやく口を開き、頭を下げてその場を後にする。
女は、その姿を申し訳なさそうに見守りながら。
その屋上に、留まった
■伊都波 悠薇 >
悠薇にとって、告白は初めてのことだった。
好きと言われたのは家族以外ではなくて、こそばゆい気持ちになったのを覚えている。
約束の一週間。最後の一日は倒れてしまい、入院なんてしてしまったが。
本当に楽しかった。メールのやり取りも、電話での談笑も。
二人で遊びに行ったことも、二人で下校したことも。
でも――
……ごめんなさい。
色あせない、少年の恋心に終止符を打った。
好きか嫌いかでいわれたら間違いなく、好き。
でも――
――どうしても、一番にして、あげられないんだ
もう、その席は埋まってた。
一番大事で、一番好きで。一番、一番は――
どんなことがあっても変わらない、絶対の特等席。
――だから、ごめんなさい
それでもいいと、男の子はいうかもしれない。
ゆえに先んじて、断った。
――そんな礼を欠くことをしたくないんだ
誠実に。どこまでも、誠実に。
答えた。よく口が回ったものだと思った――
そして、男の子は。
――ありがとう。
そう口にして、これから友人としてよろしくと。
そう、言ってくれたのだ
■伊都波 悠薇 >
ある意味での、別れ。
もしかしたら、もう一緒に遊ぶことはないのかもしれない。
風が、撫でる。
すれば、気付く。いつからいたのか、カラスが肩に。
記憶の共有。教えてもらった、いろんなことを。
――そう、だったんだ
怒りはない、悲しみもない。ただ事実だけを飲み込んだ。
そのあと沸いたのは、結局自分がダメだっただけじゃないかという気持ちだけ。
怒りは自分へ、悲しみは自分へ。姉のせいでも、姉を穢したやつでも、ましてや、烏丸でもなく。
ただひたすらに、自分がいたってないことにばかり目が行く。
どうして自分は、まだそこに立てていないのか。
■伊都波 悠薇 >
烏丸がどんな人なのか、まだよくわからない。
わからないから、今度聞かなきゃいけない。
そして、当然姉にも。
――ありがとう、とカラスに告げて。
青空を仰ぎ見る。
「……お姉ちゃん」
ごめんね、と謝った。
そして――
「……今、お姉ちゃんは幸せ?」
今度。二人で話せるときに聞こうと。
そう、思った
ご案内:「屋上」から伊都波 悠薇さんが去りました。