2016/06/24 のログ
ご案内:「ロビー」に獅南蒼二さんが現れました。
■獅南蒼二 > 授業が終わった後,この白衣の男は殆どの場合,研究室へとまっすぐ戻ってしまう。
だが,1週間に一度だけ。次の授業までの間が微妙にしか空いていない日程の日がある。
その時だけは,このロビーの隅,ベンチの一番奥に座っていることが多かった。
たった数十分の時間だったが,この時間を利用してこの男に質問をぶつけるような生徒も居る。
獅南もこの場所で授業のレポートに目を通していたり,課題を考えていたりすることもあるのだが…
「………………。」
…今日はどうやら,疲れ果てて居眠りをしているようだ。
これもきっと,先日職員室でリビドー先生から貰った土産の効果だろう。
■獅南蒼二 > テーブルの上には何冊かの魔導書が重ねられているが,別段珍しいものでもない。
魔力の制御に関するものや,元素魔法に関するもの。
授業で使うのだろうか,その殆どが,比較的難易度の低い魔導書だった。
「………………。」
それでも金額にすれば相当な額の逸品である。
無用心と言えば無用心だし、積み重ねたその上に缶コーヒーを置いている程度にはこの男も無頓着であった。
ご案内:「ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > この日の講義はこれで終わり。
ロビーで少し勉強してからピアノの練習に行くつもりで足を運んで…そこで、恩師の一人の姿を目にすることになる。
「…獅南先生?」
テーブルの上に何冊もの魔術書を適当に積み重ね(内容的には、蘭が学んだものと近いように見える)、その上に缶コーヒーを置いて眠る教師。
最近は暑いとはいえ、気候の変動が激しい。
あんまりぐっすりと眠るようだと、喉の粘膜をやられてしまいそうで…
「先生、風邪引きますよ」
近寄っていって、声をかけてみる。
なお、他ならぬ蘭自身が魔術的な冷気を纏っており、魔術耐性の低い者であれば近づくと平気で体感気温が5度くらい下がるのだが…未だに魔術耐性の低い者に指摘されていないので、割と無頓着だった。
■獅南蒼二 > 最初に声を掛けられた時点で,ぱちりと目を覚ました。
それから,静かに顔を上げる。
眠っていたのではなく,ただ目を閉じていただけであるかのように,自然に。
「身体は風邪をひきたがっているのかもしれん。
私は熱でも出さん限りゆっくり休まんだろうからな。」
冗談じみた答えを向けて,缶コーヒーの残りを飲み干した。
獅南の魔力親和性は高くないが耐性は一般の魔術師と同等である。冷気に苛まれることはないだろう。
■美澄 蘭 > ぱちりと目を覚まして、冗談じみた答えを返してくる教師。
同じ学生であれば真顔できつい苦言の一つも呈したところだが…流石に教師相手では、苦笑い程度に表情と、言葉を丸くして。
「…研究熱心な先生は凄いと思いますけど…
身体の危険信号にはちゃんと目を向けてあげて下さいね。
「ケア」のために私達保健課の人間もいますけど…苦しい思いはしないに越したことないし、そこまでいってから治すのって、手間も時間もかかってかえって大変ですから」
蘭が身に纏う冷却魔術は、冷却の効果の術式と、冷却の効果を守る温度障壁の術式、そして冷却した空気を循環させるのに、獅南が以前蘭に出した「宿題」の術式が応用されていた。
一回の発動で、それなりの時間空調効果が持続しそうな感じの術式である。
■獅南蒼二 > 「ははは,身体の危険信号もそうだが,それを許さん頭も私の一部だ。
それに…万が一の瞬間というのはいつやってくるか分からん。
少なくとも,悔いは残したくないからな。」
何気に物騒なセリフを吐きながら,空き缶を投擲。素晴らしい精度でゴミ箱へ入った。
……それから何かに気付いたのか,貴女へと視線を向けて,
「……なるほど,無駄に魔力を浪費しているだけかと思ったが,面白い使い方だ。
その方式ではドライアイスを抱えているも同じで,周囲にも影響を与えてしまうだろうがな。」
苦笑をうかべながらも賞賛する。
空間そのものを冷却するだろう術式構成であれば,周囲に害があることも,分かりやすかった。
■美澄 蘭 > 「………、…気持ちが分からないとは言いませんけど、それで急ぎ過ぎてその瞬間を早めちゃったら元も子もないですよ」
「悔い」の話が出れば…わずかの間躊躇ったが、それでも一言言わずにはいられなかったらしい。
大人しい外見に見えて、それなりに押しが強いのかもしれない。
…と、獅南が自分の使っている術式に気付いた様子なのに、ぱっと表情を明るくして、
「はい、以前の「宿題」が印象に残っていたので、ちょっと応用出来ないかな、って。
私、日光もですけど、暑いのもあんまり得意じゃないので…試しに組んでみたんです。
魔術に慣れた後輩にアドバイスももらって、改良したりして」
「一回使うと昼間中保つので、便利ですよ」などと楽しげに語っているが…「周囲への影響」を指摘されれば、難しい顔をして。
「…こっちは弱い方の術式なので、効いても5度くらいの差だと思うから、そこまで酷いことにはならないと思うんですけど…
でも、空調がもっと強められる時期は、ちょっと考えないといけないでしょうか。オンオフとか」
「弱い方」とか言いました。もっと強いのがあるんでしょうか。
■獅南蒼二 > 「その“瞬間”とは何も内発的な理由によるものばかりではない。
この世界はまだ決して安定しているとは言い難いのだから。」
……この男を説得するのは非常に困難な様子である。
まったく取り付く島もないというか,笑い飛ばしてしまっている。
「循環させる術式を大気流に応用するとは考えたな。
尤も、それが効率の良いやり方なのかどうかは分からんが。
……限定された空間の中での対流なら悪くはないか…。」
などと少し考え込みながらも,続けられた言葉を聞いて,
「オンオフというより,範囲を狭めるか,大気という媒体を利用しなければ良い。
それこそ,それだけの技量があるのなら服に冷却魔法でもかけておけばそれで十分ではないかな?」
強弱にはさほど興味はないようだった。
右手の各指にはめられた指輪のお陰もあるが,この男は純粋な魔力量による自己の限界値をある程度克服している。