2016/06/25 のログ
美澄 蘭 > 「………外発的な理由の警戒の「し過ぎ」も、それはそれで色々毒だと思うんですけど………」

困ったようにめいっぱい眉を寄せながらも、あんまり口は減らない。

少女が口にしたのは、「外敵」に全てを押し付けることを拒む理屈。
世界の持続性と、「統合」を信じる世界観。
間違いなく、目の前の教師が所属する、とある組織と相性の悪い、ものの考え方。

「空気が留まってると、身体に触れるところから効率が悪くなりそうだったので…
あ、温度の障壁を付け加えるっていうのが後輩のアドバイスなんです。私が考えたのは、自分の周りの空気を循環させるところまで」

術式構成の考え方について、素直にぺらぺらと喋る。
他者に力を借りた部分まで。
…しかし、「服に直接冷却魔法」の考え方には、「うーん」と難色を。

「服を直接冷やしちゃうと、おなか冷やしそうなんですよね…」

華奢な肉体というのは取り扱いが難しいものらしい。
並外れた魔力親和性の副作用…というほどのものでもなく、一応健常の範囲ではあるのだが。

獅南蒼二 > 「なに,警戒しているわけではないよ。
 ただ私の場合は“そういう相手”も多く知っているのでね。」

獅南の内心で【レコンキスタ】の思想など殆ど意味をなしていなかった。
要は優先順位の問題だ。
彼にとって最も重要なものと,貴女にとってのそれは異なって然るべきなのだろう。

「腹ではなく首筋や足首,血流量の多い部分に放熱帯を設ければいい。
 まぁ,ここは好みだろうがな…その状態では,魔力に拒絶反応を示す種族の隣にでも座ったら面倒だぞ?」

それがどんな種族かは知らんがな、と楽しげに笑う。
別段特異体質というほどではない貴女の体型にまでは言及するべくもなかった。

美澄 蘭 > 「………そんなに、物騒なんですか………」

眉を寄せながらも、口ぶりから実感はない様子で。
かつて【レコンキスタ】の敵であった祖父(と祖母)を持つ蘭は、その祖父からこの学園都市の危険性について言い含められてきた。
魔術を学ぶきっかけも、護身の必要性から…だったし。
しかし、賢明な上に趣味が大人しかったり一人完結気味だったりする蘭は、今のところその手の危機にとんとご縁がないのだった。

「あー…熱中症の時に冷やす辺り、ですね。
流石に足の付け根はおなかに近いから危ないけど…」

「局所に絞って冷却する」という発想はなかったらしく、納得したように複数回頷く。

「…一応、理論的には魔術耐性がなくても「こっちなら」そこまで酷いことにはならないはずですけど…多様性の幅の限界がないのがここですもんね」

「ちょっと、考えてみます」と、思考作業を楽しむような、明るい瞳で頷いた。

獅南蒼二 > 「まずは…そうだな,落第街の奥へでも行ってみるといい。
 他にも転移荒野や,海底遺跡……見聞を広げるのにぴったりなスポットが沢山ある。」

小さく肩を竦めて笑う。安全は保障しないぞ?なんて付け加えつつ。
それから、静かに立ち上がって…眠気覚ましのコーヒーを自販機で購入する。

「そういうことだ…何事にも理由がある。
 それだけ体を冷やすために適した場所だということだよ。
 ……それに,魔力を纏うことは場合によっては“目印”にもなりかねない。
 見聞を広げに行くときには,努めて目立たぬよう術式は展開しないことだ。」

珈琲を取り出してから,何か飲むか?と聞いてみよう。

美澄 蘭 > 「………「まだ」、遠慮しておきます。
そういうところに自分から行くとなると…「護身」を超えちゃうと思うので」

悩ましげに、こめかみに中指を押し当てながら。

「護身」というキーワードが出たのは、攻撃的な魔術の習得において、「護身」が彼女の現状の目的ということだろうか。
その上で、「まだ」と語る意味は、少女の中でどういう理屈付けがなされているのか。

「うーん…ちょっと、服のパーツを冷やすのは今度の休みにでも試してみますけど…「目印」………?」

不思議そうに首を傾げて。
自分が出来るように「脅威」にも魔力感知が可能であること、魔力の顕示は、場合によってはその手の「脅威」をおびき寄せるなのだと、あまり実感出来ていない様子だった。
…と、自販機の傍らに立つ獅南に「何か飲むか?」と誘われると

「え、えっと…いや、大丈夫です、自分で買います」

とてっと小走りで自販機に駆け寄ると、ぱぱっとアイスレモンティーを買ってしまう。

獅南蒼二 > 「さて,どうだろうな?
 逆に言えば目を瞑ってさえいれば,静かに暮らせるのかも知れん。」

護身と攻撃を,獅南は区別して扱っていない。
護身というのは攻撃を防ぐための攻撃でしかなく,両者には何の隔たりも無い。

「……魔力を察知できる人間や,怪物から見れば誰よりも目立つということだ。」

静かに解説しながら,こちらは適当に座って缶コーヒーの蓋を開ける。
それほ半分ほど飲み干してから……確かにまだ早いかも知れんな。と小さく呟いた。

美澄 蘭 > 「………それはそれで、癪なんですよね。
せっかく、「モデル都市」に勉強に来る機会を家族をねじ伏せてまで手に入れたのに、その社会がどんな場所なのか、真面目に検討する機会を持たないっていうのは」

大人しそうな外見で、「癪」とか「ねじ伏せて」とか平気で言い出しました。
今のところ危険を冒さない程度に賢明ではあるけれど、どこかで箍が外れる可能性は、ゼロではないのかもしれません。

「………あ、あー………」

獅南に指摘されれば、分かっているようないないような声を出しつつ頭を横に傾け。
実際のところ、蘭は自らの魔力察知能力とか、魔力親和性とかを的確に感覚として「見える化」出来ていないのである。未だに。

「…でも、魔力があると分かる存在がいて、且つそのせいで狙われるかもしれない、ってこと、ですよね。要は」

仕方ないので理屈で理解を進めて、自ら買ったアイスレモンティーの蓋を開け、口を付けた。

獅南蒼二 > 「なに,お前が正しいと思う通りに行動すればいい。
 目を瞑って生きるのも,そこに飛び込むのも,全てはお前の自由だ。」

その危なっかしい様子を見れば楽しげに笑って,珈琲を飲み干した。
止めるつもりは一切無い。この生徒がそれによって何を見るのか,興味もある。

「人間にそういうタイプが居るかどうかは知らんが,
 怪物には魔力だけを“見ている”ものも居る。
 能ある鷹は爪を隠すという言葉は,ある程度理に適っているということだ。」

怪物については,コゼット先生あたりが詳しいだろうか。
獅南も研究したことはあったが,価値が低いと判断して以来触れていない。

美澄 蘭 > 「………そうですね、踏み込んだ「責任」を自分で取れると思った時に、見に行こうと思います。
「表」にいるだけじゃ、見えないものを」

「まだ」というのはそのつもりで語っていたのである。
自分を守る能力の不足は以前痛感したところなのだが、それ以上に、「力」を行使することについて、蘭は自分で責任を取れるというほどの自信を持っていないのだ。

「…魔力…だけ…」

不思議そうに、自分の空いた手の平を見つめる。
それから、獅南の方を向いて。

「………魔力「だけ」って考えたとき…私、そんなに目立ちます?」

真剣な表情で尋ねた。

獅南蒼二 > 「それで良い。では,その時のために努力と研鑽を重ねるべきだな、」

楽しげに笑って,再び空き缶を放る。相変わらずコントロールが良い。
それから,つづけられた言葉には僅かに目を細める。
質問の意図がよく分からない、といった具合で首を僅かにかしげ,

「お前が? さて,それはどうだろうな?
 とは言え,少なくとも常に空間に作用する術式を展開していれば誰でも目立つだろう。」

絶対的な魔力量の多い人物はいくらでも見たことがある。
そういう意味で慣れている獅南は,目立つ要素として纏っている術式のみを言及した。

美澄 蘭 > 「…「力」だけなら、そんなに考えなくて良いんですけどね。
「使うこと」まで考えると…大変そうです。

でも、「あるもの」を「ないこと」にしないためには…超えないといけない壁かもしれません」

そう言って、こちらは苦笑い。
質問の回答には、困ったように眉を寄せて

「…あー…まあ、魔力で「分かる」ってことを考えると、広げてるみたいなものですもんね、範囲…」

と、一応応えるがその口調がどうも「浅い」。

(聞きたかったのは、そういうことじゃないんだけど…)

と、内心でちょっともやもやしていたためだ。
魔力容量とか、その辺りのことが聞きたかったらしい。

獅南蒼二 > 「状況に放り込まれれば嫌でも振るうことになる。
 そうでなければ,状況がお前を殺すか,嬲るかするだろうからな。」

ククク、と楽しげに笑いつつも,
続けらえた言葉には小さくため息。

「不満そうだな?
 だが,自分の力や才能を確かめたいのなら,自分自身で確かめることだ。
 他人の評価などあてにならん。」

きっぱりとそう言ってのけた。
魔力容量には秀でているだろうが,それは努力によって得たものではないだろう。
それならば,それは事によっては足枷となり得る。
自己の知覚できない力ほど危ういものはない。知覚せぬまま評価されれば慢心につながり,行使すれば暴走となる。

美澄 蘭 > 「「状況」があったって、何してもいいわけじゃないじゃないですか」

そう言って、口元は辛うじて笑みを作りながらも渋い顔をする。
…そして、「自分自身で確かめろ」という言葉には

「………まあ、「力」を持つのも、最後に判断するのも、自分ですものね」

と、渋々ながら納得した様子で。

蘭の魔力容量は、本格的に魔術を学ぶようになってから飛躍的に増大しつつある。
魔術を学び始めてからキャリアが浅いような人間では、制御に苦労する可能性が危惧される程度には。

獅南蒼二 > 「ははは,もちろんその通りだ。
 だが,それは“状況の外側”に居る人間のセリフだな。」

……この男はどこまでも実際的な話しかしない。
魔力的素養の無い人間がこうして魔術学教師をしていることも,
経験や実験に裏打ちされた確かな知識と思考力があるからこそだった。

「その通りだ。その力を使うも,その結果に責任を持つのも。
 ……それは,望む力であったとしても,そうでなかったとしても同じ事だ。」

貴女を真っ直ぐに見て,楽しげに笑う。
獅南はきっと,貴女の魔力容量も把握しているし,それが危険な水準であることも知っているのだろう。

だが,助言も忠告もしない。

過ぎたる力であれば,それは異能と同様に危険なものだ。
それを何らかの方法で自覚し,努力によって把握,制御を確実にしないかぎり,それは自己の力とは言えないだろう。

美澄 蘭 > 「…「状況」に呑まれることを追認して終わりなら、最初から「見に行く」理由なんてありませんよ」

目の前の教師が実際的な話しかしないように。
この少女も、理念に、理想に重点を置く発想を変える気はないようだった。
自らが未熟だからこそ、まだ見ぬ先があると…未来があると、信じる少女。

「ええ…だから、私が「表」で見えないものを見に行くのは、まだ先の話です。
力が足りなかったならただの馬鹿ですけど…自分が加害者になって、「こんなはずじゃなかった」なんて、言うの嫌ですから」

何か、内側に憤りを抱えているかのような表情で、頷いた。
自分の制御にまだ難があること自体は、自覚と、課題意識があるようであった。

獅南蒼二 > 「それなら,今はそれでいい。
 だがどれほど準備しようとも“失敗”は常に付き纏う。
 だからこそ,その覚悟をもしておく必要はあるだろうな。」

実際的な話のみを語るこの男こそが,誰よりも理想を追い求めていること。
全てを知る者が居れば,それはあまりにも可笑しな矛盾だろう。

「そうだな…あとは公安か風紀か,そのあたりの委員会にでも顔を出してみればいい。
 お前より余程未熟な者も居るが,その“状況”の中で活動している連中だ。」

美澄 蘭 > 「…私に一番必要なのが、「責任」を請け負う「覚悟」と、その「覚悟」の質を保証してくれる「精神」だと思ってるので。
…「力」は、まだ課題が見えやすいから分かりやすいんですけど」

そう言って…困ったようではあるけれど、先ほどまでより柔らかい笑みを浮かべる。

「…公安か風紀、ですか…
…話、聞けそうな人がいたら、聞いてみようと思います」

そのように案内されれば、微妙な表情を浮かべて。
その手の委員会に、現役の知人がほとんどいないのだ。

ちなみに、全力で「入る気はない」オーラが出ている。
既に保健課に所属してる上に学業優先だから仕方ないですね。

獅南蒼二 > 「精神を鍛えるとして,座禅でも組んで経を唱えるつもりか?
 座学や演習で鍛えられる精神も覚悟も,存在しないと思うんだがなぁ。」

白衣の男は,小さく肩を竦めて楽しげに笑った。
戦場に送り込まれる兵士でさえ,訓練プログラムで得られるのは表面的なものだけだろう。
多くを学ぶのは戦場に出て後のことだ。
それを示唆するように,やや,嘲笑じみた演技を交えて。

「……まぁ,お前なりのやり方で進めばいい。
 停滞してしまうのならそれもお前の選択だ。
 ……その結果を背負うのもお前なのだからな。」

静かに立ち上がって,
「さて,そろそろ次の授業へ行かねばならん。また会おう。」
そうとだけ言えば,魔導書をごく自然に“内ポケット”へしまい込んだ。
入るはずがないのに,それは当たり前のようにそこに収納される。
そして男は静かに歩きだすだろう。呼び止めなければ,振り向きもせずに。

美澄 蘭 > 「…座学は哲学、演習は気持ち次第で…どうにか、ある程度は…」

嘲笑気味のニュアンスを感じてむっとしつつも、反論はとても弱かった。
先日軽く訓練をつけてもらったが、その時点で課題が満載だったのだ。
ただ、

「…停滞するつもりは、ないです」

と答える口調だけはきっぱりしており、そして、その目もまっすぐ獅南を見つめていた。
…が、次の授業へ行くとなれば

「…あ、はい。
………貴重な空き時間にお相手して下さって、ありがとうございました」

と、一応礼は言って見送ろうとする。

…魔術書が「内ポケットに」しまわれる場面には、声を出さずに「あれ?」という感じで首を傾げながらも。

ご案内:「ロビー」から獅南蒼二さんが去りました。
美澄 蘭 > 獅南を見送った後、

「…まずは、出来るところから頑張りましょ」

と、魔術数学の勉強道具を広げた。

積み重ねた先に、「力」と、それに伴う「覚悟」がついてくると信じて。

ご案内:「ロビー」から美澄 蘭さんが去りました。