2016/06/14 のログ
暁 名無 > 時計塔の鐘が鳴り響く。
どうやら生徒にとっては放課の時間になったようだ。

時計塔の方角はあっちだけか──と懐かしむ様子で目を向けて。
やおら息を吐くと、再び大きく背中を伸ばす。

「はぁーどっこい、今日もお仕事終わりっすかねー。
 教員会議も出なくて良いっていうお達しが来てるし、そしたらもうアフターファイブと洒落込むっきゃねえな。」

伊達眼鏡を白衣の胸ポケットから取り出すと、軽薄な言葉と共に身に纏う。

暁 名無 > 「それじゃあどこに行きますかねえ。」

閉じたバインダーを小脇に抱え、授業で使う資料を手に取ると気だるげに教室を出ていく。
束ねられた後ろ髪がゆらりと揺れ、呟きのみを残して教室は無人となった。

「どうせなら美人さんと美味いもんでも食いたいとこだけど。」

ご案内:「教室」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に雪城氷架さんが現れました。
雪城氷架 > 「はぁー……」

座学の小テストの結果が芳しくなかった
元々勉強が好きでもない氷架にとっては、抜き打ちでやられると対策のしようがない
普段から勉強してないからだよ、と言われればそれまでなのだが

…気を取り直そう
昔から見た目に反してじっとしてられない、男の子のような性格だった
そんなのはすぐに直ったりはしない
直す努力をしなきゃ直らないんだけど

自販機できつものコーラを買って、空いているソファへ
休み時間だけあって、ちらほらと人がいる

雪城氷架 > 一年生の頃はそのルックスもあってちらほらと視線を感じたものだが、
学年があがるとそういうのも気にならなくなる
成長した故の余裕なのかどうか、そのへんはわからないが

「………」

きゃいきゃいと明るい声を上げて通過するグループ
一年生だろうか、きっと友達になってしばらく経った頃、一番楽しい時期だ

カシュッとプルタブを開けて缶を口につける
じっとりとした天気の続く今日このごろ、コーラの炭酸が喉に心地よい

「(友達か……)」

女子寮で楽しくやれていて寂しさを感じることはなくなったけれど、
学園で一緒に遊ぶ友達なんかは…そんなに多いわけでもない

雪城氷架 > 雪城氷架は友達が少ない
見た目と、愛想の悪さが伴って冷たく見られがちなのと、
男の子のような粗野な口調がよりもって、人を遠ざける
さらに人見知りだ、要素もりもりである

何度か話をした相手とは自然に会話できるのに

これも日本にいた頃、
田舎の学校でその存在が完全に浮いていた弊害なんだろうと思う

「(別にイイけどさ、友達なんていなくても)」

どふっ、とソファに背中をよりかけて形態を取り出す
連絡先には数人の名前

「……最近全然連絡してないな」

メールでもしてみようか、と思ったものの…どう送っていいかもわからない
一般的に言われるコミュりょく、というのが足りないのでは?と自問自答

雪城氷架 > コーラを飲み干して、少し高いテーブルへと突っ伏す

「(向こうにいた頃は…来島のアニキがよく遊びに連れだしてくれたっけ)」

今もこの学園で教諭を務める来島先生
彼は雪城家と親交があり、氷架も子供の頃からお兄ちゃんのような存在として懐いていた
が、その来島先生も…

結婚して、仕事も忙しくなってくると、
どうしても昔のようにはいかなくなって…

ご案内:「ロビー」に倉光はたたさんが現れました。
倉光はたた > コロコロコロ……。

テーブルに突っ伏している少女の方へと、ロビーで買ったと思しき未開封のスチール缶が転がってくる(ちなみにホットおしるこ)。
転がってきた缶は、ちょうど突っ伏している少女の座るソファの下へと収まってしまう。

それを追いかけてくるのは、氷架に似て白い髪の少女。
そばまで駆け寄ると、無言でしゃがみこんで、顔や手を突っ込んで取り出そうとする。
それが座ってるほうの脚に激しくぶつかろうがお構い無しだ。
消えていった缶しか思考のうちにないらしい。

雪城氷架 > 「ん…?」

突っ伏していると、何やらが床を転がるような音
その音はすぐ近くまできて……

もぞもぞ

「うわっ!?」

脚に何か当たるような感覚に驚いて上体を起こす

見れば白い髪の少女がソファの下へと身を突っ込んでいた

倉光はたた > 氷架が驚いて声を上げれば、びくりと肩を震わせて、
這いつくばったままそちらを見上げる。
どんよりとしていて情緒にかけた眼差し。
ようやく彼女の存在に気づいたとでも言わんばかり。

「ご迷惑をおかけしています」

抑揚のない声。
がくり、と首を揺らした(おそらく頭を下げたつもりなのだろう)。
そして再び缶を取り出そうと試みる。

「んん……」

白い少女――はたたは気付けていないが、すでにおしるこ缶はソファの下を通り抜けて
反対側まで転がってしまっている。
ソファの下を探しても一生見つからないだろう。
背中に見える枝状の突起が苛立ちを示すかのように揺れている。

雪城氷架 > 「お、おう……」

思わずソファから立ち上がって、少女を見下ろす
転がってきた音といい、何かを探しているのだろうけれど

ふと見てみれば、立った位置からはソファの後ろに転がりだしたホットおしるこの缶が見えた

拾いあげてみると暖かく、未開封だ
多分探しているのはコレなのだろうと

「…え、えっと…なんか探してるのって、これ…か?」

手にとったままに、ソファの下を探る少女に声をかけて

倉光はたた > 「ん」

声をかけられて再び目を向ければ、ホットおしるこが視界に入った。
瞬きをひとつ。

「ありがとうございます」

よっこいせと立ち上がり、それをひょいと受け取って、がくり、と首を揺らした(礼のつもり)。
今ので上着やらスカートやらが乱れているのに直そうとしないので見苦しい。
氷架の顔をじっと観察して、また瞬き。

「死んでたのかと思った」

あからさまに失礼な台詞が飛び出したが、口調に棘はない。
どうやら突っ伏していた姿勢を、死体か何かだと勘違いしたらしい。

雪城氷架 > 「いいよ、これくらい」
ポン、と手渡す
別にただ拾っただけ、お礼を言われるほどのことでもない

「…?」

何だろう、顔を見られている
もしかして今朝の化粧乗りがいまいちだったのを見破られただろうか
もしくはリボンを変えたのが合わなかった?
色々思惑していると───

「…あのさ、ここ学園のロビー。
 死体なんか転がっててたまるかっていうんだよ」

倉光はたた > 「ロビーには死体は転がらない……!」

目を見張って復唱する。
いろいろなモノがいる学園なのだ、たまに死体ぐらい転がっていることもあるだろう、
と思ったら別にそういうことはないらしい。
おしるこを手に、気兼ねせず氷架の近くに座る。

「……であるならばなぜ、死体の擬態を?」

新たな謎が生まれた。

そういえば、生物の授業で、外敵に襲われた時擬死(死んだふり)を行う動物がいると学んだ。
哺乳類の場合オポッサムがこれを行うことで有名だ。
つまりこの少女はオポッサムの仲間なのかもしれない。
そんな論理的思考が0.1秒の間にはたたの脳内で展開された。

「……凶暴なヤマネコがいるのか!!」

視線を鋭くしてあたりを伺い始めた。
ヤマネコというのは、オポッサムの天敵である。

雪城氷架 > 「死体の擬態…?」

別にテーブルに突っ伏すヤツくらいそこらへんにも…今はいなかった
寝てるやつくらいいてもいいのに、と思いつつ

「違うよ、ちょっと考え事してうだーってなってただけだ。
 ……どういう思考展開してるんだお前、一年生?」

大分トリップしたような言葉を放ち始めた少女を怪訝そうな顔で見る

倉光はたた > 「なるほど……」

神妙な顔で頷く。冷静さを取り戻したようだ。
言われてみれば、授業中に突っ伏している生徒というのはいたような気がする。
あれは高ストレス下において仮死状態になることで精神を護っているのだと思っていたが、
それもひょっとすれば真実とは少し違うのかもしれない。

「だって……オポッサム……
 つまりオポッサムではない……?」

オポッサムの体毛も白いし、この女子生徒の髪も白い。
確かに、勘違いしてしまってもおかしくはないかもしれない。

「三年生、倉光はたたです。よろしくおねがいします」

一年生という言葉に反応して居住まいを正して挨拶した。

雪城氷架 > 「…オポッサムって何?」

まずそれからである
少なくとも今まで生きてきてそう呼ばれたことは一度もないしむしろ耳にしたことがない名前だ

「(げっ、先輩だった…)」

こういう不思議ちゃんは後輩だろうという先入観崩壊

「えっと…雪城、雪城…氷架。二年…です」

とりあえず敬語