2016/06/15 のログ
■倉光はたた > 「オポッサムは、白くて、ふわふわしていて、鼠に似ていて、ヤマネコが天敵で……」
両手で何かの形を作って(どうやら大きさを示したいらしい)
たどたどしい口調で説明する。
年上や目上を敬う慣例があることは知っていたが、ピンと来ないのであまりこだわらない。
当然先輩という貫禄はまったくない。
「雪城は知っている? 考え事をするとカロリーを消費するそうです」
最近知った知識である。
上着のポケットからビニール包装されたあんドーナツを取り出して、差し出す。
食べろということだろうか。
■雪城氷架 > 「…それ動物じゃないの?」
先輩なのはおいといて、とりあえず不思議ちゃん認定しておこう
なんか冗談で言ってるように聞こえないし
「…そういえばお腹すいたかも」
カロリーを消費、といわれれば
まぁ…この子は大体おなかすいてるんだけど
「いいのか!?」
ガタる
お腹すいたな、とちょっと思ったところにあんドーナツの登場
人間ならたとえトラップだろうと引っかかってしまいます、たぶん
■倉光はたた > 「そうだけど。
雪城がオポッサムか人間かは、わたしにはわからなかった」
何が疑問なのかわからない様子。
野生動物の特徴を持つ学生や教師は一定数居るわけだし、
目の前の雪城氷架がオポッサムであっても何らおかしくはない。
という考えを流暢に解説できるようなスキルははたたにはなかった。
「たんとお食べ」
あんドーナツを渡しながらの、この台詞だけ妙に抑揚があった。
女子寮の食堂のおばちゃんの口癖をマネたものである。
自分はおしるこ缶を開けて口をつけ始める。
■雪城氷架 > 「いやぁ…どうなんだろ……」
一年いたけど、確かにこの島は普通じゃないところが色々あるし…
と、未だ残っている外の世界の常識を再確認してしまう
蛇なのに先生やってる身内もいるし…と
「マジ美味しかった、ありがとう」
油のついた指をはしたなくぺろりと舐めて、笑顔
嬉しそうな表情でドーナツの袋を開けて…数瞬の出来事であった
■倉光はたた > 「わたしも人間ではないし」
あまり聴かせるつもりもないようなつぶやき声。
背中の枝状突起がぺたんと伏せた。
想定よりも早い完食に、驚いたらしく瞬きをニ、三度。
飲みかけのホットおしるこを口から離す。
「どういたしまして。生きかえったね」
氷架の表情の動きを真似たような微かな笑顔を白い相貌に浮かべた。
■雪城氷架 > 人間じゃない、とつぶやいたような気がして
その外見的特徴から、どこかそんな気はしていたけど
なんだか本人がそう口にすると、重く感じた
「まぁ、此処だと純人間のほうが珍しかったりして?」
冗談交じりに、そう言葉を返す
「うん、ばっちり生き返った。
ありがとうな倉光センパイ」
人形みたいだ、という印象だったその顔が小さな微笑みに変われば、
もっと笑顔を浮かべて返す
なんだ、まだまだこういう出会いもあるじゃないか、と
■倉光はたた > 冗談交じりの言葉には、小さく首を揺らすだけで
それきりその話題を続けることはしなかった。
「よかった。
……ほんとうは、そっちのほうがセンパイなのかもしれないけど」
言って、口元を押さえる。自分が笑っていることに気づいたらしい。
はたたの一瞬浮かべた人間的な表情は、波間の泡のように消えた。
「あまり死んじゃダメだよ。死ぬと大変だからね」
冗談の気配もなく、能面のような顔でそう助言すると
自分も手にしていたおしるこを傾けて飲み干す。
じゃあ、また、と言い残して、缶を自販機横のくず入れに捨てると、
ロビーを去っていった。
ご案内:「ロビー」から倉光はたたさんが去りました。
■雪城氷架 > 「あ…うん、またな」
ロビーを去っていく背を眺める
…一瞬だけ見えた人間らしいその表情が網膜に焼き付いていて
最後の言葉を合わさって、なんだか胸が少しだけ切なくなった
貪欲に、連絡先とか聞けば良かったかな、と思いながら
それができないから友達ができないんだと少しだけ自嘲する
「ま、名前が聞けただけでもいっか。覚えとこっと」
立ち上がってうーんっと伸びをして、コーラの空き缶をゴミ箱へ遠投
相変わらずのノーコンなので見当はずれの場所に飛ぶけれど、
飛んだ先に発生させた氷の粒、とそれが膨張で弾ける衝撃を合わせて
コツン、カンッと小気味良い音を何度か立てて、ゴミ箱に落下、上手くなったものである
「さて、授業いくかー!」
あと1つこなせば今日は終わり、気合いれていくぞー、とロビーを後にする氷架だったが、
あんドーナツとコーラで小気味良くお腹も膨れ、完全に寝倒してしまったとかなんとか…
ご案内:「ロビー」から雪城氷架さんが去りました。